君が愛した世界で第2話シナリオ



2話


容赦なく照りつける太陽

山奥の峠道

車は、一台も通る気配はない

そこに、もうおそらく人は住んでいない

ボロボロの木造の家のような建物と

その近くになんらかの注意喚起とおもわれる錆びくれて苔むした看板が置いてあり、

その目の前に、白い大きめのTシャツに短パンを履いたもみじゆかりが立ち尽くしていた。


ゆかり

荒廃した建物や苔むして読めない看板が好きだ。

それはまるで、人に踏み荒らされた自然が元の姿を取り戻そうとしているようで、

私も、その一部になりたいと思うのだ。

なぜこんな気持ちになるのだろう。

それが、ずっと幼い頃に見た物に似ているからなのか、

照りつける夏の日差しのせいなのかは解らない。だが、

確かなのは、世界に忘れ去られたような

この孤独な景色を、私だけが覚えているのだという安心感と、それとは裏腹に、このままこの緑に飲み込まれて消えてしまいたいという悲壮感が心の中で渦巻いて、空白で無意味であった今の私の心を埋め、精神に一時期の安らぎをもたらしてくれているということだった。


2015 7 25


ゆかりの家


部屋にひきこもり無言でパソコンを打つゆかり

オカルト関連の記事ばかり読んでいる


時間をさかのぼる


教室のシーン

教室内は賑わっていたが、

ゆかりだけ1人で過ごしている

どこからかゆかりの陰口が聞こえてくる

ゆかりは、またか…って顔をして

机に寝る

チャイムがなる

教師  「明日から夏休みです。え〜みなさん、熱中症には気おつけて。あと、宿題を…」

ガタン

教室が静かになる

立ち上がったのはゆかりで、

1人、教室を出ていく

ガラガラ。

教室がざわつく

教師「え〜どこまではなしたっけ。んまあいいや。もう、解散。」

生徒たちがはしゃぎながら教室を出ていく


下校のシーン


1人であるくゆかり


ゆかり はぁ。やっと夏休みか。

これで嫌いなクラスメイトたちの顔を見ずに済む…


歩道を歩き、右折して家につく


ゆかり   家には誰もいない。お母さんは毎日会社だし、お父さんは私が生まれるまえにお母さんと別れてしまったらしい。

小さいころはもう覚えてないけど、誰かの家に預けてもらっていたらしいのだけれど、

小学生から今までは、ずっとこうなのだ。

むかしは、寂しくて1人で泣いていた



お気に入りのドクターペッパーを片手に、部屋にはいり、着替え、カーテンを締め切り、パソコンを開く


2ちゃんねるやニコニコや

オカルトなど、一通り見たところで

メールが届いた


ゆかり「…なにこれ」

送り主は不明で、

「この世界は、フェイクと陰謀にみちている。人々は、真実から目を背け、己の欲求のみを満たすためだけに、平気で他人を傷つける。」

ゆかりは、ふと自分の陰口を言って笑いあってる人たちを思いだした


ゆかり

…ていうか何このメール。

私宛なのか?それともスパム?謎すぎる。


続けてこうある

「いま、世界は大きな曲面に立っている。人々が仮初めの平和にうつつを抜かしているから、不正も歴史の改ざんも、人体実験や人口ウイルスなど、やつらのやりたい放題である。

私にはそれが我慢ならない。

そこの君。もし君が少しでもこの世界に疑惑があるなら、目をそらしては行けない。我々には、それを解き明かす使命があるのだから。

そうだな、例えば、有名な9.11のテロを君は知っているだろう?本当の真実をしりたくはないか?」


ゆかり あの私が生まれる前にあった、えっと何年だっけ…あのテロだよね。。それに何かあるっていうの…?


