3.Release my swords.

 暗い暗い虚空の中。


 何にも見えない闇の中。


 他に誰も居ない。


 そんな真っ暗な世界で光が見えた。


 その光はまるで桜みたいでとってもキレイ。


 でも何処か近くで桜が散っちゃった。


 じゃきん。


 何かを斬る様な音がした。


 じゃきん、じゃきん。


 何かが壊れる様な音がした。


 じゃきん、じゃきん、じゃきん。


 その音はとっても綺麗な音。何度でも聴きたくなるようなそんな音。


 でも何でか止まっちゃった。もっと聴きたかったのに。


 何が起きているのか知りたかったけど何も見えない。


 でもそっと頬に添えられた手は暖かった。


────絶対助けてやる。お前を死なせやしない。


 そう言って刃物で肉を抉る様な音を出したっきり何にも喋らない。


 光が見えた。


 体の中で何かがぐるぐる回ってる。闇の中で煌めいて辺り一面が真っ白。でも桜は散っている。


 真っ暗だった世界は何時の間にか真っ赤になってて桜が散ってて大好きだったあれがいっぱいだった。


 起きてよ、起きてよ、起きてよ。


 またいっぱい遊ぼうよ。


 またいっしょにごはん食べようよ。


 またあの音聴かせてよ。


 一人じゃ寂しいよ。


 …………………………。


 ………今度は私が助けるから待っててね。


 どんな事をしてでも例え永久にも及んだとしても。


────────────────────


 暗い暗い闇の中。どこまでも深くて暗くてとっても怖い。一度そこに入ったら二度と抜け出せなくなる。それでも進んでいく。誰かが待っている気がしたんだ。


 暗い暗い虚空の中。その中は空っぽで何にも無い。あった物全部抜け落ちちゃった。とってもとっても大事だったのに消えちゃった。それが何処に有るのか分からない。


 眩しい眩しい光の中。そこにあるのは全部が綺麗で温かいもので満たされていた。それなのに何処か寂しくて、悲しそうで今にも泣きそうだった。


 楽しい筈なのに嬉しい筈なのにこんなにも輝いているの中にあるのは空っぽなんだ。その奥はとってもとっても黒くて、今にも食べられちゃいそう。


 何にも無い中、刃を見た。じゃきん、じゃきんと声を上げて、沢山のものを斬っていた。その姿はとっても綺麗で空っぽの中身を壊して楽しい事でいっぱいだった。今にも溢れちゃいそうな位楽しい事。


 忘れちゃったものが、溢れちゃったものが帰ってくる。光も闇もぐちゃぐちゃに混ぜ合わせて空っぽになって帰ってくる。


 そこにあるのは沢山の剣と刀。一本一本が輝いていて夢がいっぱい詰められている。空っぽの鞘に入ってくる。


 そうして俺は……………。


────────。


 目が覚める。体の感覚が無くどこか人形を操っているみたいに自分という核が無い。大事な物だけが抜け落ちている。


「生まれましたよ!」


「はい!」


 二人の女性の声が聞こえる。でも姿が見えない。先ず何処にいるかが分からん。俺は、七支菜刃はあの世界で確かに消えた筈だ。では一体この状況は何だ。


 生まれったっておい。


 何故俺が赤ん坊に成っている?


 意味が分からない。もういい加減死なせてくれ。もう疲れたんだ。どうしてまた人生を歩まなければならないんだよ。コンチクショー!


