第8話
「文彦ぉぉぉぉ!!」
眩しい光、そしていつかRPGで見たような独特のエフェクトと共に彼は消滅していきました。
私達は、彼の言っていた言葉の意味が最初はわからず、ただ呆然と立ち尽くすだけでした。
そんな時、蘇ってくるのは彼との想い出です。
最初に皆で戦った時、突っ込んでくれたのも、私が甘い罠にかかった時、真っ先に戦ってくれたのも彼でした。
「そういえば私達、これまでずっとヒーロー部の名を借りた、ただのボランティア集団だったけど、依頼が無い時は彼が居なければずっとだらだらしてたよね。」
「ああ…」
「それってもうトキタイー帝国の人達と一緒じゃない?なのに私達は先輩のいいつけと只の正義感にとらわれて一方的に帝国の人達を傷つけてきた…彼が…文彦君が言いたかったのはそういう事じゃないかな。」
そう、でも彼はトキタイー帝国の人間でした。
ですからもう彼を復活させる事は私達には…
「…1つだけ、兄を復活させる方法はあります。」
チェリー・パイが言いました。
確かに、敵は残り1体、つまりラスボスは残っている訳ですから、彼を復活させなければ私達は負け確定です。なので彼を復活させる事ができるのなら方法を知りたくもあります。
しかし、彼女も敵の1人である事もまた事実です。
「…その方法って?」
「…トキタイー帝国の伝説の井戸に貴方達の持っているその変身アイテムを全て放り込むのです。しかしそうするとあらゆる能力の効果が無効化され、貴方達はもう二度と変身できることができない、普通の高校生に戻ってしまいます。」
私はその方法を受け容れる事にしました。そして腕から変身アイテムを外したのです。
「おい千鶴!?まさかこいつ等の言う事をきく気か!?」
「和也…だって…!!文彦君が言ったでしょう!?私達は変わらなきゃいけない。私達は文彦君がいないきゃずっとだらだらしたままだった。だから変わって助けなきゃいけない。でも彼女達もまた変わらなきゃいけない。」
「…え?」
そう、私は彼女達に対してある事を考えていました。
「…帝国へご案内します。」
マーマレードの案内で私達は帝国へと向かいました。
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