「知りたいのであれば、このファイルを

見るといい。これは独自のルートで入手した極秘文章だ。検索してもでてこないぞ。


ゆかり、息をのみ、そーっとカーソルを動かし添削されているファイルをクリックする

すると

「本当にいいですね?ここから先は後戻りはできません」と書いてあり


YESをクリックする 

すると…


ゆかり  私はデジタルに強い方だ。

クラッカーでこそないが、もうキーボードに触って6年ほどになるのだ。

本物の情報と偽造された情報の見分けくらいは付くつもりだ。

そんな私でもはっきりとわかった。

これは紛れもなく本物だった。

それも、ごく一部の人間しか知り得ない

バレれば即人生アウトの、やばい機密ばかりだった。 

これも…これも…これも…!!………


一通り見終わって、ゆかりはパソコンを静かに閉じた。


ゆかり  どうやら、私はとんでもなくあぶない世界に、首をつっこんでしまったようだ。

見てしまったのだから私も、いつ国に命を狙われてもおかしくない

まったく。なんてものを送りつけるんだ

この人は。

こんな真実を知ってしまった私に一体どうしろというのだ。

相手の意図がよめない…


再びパソコンを開くと、新しいメールが

来ていた。

「衝撃的だっただろう。それが真実だ。

君には、まだやってもらいたいことがあるんだ。どうかな?私と少し話をしてみないか?

下にリンクがあるだろう?それをクリックすると、君のパソコンと繋がることができるんだ。

ゆかり  いまさら後戻りできるものでもないし、それになにより私の心が、ざわついてやまなかった。

こんどは躊躇なくリンクをクリックした

すると


がめんに文字が打ち込まれはじめた

??「いま君のパソコンに直接文字を打ち込んでいるよ、話したいことは改行したところに書き込むといい。」


ゆかり「あなたは何者なんですか?」


??「ははっ僕は何者でもないよ。だからこそ、なりたい者になれるんだよ。」


ゆかり「はぁ、じゃああなたの名前を教えてください。」


??「おっとぉ…それはできないなぁ。ネットで見ず知らずの相手に個人情報を教えては行けないって、君もよく知ってるだろう?」


ゆかり  …なんなの…?こいつ、むかつくんだけど…


??「では、本題にはいらせてもらうよ。」

??「君は日常の中で、生きづらい、もしくはこの世の中を’’間違っている’’と感じることはあるかい?」


ゆかり「仮に世の中が間違っていたとしても人は気づくことはないとおもいますよ。気づいてしまっても、それを人類が歴史の中で失敗を重ねながらたどり着いた仕組みなのだと思い込むとおもいます。」


??「僕は君に質問をしているんだ。君はどう思うんだい?」


ゆかり「そんなの……

間違いだらけですよ。

世の中の大半は、綺麗事ばかりならべて、真実からは目を背けてると思いますよ」

ゆかり  そうだ…みんな間違ってる

私があなた達になにをした

自分たちが安心するために私のことを

馬鹿にして。


??「そうだな。しかし、傲慢でもある


では質問を変えよう。君は、世界にどうなってほしい?」


ゆかり「せかい…に?」


ゆかり  いきなり、神様にお前の願いを叶えてやるぞ。と言われたような気分だった。

世界が、止まって見えた

私が諦めているものは、山ほどある

それに、今私の目の前にいる人にはなにか

不思議な力を感じる。

もしかするとこの人には、不可能なんてないんじゃないかと思い始めている自分がいる


…もう十数年も、叶わない願いがあった


父親がいない。母も家にいない

それでも、ないものねだりはしなかった

声をあげることが怖いんだ。

だからなにもかも、自分の中に溜め込んで

生きてきた

それでも、こんな私でも、願っていいのなら…


ゆかり「世界に…もっと、やさしく…さやしくなってほしい…と思います」


??「いいだろう。合格だ。」


_______________________________


ゆかりは、家を飛び出して、走っている


??「君に世界の真実を見せたい。この時間に、この場所で会おう」というメールが、空っぽになったゆかりの部屋の

パソコンの画面には表示されてあった。


ゆかり   謎の存在は、私の住んでる町まで知っていたというのだろうか……?

