第37話 潜入

「プリトヒュもだったが…正体を隠すってのが最近の王族のトレンドなのか…?」


「いや。だからペネタ様は隠してないって。カイドーさんが気が付かない方がおかしい。」


「うぐっ……仕方ないだろ。そういう事には疎いんだよ。」


「疎いにも程があるだろ。」


「言い返せないところが腹立つ…が、それより今はこっちの話だ。」


話が逸れたが、元に戻す。


「問題は、俺が信用出来ないって事ですよね?」


「一言で言ってしまえば、そうなるわね。」


「……はぁ……分かりました。俺は何をしたら良いんですか?」


「え?カイドーさん?それは一体どういう…?」


ネルクが俺に疑問を投げかける。


「ペネタ様は、異常な程に慎重だ。そんな人が危険かもしれない相手に、なんの考えもなく接触したとは考え難い。

今までの話をまとめると、ペネタ様が俺を信用出来たならば、俺の力を借りたい。という事だ。

つまり、ペネタ様が俺を信用する為に必要な何か、それを用意しているはずだ。」


「な、なるほど…」


「当然用意しているわ。でも、時間が無いから少し荒っぽいやり方なのは許して欲しいわ。」


バンッ!


馬車の扉が突然開き、外から長細い何かが入ってくる。


それが槍先だと気付いた時には、即座に体が動いていた。


槍先が驚いたニルの首筋に近付いて行く。その槍先を素手で掴み取る。


ブシュッ!


槍先を強く握った瞬間に鋭い痛みが走り、吹き出した血がニルの頬に飛ぶ。


「……ご主人様……?」


目の前で俺の手から滴り落ちる血を見たニルが、腰から短剣を抜き取ると、ペネタに斬り掛かる。


ガキィン!


ネルクがその攻撃に反応し、ニルの剣を受け止めると、短剣が中程で折れて破片が馬車の中に散らばる。


ガンッ!


「殺す!殺してやるっ!!」


ネルクに小さな体を組み伏せられ、暴れるニルがペネタを睨みつけ、暴言を浴びせる。


「殺してやる!今ここでっ!」


「暴れるな!腕を折るぞ!」


「うるさい!黙れっ!」


押さえ付けられたニルが、それでも暴れようと体を捻じる。大人しくするつもりは無いらしい。


「…ネルク。離しなさい。」


「ペネタ様の命令でもそれだけは出来ません。」


「そのままでは本当に腕を折ってしまうわ。」


「ニル。暴れるな。」


「ですがご主人様が!」


「落ち着け。俺の手は大丈夫だ。皮が多少切れただけで大した怪我じゃない。」


槍先を強く握ったにしては、傷が浅い掌をニルに見せてやる。


槍先の刃が半分以上潰してあったのだ。


「俺は平気だから一回落ち着け。」


「…分かりました。」


ネルクが束縛を解くと、ニルは大人しく横に座り、直ぐに腰袋から取り出した傷薬と白布で手当をしてくれる。


「まさか槍先を逆に握り潰すとは思いませんでしたね…」


俺が止めた槍先は握った形に歪んでいる。シンヤの握力どんだけあるんだ…?


