第51話 憤怒

「俺が怒りに任せてミスった時、一番危険になるのはニルだろうな。

でも、間接的に危険に晒される人も沢山いる。本当に沢山……な。」


「背負うもの…」


「イナヤにだって沢山あるんだぞ。ナナヒ、チクル、アタニはもちろんだが…今アマゾネスの中では、ヤナシリの次にイナヤが強いんだろ?それなら、アマゾネスの皆の命もその両肩に乗っているんだぞ?」


「皆の……命…」


「ワマラに対して、ヤナシリが言った言葉。

九石である事の自覚を持て。

これは別に九石でなくても当てはまると思うぞ。」


「………………」


「イナヤは五石として、自分よりも戦闘において弱い者を守る責任があるだろ。つまり、ヤナシリを除く全てのアマゾネスだ。」


「っ………」


イナヤは俺の言葉に、自分の立場の重さを認識したように見える。


「イナヤが失敗したら、イナヤの守るべき者達が皆死ぬ。そう考えてみろ。」


「皆……死ぬ……私の肩にも…」


「怖いか?」


「……怖い…私なんかの肩に…」


膝を抱えるイナヤ。微かに震えているように見える。


「でも、ヤナシリはイナヤならば出来ると考えて五石を任せたんじゃないのか?」


「………」


「怒りに身を焼かれそうになったら、皆の顔を思い出してみたらどうだ?」


「皆の顔……やってみます!」


「はは。そろそろ休憩も終わりだな。」


立ち上がったイナヤが曲剣を構える。


「行きます!」


カンッキンッ!


曲剣と断斬刀が打ち合う音が響く。

エメトの事を口汚くののしる。


「っ!………」


怒りが表情に表れ、剣筋が僅かにブレる。


ガキンッ!!


「………」


「……やったな。」


剣筋はブレてしまってはいたが、今までの様に怒りに身を任せた動きではない。しっかりと理性を保っている。


「まだまだ抑えきれていませんが…」


「それでも前進出来た。そうだろう?」


「………はい!」


仏頂面ぶっちょうづらか、憤怒ふんぬの顔しか見たことが無かったが、初めて、ぎこちないながらも笑顔を見せてくれた。


その日から、四人はメキメキと成長していった。そもそも彼女達は、ステータスが高く、戦闘技術や経験は豊富だった為、弱点に気が付けば後はグングンと伸びていく。

彼女達は、昔見た光景を忘れず、常に強くなるために努力してきた。その下地したじがあったからこその成長速度だろう。


そんなある日、俺達が初めてここに来た日から一月ひとつきが経った頃の事だった。

俺とニル。そしてナナヒ達の四人がヤナシリに呼ばれた。


「ヤナシリ様。」


「来たか。」


「これは……?」


最初に俺が四人プラス、ヤナシリと戦った時のようにアマゾネス達が円を作って揃っている。


「最近シンヤから色々と学んで強くなったと聞いているぞ。」


「未だ教えて頂いた道の途中ですが…」


「うむ。だが最近、他の者達では手も足も出ないらしいじゃないか。

そこで、四人の実力を再確認することにした。」


「それでこの騒ぎってことか…」


「さて。早速始めるが…そうだな。先ずはチクルからにしようか。」


「はい!!」


チクルは、悪戯を成功させられるようになってからは、ひたすらアタニと打ち合っていた。見ていた限りでも二人の実力はかなり上がっていたし、正直楽しみだ。


「いつでも好きなように掛かって来い。」


「……いきます!」


チクルは直剣を振り上げてヤナシリの真正面から向かっていく。


「……」


「はぁ!!」


真っ直ぐ振り下ろした直剣の刃が中程を過ぎたとき、ヤナシリの剣がそれを受け止めようと持ち上がる。その瞬間にチクルの剣筋がカクンと右に曲がり、側面からの横薙ぎに変化する。


ガキッ!