私の家から歩いてもちゃんと間に合う時間と場所を指定してきたのだ。

ここまで来ると恐ろしい。

どうしよう。やっぱり行くのやめようかな。会ってみたら宇宙人だった。とか

いやなんだけど、、

いや、それよりもレインにでてくるような、神を名乗るロン毛のキモいおじさんが出てくるほうがよっぽどやなんだけどな…

なんて考えながら走っているうちに、

もう目的地までついてしまったではないか

あぁ神様。

どうか気持ちわるい人が出ませんように…


そこは公園になっていて、かなり緑がおおい茂っている形になっていた。


ゆかり だ、誰もいないじゃん…


なんだかよかったようながっかりしたような気持ちになったその時、

「フハハハハハハハ!!」

ゆかり 「な、なんなの…!?」

ゆかりが辺りを見渡すが、誰もいない。

するとゆかりのすぐ後ろの木が、ガサガサと音を立てた。

そして

なにかがその木から飛び出した

「フハハハハハハハ!!!」


ゆかり

幸いなことに気持ちわるい人は出なかった。かわりに、

変な人が出てきた


メガネの少年「フハハハ!ハハ、ハ!」


そのまま地面に転げ落ちる


ゆかり「……」


メガネ少年ゲー「フッフッフ…驚いているな?もみじゆかり!!」


ゆかり「な、なぜ私の名前を…」


メガネ少年「このくらい造作もない。」


ゆかり「てことは、あんたが例のメールの送り主…?」


メガネ少年

「フハハハそういうことだぁ!

………て、おい待てどこに行く!?」


ゆかり

「帰るわ」


メガネ少年

「ま!待つのだ!!話はまだ終わっていないぞ!!」


ゆかり

「あんたみたいな変人と話をしても時間の無駄だって言ってんの!」


メガネ少年

「わ、わかった!なんでもするから!!」


ゆかり

「ん?いまなんでもするって…」


メガネ少年

「’’なんでもする’’とは言ってない!」


ゆかり

「はぁ…仕方ないから話だけでも聞いてあげるわ…」


メガネ少年「そうか。それはよかった。


ではさっそく、君にここに来てもらった理由を話すとしよう。」


ゆかり

私に世界のなんたらを教えてくれるんじゃなかったのか…?


メガネ少年「君には… 

助手として僕の手助けをしてもらいたい」


ゆかり「…………は?」


ゆかり

全く呆れた。助手ってなんだ。はたしてこれは何ごっこなのだ?


ゆかり「わるいけどね…あんたのアホな計画に付き合ってられるほど暇じゃないの

他を当たってよね。それじゃ。」


ゆかりが帰ろうとする


メガネ少年

「もみじゆかり。苗字は母親のもの。

父親は行方不明で兄弟は居ない。容姿端麗成績優秀。遊ぶ友達は一人も居らず家ではいつも暇。

山田中学校2年5組。身長148、体重は…」

ゆかりがあわてて戻ってくる

ゆかり

「ど、ど、どこでそれを…!!」


メガネ少年「お!助手になってくれるのか?」


ゆかり

この男、今すぐ殴りたい……!!!!! 


