積極的な神楽坂
「ただいまー」
柊夜を家まで送り、出迎えの父親に軽く罵詈雑言を浴びせると、俺は神楽坂を迎えに行く為に麻耶ねぇの家に来ていた。
「あ、望くんおかえり〜」
俺が玄関をくぐると、気づいたエプロン姿の美少女ーーーー麻耶ねぇがリビングから顔を出てきた。
うん、そのエプロン可愛いね!いい奥さんになると思うよ!
「おう、とりあえず上がっていい?」
「そんな気にせずに上がればいいのに〜!ここは望くんの家でもあるんだから!」
なんとも嬉しい言葉なのか。家族だと当たり前に言ってくれる。
身内がいない俺にとっては胸に染みる言葉。
しかし、『親しい仲にも礼儀あり』。
ちゃんとそこはわきまえないといけないだろう。
「んじゃ、上がらせてもらうわ」
俺はカバンを廊下に置くと、靴を脱いで中に入る。
「それで、神楽坂は何してるんだ?」
「今は夕飯食べてるよ〜!」
まぁ、食べてくるって言ってたくらいだしそうなんだろう。
そして、麻耶ねぇの格好を見る限り今日は麻耶ねぇの晩餐。
……神楽坂が作らなくて心底ホッとしてます。
俺は制服のブレザーを脱ぎ、そのままリビングへと向かった。
そして、そこには一生懸命美味しそうにご飯を頬張る神楽坂の姿があった。
「ただいま、神楽坂」
「んふぅ?」
ごめんな?食事中に声かけて。
でも、なんかその声には大変胸を撃ち抜かれる程の可愛らしさを感じられました。
見たかギャルい?これが本当の可愛さと言うものだぞ。
そして、神楽坂は俺を視界に捉えると、口の中のご飯を一気に無くした。
「おかえり、時森くん!」
「ただいま。ちゃんといい子にしていたか?」
「私子供じゃないよぅ!?」
しかしなぁ……。
そんな美味しそうに食べている姿がやっぱり子供っぽいって言うか……。
子供でよくね?可愛いし。
「そういえば、父さんと母さんは?」
俺はいつもならこの食卓に座っている両親がいないことに気づいた。
「今日はお母さん達、親戚のママ友達とお食事会なんだって〜。だから今日はアリスちゃんが来てくれて助かったよ!」
「美味しく頂いてます!」
「ふ〜ん」
親戚ってどこの人だろ?
母さん達が親戚の人と仲良くしている所を見たことがないのでピンとこなかった。
「望くんも食べて行く?出来れば、食べて行ってくれたらおねぇちゃん嬉しいです!」
上目遣いでそんなことを言う麻耶ねぇ。
いや、用意されてるんなら是非とも食べたかったのだが……その上目遣いは反則じゃね?
俺、ドキがムネムネ〜だったよ?
「じゃ、いただくとしましょうかね」
「うん!今日はおねぇちゃん自信があるからね〜!」
麻耶ねぇは袖を捲って力こぶを作る動作をする。
捲れたおかげで白い二の腕が……あれ?確か女の子の二の腕って胸と同じ柔らかさーーーーいや、よそう。この作品は全年齢対象なんだから。
「私も料理手伝ったんだよ!」
「麻耶ねぇ、今日は食べて帰らないことにするわ」
「どうして!?」
いや、そんな「信じられない」みたいな反応されてもさ……。
この前麻耶ねぇに聞いたけど、お前バレンタインのチョコに塩酸加えようとしてたんだろ?
そんなやつの料理を食べたら文字通り胃が溶けるわ。
「大丈夫だよ望くん、アリスちゃんは味見役だったから」
「心の底から安心して食べれるよ」
「……最近、時森くんの扱いが酷くて私泣きそうです」
泣くぐらいなら科学薬品を使おうとするんじゃないよ馬鹿野郎。
「今から用意するから待っててね〜」
麻耶ねぇは俺の分の料理を持ってくる為にキッチンへと向かう。
俺は背中越しに軽く感謝しつつ、神楽坂の隣へと腰を下ろした。
「麻耶ねぇに迷惑とかかけてなかったか?」
「かけてないよ!?本当に私を子供扱いしすぎじゃない!?」
心外です、と。神楽坂はめいいっぱい頬を膨らませた。
うむ、大変可愛らしい。この画像は脳内フォルダにしっかりと保存しておこう。
「……ほ、ほら……これでも……その…私を子供扱いする?」
「ふぃ!?」
俺は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
だってそうだろう。
神楽坂が顔を真っ赤にそめて俺に抱きついてきたのだから。
加えて、ご丁寧に制服のブラウスのボタンを大胆に開けて。
な、なんてことするんだいこのおたんちん!
こ、これは流石に……よ、よくありませんことよ!?
「時森くん……顔真っ赤だよ?」
あなたもでしょうが!?と、言う言葉は飲み込む。
何故なら、今の俺にそんな余裕なんてないからだ。
ブラウスの間からは神楽坂の綺麗な白い肌が見えている。
それどころか、意外と豊満な彼女の谷間が強調されており、更に言うなら……その……ブラが……今日は黒なんですね?
…………エロいッ!!!
「私言ったよね……諦めてないって……」
言ったけどもさ!?確かに言われた記憶があるけどもさ!?
俺、彼女いるんですよ!?流石にこれはアウトセーフというよりダブルプレーだと思います!
「ふふっ、顔真っ赤ぁ〜」
少し楽しそうに、神楽坂は上目遣いで俺の顔を人差し指でつつく。
助けて!ヘルプミー!
なんか俺の同居人が今までよりも積極的になってしまって困っていますー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます