優也編 4日目

 翌朝。ゴールデンウィーク4日目。


 今日はなぜだか、寝覚めが悪い。

 昨晩の出来事が頭から離れないからだ。


 さよならなんて、挨拶代わりにいつだって使う。でも……あんな顔をされたら、気になって仕方がない。

 僕はとりあえず、先生にも話そうと思い学校へ向かうことにした。


 しかし、玄関を出た瞬間だった。

「……はぁ、はぁ……ユウヤ君、良かった……」

「せ、先生……。どうしたんですか?」

「美笑ちゃんが……美笑ちゃんが……」

 先生が泣き崩れるように、僕に寄りかかってくる。

「美笑ちゃんが……自殺しちゃったの……」

「え―――」


 この日のことは、あまりよく憶えていない。


 美笑ちゃんとの面会は出来なかった。

 だから現実感がなく、だけれども心ここに在らず。


 気が付けば、また朝が来ていた……。

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