第21話 転移魔法発動

旋風で城壁を超えた3人は難なく城への侵入を果たした。しかし旋風を使った時、祠に少し当たってしまった。何を祀ってあるのか知らないが心の中で「ごめん」と謝っておいた。どうか許してください。


さて城の中に侵入するには北の塔から入れるんだったな?


「じゃあっち行こう!」


「うん!」「了解!」


僕達は小さい声で合図すると北の塔へと目指した。周囲には兵士が居たが何度かパターンを覚えると虚を衝くことが出来た。兵士たちは僕達に気づかれぬまま無力化されていく。僕の雷によって。


無力化した兵士達を物陰に隠して北の塔に向かった。北の党の鍵はアイリスが所持していた様ですんなりと入ることが出来た。この北の塔は王族が逃げる時に使う緊急通路らしい。アイリスが逃げた時にも使った経路で、地下の隠し部屋から王座のある部屋まで転移装置があり、転移できれば一足飛びで王に会うことが可能なのだ。


ここか──


僕達は意を決して地下の隠し部屋へ向かった。隠し部屋へは合言葉「アイリスアイリスルルルルルー」と恥ずかしい言葉を叫ばなければいけないらしくアイリスは真っ赤な顔で叫んでいた。半ば自暴自棄になっていた。恥ずかしいならそんな合言葉にしなけりゃいいのにと思ったがどうも国王の趣味だったらしくアイリスは私は被害者だ!と訴えていた。涙を貯めるくらいだから信じてあげたけど。僕なら自殺しちゃうよ。ははは。可哀想に。


合言葉を叫んだアイリスは魂が抜け駆けていたが設置されていた本棚がガチャりと音を発すると半分扉が開いた。このまま開けてしまえば扉は別の部屋へと案内するらしい。そこには毒蛇や毒ガスなどの殺人兵器が山盛りに設置されているらしい。


アイリスは半分ほど開いた扉に空いている穴に指輪を差し込んだ。すると今度は全く別の場所…床がすうっとスライドしていき地下室への階段が現れた。アイリスは指輪を引き抜くと半分程開いた本棚の扉は閉まった。


「じゃいこっか。」


アイリスに言われるまま僕達は地下室へと向かった。階段は螺旋状に続き、ランタン等が無いのに何故か明るかった。アイリスの話によると光魔石と呼ばれる石を壁に散りばめているらしい。非常に高価だがいざと言う時の為の通路に金は惜しまなかったのだろう。流石である。


「ここだよ。この真ん中に立ってくれたら発動させるから。」


「わかった。」「はーい!アイリス様!」


メシウスは僕の時とはあからさまに対応が違う。乳搾りでもしてやろうか。この野郎。


3人で魔法陣の前に立った。


「じゃ…いくね?…転移!」


どうやら転移するのに長い呪文とか必要な訳じゃないらしい。国王が変な呪文を言うのはいざと言う時の誤魔化しであり、必要無いのだ。


僕達は青白い光に包まれ王座の間へと向かつのだった。

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