第44話 ニルバーナ

ペネタの甲斐甲斐しい行動は、食事が運ばれて来てからも同じで、何もしなくても口に運ばれてくる料理をニルが食べるという自動システムを採用していた。

ペネタは楽しそうで何よりだが……ニルは凄く困った顔をしている。


それに気が付いたペネタが、少し顔を曇らせる。


「…ごめんなさいね…付き合わせて。」


「いきなりどうした?」


眉を寄せ、俯いて顔を暗くするペネタ。


「私達王族は、昔からあまり兄弟姉妹で遊んだり、食事をしたりしなかったの。」


「……」


「でも、第三王女のシーナだけは違ったの。」


「第三王女…妹か。」


「私と同じ、薄い緑色の髪と瞳でね。くせっ毛が可愛かったわ。

暇さえあれば私の所に来て、遊んでだとか、ご飯食べようだとか。ほとんど毎日の様に会いに来てくれていたのよ。姉様。姉様って……

見た目は似ていないのに…ニルバーナちゃんに、シーナを重ねてしまって……」


ポツポツと大粒の涙を流し始めるペネタ。


今まで親や兄弟姉妹が死んだと聞いても、悲しむ時間も、泣く時間も無いまま、族王として民衆の先頭に立ち、ここまで来てしまった。それらの思いが今、抑えきれずに溢れ出したのだろう。


「ごめん…なさい……」


拭っても拭っても溢れだしてくる涙。妹の話を主で出したが、きっと他の兄弟姉妹とも、仲は良かったはずだ。

今ペネタの中には色々な思いが積み重なってしまっているのだろう。


「う……うぅ……」


いつもの涼し気な顔はもうどこにも無い。

そこにいるのは族王でも、王族でもなく、ただ肉親を亡くした女性だった。


ニルがペネタの手を静かに取り、真っ直ぐに目を見て言った。


「私の事を、妹だと思って下さい………姉様。」


「っ!!」


ニルの言葉に、一層の涙が頬を伝い溢れ出す。


ペネタはニルを強く抱き締め、声を上げて泣いた。


失ったものは二度と帰って来ない。


その悲しみを癒す術は無い。


ネックレスに手をやり、ペネタの泣き声をただ聞くことしか出来なかった。


ーー・ーー・ーー・ーー・ーー・ーー・ーー



「ごめんなさいね…せっかくの夕食が冷めてしまったわ。」


ペネタの涙が止まる頃には、料理は完全に冷めていた。でも、そんな事、はっきり言ってどうでもいい。


「気にする事は無い。また明日一緒に温かい夕食でも摂ろう。」


「…そうね……ニルバーナちゃん。」


「是非ニルと呼んでください。」


「ふふ。ニル。また明日も一緒に夕食をどうかしら?」


「はい!姉様!」


少し赤くなった目をニルに向け、ニルは笑顔を返す。


「ありがとう。これで明日も頑張れるわ!