しかし読まれていた。ヤナシリの剣が完全にその軌道をシャットアウトしている。


「まだ!」


チクルの左足が持ち上がり、反対の側面からヤナシリの顔面目掛けて回し蹴りを繰り出す。


ガシッ!


「っ?!」


残念ながらそれも読まれており、ヤナシリに左足をがっちりと掴まれてしまった。


「ほらよ!」


「っ!!」


左足を掴まれた状態でヤナシリの剣が振り下ろされる。


ガキィィィン!!


直剣を上手く滑らせて、刃をいなしたが、こらえきれずに直剣毎後方に吹き飛ばされてしまう。直ぐに立ち上がったが、ヤナシリの剣が首元に当てられ、勝負が決した。


「ま…参りました。」


「……あっはっはっは!いいぞチクル!よくやった!

強くなったな。チクルは今から六石とする!!」


「一気に三石も?!」


「それに見合うだけの力を身に着けたんだ。胸を張って受け取れ。」


ヤナシリの手には三つの髪飾り。


「…ありがとうございます!」


周りのアマゾネス達からは感嘆の声と拍手が飛んでくる。


「次はアタニ!」


「…はい!」


「いつでも掛かって」

ガキンッ!!


ヤナシリの言葉が終わる前に直剣を振ったアタニ。


「ほう。面白い。」


「…意外性。」


「だがこの程度の攻撃は序の口だぞ。」


「…分かっています。」


ガンッ!キンッ!


普通に打ち込んでいるアタニ。しかし何かを狙っている空気がプンプンしてくる。


「何か企んでいるな?」


「はぁぁ!」


カキンッ!


今までの打ち合いの中で、最も軽い金属音が聞こえてくる。

アタニは直剣を振るように見せて、投げ捨て、自分は下からヤナシリのふところに潜り込もうとしている。


ズガンッ!!


しかし、ヤナシリの足がアタニの正面に踏み出され、行き場を失ってしまった。


「ここ!!」


ガキンッ!


投げ捨てたと思わせていた直剣を後ろ手に取り、繰り出した一撃だったが、ヤナシリの予想の範疇はんちゅうだったらしい。


「はぁっ!」


バキッ!

「ぐぅっ!」


ヤナシリの拳がアタニを捉え、吹き飛ばされてしまう。受け身は取れたが、勝負は決まった。


「参りました。」


「うむ。アタニも強くなったな。六石!」


「ありがとうございます。」


「これからも精進するのだぞ。」


「はい!」


「次は…ナナヒ。」


「はーい!!」


「………大丈夫か?」


ヤナシリはワマラをしたっていたナナヒには少し思うところがあるようだ。


「シンヤとニルのお陰で、あたいは変わりました。」


「……くくく。良いだろう。来い!!」


「はい!」


短剣二本を胸の前で交差して構えるナナヒ。その瞬間にヤナシリの顔付が変わる。


「………」


「………」


「はぁっ!!」


地面を蹴ったナナヒはジグザグに進みながらヤナシリまでの距離を詰めていく。

俺が見た中でも一番の速さだ。なみの相手ならば反応できないだろう。


ガンッ!キンッ!


だが相手はヤナシリ。完全にナナヒの動きを捉えている。


「はっ!やぁぁ!」


ギンッ!ガキンッ!


速く鋭い攻撃がヤナシリに襲い掛かる。それでも全てが叩き落されている。

もう一歩踏み込みが足りていない。


「………」


ブンッ!


ヤナシリがナナヒに向かって剣を繰り出す。


以前のナナヒならば、ここで一度下がり、体勢を立て直すところだ。


「っ?!」


しかし、ナナヒの行動は真逆だった。


剣が自分を捉えるかもしれない恐怖心を押し殺し、刃の直下をヤナシリの懐に向かって走り抜ける。


「はぁぁぁぁぁぁ!!」


ガキィィィンッ!