「これが俺を信用する為の行動って事は分かった。それで、結果はどうだったんだ。」


「もしカイドー様が神聖騎士団、もしくはそれとは違う組織として我々エルフの事を狙っているのなら、第二王女である私を殺せるチャンスを逃すはずが無い。

こちらから手を出したのだから、後から言い訳などいくらでも出来るわ。カイドー様の力があれば、ネルクも私も即座に殺せたはずなのに。

だからカイドー様も、ニルバーナちゃんも、信じるわ。

獣人族王と、小人族王に推薦されるその力を、貸してくれないかしら。」


「そんなに簡単に信じて良いのか?そう思わせて取り入る可能性もあるだろう?」


「いえ。無いわ。今の段階でそんな事をする必要など無いもの。」


「どういう事だ?」


「これは極秘事項なのだけれど…

私の姉である第一王女、妹である第三王女。そして弟である第二王子は既に何者かによって殺されているの。」


「っ?!」


「それは本当ですか?!ペネタ様!」


極秘事項の内容がヤバすぎる。


「間違いないわ。私がこの目で遺体を確認したから。」


「王族殺しか…」


「残ったのは私と第一王子である兄、カシュト。そして族王であるガンダール王のみよ。

一人ずつ王族が殺されて、残りは私と兄と父。今更私に取り入る必要なんて無いでしょ?」


「……犯人は兄か?」


「カシュト兄様がこんな事をしているとは思えないけれど、状況的に一番怪しいのはカシュト兄様…かしら。

王族が殺されて混乱している最中に神聖騎士団の連中が最高の、いえ。最悪のタイミングで現れたわ。」


神聖騎士団に対して都合の良い状況が続き過ぎている…か。


「内部…しかもそれらの情報を入手出来る位置に敵が入り込んでいる…という事だな。」


「尻尾を捕まえる為に王城を出たのだけれど…」


「自分をおとりにしたのか…」


「ペネタ様?!」


「こうでもしなければならない状況にあるのよ。王城で引きこもっていては破滅を待つだけなの。

それに、そのおかげでカイドー様達に会えたのだから、無駄では無かったわ。」


「…確かにそんな状況なら全てが敵に見える。慎重にならざるを得ない…か。

第一王子の計画だとしたら、狙いは王座…?いや、王座だけなら兄弟姉妹を殺す必要は無いよな。」


「だから分からないのよ。こんな事をしても、カシュト兄様には何一つ得が無いもの。」


「………」


理由は分からないが…エルフ族は、かなり酷い状況になっているらしい。


「なんて事だ…そんな事になっているなんて…」


「もうどうしたら良いのか…」


「ペネタ様…」


「ごめんなさい…弱気はいけないわね。

カイドー様。怪我を負わせてしまって申し訳ございません。

ニルバーナちゃんの剣も…直ぐに代わりの物をお渡しします。」


「いや。それは気にしなくていい。ニルも良いよな?」


「ご主人様がそう仰られるのであれば、私から申し上げる事はごさいません。」


「だそうだ。」


「本当にごめんなさいね。それと、ありがとう。」


「はぁー…ペネタ様。もう少しやり方無かったんですか?生きた心地がしませんでしたよ…」