「名前はもう決まってるんですか?」


 お、なまえか?だが俺にはもう名前は有るんだ。誰が何時付けてくれたかは知らないがな。ハッハハハハハ。


「そうですね。刃っていう名前にしたんですよ。どんな困難でも断ち切ってくれる、そんな子になって欲しくて」


 ………………嘘だろ。何でドンピシャで当たるんだよ。どんな確率だよ。まぁいいか同じ名前だし混同しなくて良いし。


「七之瀬さん格好いい名前考えましたね。きっとこの子も喜んでますよ」


 へぇ〜産婦人科の先生かどうかは知らないが俺が喜んでいる?事を的中させる。名字は流石に合っていなかったがそれでも七が付いてるのは意外だな。


 普通の人間の人生は凡そ80年位だ。一億年もの長い時を過ごした俺にとってはすごい短い時間だ。それくらいなら透明化する事のできる透剣インビジブルソードと透刀インビジブルブレードを使う刀剣使徒をどうにか出来るな。


「鳴かないなんて珍しいのかしら。初めての子供だからわからないわ。でもきっと元気に育ってくれるわよね。こんなにも無表情だけれども。ふふふふ」


 母親の姿は纏まった腰まで届く長い茶色の髪、整った顔、つぶらな瞳。まるでアニメを観ているような気分になる。周りの物を見渡せば本当にアニメを3Dで見ている気分だ。


 二次元に転生か、それは予想外だな。俺の視界がそうなっているのか傍またこの世界がそうなっているのかは知らないが。


 来世?の母親はそう言って赤ん坊の俺を持ち上げ、両腕で大事そうに抱えいる。慈愛に満ちた声で笑う。


 最後の無表情は余計だろうに。だけど他人の声を久し振りに聴いたな。うん、人の体も温かい。そして何処か懐かしい感じがする。七支菜刃も生まれた時はこうなっていたんだろうなぁ。全く思い出せないや。


 俺の中に記憶されているのは全部刀剣だからな。それ以外は自動的に削ぎ落とされてしまう。刀剣だけは絶対に記憶に残ってしまう。


 こんな能力誰が作ったんだろうな。俺だよ!どういう心境で作ったんだあの野郎。


 今でも∞エネルギーは身体に満ち溢れている。この肉体でも恐らくは再生が可能。持てないが刀剣の想像もいける。


 この世界に∞エネルギーが存在し俺の考えた設定通りなら通常の人間は胎児の時点で∞エネルギーは肉体となり見える事も操る事も出来ない。というか先ず存在を知れない。どんなに科学技術が発達しようとも。確認できるのは俺とと同じ様に異能をもっているかだ。


 どうやら今での出来事は夢じゃなかったんだな。今更だけど。一億年、俺は本当に頑張ったんだな…………。


 あぁ駄目だ、やっぱりあの地獄を思い出してしまう。人間は嫌な記憶ばかり覚えてしまう。奴等に斬られ、焼かれ、壊され、嬲られた感覚は今でも精神に染み込んでいた。傷が無い筈なのにどんどん痛くなって来る。



 こればっかりは気にしても治らない。心の傷も治る事も無いだろう。






◆◆◆◆◆


 何故か赤ん坊に転生してしまった刃。だが彼は深く考えていない。何故ならもうとっくに自分を『死人』と考えているからだ。


 彼が生きていたと思われる時間は約一億二千万、対して人間の寿命は八十。単純計算で百五十万倍もの差、つまり刃それだけの数の人生を生きている事になる。


 流石にそれは自身を死人と思っても仕方の無いことだ。だからもうこれからの生に何も期待も希望もしないし何故己が赤ん坊に成ったのかも、こうなってしまった原因の女を探る気も無くなっている。


 それにもう刃は壊れているのだ。最初の頃は自分の設定や二次元的存在に会ったら絶対に興奮しているし、何より自分の考えた∞エネルギーがある世界に生まれるのなら興奮どころの話では無いのだ。


 しかし今の所、彼にそういった様子は無い。むしろ適当に反応している分酷い。本当は何にも感じて無いのにそれらしき言葉を言って壊れかけの自我を保とうとしているだけだから。


 だがそれを例の女が認めるはずが無い。そもそも送り込んだのは彼女だ。何かしら目的が無ければこんな巫山戯た事はしない。それだけの事をしでかせる能力も不明だ。


 これからの刃の人生は恐らく唯では済まない。これが最後の絶望で有る事を願う事他ならない。


──────────────


 それから刃はすくすくと育っていった。父と母の愛情を受け健康な身体を持って今を生きている。


 刃の父、七之瀬 健二は一般サラリーマンであり自分の子である刃と積極的に遊んでいる。刃は泣きもしないし手間の掛からない子供なのだが一切喜んだり泣いたり怒ったりもしない無表情の儘だった。