ナナヒの短剣がヤナシリに届く事は無かったが、十分に実力を示すことが出来ただろう。


「くーー!!やっぱりヤナシリ様にはまだまだ届かないなぁ!!」


「あっはっは!そう簡単に届く十石ではないわ!」


「参りました!」


「うむ。よくやった。正直驚いたぞ。飛躍的ひやくてきに成長したな。」


「ありがとうございます!」


「ナナヒは七石とする!!」


「七石?!」


「四石も上がったわ!」


前代未聞ぜんだいみもんよ!」


周りの者達がざわざわと騒ぎ出す。それだけ珍しいことなのだろう。


「静まれ!」


「「「「………」」」」


「先の戦いを見て、不服があるという者達は前に出よ!」


「「「「………………」」」」


「では、これよりナナヒを七石として認める!」


四つの髪飾りがナナヒに手渡される。


「ありがとうございます。」


ナナヒにとってはとても嬉しいことだろう。トラウマに打ち勝った証でもあるのだから。


「最後にイナヤ。」


「………はい。」


「………来い。イナヤ。」


ナナヒ同様、ヤナシリには、エメトの事でイナヤには思うところがあるはずだ。だが、それを口に出すことは無い。


「………………はぁ!!」


クルクルと回転しながらの軽やかな攻撃がヤナシリの剣を打つ。


カンカンッキンッ!


イナヤには無かった緩急の緩の部分だ。軽いが、その分剣速は段違いだ。


「良い速さだ!」


「まだまだ!」


カンキンカンカンッ!


「まだ上がるか。ナナヒ程では無いが見事だ。だが…」


ブンッ!


速さで押していたイナヤに、ヤナシリの重い一撃が振り下ろされる。


ガキンッ!

バキッ!


その一撃を受け止めるイナヤ。踏ん張っている足が地面を割っている。腕は震え、ギリギリで立っている。でも、間違いなくヤナシリの攻撃を受け止めた。


「…んんぁぁぁぁああああ!!」


ガキィィン!


無理矢理ヤナシリの剣を押し返す。


「ほう。」


「はぁぁぁぁぁ!!!」


ガンッギンッ!


今までの軽く速かった剣から、重く力強い攻撃へと転じる。

一連の流れの中で何度も緩急を付けることが目標だが、まだそこまでは出来ないらしい。それでもヤナシリには、イナヤの剣が変わったと分かるだろう。


イナヤには色々と話をしたが…エメトの死を受け入れられていなかった。それが全てに影響していたのだ。仲間の存在を再認識させたことで、少しだが、エメトの死を受け入れられた。それがヤナシリにも剣を通して伝わっていることだろう。


「そうか……イナヤも……あっはっはっは!いくぞイナヤ!」


「っ!!」


ガンッ!キンッ!ギィィン!


