くたばるなら私と一緒にくたばりなさい!!
「どうして死んじゃいけないんですか?」
彼はそんなことを私に問う。大量の雨が体を打ち、濡らし、冷え切った頭と体に追撃を加えるように。冷めた声で彼はそう問う。
「生きなきゃいけない理由なんて、ないのに」
自身に問いかけるように、目の前の私に問いかけるように。びしょ濡れの体も無視して、彼は学校の屋上の手すりに寄りかかる。
「飛び降りようって、思ったのに」
「あなたが、死んじゃいけないっていうから」
「ためらっちゃったじゃないですか」
彼は泣きそうな声で、こちらを少しだけ睨む。
「あなたが止めなきゃ、僕は今頃」
そう言って、彼は歯を食いしばり、こう叫んだ。
「僕は今頃、こんな世界とお別れできたっていうのに!!」
そんなことを言われても、私に何ができるというのだろう。
私は、彼の何を知っているというのだろう。
所詮、他人のくせに。
逃げ場の一人のくせに。
誰だって良かったくせに。
「君だから」なんてクソみたいな戯言を吐き続けたくせに。
「一人で逃げようだなんて、卑怯よ!」
私だって、お別れしたかった。
でも、君が「まだ、生きていたい」っていうから、今日まで生きてきたっていうのに。
「私は、君が生きるって言うから生きてるのに!」
冷え切った頭に、再び熱い感覚が額を襲う。
「私を一人だけ置いて、一人で先に逃げようだなんて! そんなことさせるわけない!」
「死ぬなら、私と一緒に死になさい!」
誰でも良かった。都合が良ければ、誰だって良かった。だけど、所詮他人でも。逃げ場の一人だったとしても。
きっかけが、どれだけ汚いものであっても。
「私は!」
いろんなことを一緒にして、多くの時間を一緒に過ごして。
「君がいるから!」
いつの間にか、好きになっていた。
「生きてるのよおおおお!!!」
私は、叫ぶ。目の前の、ぽっかりと口を開いてあ然としている彼に向かって。自身の思いをぶつけた。
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