 子供用の玩具を買ってあげたが喜んだ様子は無くただ単に真顔で遊んでるきり。


 反応が余りにも薄かった為段々と本人が遊びに行ったのである。仕方の無いことだろう。何せ初めての子供が泣かないし表情は変わらないし一人で眠るし精々でやる事がオムツの履き替え程度なのである。


 だからこそ健二は高い高いはいないいないばぁをやったりと沢山遊んだのだ。面倒くさいをかけさせない分喜ばせてやろうと。


 母、七之瀬 燈子は刃に話し掛けていた。おはようからおやすみ、「相変わらず無表情ねぇ〜」と刃の顔を見て感想を述べていた。


 彼女も健二と同じくオムツ以外に手間が掛からないので夜はじっくり眠れたりとストレスフリーで過ごせていた。


 しかし子育てはこの様で良いのかと疑問を持っていた。至極当然疑問であろう。刃は既に人間の何百万倍もの時間を生きている。


 今更泣く様なことは出来ないし、何かを欲しがることも無い上、一人だろうと寂しくも何とも無いから一人で眠れてしまう。 


 初めての子供だからと言う事もあるがそんな生きた人形の様な人間なので二人は余計愛情を注いでいた。


 刃はその時間を生きている時、人の暖かさ、声、感情を久しく触れていた。こんな自分なのに話し掛けてくれたり、遊んでくれている二人に対して『何か』を感じ思い出していた。


 その何かまでは完全に思い出せなかったが少なくとも表情を以前の刃のものが幾分か浮き出る様になった。


 目は相変わらず茶色だがその奥は真っ黒で歪みに歪みきっているが口元に少しの笑みを浮かばせていた。


 きっと嬉しかったんだろう。自分から抜け落ちていた何かが埋まっていく様な感覚がして。


 そのまま刃は人の暖かさに触れあって幼稚園に入る。それと同時にもう一人家族が出来たのだ。出来たのは妹、名は桃奈。


 刃と同じく茶色髪の茶目で正しく妹と分かるだろう。桃奈が産まれてからは七之瀬家は少し騒がしくなった。


 両親にとってはほぼ初めての子供に近かったからだ。産まれた時には刃と違って泣いていたし、一人じゃ眠れない上、夜に泣くから大変だった。


 そんな中刃は産まれたばかりの命を観察していた。彼が妹に対して何も感じていない。が、命とは何なのか地獄での経験や自身が疑似的な不死なせいで生命倫理を失ってしまったからだ。


 数日かけて観察した結果刃は「あぁ命ってこんなちっぽけで綺麗なもんだなぁ」と心にも無いことを呟いた。


 不死である彼と寿命に限りがある人間には圧倒的な差が出ている。だからほんのちょっと性格が戻って来たと言ってもそんな事しか考えない。


 そんな文字通り薄情な彼は幼稚園での生活は


「───────。」


 先生の呼び掛け以外では終始無言で過ごしている。刃はほとんど口を動かしていなかったから失語症に近いレベルで喋れなかった。しかし転生した結果肉体も変わった為喋れる様に成っていた。


 周りの人間は二次元の様に美形であり同じ様な顔をしている。一本一本の毛が見えない纏まった髪、大きな一人整った顔。


 しかし幼稚園児に興味なぞ一切沸かない上いっつもぶっきらぼうで相も変わらず浮いていた。


 彼が少しやる気が出る様な感覚がするのはお絵描きの時間だった。じっとペンを握り白紙を観ているのだ。恐らくは既視感に襲われているだろう。


 やはり記憶がなかろうと彼は『刃』のようだ。だが自分から描くことは決して無かった。指定された絵しか描けなかった。それは彼から絵の、刀剣のアイデアが消えた、と意味する。


