第7話 協力の条件

夕食後、お風呂に入った。

メイドさんが2人来てお風呂の手伝いをされそうになったけど、自分で出来るからと断固拒否した。

すっぽんぽんの二の舞は回避した。

けど、お風呂の後に用意されていたのはバスローブだった。


バスローブってどこのセレブやねん。

これ絶対に寝てる間にはだけるやつだよー。

寝相の悪さがバレるー。

他にないのかと聞いたら、今日は急だったために私のサイズが分からなくて用意ができなかったみたい。

明日には用意されるっていうので、今日一日と思って我慢することにした。


疲れていたみたいで夜はぐっすり眠った。




「リサ様、おはようございます。」


声のすぐ後にシャッとカーテンが開く音が聞こえ、うっすらと目を開けると日の光が目に入り眩しさに思わず目をしかめた。


ゆっくりと開けた目に飛び込んできたのは、見慣れない天井。

やっぱり夢じゃなかったかー。

そろそろ現実を受け入れるべきか・・・。


寝そべるベッドは私が毎日使っているパイプベッドとは全然違って寝心地抜群だった。


「リサ様、お着替えを手伝わさせていただきます。」


朝からきっちりしているサーラに着替えさせられた。

服は昨日と同じで白のワンピースに黒の腰リボン。


着替え終えると朝食だ。

パンにスープに目玉焼きとサラダ。


うーん、やっぱり味が薄い。

多少の塩は入ってるんだけど、物足りない。

パンにはジャム、目玉焼きには醤油、サラダにドレッシングが欲しい。

後、パンもふわふわが食べたい。


食の改善したいなー。




昨日、朝一で来いと言われたので準備をして部屋を出た。

部屋を出るときは黒のマントを羽織らされた。

マントは魔法師団の制服らしい。

まだ場所がよくわからないのでサーラに連れていってもらった。

用がある時はいつでも呼んでほしいと言われた。

サーラにも他の仕事があるからずっと私に付きっ切りではないみたいだ。ここにはスマホがないからすぐには呼べないと思っていたら、「これに魔力を込めたらすぐに伺います。」と赤い石がついた指輪が渡された。


おおぅ、マジックアイテム渡されたー。


魔力を込めるってどうやるんだろーと試しに指輪に手をかざして力を送るイメージをした。

するとサーラからピピッと音が聞こえた。

なるほど、これで呼べるわけか。



部屋に入るとイルシオが机で分厚い本を見ながら紙に何かを書いていた。


「来たか。」


私の姿をみとめるとペンを机に置いた。


「早速だが調べたいことがある。」


訓練場に行くぞと言うとイルシオは部屋から出て行こうとした。

けれど、私はそんなイルシオのマントを引っ張って、


「待って。研究に協力する前に話しておきたいことがあるの。」

「話だと?」

「出来れば団長さんも居るといいんだけど。」

「フォルゲスもか。・・・すぐに呼ぼう。」


団長も必要なのか?と訝しそうな顔をしながらもイルシオは指輪を手で覆った。

イルシオも呼び出しのマジックアイテム持ってるんだー。

メジャーなアイテムなのかな。


するとすぐに団長さんがやってきた。


「どうした?何かあったのか?」

「リサが話があるらしい。」

「話?重要な話か?」


昨日と同じようにテーブルを挟んでそれぞれソファーに座った。


「実は昨日お風呂入ってる時に思ったんだけど、私はこれからイルシオの研究に協力することになるけど、それにお給料は発生しますか?」

「「はっ?」」

「毎日ここに来て魔法の研究をするわけだけど、それにはお給料が欲しいなと思いまして。」

「お前、話ってまさかそれか?」


イルシオがこめかみを押さえながら呆れた声を出した。

けど、これって結構重要だと思う。

身の保障は王様がしてくれるから衣食住は問題ないけど、でもそれがずっととは限らない。

1ヶ月で成果が出なかったら追放される可能性もあるのだ。

そのためにお金は貯めておいた方がいい。


「後、毎日研究ってもしんどいのでたまにはお休みが欲しいです。それから町に行って買い物とかしたいです。」


そのためにもお給料は欲しい。

食の改善にも町に行ってどんなものがあるのか自分で見たいし、何もかも王様に用意してもらうわけにはいかない。たまには自分で選んで買いたい。

ショッピングは好きなのだ。


「フォルゲスまで呼んで話というから精霊かマナに関して何かわかったのかと思えばそんなことで・・・お前は今の状況をわかっているのか!」

「えー、でもモチベーションは大事だと思う。イルシオ達だって魔法師として王宮に勤めてお給料貰ってるんでしょ?」


イルシオは怒っているけど、これは私にとって重要なことだ。


「給料が欲しいというなら結果を出せ!一ヶ月後、陛下に何もわかりませんでしたって報告できるとは思ってないだろうな!」

「そのために協力するって言ってるでしょ。だからやる気になるためにお給料が欲しい!」


イルシオと言いあっていると、それまで黙っていた団長さんが、


「それでリサが協力してくれるというのなら安いものだ。」


さすが団長さん。話が分かる。


「だが、こちらも緊迫している状況だ。何か分かるまでは休みを頻繁にあげられないことは理解してほしい。」

「わかりました。」


町に買い物はしばらくお預けだけど仕方ない。

食の改善は機会があれば厨房に立ち入らせてもらうことにしよう。


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