第27話 ニル

うーん…どういう事だ?

人違いでも、人探しでもない。で、俺に付いて来たい。

エンブレムを見た時に買ってくれと言われたし、渡人だからか…?いや、でもこの子は小さいし、奴隷の常識をしっかり分かっている所からしても、長く奴隷として生きているはずだ。

そうなると、渡人の事を知っているとは考えにくいし、知っていたとして、それが主人を選ぶ理由になり得るのか…?


分からんことだらけ過ぎる!!


「ま、まあ人探しじゃない事は分かった。

それで、俺に付いてきたい事も分かった。」


「はい!」


やっと少しだけ笑顔を見せてくれるニル。


「でも、残念だけど、俺はこれからかなり危険な旅に出るつもりなんだ。俺は神聖騎士団と揉めるつもりだからな。ニルをそんな危険過ぎる旅に同行させるのはさすがに…」


危険な旅に少女を同行させるオジサン……アカンやつ!虐待!ダメ絶対!

俺の中に眠る母性がそれを許さない!


「その……ダメなら…死にます。」


「…………ん?」


待て待て。聞き間違いだ。多分。うん。


「売られても…他の人に渡っても……結局はまたあの牢に戻る事になります……ならいっそ…死にます。」


聞き間違いじゃなかったー!ってか目が座ってるー!


「待て待て。なんでそうなる?俺の友達なら大丈夫だから。」


「ご主人様に付いていきたいのです!それ以外の道に行くなら死にます!」


「何故こうなったー!?」


「………」


「一度落ち着こう。俺。

うん。落ち着いても分からんて!

どういう事だ?俺に付いてくるより、俺の友達に頼んだ方が全然楽だと思うぞ?」


「私は…ご主人様が…シンヤ様でなければダメなんです!」


絶対に引かないと目が言っている。


「確固たる決意過ぎないか?!」


「はい!」


「さっきまでのしおらしい態度はどこへ……」


「その……何でもします!だから連れて行って下さい!」


「うっ…」


少女の目にはよく見たら涙が溜まっている。手も肩も震え、まるで雨に打たれた捨て猫の様だ。

ただ、その目は死聖騎士と戦う事を決めたイーサと似た目をしている。俺が断れば、本当に死ぬ気だろうと思わされる目だ。

ニルを買った手前、そんな寝覚めの悪い結末は俺も望んでいない。となれば…結論は一つだろう……


「……わ、分かった。とりあえずは連れて行く。」


「あ、ありがとうございます!一生懸命頑張ります!」


何度も頭を下げるニル。


「ただ、本当に危険な旅だ。俺も、ニルも死ぬかもしれない旅だ。無理だと判断した時は、もう一度話し合うからな?」


「それでも私の気持ちは変わりません!」


「変わらないとしても、もう一度話し合う。これは約束だ。」


「分かりました!」


「…はぁ…何故こうなった……」


喜ぶニルの笑顔を見て、溜息が止まらない。

神聖騎士団の事は奴隷でも知っているはずなのに……


とはいえ、一度連れて行くと言葉にしたのだ。ここは腹をくくるしかない。溜息を吐いていても、現状は変わらない。


「俺に助けを求めた理由はもう聞かない。だがもう一つ。ニルを害する者を傷付ける魔法が掛かっていると聞いたが、詳しく教えてくれないか?」


「はい。私の体に直接掛けられている魔法です。私を傷付けようとしたり、害そうとした場合、その相手に、相応の反撃を自動で繰り出す魔法です…」


「自分で掛けたのか?」


「いえ。自分でではありません…」


「それは誰に対してもなのか?」


「はい…」


「それだと、主人がニルを傷付けようとした場合、勝手に自動反撃して、主人を傷付けようとしたという事でニルが死んだりしないのか?」


「この魔法を掛けた者による攻撃と判断されるので、そうはならないみたいです。」


「言葉から察するに実体験か…」


「はい…」


とても怖い思いをしてきたのだろう…


「よし。それじゃあとりあえず、飯を食おう!」


憂鬱な事は飯を食えば大体吹き飛ぶものだ。俺の自論だが。


「昼に買った焼き鳥でも…いや、消化に良い物の方が良いか。となると…確か野菜スープがあったな。」


インベントリを開こうとして手を止める。その前に、旅の同行者になるなら俺の事をある程度は教えておくべきだろう。毎回バッグの中から暖かいものや色々な物が出てきたら直ぐにバレる。ドラ〇もんだー!とか言われる前に話しておこう。