「ごめんなさいね。ネルク。こんな役回りを押し付けてしまって。でも、あなたの腕を信用していたから。」


「っ?!」


ネルクの目が見開かれ、緊張で体が硬直している。


「わざとやってるなら相当な悪女だぞ?」


「悪女…ですか?」


「な、なんでもありませんから!」


ネルクが焦ってアタフタしている。


「??」


「それよりも、これからどうするかだろ?」


「カイドー様は…」


「人前でない時はシンヤで良い。様もいらない。むず痒いから。」


「それではシンヤさんと。私の事もペネタと呼び捨てて頂いて結構です。言葉遣いは素になっているみたいですし。」


「ペネタ様?!」


「ネルクだってそう呼んでくれて構わないと言っているでしょう?」


「出来るわけないでしょう?!」


「それじゃ遠慮なく。」


「カイドーさん?!」


「ネルクも俺の事はシンヤと呼んでくれ。信頼の証として。」


「お、おう……あれ?何の話だったっけ…?」


「これからどうするかって話だ。」


「え?あれ?」


「話を進めるぞ。時間は有限だ。」


「おう……?」


ネルク。もう少し色々と……いや。それがネルクの良いところか。


「まず、ペネタの従者達は信頼出来るのか?」


「正直に言うと、信頼出来るのは二、三人ね。」


「少ないな……俺が関わっていられるのは、ペネタあってこそだ。今はペネタの安全が第一。ネルクを傍に置けないか?」


「そうね……ネルクはそれでも構わないかしら?」


「はい。」


「ではたった今から、ネルクを私の親衛隊に任命するわ。」


「はっ!拝命いたします!」


馬車の中では跪けないが、胸に手を当てるネルク。


「正式な書面は私の方で送っておくから安心して。」


「ありがとうございます。」


「ネルクが居れば大抵の事は大丈夫なはずだ。

次は犯人探しだが…あまり時間は掛けられないよな?」


「俺の予想では明日にもこの街への攻撃が始まる。簡単には突破されないだろうが、のんびりやっている暇は無いな。」


「となると、外堀を埋めている時間は無いか…さっさと第一王子を調べる必要があるな。」


「調べるって…どうやるのかしら?いくら私とて、人族を王城に連れ込むのは無理よ?」


「それは俺とニルでやるから、王城の構造や第一王子の居場所だけ教えてくれ。」


「忍び込むのかしら?!」


「そっちはなんとかするから。

ペネタはとにかく死ぬな。それだけに集中しろ。」


「…分かったわ。ネルク。お願いね?」


「お任せ下さい。命に替えても御守りします。」


「ダメよ。ネルクも死んだら許さないわ。」


「善処致します。」


ペネタに王城の構造や第一王子の居場所を聞いて馬車を降りる。


ピコンッ!


【イベント発生!…ヒョルミナを守り抜け。

制限時間…七日

達成条件…ペネタの生存、及びヒョルミナの防衛完遂

報酬…???


受諾しますか?

はい。 いいえ。】


「………」


ピコンッ!


【イベントを受諾しました。】


達成条件にペネタの生存か……


「お気を付けて…」


ペネタの声で我に返る。


「そっちもな。」


パシン!


