第30話 イガルテ

「あれは…」


「僕達の言っていた村だよ…」


順調な旅路の途中。菌糸の森も、もう直ぐだというところで、カラとライの言っていた村が目に入る。


焦げ跡が地面に黒く残り、まだ付近には焦げ臭さが漂っている。


「酷いな…」


「何一つ残っていませんね…」


「ここには獣人族の方々が住んでいたんだよ。何度か僕達とも物々交換しに来たから間違いないと思う。」


「村の人達は…?」


「……分からないわ。私達がここに来た時には誰もいなかったから。」


「逃げていてくれていると良いが…」


神聖騎士団……本当に好き放題だな……


「ここまで来られたなら菌糸の森はすぐそこだね。抜け道を使うんだけど、馬車は通れないんだ。」


「そうか…仕方ないな。ニル。馬は逃がしておくから二人に抜け道の場所を教えてもらっておいてくれ。」


「分かりました。」


三人が馬車から離れるのを見届けて馬を逃がし、馬車をインベントリに収納する。


「このサイズでも入るってのは凄いな…インベントリで見たら馬車一個。なんて異様な表記なんだ…」


アイテム一個分として収納されている異常性に圧倒されつつも、三人の後を追う。どうやら抜け道は森の北側にあるらしく、ぐるりと回り込んでいく。


「ご主人様。こちらです。」


ニル達の前に広がる菌糸の森。


「森と言っても、木々は存在しないのですね。」


大小様々なキノコ。大きいものではそこらの木々より太く高い。小さいものでは爪の先より小さい。

色も形も様々。真っ赤なキノコや真っ青なキノコ。水玉に縞模様。ネトネトした粘膜を持っているもの、蛍光を放っているもの。あらゆるキノコが所狭しと生えている。

キノコだけではない。針の様な菌糸がまとまってボンボンの様になったものや、巻貝の様な形をした菌糸の塊が地面の上に生えていたりする。


「ここが菌糸の森だよ。」


「視覚的ににぎやかな場所ですね。」


「菌糸の森はデルスマークよりも広いんだぞ。」


「えっ?!そんなにですか?!」


「僕達はここに自生する、あらゆる菌の研究をずっと行っているんだ。」


「ずーっとね。まだまだ分からない事だらけって言われているんだからね!」


「菌とは奥が深いのですね…」


「まあね。」


「さてと、それじゃあ行こうか。」


「行くって…まさかここを行くのか?!」


カラとライが向かった先には大きなキノコの根元に隠されていた小さな穴。匍匐前進ほふくぜんしんでやっと通れるくらいのサイズだ。

小人族の抜け道。確かにこのくらいの大きさが有れば彼らにとっては簡単に通れるサイズだが…


「ど、どこまで続いているんだ…?」


「んー…歩いて二十分くらいかな?」


「おほぅ……」


「見つかるより良いでしょ?ほら、行くよ!」


小さな穴に入っていくカラ。ニルが続き、俺、そしてライが最後尾だ。


「ほら!ちゃっちゃと来ないと日が暮れるわよ!」


「普段使わない筋肉が悲鳴を……いや、意外と大丈夫だな。俺の肉体半端ないな。」


シンヤステータス…パネェ。


「わ、私は少し大変です…」


「…そうか。なら休み休み行こう。今更焦ったところで何も変わらないさ。」


「…はい!」


言いたい事を言ってくれる。それがこんなに嬉しい事だと感じるとは…


「ご主人様?」


「なんでもない。先に進んでくれ。」


小さな穴の中をゆっくりと進んで行く。一時間近く掛かったが、俺達はなんとか抜け道を通り抜けた。


「うわぁ……」


狭い穴を抜けた先を見て、ニルが感嘆の声を漏らす。


大きなキノコの根元を切り出し、扉を付けて家にしていたり、真っ白な壁で覆われた家。皆同じチョッキを着て、小動物の様にちょこちょこと動き回っている。

蛍光するキノコが所々に生えていて、街灯のように周りを優しく照らし出している。


「ここが僕達、小人族が住む街、イガルテだよ!」


一度モニター越しに見た世界。あの時も感動したが、目で見た世界は比較にならない程に美しい。


「私こんなの初めてです!」


「私達の街は凄いでしょ?!」


「はい!」


感動しながら周りの景色を見ていると、俺達に気が付いた小人族がコソコソと話をしながら遠ざかっていく。


「そこの者!動くな!」


カラ達と同じくらいの大きさをした小人数人が槍を構えながら現れる。頭にはドングリの様な形をした、赤い斑点模様が付いた白いキノコの傘を被っている。


「なんですかあれは……可愛い。」


両手を胸の前で合わせて小人を見ているニル。


「可愛い事には同意するが、今はそれどころじゃないと思うぞ。」


「うっ…はい…」


「人族!動くな!」


小人の兵士が小さい体で小さな槍を向けてくる。


「ま、待って待って!僕達が連れて来たんだ!」


「ライ?デルスマークに行ったのでは?」


「事情を説明するから、とりあえずその槍を下げてくれないかな?」


「………」


「大丈夫。外の奴らとは違うよ。」


「ちょっとでも変な動きを見せたら串刺しにするからな!」


掌サイズの小人が威嚇してくるけれど、それすらも可愛く見えてしまう。という事は内緒にしておこう。


「シンヤ!私達に着いてきて!族王に説明をお願いするわ!」


「分かった。」


小人族は世界中の中でここにしか居ないと言われている。街と表現していたが、ここは彼らにとっては国でもあるという事だ。残念ながら国という概念は無いが……当然の事ながら族王もここに居る。その小人族王に会いに行くのだ。


