第5話 番外編 お風呂で九条さんと会話
これは、本編として考えていていただいても、裏話として考えていただいても問題ないです。
では、どうぞ。
2020. 7.5.一葉
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
今は、僕はお風呂に入りながらスマートフォンを触っていた。
「ふふっ、面白いな。」
僕は、防水のために袋っていうかジップロックみたいなやつにスマートフォンを入れて、遥斗と話していた。
《それ、面白いね。》
《だろだろ〜!》
《うん!》
《あっ、ご飯出来たらしい。母さんが言ってる。》
《分かった。じゃあ、また後で。》
《おぅ!》
なんて、話をしていた。こんな話をしているだけでも、すごい幸せだ。そんなことを考えていたその時だった。
《す、すみません……。》
《って、え?九条さん?》
そう、九条さんから連絡が来たのだ!
《あ、はい。そうです。名前がナインって書いてありますよね?》
《あっ、本当だ。》
《本当だ……って。》
《それで、どうかしたんですか?》
《あ……いえ……話したくなったのでっていうのはだめでしょうか?》
《あ……いや……いいよ……。》
すごい嬉しいんだけど。『話したくなったので』って、すごくない?やばくない?嬉しすぎて死んじゃう……。
《でも……返信がゆっくりになっちゃうけど、ごめんなさい。》
《な、なんで?今、なにかしているの?》
《はい、いま私、お風呂入っているので防水のために、ジップロック?みたいな袋に入れて文字を打っているので。ちょっと打ちづらくて……。》
《そうなんだ。実は、僕もいまお風呂に入っていて。だから、九条さんと同じでなんかの袋に入れて文字を打っているから遅くなるかも。》
《そうなんですね……。》
なんか……同じ状況でっていうの、すごい嬉しい……!
……いや、待て。今、九条さんはお風呂に入っていて……とか、言わなかった?言ったよね?言っていたよね?
っていうことは、九条さんは……今……
《そうです!電話ならそんなこと関係ありませんよね!電話しましょう!》
《えっ………い、いいの?》
《いいですよ。逆に、雨宮さんは嫌ですか?嫌なら遠慮しますけど……。》
《大丈夫です!》
《じゃあ、私の方から電話かけるので。》
《あっ、分かった、》
プルプルプルプルプルプルプルプルプル
カチャッ
『もしもしー』
『あっ、もしもしー』
『こんにちは、……いえ、こんばんは。雨宮さん。』
『こんばんは。』
チャプチャプチャプチャプチャプ
『…………』
すごい、九条さんの方のお風呂のお湯の音が聞こえるんだけど。まるで、一緒に入っているかのような……。なんか、恥ずかしい……。
『電話って、久しぶりな感じがします。最近は電話を誰にもしてませんでしたね。』
『へぇ!そうなんだ!』
『はい、……あれ?このボタンは何なんでしょう?』
『なに?どれ?僕ができる範囲で教えてあげようとは思うけど。』
『そうですか?じゃあ、このボタンのことなんですけど………』
『………えっ!?それ、押しちゃ……!』
『押してみますね。』
『……………えっ!?』
僕の目の前には、スマートフォンがある。でも、それは普通のスマートフォンなどではない!それは、ビデオ通話になっているスマートフォンなのだ!
……言いたいことはわかるね?今、このスマートフォンの画面には、九条さんのあれやこれやが写っているのです。
だから、多分あちらの方には、僕のあれやこれやが写っているのでしょう。
『『キャーーーーー!!』』
2人は共鳴した。
あとで、僕はこう言った。
「満足だ。」
多分、付き合ってもいないのに、好きな人のあれやこれやを見たのは、結構珍しいものなんじゃないだろうか。……よしっ、決めた。
このことは、一生忘れない。
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