手綱の音がすると、王城のある世界樹へと向かって馬車が走っていく。


「今日は徹夜だな。」


「はい。」


フードを深く被り直し、人通りの少なくなった夜道を歩く。


ーー・ーー・ーー・ーー・ーー・ーー・ーー



「カナリアー!カナリアー!」


王城の廊下、薄明かりの中、腰まである金髪と黄色の瞳をした男のエルフが声を張りながら歩いている。


「はい。カシュト様。」


「ここにいたかカナリア。」


カシュトと呼ばれた男が探していたのは、緑髪を肩まで伸ばした緑色の瞳を持った女のエルフ。


「何か御用でしたか?」


「例の件はどうなっているかと思ってな。」


「万事順調に進んでおります。」


「そうかそうか!それは重畳ちょうじょう!カナリアは有能だな!」


「いえ。この程度の事は…」


「謙遜するな。信頼しているのだから。」


「…はい。ありがとうございます。」


「それより、今宵も…」


「先にお部屋でお待ちください。直ぐに向かいますので。」


「待っているぞ。」


歪んだ笑顔を浮かべた男は廊下を戻り自室へと向かう。

男の背中を見届けた女の元に、黒い影が音もなく現れる。


「……第二王女の方はどうだったかしら?」


「リョニート村を救ったという男を馬車に引き込み、何やら話をしていた様です。」


「最近チラチラと動いているわね…何を企んでいるのかしら…ふふ…気になるわねぇ…」


「殺しますか?」


「……私が殺せと言ったかしら?」


「っ?!出過ぎた事を…御容赦下さい。」


「次は無いわ。」


「はい。」


「リョニート村を救った男……ふふ……ふふふ……気になるわねぇ……」


ーー・ーー・ーー・ーー・ーー・ーー・ーー



王城へと向かう前に、色々と準備をしなければならない俺達は、別れる前にネルクから聞いた宿へと足を運んでいた。

誰でも泊めてくれるが、それなりの値段がする宿だ。家具なんかはほとんど無くてベッドすらないのに……

雨風が凌げて準備が出来るだけでありがたいと思うべきか…


「よし。これで大体の準備は終わったな。」


「はい。」


インベントリを眺めながら最終確認を行っていく。


「あ、そう言えばこんなの手に入れてたな。」


イベントの報酬で手に入れた小太刀を取り出す。


「これは…刀ですか?いつもご主人様が使っている物より短い気がしますが…」


「小太刀って言うんだ。イベント報酬で手に入れたんだけど…どうするかな…」


デザインは俺の持っている無名刀とほぼ同じ。唯一違うのは、エンブレムが入っていないという所だ。

つまり、この武器は誰にでも使えるという事。

小太刀など俺は使えないし……


「ニル。これを使え。刃渡りも短いし、短剣と同じ様に使えるだろう。」


「よろしいのですか?!」


「いつも物欲しそうに俺の刀を見ては、使い方を練習してただろ。」


「っ!!」


「気付いていないとでも思ったのか?」


「………」


ニルは、恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしている。


「無名の小太刀。使い方は練習してた通りだ。嫌なら短剣でも良いぞ?」


「いえ!これが良いです!」


嬉しそうに小太刀を受け取るニル。


「ふふ。やった!」


なんか世の中のジジババが孫に色々と買い与える気持ちが分かった気がする。


「数回振って慣らしたら王城に向かうぞ。」


「はい!」


ニルに軽く刀の使い方を指南するが、ずっと俺の刀の使い方を見ていた為か、ほとんど基礎は出来ていた。

相変わらずニルのスペックが高過ぎて驚きだが、今はそれが有難い。


ローブを別の物に変えて、王城へと向かう。


巨大な世界樹の根が地面から出ている部分。横に張り出した根が、二股に別れ、その間の扇形空間に王城が造られている。

王城と言うには質素過ぎる気もするが、街に並ぶ家々と比較したら、最も大きく最も豪勢な建物だろう。

かと言って防衛が疎かというわけではなく、根の部分を城壁として利用していて、兵士達が上を陣取っている。


問題の第一王子の部屋は向かって左手の奥。普通に侵入しては、まず辿り着けない位置に配置されている。


「直接は向かわないのですか?」


「正面から向かったりしたら直ぐに捕まってしまうからな。まずは世界樹の根を登って、王城の上から入る。

どこかに侵入する際には、出来る限り上から向かった方が見付かり難いんだ。」


「そうなのですか…こういった事は初めてでは無いのですか?」


「モンスター相手にはよくやってたんだ。見付からない様に近付いて、奇襲!これが一番効果的だったからな。」


「どうやって番兵の気を引くのですか?」


「方法は色々あるが…被害が出ないように、今回はこれを使う。」


「えっと…グリーンモールドでしたか?」


「正解だ。」


俺が手に持っているのはサッカーボール程度の大きさの緑色のカビ玉。


【グリーンモールド…衝撃を与えると爆発音の様な大きな音を出して破裂する。】


「音を出して気を引くのですね。」


「そう何度も使えないから、しっかり付いてくるんだぞ。」


「はい!」


根の付近には、当然見回りの兵士達が立っている。


「目を逸らしたら一気に上まで駆け上がるぞ。」


「はい!」


グリーンモールドに衝撃を与えた後、根から離れた位置に投げる。


バァァン!!


周囲一帯に響き渡る爆音。


「なんだっ?!」


「なんの音だ?!」


一気に周囲の兵士達が慌ただしくなり、音のした方を向いている。


死角を縫って一気に世界樹の根へと走る。

ニルもかなり体力が付いてきたし、抱えなくてもこれくらいは軽くこなせる様になった。


世界樹の根に足を掛けると、硬い表皮の感触が足の裏に伝わってくる。

小さな山脈の様にグネグネと波打っている根の上を進んでいくと、数人の兵士達が見えてくる。


根から王城を覗き見ると、まだ少し距離がある。


もう一つ、グリーンモールドを投げる。


バァァン!!


