第5話 天気予報士誕生

岩の上にペタンと腰を下ろしてから数分後──


少しは体力が回復したので山の中を歩く事にした。山には背の高い木が雨を遮っているが全く濡れないと言う訳では無い。


いい加減雨に嫌気がさした僕は──


声に出さず《雨止めよ》と思った。


しかし雨は止むことなく降り続く。《天気予報》というスキルは何なのだろうか?天候を操れるのか?いやいや。雨すら止ませる事が出来ないのに有り得ないだろう。


そんな事を考えながら山をひたすらに登る。


昼を迎えた頃。僕は川を見つけた。完全にラッキーだった。じわじわと温度が上がり蒸し暑くなってきた頃だったので丁度喉が乾いていたのだ。


「ゴクッゴクッ…ぷはぁ!生き返るーー!」


人体の大半を占める水分は人が生きるには必要不可欠。水は生命線である。


ぐぅ~~


「お腹が空いたな。」


この山に入ってから気づいたが今まで動物は疎か魔物にも出会っていない。何かしら食料があると思って入山したライネルだったが今のところ食料らしい食料も見つけられていなかった。まぁ魔物が出てこられてもそれは死に直結するのだが。


「ん?あんな所に果物が!」


ヤシの実に似た果実が木の上部になっていた。決して飛んでもよじ登っても取れない位置にそれはある。距離にして10m位だろうか。5歳児の力では石を投げても届かない距離だ。


「ちぇっ…《落雷》でも落ちなきゃ取れないじゃん…」そう言った瞬間だった。


ドゴーーーーーーーーーーン!


え?は?なに??どういう事だ!?


目の前にあったはずの果実を実らせた木は真っ二つに割れ果実も1つ地面に転がっていた。残念ながらあと3つあった果実は炭と化していた。


僕は天を仰いだ。1本の木が消滅した事で空を覆っていた葉や枝は1箇所だけポカリと穴を空けていた。そこから除く空は雨上がりの快晴が広がっていた。


快晴の空から雷が落ちたのか?


僕はふと…違和感を覚えた。降りしきる雨を見て《いい加減雨止めよ》と思ったが雨は止まなかった。


しかし落雷でも落ちればいいのにな?と言ったら、自分が望む形で落雷が発生したのだ。不自然すぎる…しかし根拠がないのだ。


雨だからダメだったのか?雷ならいいのか?風なら?炎なら?天候の定義とは?ライネルは《天気予報》と言うスキルがますます分からなくなってしまうのだった。


そして──ライネルはこの山で向こう5年間 《天気予報》のスキルについて研究を重ねた。


ライネル少年10歳──彼は前代未聞の謎職業ではあるが、自称 《天気予報士》となるのだった。

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