怨念入りジンジャーブレッドマン
「あのさ、伊藤さん。さっきのに何を見たのか知らないけれど、僕は知り合いからあれを貰って、2年以上も食べてるんだよ。もしなにか異常があればすぐ出るはずでしょ」
「で、でも……」
「それに贈り物を理由も話さずに渡してって言うのは違うんじゃない?」
「ご、ごめんなさい。さっき袋から人の思念とかが見えちゃって、それで止めなきゃって思ったらつい……」
突発的に行動してしまったことを反省しているのか、俯いている。龍牙が小さく息を吐き出すと、自身のバッグに手を入れ、小袋を取り出した。様子を見ていた田中と坂口がマジックだと騒いでいた。興奮する2人を適当に相手にしながら弁当を食べる龍牙。今日はおにぎりとウィンナーと卵焼き。後みかんが入っていた。
「ちなみにその中って何がはいってんだ?」
「ジンジャーブレッドマン」
「じん……なんだって?」
言葉は聞こえたが、意味を理解出来なかった田中が首を傾げた。
「人の形をしたクッキーだよ」
「へぇー」
「それって海外のクリスマスとかで見かけるよな」
弁当を空にした龍牙は、クッキーが入った小袋を開け、取り出して食べ始める。人型であることは同じだが、海外のとは違い、
「それがジンジャーブレッドマン……?」
「日本風のね」
「初めて見たな……」
騙されているとは知らず納得する2人に、間違っているのだと言おうとしていた伊藤を視線で静止する龍牙。クッキーだけでは喉が渇く。持ってきたお茶で喉を
徐々にお腹が満たされていっているのか、少しだけ幸せそうに顔が
「大丈夫かよ」
「へいき……。きかんに、はいった、だけ、だから」
心配そうに龍牙の背中をさする田中。異物を取り除くかのよにお茶を飲み続けるも、まだ違和感があるのか咳き込んでいる。
「びっくりしたぁ」
だいぶ取れてきたのか、ゆっくりとお茶を飲み、クッキーをまた食べ始めるが、入ってきた霊でお腹いっぱいとなってしまっていた。今口にしている分だけは食べ切ろうと、龍牙は苦しそうにしながらも食べ切った。
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