第8話 隣の席で、居眠り
2020.7.8.一葉
今日は、700文字くらいの番外編をもうひとつ投稿するつもりです。お楽しみにー。ちなみに、勝手に九条さんをみて恥ずかしがっている……そんな感じよ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
今は、地理の授業だ。この地理の先生は、喋り方がもう睡眠を促すような……そんな声とトーンで、クラスの十分の一が寝てしまっている。
さらに、黒板の書き方は、ふつう書きながら説明するみたいなものなんだけど、この先生は、授業の内容すべてを書いてから説明するから、書いたあとはただ声を聞くだけ。
ノートもうとってしまっているから……何もすることがない。でも、真面目に聞いたら声で眠っちゃう。
……だから、僕はテスト前に地理の勉強をすることにして、今はもうほとんど聞き流している。
さすがに声をちゃんと聞いていたら眠っちゃう……。
「……九条さんは、大丈夫なのかな?」
僕は、ふとそれが気になって隣の席を見てみた。
九条さんは、いっつも真面目な感じだから、地理の先生の授業でもちゃんと聞いていそうだし。
眠くなるのか気になってみてみると……さて、どうだろう?
「すぅ………………すぅ……………。」
「…………あー…………。」
寝ちゃっていたか……。まぁ、さすがの九条さんでもこの声には敵わないよね。
……ってか、すごい寝顔が可愛い……!
まるで天使かよ……。
僕を殺す気かよ……。
「……すぅ………………ふぅ。」
軽く深呼吸をしてさっきまでの出来事をリセットするように息を吐いた。
それで、九条さんを起こしたほうがいいのかな?九条さんは多分、授業聞きたいと思っているはずだし………………起こすか。
でも……触れられないし……どうしよう?触ったりなんてしたら、僕はもう死んじゃうよ。
「……………声か。」
声なら、触れることなく九条さんを起こすことができる。でも、問題は……先生や周りの人に気づかれないようなくらいの小さい声で起こさないといけない。
でも、幸いに僕の前の人は眠っている。そして、僕と九条さんの席は先生から1番離れた席。
なんとかなるっ!
そして、僕はできるだけ小さい声で九条さんを起こすために、九条さんの耳に僕が近付くと、小さく呟いた。
「……九条さん。」
「………ひゃい……?」
おー……なんか、変な声出ていたけど、結構小さかったし気づかれてはないようだ。良かったー……。
「………九条さん、眠ってたみたいだから……。」
「……あ…ありがとうございます……。」
なぜか顔を赤くしながら僕にお礼をいっている。眠ってしまっていたことが恥ずかしかったのかな?なんて考える。
「……囁かれるって……ドキドキする……!」
「ん…?なにか言った……?ごめん、聞き取れなくて。」
「あっ……いや……なんでもないです……。」
「そう……?」
なんて言っていたんだろう……?まぁ、絶対になにか言ってた気がするけど……九条さんは聞かれたくないみたいだし……深く考えてないでおくか。
「……雨宮くん……」
「…………へ?」
「あっ、いやなんでもありません……あの……ど…どうでし……たか?」
「あっ……いや……なんか、すごいドキドキした……」
「……私だけじゃなかったんだ……よかった……!」
なに今の?えっ……えっ……?
囁かれるのって、すっごいドキドキするんだけど……。なにか、すっごい近くにいてくれる気がするっていうか……。まぁ、近くにいるんだけど。
どうでしたか……?っていうのはちょっと分からないけど、なにかあったんだろうか?
そして、授業に戻る。まぁ、僕は聞き流すだけなんだけどね。
そして、10分くらいが経った頃。
「……寝たりしてないよね?」
僕は、そんなことがまた気になってしまって、隣の方を見てみた。すると、どうだろうか。
コクリ……コクリ……
あっ……寝そうなやつだ……。でも、寝るのを頑張って我慢しているみたい。そんなところもなんか可愛い……。小動物みたいな可愛さっていうか……かまってあげたくなるっていうか……。
まぁ、僕のほうが九条さんにかまってほしいけど。
「………………………………………へ?」
僕がそんなことを考えていると、ふと肩になにか乗る感覚が来た。先生になにか肩を叩かれたのかなって思ったけど違う。だって、先生は前にいるから。
気になってみてみたら……僕の肩には九条さんの頭が乗っていた。九条さんは、耐えきれず、眠ってしまっていたようだった。
「……ちょっ………え?…………え?」
これも……起こしたほうがいいのかな……?でも、こんな状況は……なんか、僕てきに起こしたくないし……。めっちゃ幸せ。
その後も、僕はこの地理の授業はずっとこのままこうしていた。やっぱり僕の欲望には勝てなかったらしい。
すごい幸せ。地理の先生がこの人で良かったと初めて思ったかも。
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