第258話 逃走

「それでは、行きましょう。」


「はい。」


レンヤ殿の言葉を始まりとして、全員が自分の進む方向を見る。


「開けますよ。」


レンヤ殿が扉の前に立ち、両手を掛ける。


「いくぞ…」


バンッ!!


レンヤが勢い良く扉を開く。


「走れぇぇぇぇぇぇ!!」


倉庫の中から一斉に全員が走り出す。中には荷車や、体の弱った女性を背負う男性もいる。

忍の者達もその人々の中に混じり、周辺を警戒しつつ、走っている。

数十人が同時に、蜘蛛くもの子を散らすように走り出すと、近くに隠れていたのか、何人かの敵兵が顔を出す。


「止まるな!行けぇ!走れぇ!」


全員が走り回る事によって、無秩序にさえ見える逃走劇。

顔を出した敵兵も、誰を狙えば良いのか分からず、オロオロしている。


「こっちでござる!」


拙者達は、南東方向へ走る計画。そして、その前には二人の敵兵が見える。拙者の足はサクラ殿やハツ殿よりずっと速い。


サクラ殿とハツ殿が来る前に、その二人を片付けなければならない。


「ぐおおぉぉぉっ!」


走り寄りながら、刀を持ち上げ左の男に斬り掛かる。


ここからが正念場しょうねんば。いきなりつまずくわけにはいかない。


覚えたての神力を両腕に纏わせて、一思いに振り下ろす。


「っ?!」


人々の動きに翻弄ほんろうされていた敵兵が、近付いて来る拙者に気が付き、刀を横にして、振り下ろされる刃を止めようとする。


ガギッ!ズシャッ!

「ぐあっ!」


刃は確かに刀に当たった。でも、そんな事は関係ない。


拙者は全力で刀を振り下ろし、受け止めようとした刀ごと、刃を押し込む。

拙者の力を受け止め切れなかった敵兵は、肩口からザックリと胸の中心まで切り離される。


切り口に、骨や筋肉、内臓の断面が見える。

しかし、それも一瞬の事で、直ぐに血が吹き出してくる。


ドカッ!


腕の力だけでは抜けない程に深くまで切り込まれた刀を、相手を蹴飛ばすことで抜き取る。

まだ意識も息もあるみたいだったが、反撃する力は無く、蹴られたままに、後ろへと倒れていく。


「貴様!」


もう一人の兵士が、拙者を目掛けて、刀を突き出してくる。


ザシュッ!

「な……どこ……から……」


目を見開いた敵兵が、振り返ろうとするが、その前に意識が無くなり、地面に倒れ込む。


その背後には、レンヤ殿が、血に濡れた短刀を持って立っている。


「急ぎましょう!」


「助かるでござる!」


「ゴンゾー様!」


少し後ろを付いてきていたサクラ殿とハツ殿が、自分達の到着を報告する。


「まだ走るでござるよ!」


「「はい!」」


レンヤ殿は、周囲の戦闘を助けながら、全員を逃がせるように動いてくれている。

周囲を見渡すと、ほとんどの者達は敵兵の包囲網を突破したようだが、何班かは、敵兵との戦闘に入っている様子だ。


「っ……」


自分の判断が間違っていたのか…と、思っていた時、レンヤ殿がこちらに視線を向ける。


「そうでござるな…ここまで来たら、やるしかないでござるな…」


既に全員が走り出してしまった今、後戻りする事は出来ない。

後は、先に進むしかない。


「サクラ殿!ハツ殿!拙者から離れないように気を付けるでござるよ!」


「「はい!」」


ハツ殿はかなり苦しそうだが、ここで止まってしまうと、良い的になるだけ。辛くとも、走り抜けるしかない。


後ろからは、サクラ殿とハツ殿の荒れた息遣いが聞こえてくる。


「逃がすな!一人でも多く捕まえるんだ!」


鬼士隊の連中も必死の様子で魔眼保有者を捕まえようとしている。


忍の者達が対処はしているものの、元々影で動く彼等は、表だっての戦闘はあまり得意としていない。互角かそれ以下の戦いを強いられている。


それでも、拙者は前を見て、走り抜ける事しか出来ない。


「自分の非力が嫌になるでござる。」


ガキンッ!ザシュッ!

