ギャルいと作戦会議!
「さて、早速『第一回、冴えない彼氏の作り方』の会議を始めよう」
「そんなタイトルから始めたくないんですけど?」
現在、俺とギャルいは近くのファミレスへと足を運んでいた。
生徒会の時間もあってか、生徒が集まるピークは越えたらしく周囲には生徒の姿はない。
話し合いにはもってこいの場である。
本当は懐かしの化学準備室でしたかったのだが、いつの間にか鍵がかかっていたのだ。
だから、仕方なく児の場に足を運んでいる。
「仕方ないだろう。いい議題が思いつかなかったんだから」
「普通に『Re.ゼロから始める彼氏作成生活』とかでもいいんじゃないですか?」
「それのどこが普通なのか?」
彼氏作成ってなんだよ。彼氏は物か?
……さてはお前ーーーー今期のアニメを見てるな?
っていうか、今思えばタイトルがようやく復活した気がする。
「まぁ、冗談は置いておいてーーーーとりあえず、時間もないしさっさと話を煮詰めるか」
「はーい」
ギャルいはドリンクバーでついで来たジュースを飲みながら意欲を見せる。
「それで、ギャルいはどんな彼氏が欲しいんだ?」
「イケメン」
「面食い乙」
即答でそう答える辺り、最早尊敬の域である。
「先輩だって、中身のいい不細工より、中身のいい西条院先輩みたいな可愛い人の方がいいでしょ?」
「究極の二択すぎる」
確かに俺は中身を重視しているが……どちらかというと、やっぱり柊夜みたいな美少女がいい。
正直な話、柊夜の外見も好きになったからなぁ……。
「まぁ、私はイケメンな人は好きですけど、最終的にはキラキラしたような恋がしたいって感じですからね~、この際イケメンは仕方なく外してあげます」
「上から目線がいように腹立つな」
「私の目標ですからね~! そこは不遜に言っておかないと!」
胸を張って自慢気に言い放つギャルい。
自信を持つ事は素晴らしいがーーーー腹が立ってしまうのは何故だろう?
「……じゃあ、とりあえず好きな人を見つけるって感じでいいか?」
「大丈夫ですよ~」
はぁ、とため息を吐きながら俺もジュースを口に含む。
……コーヒーにすればよかった。
「ただなぁ……好きな人を見つけるってのが一番難しいぞ?」
「そうなんですよ……」
一気にギャルいのテンションが下がる。
気持ちは分かる。恋って、好きな時になるもんじゃなくて自然となるもんだからな。
「……先輩、何かいい案はありませんか?」
「そうだなー」
俺は腕を組んで思考する。
だが、これといっていい案が思いつく訳でもない。
「でも、正直な話はだれかと一緒に過ごして感じるしかないと思うぞ?」
「……薄々、そんな気はしてました」
「だろうな」
ぐでーっと、机に突っ伏してしまうギャルい。
その際に、白いうなじが金髪越しに見えて……少し色っぽかった。
「けど、一緒にいてって、クラスの男の子は無理でしたし、他に誰かと接点増やすってなかなか難しいと思います……」
「そうだよな……」
一輝の時もそうだったが、知らない人といきなり接点を作るのは難しい。
一輝の場合は1度会っていて、尚且つ好きな人ができていたから楽だったのだ。
だが、今回は違う。
好きな人もいなければ一度も関わった事すらない。
「クラスの男子はどうしてダメなんだ?」
「……この際、顔は置いておいてーーーー普通に下心満載で来ているような気がするんですよ。だから、友達としてはいいですけど、それ以上は……」
なるほど……。
どこかで聞いたような理由だな。
「そう言えば、先輩はどうだ?」
「……先輩がやめておけって言ったのでやめます。多分、先輩なりの心配をしてくれたんだと思ってますから」
「おぉ……」
ギャルいの言葉に、少しだけ感嘆とした声が漏れてしまう。
別に、先輩が悪い人じゃないという訳では無い。
……ただ、女癖が悪いって話なだけなんだ。
それに、いつも変なこと言われてたから信用されてないと思っていたんだが……。
少しは信用されていたみたいだ。
……やべ、ちょっと嬉しい。
(これは気合い入れて頑張らないとなぁ……)
俺の中でやる気が溢れてくる。
「そう言えば、体育委員になってみるってのはどうだ?」
「体育委員……ですか?」
「あぁ……」
俺はもう一度口の中を潤す為にジュースを飲む。
「あそこなら他のクラスの男子も、他学年との男子とも交流ができるだろう。今回、幸いにして生徒会の仕事も少ないみたいだしな」
新しい交流の場となればおいそれとは作れない。
出会い系サイトも、高校生だと難しいし、学校内でも行事がなければ難しいものだ。
だから、今回の体育委員は悪くない。
各クラスの男子は最低一名いる訳だし、ギャルいの社交性なら交流を深めることも出来るだろう。
その中から、頑張って好きな人を見つければいいーーーーこれは彼氏を作るよりも好きな人を見つけるって意味合いだ。
「確かに……アリですね」
「まぁ、なんだったら俺も体育委員に入ってサポートぐらいはしてやるさ」
余計な仕事が増えてしまうけど。
……これも人助けだと思えば、必要な事だ。
「じゃあ、それでいきましょう。先輩、絶対に体育委員になってくださいね?」
「任せろ……お前こそ、絶対に体育委員になれよ?」
俺達は不敵な笑みを浮かべて、その場で固い握手を交わした。
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