 刃は百を越える数の刀剣を手にした。最後のニ本を手にした時点で彼の脳は今まで手に入れた刀剣の設計図で溢れかえっている。

 走馬燈が流れる如くそれは脳を今も延々と走り続けている。


「…………………何も思い浮かばない」


 だから彼にはもう以前の輝かしき想像は無くなり変わりに欲しがっていた刀剣、要らぬ筈の虚無を手に入れてしまった。


 そんなこんなで少し湧き出たやる気も消え失せてた。再び虚無な時間を送る事になる。刀剣使徒にボコボコにされるよりはマシだと刃は言う。


 久し振りの刀剣鍛冶を使いキーホルダー位の大きさに剣と刀を創りストラップを付けてカチャカチャと弄る。


 その時に身体を焼かれ鉄で打たれる様な痛みが出るが彼はもう気にしない。だが痛い物は痛い物のか苦い顔をしていた。そうしてまでやるのは余程暇だと言う訳だ。


 今回作ったのは鉄剣、鉄刀である。以前は抜けなかったこの二本も軽々と作れる様に成っている。


 教室の隅っこで刀剣、鞘が光に反射し鈍色に輝き、刃の顔を映し出す。そこにある幼い刃の顔、写った瞳には光が一切無く生気を失っている。


「そんな所で何をやっているのかしら?」


 そんな彼に近づく人間が一人いた。優しいトーンで刃に話し掛ける女子。

 黒く、背中に届くまで長く、若干側頭部から後頭部にかけて跳ねている髪に穏やかでニッコリとしている幼稚園の服には似合わない顔。青みがかった大きな瞳。他の幼稚園児とは一線を画している。


 刃はこの娘の名前も知らないし顔も見た覚えが無かった。そもそも刃はクラスの誰一人として記憶にしていない。


 だがこの娘を見た瞬間、脳裏に焼き付いた。ただ美少女という事で焼き付いた訳ではない。それだったら全員記憶している。


 何故かと言えば『瞳が青みがかっている』のと口調が子供らしくないからだ。


 彼女は名は黒滝美波。実家が良い所の和のお嬢様っ子である。口調に関してはそういう環境で育ったからだろう。

 刃と同じく周りの子供の元気の良さについて行けず別に浮いていた。

 自分と同じく一人ぼっちだったからか、傍また何の感情も持たなさそうな雰囲気が気になったのか。どういう理由で刃で近付いたかは分からない。


 この二次元世界的に言えば刃もほぼ二次元的な存在になりつつあるので同じ様な存在同士惹かれ合ったのかもしれない。


 二次元のキャラの大体は髪、眼に色が着いている。そういう人は大抵物語の本筋に出て来るキャラクター。関われば何かしら起こり巻き込まれる。


 刃は実際に身体の一部分に色の付いた人間はこの世界で初めて出会う。だからこそ警戒している。この世界には刃の身体に『∞エネルギー』という物質がある以上、何が起こっても可笑しくない。