小人族の街は全てがミニチュアサイズ。家、テーブルや椅子、店。全てだ。ジオラマの世界に入り込んだみたいだ。


「ふ、踏んでしまいそうで怖いです…」


「はいはい退いた退いたー!ボケっとしてると踏まれるよー!」


先頭でカラが両腕を振りながら付近の人達を遠ざけていく。

暫く歩き、街の中心となる場所に辿り着くと、これまで見たキノコの中でも、とりわけ大きなキノコが現れる。

直径数メートルにもなるキノコには飾りや窓、扉が付いていて、他の家々よりも豪華な作りだと直ぐに分かる。


「族王はここに?」


「そうだよ!」


ゲーム時は街中にまでは入らなかった。というかイベントで立ち寄っただけで、入口から中を覗く事しか出来なかった。奥はこんな風になっていたのかと色々と見渡してしまう。


「俺達はここで待っていれば良いか?色々と小さ過ぎて入る事は出来ないしな。」


「うん!少し待ってて!報告してくるよ!」


二人が扉から中へと入っていく。周りから小さな視線が飛んでくるが、反応しない方が良さそうだ。今は下手に動かず、族王との話を上手くまとめる事を最優先としよう。


暫く待っていると、正面の扉がゆっくりと開き、中から何人かの小人に囲まれて族王らしき人物が現れる。


白髪、白髭、白眉毛。顔のパーツがほとんど毛で見えないが、優しそうな雰囲気をかもし出している。

体型は少しぽっちゃりしていて、皆と違う赤いチョッキを着ている。


「君達が援護に来てくれた者達か?」


「シンヤと申します。後ろの者はニル。我々二人しか来られなかった事、申し訳ございません。

それと、この場では立っている方が良いと思い、礼を失した態度となりますが、どうか御容赦下さい。」


「ほっほっほっ。荒くれ者が多い冒険者と聞いていたけれど、どうやら認識を改める必要がありそうだな。だが、そこまでかしこまる必要は無い。敬語も不要だ。」


「族王様?!」


横にいた兵士の一人が焦って族王を止めようとするが、手でそれを制する。


「良いのだ。助けて貰おうというのに偉そうにする意味など無い。

私の名はテリ。名ばかりの王だ。」


「……では遠慮無く。

まずは俺達が獣人族王の後ろ盾がある事を手っ取り早く証明したい。これを見てくれ。」


「あの二人が言っていた書簡か……………ほっほっほっ。確かにこれは獣人族王の書簡だな。間違いない。」


「で、ではやはり…」


護衛の者達が暗い顔をする。援護が来ない事を聞いているのだろう。


「暗くなるでない。

シンヤ…と言ったな。獣人族王は我々を見捨てたのか?」


「それは違う。現在獣人族王は遠く離れた地にいる。援軍を送っても、辿り着く頃には菌糸の森とは言え蹂躙された後となるだろう。

それは獣人族王の本意ではない。そこで、デルスマークに居た獣人族王の娘と連絡を取り合って俺を向かわせる事にしたんだ。この書簡を持たせてな。」


「他の街も襲われていると聞いた。防衛を薄くしてそちらが潰されては本末転倒。苦肉の策という事か。」