ゆかり「どこで調べたのか知らないけど、言いふらしたりしたら殺すわよ?」


メガネ少年「ならばいつでも殺せるように僕の助手になる必要がありそうだな」


ゆかり「はぁ、どれだけ私に助手をやらせたいんだ。あんたは」


メガネ少年「いずれ、君の為になるのだ。」


ゆかり「はぁ…もうわかったわよ。一日だけ助手になってやってもいいわ。

けどその前に、あんたの正体を教えなさい。」


メガネ少年

「う〜ん、それは君の活躍次第だな」


ゆかり

「いいわ、活躍してやろうじゃない」


メガネ少年「ん、よろしい。では早速、ミッションを遂行するぞ!」


そう言ってメガネ少年が草むらから妙な自転車を引っ張ってくる


ベースは多分電動ママチャリ。だけどへんな

サーバーみたいなのとかアンテナとかモニターが着いてる


メガネ少年「さぁ!のりたまへ!!! 」


ゆかり「…………」

これに、乗るのか、このヘンテコな自転車に、しかもニケツで、

ゆかり「あのー…これ…」

メガネ少年「安心しろ!モーターを強化してある!君が乗っても坂道だって余裕だぞ!」

ゆかり「そういうことじゃねーよ…」


メガネ少年「さぁ!出動だ!」

モーターがうなり、自転車が発進する


境川沿いをスイスイ進んでいく

ゆかり

そういえば、自転車で二人乗りしたの、これが初めてかもしれない…


風が吹き抜けていく

蝉が絶えず鳴き続ける

遠くで、ビルと入道雲が背くらべをしていた


ゆかり

意外と…たのしい…かも…


メガネ少年「加速するぞ!捕まってろ!」


びゅーん!


__________________________________________


町田駅周辺


メガネ少年「着いたぞ!!」

ゆかり「もしかして、町田になにかあるっていうの?」

メガネ少年「そのとうり。ここで最初のミッションを行うのだ…

よし、行動開始だ! 」


メガネ少年「ここだ。入るぞ。」

ゆかり「う、うん…」でもここって、


ただのゲームセンター…だよね


メガネ少年とゆかりがたどり着いたのは、

美少女フィギュアのクレーンゲームコーナーだった。


メガネ少年「では、最初のミッションの概要を説明する。

今から、この、期間限定超激レア商品の、

’’プレミアムフィギュア羽生魔法少女Ver.’’

を、手に入れるのだッ!!!!」

ゆかり

…………………はい?

メガネ少年「助手よ、驚くのも無理はない

まさか2015年に、このタイミングで販売されるなんて…そう思ったのだろう?

クックッ…まったく、フィギュア業界も粋なことをする…」チャリン、チャリン

ゆかり

………………こんなくだらないことがミッション………だと………??

ついてくるんじゃなかった。

もしかしたら、本当に世界の秘密を暴くようなミッションなのかも、って期待した

自分が馬鹿だった…


メガネ少年「なにをボーッとしてる!君は横から位置を見てくれ!!」

ゆかり「…そんなことしなくてもこれくらい簡単に落ちるよ。」

メガネ少年「なに!?貴様…この鬼配置が見えないのか!?」

ゆかり

「干物妹ってわけじゃないけど私、昔からゲームが得意なの。貸して」チャリンチャリン

手際よく、順調に景品を動かしていき…


ゴトン!!

メガネ少年「おおおおおおぉ!!!よくやったぞ!!」

ゆかり

「よかったわね。それじゃ、私は帰るから。さようなら」

メガネ少年「おい、どこへいくのだ!」

ゆかり「こんなくだらないことのどこが

ミッション!?こんなことするくらいならついてこなきゃよかった。やっぱりあんたはそのへんにいるつまらない人間のうちの一人なんだ。」

メガネ少年「…それはどうかな?」

カバンからタブレットを取り出す

そこには、さっきのクレーンゲームとゆかりとメガネ少年が写っていた

ゆかり「これは…防犯カメラの映像…?

いったいどうやって?」

画面の中でメガネ少年が振り向き、こちらにむかって指でピストルを作る。

メガネ少年「そして、これが2つめのミッションだ。」

画面をスライドすると、こんどは路地裏が写る。

怪しい感じのスーツ姿の男が、路地裏で何  かをさがしていた。

ゆかり「なに、この男」

メガネ少年「今日の最大のターゲットだ。

こいつは世界を裏で操る組織の手下だ。そしてこいつが狙っているのがー・・・」

画面をスライドすると、ゆかりの中学の制服を着た男の子とその隣に、同い年くらいの男の子がいた。

ゆかり

「この子たちが、狙われている…だって…?」ゴクリ。

メガネ少年「正確には、この私服の子が持ってるカバンだ。この中に世界を裏で操ってる組織の計画についての情報が記された本があるはずなんだ。これからこの男はこの二人に襲いかかり、カバンを奪い仲間と合流する。そしたら僕達で待ち伏せて、こいつらからそのカバンを奪う。」

ゆかり

「こ、これ本物?まじなの?ほんとにそんなことするの?」

メガネ少年「怖いのか?」

ゆかり「いや…」これだ…これでいい…!!