 だからこそ絶対に関わりたくない。関わったら最後禄な目に合わないだろう。


「あートイレトイレ」


 トイレに行く事を強調しながらそっと立ち上がり教室を出ようとする。それを見た娘は口に手を当て


「あらお手洗いなのね。終わったら私に会いに来て」


 何言ってんだコイツと呟きながら彼はトイレに向かう。トイレ行くと言うのは所詮建前でしか無いので実際にする気は無い。


◆◆◆◆◆


 幸い今は長い休み時間だ。外に出て人気のない場所で過ごそうと玄関に向かう。


 これからあの女と一緒の空間で過ごすと思うと反吐が出ると心の中でぼやきながら外のグラウンドの端から隅に向かう。


 子供の大きな声が聞こえる。そっちを見てみると元気にボールや遊具で遊んでいる姿、追いかけっ子か鬼ごっこか走り回っている姿、多種多様だ。


「昔の俺もああだったのかなぁ?」

「昔の俺ってどういう意味なのかしら?」

「…………………」

「御手洗いに行ってたんじゃないの七之瀬君」

「…………………」


 何で跡をつけていたのかと疑問が沸くが構いたくも無いので無視をして適当に走り始める。身体能力は子供ゆえ低いのだがこの幼稚園の中で最も速い自身は一応ある。


 視界の光景が目まぐるしく変わる中颯爽と両足を動かす。木を避け、子供を避け、遊具を飛び越えて行く。


 正直あの女はどうでもいい筈なのに何故か「関わりたくない」という思考に辿り着いてしまう。

 彼奴の瞳は青い、その位の理由で避けてしまうのは俺をこんな事にした張本人のせいだろ「追いかけっこは終わりかしら七之瀬君?結構貴方速いのね。御蔭で汗かいちゃったわ」


 ……………………。絶句した。この女の身体能力は常軌を逸している。明らかに幼稚園児のものでは無い。考えられるとするなら俺が考えた設定でそれらしき物はあった………筈。


 それ以前に∞エネルギーが有るかどうかで判断出来るのだが過去の俺は残念ながら刀剣鍛治には探知能力は一切搭載していない。

 恐らく最初期に作った能力だからか、後付も何もしていなかったのだろう。


 まぁ今無い物強請りはしていられない。分かる事はこの女が何かしら持っていると言う事だろう。

 この世界は未知の世界だ。∞エネルギー以外にも魔力やらマナやらあるのかもしれない。今までどうでも良かったから実験も検証も何もしていない。というかどうやってやるんだ。


 それより俺は死ねない。小娘如きに傷を見せるつもりなぞ何も無いし戦闘にすらならないだろう。


「此処に入った時から貴方をずっと見てた」

「………………」

「一目見た時から他の人達とは違うって分かったのよ」

「………………」

「中身が全然違くて」

「………………」

「ずっとずっと見ていられそう」

「………………」

「とってもとっても」


 彼女の長い黒髪が更に伸びていき何かの形をなしていく。両手を紅く染まっている頬に添える。青みがかっていた瞳は完全に青くなり輝いていられる。


 恍惚とした顔で『それ』を俺にゆっくり向けて近づけていく。『それ』は獣の口の様な形をしていて、涎のように青い液体を垂らしている。


 あぁ見ていて思い出したよ。俺が多分考えたんだろう。禄な物思い付きやがって。その能力は確か…………。






「美味しそう」


キーンコーンカーンコーン


 彼女がそう呟き手を此方に向け『それ』を襲わせようとする、がチャイムの音がなる。それと同時に『それ』は彼女の髪に戻り長さも元に戻っていた。


 しかし瞳の青い輝きは消える事なくその双眼を俺に向けている。


「あら、チャイムが鳴ってしまったわね。丁度良いタイミングだったのに。七之瀬君が素直に私の所に来てくれれば今日で済んだのに、また今度の機会成ってしまったわね。とても残念だわ。…………でも」


 彼女はそう言って背を向けながら幼稚園の方に歩いていく。しかし途中で止まり此方に笑顔を見せながら呟く。


「お楽しみは最後に取っておかなきゃいけないもの」


「私の名前は黒滝 美波。何時か貴方が私に食べられる時まで覚えていてね♪」


 太陽の光でよく見える彼女の笑顔に俺は




 嫌悪感が強くなっていた。




◆◆◆◆◆


「刃今日の幼稚園どうだった?」


 母がいつもの様に質問をしてくる。何時もは「何にも無い」と答えるが今日は違った。


「嫌な女に目を付けられた」

「刃の事を見てくれる女の子が居たのね。ねぇねぇどんな娘なの?」


 興味津々な母親に対して俺はこう答える。


「凄く暴食そうな娘だった」

「フフフッ何それ」


 彼女、名前は確か『黒滝 美波』だったっけ。恐らくあいつが持っている能力は


何時か何処かの俺、七支菜 刃が考えた∞エネルギーを捕食する、





──────『暴餓者イーター』だ。


 

 

 

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