第6話

 気がついたら、世界が反転していた…のではなく、俺が逆さ吊りにされているだけだった。


「お目覚めのようですわね。お兄様。」

「な、なんだお前らその格好は!?」


その格好はまるで真っ黒なウェディングドレスのような豪勢なドレス姿であり、ピンクとオレンジのリボンだけがそこに一点だけ色彩を灯していた。

そして俺はというと、パンツ一丁にされていた!?


「な、何故俺はこの様な格好に…?」

「それは貴方を調教する為ですわ。」

「はあ!?冗談じゃないよ!!お前ら兄に向かってなんつー事をするんだよ!?」


いや、そもそも兄になったつもりなど全く無いのだが…


「あら、私達に逆らうとこうですわよ!?」


二人が取り出したのは真っ黒な鞭だった。


「うおっ!?うっ!?はぐぅうっ!?」


2、3発喰らった後、チェリー·パイが言った。


「これで仕上げですわ。これでお兄様は永遠に私達の物…」


そして、何かの薬品を俺の腕に注射した…




ん?これは…俺は何を見ているんだろう?走馬灯のようなものが俺の目の前をよぎっていく。

ああ、そうか。俺とあの二人は義理の兄妹だった。お互い子持ちだった両親が結婚して、俺達は数年暮した後、父が裏社会に関わっている事がばれて親二人が離婚した時に俺は母親の方についていったんだっけ…?

父親があんなだったからあいつらもあんなにおかしくなっちまったんだ。

俺があの時あいつらと一緒に残っていれば…


「ごめん。ごめんな…」




一方その頃。


「見つかったか!?」

「いや、何処にも居ねえ…」

「一体何処に行っちゃったの、文彦君…」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る