ついに世界の真実に迫る危険なミッションを遂行する時がきたんだ…!

メガネ少年「ここからは危険が伴う。強制ではないが、どうする?」

ゆかり「し、しょうがないからてつだってあげる。」

メガネ少年「フッそれでこそ我が助手。」

「それではこれより、これから奪われるカバンの奪還作戦を遂行する!!」


__________________________________

町田駅周辺


メガネ少年「まずは尾行だ。二人の少年をマークしておけ。例の男が現れたら、どこからか仲間の車も来るはずだ。」

ゆかり「私はモニターで男を見張ればいいんだね?」

メガネ少年「うむ。あ、そうだ。合言葉をきめよう

そうだな…

’’エル…プサイ…コンガリィ’’で。」

ゆかり

そこは’’コングルゥ’’なのでは?


あきとたちが、信号をわたり、その後ろをゆかりたちもついていく


歩道をあるいていると…

メガネ少年「ん?妙だな…ちょっと止まれ。」

ゆかり「どうしたの?」

メガネ少年「…やはりな…男が少年たちに接触するぞ!」

ゆかり「え?」

次の瞬間、あきとたちが通り過ぎた路地裏

からサングラスにスーツの男が出てきた

ゆかり

で、出た。ついに接触…!ドクン……ドクン

尾行を、続ける

メガネ少年「………!!今だ!やつが動くぞ!」

スーツの男がスタンガンを取り出し、

あきとたちの背後に突っ込んでいく

ゆかり

あぶない!!!!!

やまと「あぶない!!!」あきとを突き飛ばす

やまとがやられ、あきとが男の顔を蹴飛ばす

ゆかり

あの子、いきなり襲いかかってきた大人

相手にすごい…!

次の瞬間、ゆかりは言葉を失う

スーツの男が、銃を、あきとに向けた

ゆかり

………え…………?

あきとが抵抗をやめ、男にカバンを取り上げられると、そこに車が駆けつけた

メガネ少年「予想通りだ」

男がカバンを持って車に乗り込み、あっというまに去ってしまった。

あきとたちも、ゆかりも、あっけにとられていた。

_____________________________

電動自転車を起動する

メガネ少年「乗れ!次の座標へ急行するぞ!!」

ゆかりが荷台にまたがる

キュイイイン!!電動自転車が走り出す

ゆかり「ねぇ!あの人銃持ってたよ!?」


メガネ少年「それがなにか?」


ゆかり「これ、超やばくない…?」

キキィ!!自転車が止まる


メガネ少年「やはり怖いだろう。

やめるか?」

ゆかり「………いや!いく!」


メガネ少年「それでこそ!助手だ!」

ギュイイイイ!!

___________________________

町田駅周辺、立体駐車場

地下

メガネ少年「いそげ。時間がない」カチャカチャ

ゆかり「なにそれ、??」

メガネ少年「なにって、武器とスモークだが?それより早く装備しろ!やつらが来るぞ」

ゆかり「え?来るって?」

ブゥウーン

さっきのスーツが乗った車のエンジン音が響いてきた


メガネ少年「時間がないぞ!!」


ゆかり わちゃわちゃ


ブーンキキッ


バタン


反対側から、もう一つの車がくる


ブーンキキィ。


人が2、3人降りてきた


メガネ少年小声で「いいか?合図をだしたらこのボタンを押せ。

エルプサイコンガリィ」


ゆかり「えっちょ、」

すでにメガネ少年は敵の車のすぐ後ろに陣取っていた。

ゆかり「しかたないなぁ…」


組織の人間C

「例のモノは手に入ったのか?」

B「あぁ。なかなか動きのいいガキだった。」

A「お前が顔を蹴られるとは、どうやらあの子供が例の施設から逃げ出した奴だという噂は本当のようだな。」


メガネ少年「全員動くな!!!」


ABC「!??!」


メガネ少年スモークを撒き散らしながら「今だ!助手。」


ゆかりがあわててスイッチを押す


すると駐車場のあちこちに仕掛けてあったロケット花火が炸裂した


A「奴ら撃ってきやがった!!」


B「こんなの聞いてないぞ!!」

C「落ち着け!!たぶん銃じゃない!