ヤナシリが嬉しそうに剣を振るい、それを受けきれなかったイナヤの手から曲剣が弾き飛ばされる。


「っ…ま、参りました。」


「まだ私の剣を完全に受け止めるまでには至らないか。」


「…………」


「次に私の前に立った時は、受け止めてみせろ。それが出来れば、イナヤはエメトと同じ八石だ。」


「っ?!!」


「イナヤは七石とする!」


「………ありがとうございます。」


こうして四人の実力試験は大盛況のまま終了した。

その後、俺とニルはヤナシリのテントに呼ばれた。


「すまないな。呼び出してしまって。」


「構わないさ。」


「まず、あの四人に手を貸してくれたこと。感謝する。」


「あれはあいつらの実力だ。」


「それを引き出したのはシンヤさ。」


そんなに褒められても何も出ない。


「…それで?それだけを言うために呼んだんじゃないんだろ?」


「…………」


「……神聖騎士団…か?」


俺の言葉に、ヤナシリはゆっくりと頷いた。


「いつ。どれくらいの数だ?」


「もう近くまで来ている。数は…少なくとも千は居る。」


「千…」


「こちらで、十分に戦える者達は合わせても二十。」


「二十対千……しかも最低でも…か。」


「絶望的な差…というやつだな……

すまないな…わざわざここまで来てもらって、あの子達を助けてもらって……それなのに…」


「諦めるのか?」


「……諦めるつもりなど無い。最期のその時までな。我はここにいる全員の命と、アマゾネスという種族を背負っているからな。

だが…いくらシンヤが強くても、我が戦闘に参加したとしても……埋まらない差というのは絶対的に存在する。

その差を目の当たりにした今、これ以上シンヤ達を引き止めるべきではないと判断した。」


「このまま知らないフリをして出て行けと言うのか?」


「我等アマゾネスと心中しんじゅうする必要は無いと言っているのだ。

あの四人に手を貸してくれたことには、本当に感謝している。だからこそ、そんな恩人をこんなところで死なせるわけにはいかん。」


「アマゾネスだって逃げれば良いだろう?獣人族王を頼って逃げればここで千を相手に戦うよりずっと勝率は高いはずだ!」


「……ここから一番近い、獣人族達の街はデルスマークと聞く。我等アマゾネスはこのマニルテ荒野から出た事が無い。道も分からない上に長い道程みちのりだ。神聖騎士団に追われながら辿り着けるとでも思うのか?」


「俺とニルが案内すれば!」


「相手は千。先回りされて囲まれたら、その時点で終わりだ。」


「だったら別に獣人族以外の街でも構わない。こうなったならどこかの街に逃げ込めば良い!」


「それは出来ないのだよ。」


「なぜだ?!」


「監視されているからだ。」


「監視…?」


何の話だ…?


「心石を他種族の者達が奪いに来た話は聞いたな?その後獣人族王が我らの後ろ盾となった事も。」


「聞いた。だから今他種族からの関与が無いんだろ?」


「その通りだが、その話には続きがある。

獣人族王が後ろ盾になっただけで、他種族が手を引くと思うか?」


「どういうことだ…?」


「獣人族が後ろ盾になった事で、他の種族はこう考える。獣人族が残った全ての心石を手に入れた…とな。」


「………」


「そうなれば獣人族対その他の種族という構図になってしまう。それは獣人族王の望む所では無い。

そこで、一つの取り決めが成された。

我等アマゾネスには、どの種族も手を出さない。」


「手を出していない事を確認出来るように監視するってことか…?」


「その通りだ。このマニルテ荒野を取り巻く様に、あらゆる種族の物見ものみが配置されている。

当然、その監視には、我々アマゾネスがどこか別の場所に行かない様に見張るという役割もある。

救援要請の為に、仲間として動いてくれている獣人族の者と接触するだけでも命懸けだったのだ。この人数を逃がす事は不可能と言える。

つまり、我等アマゾネスは、この荒野でのみ生きられるかごの中の鳥という事だ。」


「なんだよそれ……いや、待てよ……それならば神聖騎士団の連中が入って来ようとすれば、そいつらが排斥はいせきしてくれるだろ?」


「それは無い。物見として立っている者は良くて数人。千を相手に喧嘩を売る奴はいないだろう。それに、神聖騎士団が来たと伝えたところで、援護は望めない。今の世界がどうなっているか知っているだろう?」


「全てが計算通りって事かよ……それなら、蟻の巣はどうなんだ?聞いた話では迷路の様な場所なんだろ?そこなら人数差をなんとか出来るんじゃ無いのか?」


「蟻の巣は雨水うすいが土を削っただけのもの。強い衝撃で簡単に崩れてしまう。あの時だって崩れなかったのは奇跡だったのだ。

ただの逃走経路としての役割しかない。逃げ込んで、わざと崩されたりしたらひとたまりもない。相手は後から我等の死体を掘り起こして心石を回収すれば良いだけの話だからな。」