「ぐあぁぁ!」


次々と襲ってくる敵兵を切り伏せる。


数は多いが、逃げていく魔眼保有者達を追うために、敵兵もバラけており、散発的さんぱつてきな攻撃になっている為、まだ何とか進めている。

しかし……


「あっ!」


ドサッ!


後ろでハツ殿の声がする。


振り向くと、ハツ殿が地面にうつ伏せで倒れている。

無理を強いているのは分かっている。

サクラ殿も気丈きじょうに振舞い、ハツ殿を立たせようと手を貸してはいるけれど、息は切れ、額に汗している。


「くっ!」


ハツ殿は、言う事を聞かない自分の足を、無理矢理立たせようとするけれど、力が入らないらしく、よろめいてしまう。


このまま走り続けるのは無理だ。


サクラ殿が荷車を引くのも無理。拙者が荷車を引けば、戦う者が居なくなる。


最初からこうなる事は予想していたし、だからこそ、ハツ殿は拙者に任されたのだ。

そして、任された以上、絶対に逃げ切ってみせる。


「サクラ殿!ハツ殿!拙者の後ろから出ないようにするでござるよ!」


拙者は倒れているハツ殿と、横に居るサクラ殿の盾となるように、前に立ち、刀を構える。


「大人しくしろ。逃げられやしない。」


「……………」


拙者の前には五人の敵兵。

見ただけで、それぞれが強いと分かる相手。


横目に周囲を見ると、かなりの者達が逃げ切って走っていく。

それを無視して、敵兵達は、拙者の前に立ちはだかる。


「そこの女は神人様が特別視していた女。全員は無理でも、その女だけは渡してもらうぞ。」


敵兵が指を向けたのは、サクラ殿。

やはりガラクはサクラ殿の事を特別視していたのか。


ガラクが鬼士隊としての活動以外に、誰かを殺そうとしたのは、シデン殿の四鬼選定戦の時だけだと把握している。


何故そんなにサクラ殿を……


「ゴンゾー様。」


サクラ殿が緊張感に包まれる中、危険と知りつつ、拙者の耳にのみ届く声で話し掛けてくる。


「どうしたでござるか?」


「……右の二人は、手に神力を集めております。

中央と、その左は刀に神力を、一番左の者は足に神力を集めております。」


「………見える…でござるか?」


「はい。見えます。」


サクラ殿が嘘を吐いているなどとは、つゆほども思っていない。

桜透眼がこのような能力を持っているという話は聞いた事が無いし、何か特別な能力なのだろう。


「サクラ様…その目…」


「え?」


「まるで桜の花の様な模様が…」


「えっ?!」


ハツ殿の言葉を聞くに、やはり普通の桜透眼では無さそうだ。

サクラ殿は自分の瞳を見ることは出来ないし、気がつかなかっただけだろうか。


ガラクの狙いは、この能力という事だろう。


確かに、神力に重きを置いて戦うオウカ島の者達にとって、それが見えるという能力は、是非ぜひとも欲しいところだ。

絶対に必要かと問われると、そこまでではないかもしれないが、出来ることならば手に入れたい。そう考えた結果、傷付ける事は禁止しないが、敢えて殺す事はしない…という判断となったのだろう。

しかし、そうなると、選定戦の時に殺そうとしたのは……覚醒かくせいの条件だろうか?命の危機に晒される事で、無理矢理覚醒させる事が可能とか…そういう魔眼も存在するという話は聞いた事がある。