「…ていに言えばそうなる。」


俺の言葉に周りがざわめき出す。誰が聞いてもこの結論に行き着くだろう。ここは体裁よりも真実を述べる方が良いと判断したが…まずかったか…?


「皆の者落ち着けぃ!」


ザワザワとしていた声がピタリと止まる。名ばかりの王には出来ない芸当だろう。


「今現在、各地に散らばっている族王達も、各々で苦しい対処に迫られておる!そんな中、獣人族王が送ってくれた者達だ!大いに歓迎しようではないか!」


「そ、そうだよな。皆大変な時なんだ。送ってくれただけでも感謝するべきだよな。」


「そうね。私達だってやれるわ!」


族王の一言で小人達に明るい雰囲気が伝播でんぱしていく。


「シンヤ。詳しい話をしたいのだが…座れる場所まで移動しよう。」


「分かった。」


族王の後に続いていくと、少し広いスペースに、ちょうど良い腰掛けサイズの緑色の傘を持ったキノコが生えている。


「掛けてくれ。」


キノコに腰を掛けると、ふかふかしていてゆっくりと体が沈んでいく。


「おぉ。なんかふかふかしてるな。」


「フカキノコと呼んでいる種類だ。人一人乗せた所ではビクともしない丈夫なキノコだ。」


「面白いキノコのオンパレードだな……それより、状況はどうなんだ?」


目線の高さにある小さなフカキノコに腰掛けた族王に話を振る。


かんばしくない。いや、遠回しな言い方は止めよう。かなりまずい状況だ。

神聖騎士団の連中は、西側から南側にかけて広く位置取り、徐々に菌糸の森を削り取っている。」


「削り取って…?」


「最初は隊列を組んで森の中に入ってきていたのだが、我々の攻撃によって追い返された後、中に入らず、外から森のキノコを破壊しているのだ。幸いこちらに被害はほぼ出ていないが、それも時間の問題だ。」


「なるほど…それは手の出しようが無いな…敵の数は?」


「正確には分からないが、四百人程度だろうとの事だ。」


「四百か……アンデッド四百とは全く別物だろうな…」


「まだ菌糸の森に余裕はあるが、このまま削られ続けたら遠くないうちに中まで侵入されてしまう。」


「侵入を許したら後は一方的に蹂躙されて終わりだな……となると、森の外にいる奴らへ攻撃を仕掛ける必要があるな。」


「だが我々は…」


「小人族の戦い方は分かっている。外にいる連中への攻撃は俺とニルに任せてくれ。ただ、その前にいくつか準備が必要だ。」


「我々は何をしたら良い?」


「小人族にしか出来ない事だ。詳しく話すぞ。」


俺はソロプレイヤーを押し通してきた。一対多の戦闘は嫌という程にやってきたし、その時の知識をフル活用すれば、今回の状況も打破出来るはずだ。

族王に詳しい作戦の話をして、どういう事の運びになるかを細かく伝える。

当然その場には小人族の兵士も何人か居て、俺の話に耳を傾けていた。


「ほっほっほっ!さすがは冒険者。というよりも、シンヤが特別なのだろうな。」


「誰でも考え付く事だ。」


「ほっほっほっ!謙遜だな!