あら。もうこんな時間。シンヤさん。そろそろ良い時間よ。世界樹の方へ行ってみてはどうかしら?」


「そうだな。そうさせてもらうよ。ニル。行こう。」


「はい!」


ペネタと別れ、王城の裏へと回り込む。ペネタも少し恥ずかしかったのだろう。最後は随分と急かされた。


「ニル。ありがとうな。」


「え?何がでしょうか?」


「俺じゃペネタには何もしてやれなかった。ニルが居てくれて助かったよ。女性が泣いた時の対処なんて分からないからな…」


「ふふふ。」


俺の言葉にニルが笑う。


「なんだ?」


「誰に対しても物怖じしないのに、女性に泣かれると何も言えなくなってしまうのですね?」


「うっ…意地の悪い事を言うなよな。何か言わなきゃとは思うんだが、何を言ったら良いのか…頭が真っ白になるんだよ…」


「ふふふ。」


小さく笑うニル。こういう時のニルはどこか大人びている様にも見える。


「あれの事か?」


「みたいですね。」


世界樹の傍に辿り着くと、木の幹の側面に、上へと続く幅の狭い階段がある。手摺てすりも何も無い木製の階段だ。

世界樹の根の上まで続き、そこから折り返して更に上へと続いている。


「どこに続いているのでしょうか?」


「行ってみれば分かるさ。」


幅の狭い階段を、ゆっくりと、一歩ずつ登っていく。

世界樹の張り出した根の上に登り、折り返して更に上へと登っていく。


「さ、さすがに高くなってきたな。」


「王城よりずっと高いですね…」


「下を見ないように登ろう…」


高所恐怖症ではないが、それでも怖くなる程の高さと、手摺が無いという恐怖感。


「何か見えてきたな…」


階段の先に淡い蛍光色の光が見えてくる。


「もう少しだ。」


「はい!」


やっとの思いで辿り着いた先には、世界樹の幹が大きく凹み、奥行きが十メートルはある空間が出来ていた。


「これは…凄いな…」


その空間の全てに蛍光色に光る淡光虫。大きく凹んだ球状の空間に、暫し目を奪われる。


「この光が漏れ出ていたのか…」


「凄く綺麗です…」


ピチョン……


どこかからか滴り落ちた水滴が、目の前の淡光虫の光を揺らす。


「嘘だろ…?ここ、水が張ってたのか。」


あまりにも静かな水面と、美しく透き通った水。

下まで球状の空間だと思っていたが、実際は半球状の空間だった。天上面が水面に映し出されていた事に気が付かなかっただけだ。


「凄いです…」


目が慣れてくると、淡光虫に照らし出された空洞の表面が見える。所々に藻が生えていて、そこから水が滴り落ちているようだ。

世界樹の表面から降りてきた水が、ここに溜まっているのだろう。


「これは本当に言葉が出ないな…」


「こんなに美しい光景が、この世にあるのですね。」


「スクショ撮りてぇー!」


ネトゲなら絶対にスクショ撮ってた!


「スク…?」


「切り取って飾っときたいって意味だ!」


「ふふふ。確かにそれくらい美しいですね。

でも、こういうのは切り取れないからこそ美しいのでは無いでしょうか?」


「お、なんか深い事言ってるな。確かにその通りかもしれないけどさ。」


「…………」


「……………」


急に俺とニルの間に沈黙が流れる。この美しい光景に目を奪われたのもあるが……

その沈黙を破ったのはニルだった。


「…ご主人様。」


「なんだ?」


「私の話を聞いて下さいますか?」


ニルは少し緊張した面持ちで俺の顔をチラチラと見る。


「もちろん。ちゃんと聞くから話してごらん。」


「……はい。」


ニルは大きく息を吸って、ゆっくりと吐く。


ピチョン…


水滴が落ちて水面が揺れる。


「私は、ご主人様に一つ。大きな隠し事をしております。」


「……」


「今からその隠し事を……晒したいと思っています。」


「本当に俺が聞いても良いのか?」


「…はい。ご主人様に聞いて頂きたいのです。」


ニルの目は真剣で、真っ直ぐだった。


「分かった。」


「ふぅー………」


もう一度大きく息を吐くニル。


「………」


パサッ……


「っ?!」


突然服を脱ぎ出すニル。


「な、何してんの?!」


「言葉で言うよりも、見て頂いた方が早いかと思いますので…」


顔を赤くしてはいるが、ニルの目は真剣そのものだった。


俺も、ちゃんと聞くと言った以上、あたふたしている場合じゃない……けど、どんな状況なのこれ?!

少女とはいえ、目の前で一糸まとわぬ姿はさすがにNGだよ?!ロリコンでなくてもNGだから!!