考えても分からない事を考えても仕方がない。

今はサクラ殿の言葉を信じて、この五人を突破する。


ギリッ…


手に持った刀を、それまでよりずっと強く握り締める。


「やる気か?死ぬぞ?」


「元より死ぬ覚悟など出来ているでござる。

それに、刀を引いたところで、殺される事に変わりはないでござろう?」


「はは。分かっているらしいな。」


五人も、刀を構える。


サクラ殿の言葉を聞くに、右の二人は腕力を強化。中央二人は攻撃範囲、そして、左は脚力、つまり移動速度を強化しているはず。


剛剣術を身に付けている拙者が、力で負けるとは思っていない。そこについては自信がある。つまり、右の二人はそこまで驚異にはならない。


問題は攻撃範囲と速度を強化した三人。


ただ、サクラ殿のように見えているわけではないが、攻撃範囲を強化した者の攻撃は、それと分かっていれば避けられない事は無い。

多少伸びる程度のものだ。見えなくても、大きく避ければ対処出来る。


しかし、速度を強化した者の対処。これだけが難しい。


本来ならば、拙者も動いて、ある程度的をズラして戦うところだが、今は背中にサクラ殿とハツ殿をかばっている。

下手に動いて、二人を人質にされでもしたら、その時点で終わりだ。


「……………」


「……………………」


ジリジリと距離を詰めてくる五人。

同時に掛かってくる気満々だ。


「一人相手に五人とは…卑怯ひきょうな…」


ハツ殿が、そう呟くけれど、それこそが戦場であり、戦場に卑怯という言葉が無いのは誰しもが分かっている事。

寧ろ、数の利こそ戦場の基本。それはモンスターでさえ知っていることだ。

戦場どころか、戦いも知らないハツ殿には、理解し難い事かもしれないが…


ダッ!


一番左の男が動く。


ガギィィン!


「ちっ!」


速い。


シデン殿程の速さは無いが、単純な速さで言えば、拙者よりずっと速い。

初撃は何とか防いだが、次も止められるかは分からない。

何とかこの一合で倒したいが…そうはさせないと、残りの四人が遅れて攻撃を仕掛けてくる。


剛旋ごうせん!」


ガガガガキィィン!


一撃で全員の攻撃を弾き返し、中央の男へと詰め寄る。


「ぐおおぉぉぉっ!」


ザシュッ!

「ぐあっ!」


まずは一人目。垂直に振り下ろした刀が、男の頭を割る。


「この野郎!」


ザシュッ!

「ぐぬっ!」


即座に左横からの突き攻撃。


直撃は免れたが、攻撃範囲が予想より広かったせいで、左腕を軽く斬られてしまう。


「なんの!!」

ガシュッ!


二人目。喉を水平に斬る。

これで攻撃範囲を強化した二人は斬った。残りは三人。


「おぉぉっ!」


ガギッ!ザシュッ!

「ぐぬぅっ!」


速度を強化した男が、側面、死角から斬撃を繰り出してくる。


無理矢理刀を滑り込ませ、威力を殺したが、左腕を深く斬り付けられてしまう。


痛い。激痛が全身に伝わり、冷や汗が出てくる。

しかし、我慢出来る。


「ぐおおぉぉぉっ!」


ドゴッ!!

「ごぉっ!」


神力で強化した蹴りを、男の腹へと振り抜く。


ただでさえ自信のある力に、神力を乗せたのだ。

内臓は破裂し、骨もバキバキに折れただろう。


蹴りの威力に抗う術もなく、男は後ろへと吹き飛んでいく。

軽く十メートルは飛んだはずだ。


「「おおおぉぉぉっ!」」


残った二人が、振り向いていた拙者の背後から、同時に攻撃を仕掛けてくる。


左腕は痛むが、動かせない程ではない。


「ぐおおぉぉぉっ!」


ガギィィィィン!


両者の斬撃を、同時に受け止める。


ブシュッ!


左腕に受けた傷口から、血が吹き出すのが分かる。

だが、攻撃は止めた。止め切った。


「ぐおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

ギャリギャリギャリギャリ!