それよりブツを守れ!!………おい!ブツがないぞ!!」


ゆかりがあっけにとられてるところに奪ったカバンを抱えたメガネ少年が走ってくる

ゆかりの手を掴み「こっちだ!」


待機してた自転車に二人で飛び乗る

煙の中から

B「待て!待たないと撃つぞ!!」

という声が聞こえたが、もう遅い

モーターをフル回転させて自転車は

駐車場を飛び出して行った

______________________________

日が暮れかけている中を二人は走り続けていた


モーターが長時間の走行に耐えかねて

悲鳴を上げている


ゆかり「ねぇ!どこまでいくのー?」


メガネ少年「わからん!!奴らの手の届かない場所まで!!」

メガネ少年の脚が震えているのがわかった


ゆかり 「……ププ…ははははっ!!」


メガネ少年「なにがおかしい!」


ゆかり「なんだかんだ言ってあんたも怖いんじゃんwwwwwww」


メガネ少年「ぬかせ!あんな奴らを相手に

怖くない奴が居るなら

ぜひ教えてほしいねぇ!」


ゆかり

「ほんと!私もすっげこわかったー!!」


ゆかり「でもさ、、

こんなにおもしろかったの

生まれて初めて!!」


メガネ少年、何も言わずに口元だけ笑う


二人は、夕日がよく見える丘に立っていた


メガネ少年「遅くなったけど、自己紹介をしなくてはな。

僕の名前は、高坂安始だ。

タカヤスと呼んでくれ。

僕は日々、世界の真実にたどり着くためにあらゆる情報を集めてる。

実は、僕は君と同じ山田中の2年生なんだ。」

ゆかり「え、まって、それじゃあ、私の名前とか知ってたのって、、?」


タカヤス「そう。全知全能でもなんでもなくて、ただ調べただけ。あの奇妙なメールも、君のメールアドレスを調べたから君以外には届いてない。」


ゆかり「なんだ、、そういうことか…

でも私のパソコンとかに書き込んだのは凄いと思うけど、」


ゆかり「でもどうして私にこんなことしようと思ったの?」


タカヤス「ずっと見ていたというか、

見えていたからね、、」


ゆかり「どういうこと?」


タカヤス「ほら、あそこにあるのが僕の家で、そこから君の家は丸見えなんだ。君が毎日一人ですごしてたり、ネットやサブカルチャーに詳しいことも知ってた。」


ゆかり「うわぁ、まじか、日本ひきこもり協会の陰謀だろ…これ」


タカヤス「はは、あいにく僕はニートを脱出するカリキュラムは持ち合わせていないよ。」

ゆかり「それにしても、あんなに危険な人達、初めて生で見たなぁ」


タカヤス「まぁでも、今日みたいな人達はしばらくこの町には来ないよ。彼らは、いま他のことに忙しいみたいだし。」


ゆかり「ならいいんだけど。」


タカヤス「………やっぱり君のことを強引に巻き込んでしまったことには変わりはないよな。

正直、自分でもやり過ぎだと思うよ。」


ゆかり「たしかにね、

いきなりへんなメール送るし、やばい機密を送りつけるし、美少女フィギュア集めに付き合わされるし、ほんっと、

散々な一日だった。」


タカヤス「………………」


ゆかり「でもね、」

「たまには、こんな一日も、悪くないかなって思うよ。」振り返りながら笑う

タカヤスも嬉しい顔になる

ここでエンディングが流れる


こうして、二人は仲間になった。

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