「打つ手無し…かよ…」


「考えられる手はもう既に何度も考察こうさつしたさ。それでも勝ち目が無いのだ。」


「……くっそ!」


腹が立ってくる。


「…憤ってくれる事は嬉しいが、シンヤとニルは逃げてくれ。」


「そんな事っ!」


出来るわけが無い。


「…頼むよ。シンヤ。」


「っ……」


ヤナシリが困ったと言いたそうな顔をする。


不義理ふぎりにはなりたくない。わかって欲しい。」


「……くそっ!」


返す言葉が見付からず、テントを出る。目の端に見えたヤナシリの顔は、なんとも言えない表情をしていた。

直ぐに返事など出来ず、その日は悶々もんもんと自分達のテント内で頭を悩ませていた。夕食後に焚き火を見ながらどうにかならないかと考えていた時の事だ。


「ご主人様…」


「……すまない。ニル。一日中悶々と考え込んでしまって…」


「謝らないで下さい…私も同じですから…」


「どうにかしたい気持ちはあるけれど、どうしたら良いのか分からない……本当にアマゾネスの皆が助かる道って、もう無いのか…?」


「……やはり獣人族に援護を求めに行くというのが一番現実的でしょうか?」


「だが、ここからデルスマークまではかなり距離がある。今から往復している時間は無い。

それに、獣人族は獣人族で神聖騎士団との戦いに備えなきゃならないだろう。こんな離れた土地に千人の神聖騎士団を殲滅出来るような数は派遣してくれないはずだ。」


「獣人族の方々に頼るのは難しい…という事ですね。」


「だが、そうなると…頼れる先が無い。」


「そうですね…ツテがあって、尚且なおかつ神聖騎士団に攻められていても余力のある種族なんて…」


「加えて、アマゾネスの心石を欲しがらず、保護してくれるような種族だな…なかなか条件が厳しいが、俺達だけではどうする事も出来ない。」


「ですが…そんな種族など…」


「…………」


「……………」


「………いや……いるぞ。」


「え?!本当ですか?!」


「ほとんど博打ばくちだが、可能性はある……と思う。」


「直ぐにヤナシリ様にお話した方がよろしいのでは?!」


「……そうだな。ニルも来てくれ。」


「はい!」


ヤナシリのテントへ行くと、中へ通してくれる。


「シンヤ…分かってくれたか?」


「現状は理解した。俺達が参加したところで、このままでは勝ち目が薄いという事もな。」


「…それでは我の提案を」

「いや。むしろ、俺から提案がある。」


話を被せるようにヤナシリの言葉をさえぎる。


「シンヤから提案?」


「色々と考えていてな、今のアマゾネスの事を助けられる可能性がある奴らは本当に居ないのか考えていたんだ。」


「それは話し合っただろう。一番可能性の高い獣人族も無理だ。他の種族は当然無理だ。」


「最初から除外している連中が居るだろう?」


「最初から…?」


「……魔族だ。」


「魔族…?いや、それは有り得ない。その存在についてはほとんど何も知られていないし、噂では極悪非道ごくあくひどうの連中だ。そんな奴らが助けてくれるとは思えん。」


「………ヤナシリ。」


「…なんだ?」


「今から見る事を絶対に他人には話さないと誓ってもらえるか?」


「??…よく分からないが…誓おう。」


「ニル。」


「はい。」


テントに来るまでの間に、ニルにはお願いしておいた。もしヤナシリが変な噂や偏見を持っていた場合、ニルの本当の姿を彼女に見せて欲しいと。

当然ニルの本当の姿を見た場合、ニル自身と、魔族が危険に晒される可能性がある。だが、ヤナシリならば、大丈夫だろうと考えてのことだ。

彼女ならば、変な噂や偏見よりも、この一ヶ月共に過ごして見てきた、ニル自身の事を信じてくれるだろうと思った。


「な……なんだそれは…?」


ニルの体を黒いモヤが包み込んでいく。

見た事の無い魔法に慌てるヤナシリ。俺が頷いて見せると、危ない物ではないと分かってくれたのか、気持ちを落ち着けてくれた。


ゆっくりと黒いモヤが消えていくと、魔族のニルが現れる。今回はちゃんと大きめローブと、その下に大人用の服を着せていたから、大丈夫だ。


「せ、成長した?!」

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