「ふぅー……いきます。」


その姿のまま、大きく息を吐いたニル。


すると、彼女の全身を覆うように、黒いモヤが現れる。


「なっ?!これは!?」


黒いモヤはニルの全身を覆い尽くした後、ゆっくりと晴れていく。


「おいおい…」


黒いモヤが晴れた中に立っていたのは、雪のような白銀の長くストレートの髪、サファイアの様な透き通った瞳、透き通る白い肌を持った……女性だった。


女性と表現したのは、目の前にいるのは、いつも見ている小さな女の子のニルではなく、身長も、顔立ちも、胸も、全てが成長した姿だったからだ。


輪郭もハッキリして、より美しさを増した顔立ちは、想像通り、傾国の美女。

腕で隠している胸は大きく成長して、あまり直視出来ない。


人の年齢に当てはめたならば、恐らく十六、七。シンヤよりも少し下といった感じだ。


突然成長した……と思ったが、よく見ると腰からヒョロりと、細長くツルツルとした黒い尻尾が伸びている。


「尻尾…?」


「はい……私は……魔族なんです。」


鈴の音の様だった声に僅かに艶が乗った声を出し、紅潮した顔をこちらへと向け、淡光虫の光の中に立った絶世の美女。それは間違いなく、ニルバーナだった。


「魔族は…人に化けられるって聞いたが…」


「はい。私はずっと、人族に化けてきた魔族なのです。」


「体の大きさまで変えられるのか…」


「はい。」


「す、凄いな……」


上から下まで見ても、確かにニルバーナが成長した姿だ。化けていたという事は、こちらが実際のニルバーナの姿…という事だろう。

って…冷静に観察してる場合じゃねぇ!


自分が羽織っていたローブをニルに手渡す。


「と、とりあえずこれを着てくれ。」


「は、はい…」


「というか何故脱いだ?!」


「その…この姿になると、服が…」


「あー!破れちゃうからか!納得…って違う!それなら先にローブ着とくとか色々やり方あったろ!?」


「あ……」


俺の言葉にニルは硬直する。


「あ…って。」


「その…緊張し過ぎてしまって…」


お茶目さんか。


「そ、そうか…」


「……はい…」


「…………」


き、気まずい…

いや、今はもっと色々と聞こう。


「ま、魔族は初めて見たけど、尻尾があるんだな?」


「一応…角もありますよ。」


そう言って頭を下げたニル。


額の少し上。髪の中に二本の黒い三角形の角がちょこんと立っている。


「へぇ。触ってみても良いか?」


「は、はい。」


頭に触れると、サラサラとした白銀の髪の感触の奥に、硬質な角の感触を感じる。


「ど、どうでしょうか?」


「え?あぁ。なんか思ってたよりちっちゃくて可愛いな。」


「そ、そうですか。魔力を込めると、大きくなったりしますよ。」


「え?!そうなの?!」


なにそれカッコイイ。


「他にも羽が生えたりもします。」


なにそれ超カッコイイ。


「羽が?!凄いな…」


「……ご主人様は、やはり魔族と知っても、恐れたりしないのですね。」


「え?普通は恐れるものなのか?」


「魔族…と呼ばれているわけですし…」


「そんな事言ったら、神聖騎士団なんて、神に聖に騎士だぞ?そんな要素一つも見当たらないじゃないか。いや、一応神を信仰しているという設定ではあったか…

どっちにしてもクズの集まりだ。神聖騎士団がそんな奴らなら、逆に魔族は良い人達ばかりでも驚かないっての。」


「言われてみますと…確かにそうですね…」


「それにニルはニルだしな。」


「ふふ。ありがとうございます。やっぱりご主人様にこの姿をお見せして良かったです。」


ずっと緊張した顔をしていたが、やっと笑ってくれた。


「俺は魔族についてほとんど何も知識が無いんだが、色々と聞かせてくれないか?」


「はい。そのつもりでこの姿をお見せしたので。」


ニルと横並びになって座ると、またピチョンと水滴が水面に落ちる。


「まず、一番に知って頂きたい事は……魔族。というのは、神聖騎士団の連中に付けられた名前なのです。」


「え?そうなのか?」


「はい。神聖騎士団は光の魔法を得意とし、我々は闇の魔法を得意としています。それも大きな要因ですが、もう一つ。私達は、神聖騎士団とは全く別の神を信仰しているのです。」


