第22話 因縁の戦い
僕達は青白い光に包まれ王座の間の後ろへ到着した。
──しかしそこは血の海だった。
夥しい量の血液に3人は唖然とした。凄惨な殺人現場なんて生温いものじゃない。白を基調とした部屋が真っ赤に染まっているのだ。どれほどの人間の血飛沫を飛ばせばこうなるのか…想像を絶し2人は声を出せないでいる。
「これは…酷すぎる…」
アイリスとメシウスは目に涙を浮かべ体をふるふると震わせている。ここに居た者の生存率は絶望的だろう…そう誰しもが考える。それほどの状況だった。
しかしそれは違ったのだ。
僕達は目を疑った。この状況は…あまりに凄惨。
王座には──
体の自由を奪われた国王が血を流し続けていたのだ。回復と出血の魔法を継続的に使われ死ぬに死ねない状況。生き地獄とはこの事であろう。もはや声も出ないのだろう。頭を垂らし体も力なくダランと垂れている。
「お父様!!!」
「バルムス国王様!」
「……な……………た…」
「え?なんですか?お父様!」
「…なぜ……もど……たの……だ!」
「アイリス回復魔法使えないのか?」
「はっ!?そうだった。《
体が白く輝き出血が若干収まった様だ。
「何故だ!なぜ戻ったのだ!私はお前に戻るなと言ったはずだ!早くヤツらに見つかる前に逃げるのだ!」
「ムハハハ逃がしませんよ?」
気づけば王座の間に1人の侵入者が現れていた。小柄でとんがり帽を被り白い仮面をつけた少年。耳は尖り肌は青い。額からは角を覗かせ、スプライトと呼ばれていた事をアイリスは覚えていた。
「こ、こいつよ…。この国を滅ぼした悪魔…スプライト。」
苦虫を噛み潰したような顔でアイリスがスプライトを睨みつける。
「ムハハハハ!怖い怖い。餌に群がるゴミムシ共が。病気になってしまうわ!アサヒ。殺れ。」
「御意。」
先程まで誰もいなかった場所がゆらりと揺れると身の丈以上の巨大な斧を持った全身を黒光りした鎧に身を包み全貌は不明だが、禍々しいオーラを纏うアサヒと呼ばれる魔物が現れた。
アサヒは巨大な斧を構えるとアイリスに向け横薙ぎに払ってきた。
「
ライネルは横薙ぎの斧に相対す形で風の刃を飛ばした。アサヒは驚いた表情をしたが相殺された薙ぎ払いに不満そうな顔をすると斧の柄を地面にドンッと置いた。
「ちぃ…貴様何者だ。」
「僕?僕はライネルだ。天気予報士さ。」
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