「ニル。今から話す事は誰にも言わないように気を付けてくれ。」


「はい。死んでも言いません。」


「直ぐに命を天秤に乗せないで!?」


俺は自分が渡人であること、インベントリという魔法が使える事、神聖騎士団との事等、大まかな情報をニルに伝えた。


ニルはコクンコクンと頭を縦に振ってしっかりと聞いてくれた。言っていた事も理解しているだろう。


「つまり、俺はこうやって、インベントリからいつでも出来たて料理を取り出せるという事だ。」


ニルに、野菜スープを手渡す。


「…湯気が出ています。」


「特別な魔法だからな。今話した事は全部内緒にするように気をつけてくれ。」


「はい。分かりました。」


野菜スープを手に持ったニルがその場に立ち上がり、俺の口元に手を添えてスプーンを持ってくる。


「わーい!念願のあーん、だぁー!ってちがーう!」


「えっ?!も、申し訳ございません!」


「いや、謝る必要は無いけど、あまりにもスムーズな動きでパクリといくとこだったよ?!それはニルの分。自分で食べる分だから、俺に食べさせる必要は無いんだよ。」


俺は自分の分をインベントリから取り出してニルに見せる。


「私の…分…ですか?」


「これも変なのか?」


「普通は、食べた残り物を…」


「残飯っ?!残らなかった時はどうするんだ?」


「無しですが?」


「つぶらな瞳で残酷な現実?!

ま、まあ、街にいる時はともかく、俺と二人の時はこうして普通に分けて食べるから、慣れてくれ。」


「分けて……あ、ありがとうございます!」


「うんうん。よし。それじゃあ食べようか。」


「はい!」


ニルがおもむろに俺のスプーンを手に取り、口元に手を添えて持ってくる。


「わーい!念願のあーん、だぁー!ってちがーう!二回目っ!デジャヴュ?!」


「も、申し訳ございません!」


「いや、うん。謝らなくて良いけどね。俺も自分で食べるから一緒に食べようって事。俺だけ先に食って、ニルだけ後とか寂しいから。

その行動も、普通の事なんだとは思うけど、今は無し!良い?」


「は、はい…」


「それと、直ぐに謝るのも無し。別に悪い事したわけじゃないからさ。」


「申し訳ござ……わ、分かりました。」


「それじゃあ冷めきる前に食べようか。いただきます。」


「い、いただきます。」


調味料の高い世界の出店で売られている物は基本的にシンプルな味付けだ。言い方を変えれば…薄い味付けとも言えるだろう。

当たり前のように調味料が手に入る世界に居た俺にとっては少し物足りない気がする味付けだが、これはこれで悪くは無い。


「まあこの店が一番良い味だったし、ニルの口にも合うと良いけど…ってえぇぇぇ?!」


「………」


音も声も無く、頬張ったスープを咀嚼そしゃくしながらポロポロと涙を流すニル。

確かに塩気が足りなかったからねぇ…って違う!