「またかっ?!なんだ?!」


根の上を見回っている兵士達も音のした方を向いている。


兵士の後ろを一気に駆け抜け、王城の上に辿り着くと同時に強く踏み切る。


空中に飛び出した体が重力に引き寄せられる。

落下中に魔法陣を描き上げると、足元に突風が吹き荒れ、落下速度が一気に減少する。


「ニル!」


後ろを向き、落下してくるニルに両手を差し出す。


「っ!!」


ニルを受け止めて王城の屋根に着地する。


「うぐぐ……さすがにこの高さは足に来る…」


「だ、大丈夫ですか?」


「ビーンと来ただけだから大丈夫。それより、ここからは慎重に行くぞ。」


「はい。」


屋根伝いに進み、第一王子の部屋の真上に到達したところで下を覗き込むと、王城の内側二階部分に張り出したバルコニー、その下は中庭になっている。


「ニルはここで待ってろ。俺に何かあったらこれを中庭に投げてくれ。」


「ブルーモールド…撹乱して逃げるという事ですね。」


「頼んだぞ。」


「はい。」


ニルに何個かブルーモールドを渡してバルコニーに降りる。


大きなガラス扉になっていて、バルコニーからでも中がよく見える。

壁に張り付いて覗き込むと、小さな火の灯りが大きなベッドの横にポツンと有る。


照らし出された部屋の中には、他では見なかった豪勢な調度品が並べられている。


何サイズかと聞きたくなるような大きなベッドの上にある薄い布には二人分の膨らみ。


右手の膨らみには、長い金髪の男性が仰向けに寝ている。

左手の膨らみには、肩までの緑色の髪の…恐らく女性。横向きになっていて顔は見えない。

二人とも布から出ている肩に、服は見えない。


ペネタの話ではカシュト第一王子には、まだ相手がいないと聞いていたが…


部屋の中を見ても、他に有力な情報になるものは無さそうだ。別の場所を探してみようかと考えていると、左手に寝ていた女性がムクリと起き上がり、こちらを向く。


「………」


「ふふ……あなたが例の男…かしら?」


「っ?!」


ガラス越しに聞こえてくる女性の妖艶ようえんな声。

一瞬だけ見えた顔は緑色の瞳に長い耳。薄い唇。

声と一致する様な妖艶な美女。しかし、どこが寒気を覚える様ないびつさを感じた。


「………」


「シャイなのね……ふふふ…姿も見せてくれないなんて…気になるわねぇ…」


「っ?!」


ガラス越しに見える部屋の中に、緑色の光が溢れる。咄嗟に顔を庇うと、バリバリとけたたましい音を立ててガラスが割れ、破片が中庭へと降り注ぐ。


割れた扉の周辺には風魔法で付けられた傷。


完全にバレている。


「な、なんだ?!」


音にビックリして起きた、女の隣の人物が慌てている。


「侵入者です。」


「王城に侵入者だと?!」


「カシュト様はお下がりください。」


もう一度緑色の光が溢れると、強い風が中から外に向かって流れてくる。


屋根の上から投げ込まれたブルーモールドが黒い胞子を撒き散らし始め、一気に中庭が暗く、黒くなる。


「ちっ。」


バルコニーの手摺に足を掛けて飛び上がるが、屋根には届かない。


ズズッ!


ベストなタイミングで壁から生えてきた石の壁。それを足場にして屋根の上に上がる。


「引くぞ!」


「はい!」


二人で屋根を伝って脱出を開始する。


ニルが投げてくれたブルーモールドのお陰で兵士達は中庭に気を取られている。


騒ぎを聞きつけて、外に居る連中もすぐに集まってくるだろう。その前に脱出したい。


「急ぐぞ!」


「はい!」


帰りはある程度派手に通っても問題は無い。捕まりさえしなければなんとでもなる。


屋根から王城前の庭、更にその奥にある城門まで一気に駆け抜ける。


「侵入者だ!侵入者ぁ!」


城門で見張りをしていた男性エルフ数人が俺達に気が付いて槍を構える。


「こ、ここからどうしますか?!」


「目を閉じろ!」


「はい!」


地面にいくつかの黄色いカビ玉を落としていく。


「あれはイエローモールド?!いかん!皆直視するな!」


パァンパァンパァン!


背後から強烈な閃光が放たれ、目の前に居た兵士達が下を向く。


「クソッ!逃がすな!」


「み、見えません!」


じたばたしている兵士達の脇を抜ける。


「城門はどうしますか?!」


「足場を作って登るしか」

「こっちです!」


「っ?!」


ローブを着た誰かが城門脇にある小さな扉から手招きしている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る