「確か、神聖騎士団はアイシュルバールとかいう女神を信仰しているんだったよな?」


「はい。私達は、フロイルストーレという女神を古くから信仰しております。

信仰している神が違った事で、神聖騎士団は我々を悪として、魔族と呼ぶようになったのです。

その後、魔族と言う言葉が浸透していくにつれ、我々は他の種族ほぼ全てから迫害される様になりました。」


「なるほど。因縁の相手って事だ。」


「はい。それでも、我々魔族と神聖騎士団の戦力は拮抗きっこうしており、互いに小競り合いを続ける程度でした。しかし、十年程前、神聖騎士団が大きく動き出したのです。」


「その他の勢力を取り込みに掛かったのか。」


「はい。まだ小さかった私は魔族の危機と知り…父から聞いていた、魔族の伝承を信じ、一人で家を飛び出してしまいました。」


「家の人はどうしたんだ?」


「正直、覚えていません。小さかった時の事ですから…父の顔さえハッキリとは思い出せません…

私は…実際は十七歳です。父と最後に会ったのは十年以上前ですからね…」


「それなら覚えていなくても不思議ではないか…

でも、ニルが飛び出す程の伝承ってどんな話なんだ?」


「簡単に言ってしまうと…我々魔族が窮地に立たされる時が来たら、我々を救って下さる英雄様が現れる…というお話です。」


「よくある童話の類か?」


「そうですね。子供に読み聞かせる童話…なのかもしれません。」


「そんな童話を信じて家を飛び出すって…行動力あり過ぎな子供だな…」


「父に付いて、魔界を出た事は何度かあったので、一人で出来ると思ったのだと思います。」


「ってことはニルの父親は商人か何かだったのかもな……って。もしかして、その時に捕まって奴隷になったのか?」


「……はい。人族の姿を真似て安心していたのですが……人族であろうと、他の種族であろうと…少女が一人で歩いていると、そういった者達に狙われるという事を理解していなかったのです。」


「…なんて不運な…」


その時見付かった相手が良い人だったならば、ニルは今頃奴隷にはなっていなかっただろうに…


「確かに不運なのかもしれません。奴隷となってからの十年以上。私はこの枷と過ごしてきましたから………ですが、ご主人様と出会えた今は、不運などとは決して思っていません。ご主人様にお仕えできる事を本当に嬉しく思っていますから。

それに、私はその伝承をずっと…今でも信じておりますので。」


「ニルに枷をつけた伝承だろ?それでも信じているのか?」


「はい。その伝承の中に登場する英雄様にはある特徴があるとされています。腰に下げた武器に、あるエンブレムが入っていると。」


「…もしかして…」


「はい。ご主人様を初めて拝見した際に、私が目にした、女性の横顔と羽のエンブレム。渡人のエンブレムです。」


「それで、最初あのエンブレムを見て買ってくれと叫んだのか。」


馬車に乗った俺に、大声で買って下さいと叫んだニルを今でも覚えている。


「はい。そして、ご主人様は、私が魔族と知った今でも、同じ様に接して下さっています。

奴隷となって、ご主人様に会うまでの十年間は、確かに辛いものでしたが…今はそんな事を忘れてしまいそうな程に嬉しいのです。」


「いや、伝承はあくまでも伝承だろ?それにもし、その伝承が事実だとしても、俺がその渡人だって確証も無いだろう?」


「確かに伝承であり、ご主人様がその伝承に出てくる英雄様では無いかもしれません。ですが、もし違っていたとしても、私は一向に構いません。私自身が、心から信じられるご主人様にお仕え出来る。それだけで私は幸せなのです。」