「「っっ?!」」


二人の刀を押し返しながら、思いっ切り刀を振り抜く。


二人は剣圧に負けて、後ろへ吹き飛び、尻餅をつく。


「なっ?!こいつ!」


拙者の力に驚いたのか、一瞬の隙が生まれる。

こっちは、か弱い女性を二人抱えての逃走劇。隙が見えれば、攻めぬわけがない。


「おおおおぉぉぉっ!」

ガシュッ!ザシュッ!


立ち上がる事も出来ていない二人に、拙者は容赦なく斬り掛かる。


「ぐあっ!」

「ずぁっ!」


二人は座ったまま拙者の攻撃を受ける事など出来ず、簡単に処理が終わる。


「…これでどうにか先に進めるでござるな。」


「ゴンゾー様!」


刀を仕舞った瞬間、後ろから二人が走ってくる。


体力は残しておいて欲しいのだが…


「お怪我は大丈夫ですか?!」


「直ぐに血を止めなければ!」


二人の真っ青な顔を見て、左腕に目をやると、思っていた以上に出血してしまっている。


「お、おお……想像より血が出ているでござるな。」


「冷静に言っている場合ではありませんよ?!」


「そうでござるな。」


拙者は直ぐにシンヤ殿特製傷薬を取り出し、傷に塗り付ける。


「これで適当な布でも巻いておけば大丈夫でござる。」


「布…すぐに!」


ビリビリ!


サクラ殿が、着物のすそを破いて、巻き付けてくれる。

足元が少し見えてしまっていて、いつもならばと恥ずかしがるところなのに…


「これで大丈夫でしょうか?!」


「一先ずは大丈夫でござる。ただ…」


傷は我慢出来るが、無傷の時と同じように動く…というのは難しい。

もし、もう一度先程と同じような戦闘が起きれば、拙者は乗り切る事が出来ないだろう。


しかし、ハツ殿の体力も限界。サクラ殿もあまり無理をし過ぎれば、命に関わる状況になってしまう。

拙者が敵を倒しながら、着実に進んでいくしか方法は無い。


拙者の意図が伝わったのか、二人は少し暗い顔をする。


「大丈夫でござる。拙者が必ず」

「……走りましょう!」


拙者の言葉を遮るように、ハツ殿が言う。


「私達が捕まれば、あの男性のようになってしまいます。そうなってしまえば、死ぬのと変わりません。

それならば、走って走って…死んだ方がマシです。

捕まって皆の危険に繋がるくらいならば!」


「ハツ様………」


サクラ殿は、ハツ殿の意気込みに息を飲む。


「あれだけ大層な事を申したのです。最後まで貫いてみせます!」


ビリビリッ!


ハツ殿は、自分の着物の裾を切り裂き、放り投げる。


「ハツ様?!」

「ハツ殿?!」


「ただでさえ足も遅く体力も無いのに、このような邪魔な服を着ている場合ではありません!行きましょう!」


「………………」


ビリビリッ!


「サクラ殿?!」


「ハツ様の仰る通りです!はしたないなどと言っている場合ではありません!行きましょう!」


サクラ殿も、ハツ殿も、二人して足が出るような格好になってしまった。

目のやり場に困る…が、見なければ良いだけの話。

拙者は目を逸らして前を向き、二人に叫ぶ。


「は、走るでござる!」


「「はい!」」


全力疾走…とまではいかないものの、二人は体力の尽きかけた体に鞭を打って足を前に出す。


「はぁ……はぁ……」


「はぁ……はぁ……」


二人の切れ切れな息遣いが聞こえてくる。


ガギィィン!


「このっ!大人しく」

ガシュッ!


