第9話
―俺は、暗闇の中にいた。正直、これでよかったのかはわからない。だって、仲間も妹達も、放っておいて自分だけ楽になろうとしてるんだから。
でも、身内と友達どうしで戦うのをとめるには、これしか方法がなかった。
これでいいんだ…これで…
*
「ここです。」
その頃、私達はマーマレードとチェリー·パイに悔しくも頼って、帝国にある伝説の井戸へ来ていました。
「なぁ、本当にいいのかよ?これ、罠かもしれねぇぞ?」
「…陸、確かにその通りかもしれない。でもね…」
「だったら…!!」
「和也…!!言ったでしょう?私に考えがあると!!」
そう、私は自分達も、この姉妹達も一緒に変われる方法を見つけていたのです。
それは…
「マーマレード。チェリー·パイ。この井戸にこの『クエストチェンジャー』を投げ込めば確実に私達は元の普通の高校生に戻るのね?」
「ええ…」
「ならば二人共。条件があるわ。」
「えっ…」
「貴方達も一緒にこの井戸に入って、人間界へ転生しなさい。」
そうすれば、3人が兄妹で暮らす事もでき、私達も変わる事ができる…
何よりトキタイー帝国が滅び、2度とヒーローの出番はなくなる…
「…お兄様を救う為なら…」
「マーマレード!?」
「だってそうでしょう?たった一人の兄なのに。せっかく会えたというのに!!」
「…わかった。貴方がそう言うなら…」
こうして、二人の姉妹は井戸の中へ飛び込んで行きました。
そして、私達もクエストチェンジャーを井戸の中へ放り投げました。
*
これでいいんだ…
そう思って目を閉じた、その時だった。
「お兄様…っ!!」
「!!お前ら…何故ここに…?」
チェリー·パイはこう言ってくれた。
「だって…兄妹…ですから…」
俺達は互いに手を伸ばした。
すると俺達の間で何かが、眩しく光った。
*
それは、マーマレード、チェリー·パイに続いて、私達がクエストチェンジャーを投げた少し後でした。
井戸の中から、突然、眩しい光が溢れ出してきたのです。
*
一体何があったのか。それは俺達にもわからない。
気がついたら、みんなが目の前にいたのだから。
*
しかも、同時に私達の手にはクエストチェンジャーが戻って来たのです。
*
「ありえない…どうしてこんな事が…?」
*
ふふふ。誰のせいでしょう?
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