「………」


ニルは本気で言っている。


「私は、魔族であることを隠してきました。私自身の身を守る為でもありましたが…我々の種族を守る為でもありました。

私が魔族だと知られれば、間違いなく、殺されるか、それに近い状態になっていたでしょう。そうなれば、英雄様を探す事が出来なくなります。

死ななかったとしても、魔族は謎が多いからこそあまり手を出されていないのです。私が魔族と知られれば、身柄を拘束され、弱点を晒す為の実験体として使われていたでしょう。

どちらにしても、魔族を滅ぼす切っ掛けを作ってしまうことになります。」


「自分と魔族を守る為に自分が魔族だと言う事を黙っていた…という事は分かった。だが、そこまで考えていて、何故俺に魔族だと明かした?黙っていれば良かったじゃないか。」


「魔族は同じ敵と戦う種族だと知って欲しかった…というのもありますが……何より、私自身がご主人様に隠し事をしている事に耐えられませんでした。」


「……何故そこまで俺の事を信頼してくれるんだ?」


「共に旅をしていて…と言うと大雑把過ぎますね。

そうですね…まず、私を買って下さった後、奴隷としてでなく、一人の人として扱って下さいました。温かいご飯と、綺麗な服。私が既に諦めていた物です。奴隷にとって、これがどれ程嬉しい事なのか…本当に私は恵まれています。武器だって与えて下さいました。特段役に立てるわけでもないというのに…

次に、ご主人様が小人族の街におもむき、知ったばかりの小人族の方々の為に命を賭けてまで戦った事です。例え族王からの推薦だとしても、そこまでやる必要はありません。それは今回だって同じです。他種族の為であろうと、関係無く戦う姿は、私にとっては英雄様そのものでした。」


「はは。英雄か……怪我ばかりの情けない英雄だけどな。」


「情けないなんて!そんな事はありません!」


大人の姿のニルに詰め寄られると、ドキッとしてしまう。


「お、おぅ…」


「…他にも、ご主人様は私に戦い方を教えて下さいました。普通は奴隷にそんな事はしません。ただの肉壁だと思っていますからね。

言われた事を必死で覚えて、練習して…出来るようになった時、よく出来たな。って頭を撫でて貰える事が嬉しくて…私自身も気付かないうちに、ご主人様の刀の振り方、戦い方を見て、それも練習していました。この小太刀を頂けた時は、本当に泣きそうな程に嬉しかったのですよ。

ご主人様が本気で怒った時の事も……神聖騎士団のやり方を見たご主人様は、その非道に誰よりもいきどおっていました。私の頭を撫でて下さる時、ご主人様はとても優しい顔で、とても優しく触れて下さいます。とても優しいご主人様だからこそ、神聖騎士団のやり方が許せないのだと、私は知りました。

他にも沢山あります。細かい事を挙げたらキリがありません。」


「そんな風に思ってくれていたのか…」


「…この街に来る時、人族から嫌われているのに、何故行くのかと聞かれたご主人様は、何もしなければ、何も変わらないと仰いました。本当にその通りだと思います。

そして、ご主人様は、実際にそれをやり遂げ、今では笑い合ってエルフの方々と食事を摂っています。

だから…私達魔族が嫌われ者だとしても、ご主人様の言う通り、何かしなければと思ったのです。

私一人が何をしても、この大きな世のうねりは変わらないでしょう。そこまで大層な事を考えているわけではありません。ただ…私が信じるご主人様には、私の事を全てお話しして、知って欲しかったのです。

とても自分勝手な理由ですが……」


「………とても嬉しいよ。」


「…ご主人様…」


本当に嬉しい。俺には勿体ない程に。


「この話をするのは、とても勇気が必要だったと思う。

俺の事を信頼してくれて、話してくれたなんて言われたら、喜ばずにはいられないだろ。

自分勝手な理由ならば、尚更嬉しいと思うよ。

話してくれてありがとう。ニル。」


「……はい…」


ホッとした顔をして笑うニル。その頭を、いつもの様に撫でてやると、いつもの様に擽ったそうに目を細めて笑った。

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