「行くでござるよ!」


「「はい!」」


二人を連れて、敵兵を切り伏せながら進んでいく。


相変わらず散発的な攻撃が続いており、拙者の体力も限界に近付いて来た頃。


「おい!あの女を捕まえろ!」


「神人様に差し出すんだ!」


少し開けた場所に出ると、十人以上の敵兵が、現れる。


「くっ…これは…」


今の状況で、この人数を相手にするのは無理だ。

そんな事は分かっている。


それでも、真後ろに居る二人を見て、腹を決める。


「すぅー……」


大きく息を吸い、グッと止める。


どれだけ相手が多くても、強くても、拙者の役目は一つだけ。


「おおおおおぉぉぉぉぉっ!!」


痛む左腕と、尽きかけた体力を使い切る覚悟をして、前に出る。


その時。


「よくやった。」


ザザザザザザザザザザザザザッ!!!


目の前に閃光が走り、目の前に居た十人以上の敵兵が瞬きの間に切り刻まれる。


ザンッ!


最後の一人の首が飛ぶと、拙者の前に、見知った男性が立っている。

シデン殿だ。雷獣も居る。


チンッ!


全員が倒れるのと同時に納刀するシデン殿。


「兄上!!」


「サクラ!無事だったか?!」


格好の良い場面だったのに、サクラ殿の声を聞いたシデン殿は、顔を歪めて走ってくる。

本当に助かったけれども………台無しだ。


「サクラ?!こ、これは……おい!ゴンゾー!貴様!!」


サクラ殿の姿は、非常に……扇情的せんじょうてきな為、当然シデン殿は激怒する。


「兄上!これは私が自分でした事です!ゴンゾー様を責めないで下さい!」


「いや。これはゴンゾーのせいだ。間違いない。斬る。」


「決め付けからの決断が早すぎるでござるよ?!」


「サクラの足を見た時点で、既に貴様は死んでいるのだ。観念せよ。」


「死因が嫌すぎるでござるよ?!」


「サクラの足が嫌……だとっ?!」


「誰もそんな事は言っていないでござるよ!!」


「兄上っ!このような状況で軽口を叩いている場合ではありません!大人しくして下さい!」


「っ?!!!」


何故自分が怒られているのか分からない!とでも言いたそうな顔をするシデン殿。

多少の軽口を叩く時間が取れるのは喜ばしい事だけれど、サクラ殿の言う通り、まだここは安全とは言い難い。


「シデン殿。ガラクの方はどうでござるか?」


「今、シンヤ達とランカで対処してくれているところだ。」


「そうでござるか…」


「そう気に病むな。今はこっちに集中しろ。」


「分かっているでござる。」


「ハツさん。だったか。貴女あなたが居るという事は、魔眼保有者達をバラバラにして逃がしたのか。」


「ハツ殿を知っているでござるか?」


「ササキ家当主、ソウタ殿の右腕たる者に嫁いだ方だからな。記憶している。」


「そ、そうだったのでござるか…」


ササキ家といえば、名家中の名家。思っていたよりずっと高貴な人だった…


「家の名前など今は関係ありませんよ。」


「ハツさんの言う通りだ。何故バラバラにして逃がした?捕まった者達もいるだろうに。」


「拙者一人と、忍達だけでは、守りきれないと判断したでござる。」


「………そうか。最高の結果とは言えないが、判断は悪くない。

捕まった者達の数が少なければ、隙を見て取り戻せる可能性も出てくる。全員で捕まっていれば、それも無理だっただろう。」


「………………」


しかし、最高の結果とは言えないのだ。


「落ち込んでいる暇はない。まずはサクラとハツさんを逃がすぞ……と、言いたいところだが。」


では無理でござろうな。」


「やはり気が付かれていたか。」


「「っ?!」」


サクラ殿とハツ殿は気が付いていなかったみたいだが、シデン殿が現れる少し前から、少し離れた位置でこちらの様子を伺っている者が居た。

気配は消していたみたいだが、僅かな殺気に気が付かない拙者やシデン殿ではない。


出てきたのは、他の者達とは違い、未だに白い仮面を被った男。

全身を、濃い緑色の布地を使った服で包んでいる。

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