よし!兵士達よ。今の話は聞いたな?」


「はい!」


「これより本作戦を、小さき戦士作戦と名付ける!

各員直ぐに取り掛かれ!現場の指揮はシンヤに一任する!」


ピコンッ!


【イベント発生!…小人族の街、イガルテを守り切れ。

制限時間…5日

達成条件…イガルテを敵から守り抜く。

報酬…???


受諾しますか?

はい。 いいえ。】


ピコンッ!


【イベントを受諾しました。】


「…ご主人様…凄いです!」


「え?なにが?」


「凄いです!」


「理由の分からない賞賛再び?!」


「こんな短時間で、あれ程の作戦を…凄いです!」


「経験があっただけだ。それより、俺とニルの負担が一番大きい。気合い入れていかないと倒れるぞ。」


「はい!頑張ります!」


俺達は小人族の兵士達と共に街を出て森の中に入る。


「本当に多種多様なキノコやカビがあるのですね…どれがどんな効果を持っているのか全く分かりません。」


「素人がキノコに手を出すと危ないってのは常識だからな。だからこそ天然の防壁になっているんだ。小人族の案内無しにこの場所に足を踏み入れたりしたら何が起きるか分からない。」


「それだけでも恐ろしいのに、その上、その特性を活かした攻撃を小人達に仕掛けられたりしたら、あっという間に追い返されてしまいますね、」


「それこそがこの森に住む小人族を害せない理由だ。

お、そこに群生しているのは兵士達が被っているキノコと同じ物だな。」


「分かるのですか?!」


「鑑定魔法って言ってな。その物がどんな物か分かるんだよ。」


目の前に生えたドングリの様な形をした、赤い斑点模様の白いキノコに目をやる。


【カブトキノコ…傘が硬く小人族は兜として使っている。】


「あっちはさっき座っていたキノコと同じ物だ。」


【フカキノコ…傘がクッションの様にフカフカでありながら丈夫なキノコ。】


「他にはどの様なキノコがあるのですか?」


「例えば、あの毒々しい紫色のキノコ。」


「絶対に食べられないキノコですよね…」


俺が指差した先に、シイタケの様な形と大きさを持った真紫のキノコが生えている。


【ムラサキキノコ…食用として重宝されるキノコ。】


「あれは食用として重宝されるらしいぞ。ムラサキキノコと言うらしい。」


「えっ?!」


「俺も食べた事は無いが…機会が有れば食べてみたいな。逆にあれは危険なキノコだな。」


横に生えている、直径一メートル程の大きさの、球状の傘を持ったキノコがある。黄色い水玉模様の白いキノコだ。


【ボムキノコ…衝撃によって傘の内側に持っている胞子をばら撒く。胞子は反応性が高く、火気を近付けると爆発する。】


「触ると火気によって爆発する胞子をばら撒くらしいぞ。」


「怖いですね…」


「他にも危険なキノコや菌は沢山あるが、それは小人達に任せるぞ。下手に手を出したら逆に時間が掛かるだろうからな。」


「シンヤ!」


カラとライが手を振りながら近付いてくる。


「カラ!ライ!お前達も手伝ってくれるのか?」


「当然だよ!」


「それは心強い。族王には指揮を任されたが、実際の作業までは分からないからな。代わりに指示を出してくれないか?」


「分かった!」


カラとライに重要な点を伝えつつ詳しい説明をする。


「そうなると、僕はこっち、カラは向こう。別々に指示を出した方が良さそうだね。」


「出来そうか?」


「これくらい朝飯前よ!」


「大丈夫。僕達の森だからね。」


「そうだな。小人よりこの森に詳しい奴は居ないからな。こっちは頼んだ。俺とニルは前を見てくる。」


カラとライに小人達のことは任せ、俺はニルを連れて森の外側、つまり神聖騎士団の連中が向かってきている方へと進んで行く。


「どうだ?」


カブトキノコを被った小人の一人に話し掛ける。


