新たな生徒会メンバー!
「そういえば、そろそろ来る時間なのですが……」
いきなり仕事を俺に丸投げした愛しき彼女。
どうして神楽坂に補佐役をつけないのか?どうして俺は未だに神楽坂の仕事をしているんだろう?などなど————柊夜はそんな疑問に答えてくれることはなかった。
「なぁ神楽坂?お前、後輩が来たら何するつもりだよ?」
「ほぇ?みんなのお手伝いだけど?」
さも当然に言わないでくれる?
お手伝いって言っても、書類整理や茶汲みだろ?後輩に恥ずかしくないの?
精神的に成長したと思っていたのだが、こういうところは成長できていなんだな……。
俺はそのことにそっと涙ぐんでしまう。
「柊夜、今から役職の変更は————」
「いたしません♪」
「はい、分かっていましたとも」
そんな満面の笑みで拒否しなくても……。
分かっていたからいいんだけどね?それに、可愛いからいいんだけどね?
俺、そろそろ過重労働で倒れちゃうよ?
「まぁ、少年。仕事が増えるなんて、今更だろう?」
「そう思うのなら手伝ってください」
そして、少しでも俺の負担を減らしてください。
しかし、そんな俺の想いとは裏腹に、先輩は首を振ってお断りしてきた。
「失礼しま~す!」
「し、失礼いたします……!」
すると、そんな声と共に生徒会室の扉が開かれる。
「どうやら、来たみたいですね」
「どんな子なんだろうねぇ~?」
扉が開かれ現れたのは、おずおずと緊張した様子で顔を覗く黒髪の少女と、長い金髪を垂らして、制服を着崩し、いかにもギャルっぽい少女。
1人はさっき見た新入生代表の子だろう。
しかし、もう一人は見たことが無いな……。
「ようこそいらっしゃいました。我が学園の生徒会へ」
そして、柊夜が代表して入室した二人に声をかける。
「は、はいっ!一年の大和千歳です!ほ、本日からお世話になりますっ!」
そして、勢いよく頭を下げる新入生代表の子————大和千歳。
……なるほどね。「また生徒会で会いましょう」ってそういうことか。
「はいはーい!私、
ギャルい。あざとギャルい。
長い金髪に愛くるしい顔。小柄な体系で、愛嬌を感じる少女は、とにかくギャルかった。
化粧こそ控えめなものの、抱えているバックにはいろいろな装飾品。色鮮やかなネイルに、スカートも短く、ボタンも胸が見えない程度に外し、バッチリ着崩したギャルコーデ。
……ギャルい。美少女だけど————
「ギャルい……」
「ギャルい?」
神代を見て、思わず漏らした言葉に、神楽坂はきょとんと可愛らしく首を傾げる。
分かる!?こういうあざとくない天然な可愛さがいいんだよ!お前みたいなあざとさじゃなくて!
「私は生徒会長の西条院柊夜です。そして、こちらが副会長の鷺森麻耶さんです」
「よろしくね~」
そして、こちら側現役メンバーも、西条院の言葉をかわきりに自己紹介をする。
「す、すごいっ……あんな姉オーラは私には無理!」
「本当に、すごいです……」
姉オーラとは一体?
「次に、同じく副会長の結城陽介さんです」
「イ、イケメンっ!?イケメンだよ千歳っち!」
「か、かっこいいですけど……時森先輩の方が……」
「ははっ、よろしく頼むよ」
「はいっ!付き合ってください!」
すごいな。俺は人生で一番最速の告白を見たぞ。
神代というギャルは見た目通りものすごい面食いなようだ。
……ギャルい。
「次に、書記という肩書だけの神楽坂アリスです」
「か、肩書だけってひどくないかなぁ……?」
ぶっちゃけ、事実だから酷くないと思う。
酷いと思うなら、ちゃんと書記の仕事をして欲しい。
「あの銀髪って地毛かな……?」
「蜜柑ちゃんっ!し、失礼だよ!?」
しかし、新入生には肩書よりも神楽坂の髪の色が気になっているようだ。
分かるなぁ。初めて見た時は染めたのか?って疑ったものだ。
「そして、最後にあなた方の指導役である会計の時森望さんです」
ふふ……一体俺はどんな反応をされるのだろうか?
イケメン?知的?————はっはっはー!なんでもござれですよ!
「ちっ……一番のハズレを引いたか」
「西条院、こいつはダメだと思う」
生徒会に参加以前に、先輩に対する態度がなっていないと思う。
俺が指導役って聞いた途端、舌打ちしたんだぞ?もう、こいつは捨ててきてもいいのではないだろうか?
「(と、時森先輩が私の指導役……やった!)」
大和は大和で、何やらブツブツと呟いているし、こいつも俺の事が嫌いなのだろうか?
俺、流石に泣くよ?
「以上が、私達生徒会メンバーです。あなたたちは、これからこの生徒会に入っていただきます。分からないことがあれば、指導役の望さんだけでなく、私達にも聞いてください」
「は、はいっ!わ、分かりました!」
「りょうかいで~す!」
新たなメンバーが加わった。
当時の俺は、仕事が増えるなめんどくさいなと思っていたが、今にして思えばあんな面倒ごとに巻き込まれるとは思っていなかった。
しかし、それもまだまだ先の話。
とりあえずは、仕事量も増え、めんどくさい日々が始まるであった。
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