「大分近くなってきたぞ。このまま進まれたら明日の朝にはここまで来るだろうな。」


空は赤くなりつつある。時々爆発音や何かを削る様な音が聞こえてくる。


「作業を急がせてくれ。日が昇る前に全て終わらせるぞ。」


「分かった。」


「ニル。この辺りの地形を確認しておくぞ。しっかりと頭に入れておいてくれ。使えそうなキノコやカビの説明もしておく。」


「はい!」


一気に慌ただしくなる菌糸の森。

小人達が走り回り、俺とニルはひたすら練り歩き付近の状況を頭に叩き込んでいく。


「シンヤ!」


大体の状況を把握した頃、カラが俺とニルを呼ぶ。


「カラ。どうした?」


「後は私達に任せて少し寝て。」


「…そうだな。ニル。一度体を休めよう。」


「分かりました。」


「シンヤ……」


仮眠を取りに行こうとする俺達にカラが暗い顔をする。


「カラ。心配するな。必ず上手くいくさ。」


「…うん…」


不安なのはカラだけではない。


小人族は、この菌糸の森があるからこそ戦える種族。裏を返せば、この森を失えば彼らは無力だと言うことだ。

この作戦が失敗したら、街は一気に危うくなる。


この森の中でしか戦えない小人達。彼らの力を借りようとすれば、俺とニルも、森から大きく離れる事は出来なくなる。

そうなると、俺達に出来ることは限られてくる。その中でも使えそうな作戦を提案しただけに過ぎない。小さな戦士作戦が絶対に成功し、外のクズ共に完勝出来るかと問われれば、分からない、としか答えられない。

それでも、小人族の連中は今、俺とニルを支えに戦闘意欲を保っている。ここでカラに情けない事を言えば、全てが瓦解がかいしてしまう。


「俺は死聖騎士を倒したんだ。そんなに心配しなくても、俺達がなんとかするから大丈夫だ。」


「…うん!」


カラの顔に明るさが戻ってくる。

これが名将だとか、騎士とかだったら、無責任な事は言うな、なんて言われるかもしれない。

負けた時の事を考えておく事も必要な事だと。


でも、ここで勝てるか分からない、負けるかもしれない、なんて言って、彼らを別の何かで鼓舞こぶする事は…俺には出来ない。


俺に出来るのは、ただがむしゃらに、彼らを守ろうと力を振り絞ることだけだ。


「小人族の街に着いた途端にこんな事になるとはな……プリトヒュとは分の悪い約束をしてしまったのかもしれないな。」


「ご主人様…?」


「……いや。彼らには今、俺とニルしか居ない。

もう掴み損ねたりしないと誓ったじゃないか。」


胸元のネックレスに触れる。横を見ると少し心配そうに俺を見上げているニル。


「大丈夫だ。少し考え事をしていただけだから。」


「…はい。ご主人様…少しお腹が空いてしまいました…」


「はは。そうか。それじゃ夕食を摂ってから暫く休もう。」


「はい!」


ニルとインベントリから取り出した屋台食を満腹にならない様に食べた後、フカキノコの上に登り横になる。フカキノコはこの一つしか付近には無いため、ニルも一緒だ。


菌糸の森を下から見ると、所々に優しく光るキノコやカビが蛍のように見える。日が落ちて暗くなった菌糸の森の中は想像以上に神秘的な世界だった。


「これから戦闘が始まるなんて思えない程に綺麗ですね…」


「そうだな…」


「………」


ニルには休もうと言ったが、正直眠れそうにない。

イーサ達と戦った時はトントン拍子に事が運んでしまい、気が付いたら戦場にいたが、今回は相手が来るまでに時間がある。


怖い。それが正直な気持ちだった。クズ共を殺す事に躊躇も罪悪感も無い。でも、大規模な戦闘は…やはり怖い。

経験が増せばこの恐怖にもいつかは慣れるのだろうか…

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