「ど、どうした?」


「……おい…しい…です……」


一杯二百ダイスの簡単な食事。そんな簡単な食事さえ、まともに食べてこなかったのだろう。

余り物の話もそうだが、奴隷商にいる時も、ろくに何も口にできず……もし俺がニルを買わなければ、売れない奴隷としてどうなっていたかなんて、聞かずとも想像出来る。

俺に買われたニルが必死になって後を追ってきたり、何に対しても直ぐに謝ったり…それは次が無いことを知っているからだろう。

文字通り、なのだ。


「ゆっくりでいいからな。好きなだけ食べろ。」


「…は…い…」


小さな口で、小さな手で、ニルは必死に夕食を摂った。泣きながら…


「とりあえずの腹拵えは済んだな。出店の品で悪かったな。」


「なぜ謝られるのですか…?」


「…いや。お腹は一杯になったか?」


「はい!」


「なら良い。寝る前にもう少し聞いても良いか?」


「なんなりと。」


「ニルはさっき、あの店で、俺に買ってくれと言わなかったよな?あれはどうしてなんだ?」


「…その……私が買ってくださいとお願いして、ご主人様が買うと言った場合…値段が…」


「やっぱりか……年端もいかないのに、そこまで頭が回るのは凄いな。」


「………」


「旅に出ると言ったが、経験はあるか?」


「…はい。一通りの事は分かります。」


「それは助かる。明日デルスマークを出ようと思っているんだが、食糧以外に必要な物はあるか?」


「目的地が遠くならば、馬車が必要かと思います。」


「馬車かぁ…やっぱり必要だよな…

俺、馬車を操ったこと無くてさ…」


「御者ならば私が出来ます!お任せ下さい!」


勢い余って立ち上がるニル。凄い迫力だ。


「お、おう。そうか。それなら馬車を買っても良いな。明日買おう。他には?」


「……その……」


「なんだ?言ってみろ。」


「…はい。モンスターが出てきた場合、私も戦いますので、武器を…」


「武器?」


「も、申し訳ございません!」


「また謝ってるぞ。」


「あっ…」


「奴隷に武器を持たせるのは普通ではないのか?」


「奴隷のタイプにもよりますが、基本的には持たせません…危険ですから…」


「なるほど…でも、何かあった時に身を守る物は必要か。その体のサイズだと、ナイフ……いや。ダガーくらいは使えるか?それとも短剣と盾か?」


「そんなに高い物は頂けません!」


「いや、ニルが使えるなら、その方が良い。

ニルが自分の身を守れなければ、俺の危険にも繋がるからな。」


「う…ご主人様の身が危険に……それは看過できません…」


「なら決まりだな。俺としては短剣と盾がオススメかな。単純に盾があった方が身を守りやすいからね。どうかな?」


「はい!」


「そうだな…ニルの体格だと盾も小盾の方が良いかな。後は短剣が…この辺りか。」


インベントリを開き、武器を見ていく。短剣や盾は基本的に使わなかったが、お金に困ってもいなかったし、ほとんどはインベントリに入ったまま放置されていた。

その中から初級者用の丸小盾や短剣を取り出す。どんな街でも売っているシンプルな代物だ。


「鉄製の短剣と小盾だ。持ってみて。」


「は、はい!」


左手に小盾、右手に短剣を持つニル。


「軽く短剣を振ってみて。」


「はい!」


ブンッ!ブンッ!


「やー!」


ブンッ!


「………」


「……どうでしょうか?」


「いや。驚いた。かなり様になってる。

使った事があるのか?」


若干、剣の重さに振り回されている感はあるが、食べて体力を付ければそれも無くなるだろう。

短剣の振られた軌道、鋭さ。とても少女が振るう剣とは思えない。


「は、はい。」


「よし。これなら、そこらのモンスター程度なら心配無いだろう。」


「ありがとうございます!」


「剣は腰、盾は背中に収納できるようにしておいてくれ。


「分かりました!」


「後は…靴と服だな。流石に少女に合う服や靴はインベントリにも入っていないから、買うしかないか…でも、このまま街に入るのは…そう言えば、イベント報酬があったな。」


インベントリ内に転送されているはずのローブを探し出して取り出す。


フード付きの、俺がよく使うローブに似た形のローブが出てくる。


「……ちょうど良さそうだな。」


ローブのサイズは明らかに大人ではなく、子供用のサイズ。ニルに着せれば間違いなくピッタリだろう。


「やっぱり、イベントには何かの意思が入っているのか…?こんなに都合良く…?」


「ご主人様?」


ローブを見ながら独り言を言っている俺に、ニルが声を掛けてくる。


「あ、あぁ。すまない。これを上から着てみてくれ。」


「こんな綺麗な布を…汚れてしまいます。」


ニルの全身を見ると、初めて見た時と変わらず、汚れが酷い。


「それもそうか。ニル。そっちに立ってくれ。」


「この辺りですか?」


「そうそう。体を洗うから息止めておけよ。石鹸も使うから目も閉じるんだ。」


「え?」


「目を閉じて息を止める!」


「あ!はい!」


固く目を閉じて息を止めるニル。


魔法陣が完成すると、石鹸の欠片を巻き込んでニルの全身を包み込んでいく。


水流によって全身に付着していた汚れが見る見る落ちていく。


バシャッ!


「ぷはぁ!」


「もう一度行くぞ。」


「はい!」


次はただの水で全身を洗い流す。


パシャ!


「ぷぁっ!」


目を閉じたまま口を開き息を吸い込むニル。


「水を飛ばすぞー。」


「は、はい!」


風魔法を使って全身の水気を飛ばしてやる。


白銀の美しい髪が、月の光中を舞う。

透き通る肌も、青白い月の光と、暖かな焚き火の光を浴びて、幻想的とも言える程の姿に変わる。


「もういいぞ。」


そう言うと、固く閉じられていた瞼が開き、サファイアの様な蒼い瞳が俺の事を見る。

美しい。少女に掛けるには間違った言葉のチョイスかもしれないが、俺にはその言葉が適切だと感じた。


「どうだ?スッキリしたか?服までしっかり綺麗だぞ。

洗濯機も乾燥機も要らないとか、本当に魔法って最高だな…

それより、これで綺麗になったから、ローブを着ても汚れない。着てみてくれ。」


「……あ、あの…私がという事ではなく、奴隷が汚いという意味でして…」


「あー…そう言う事か…俺はそもそも気にしないぞ。それに、そのフード羽織ったら奴隷紋も無いから、他人には奴隷と分からないんじゃないか?」


「………ふふ。ご主人様は不思議な方ですね。」


俺と出会ってから初めて見せたニルの自然な笑顔は、月明かりに照らされ、美しく浮かび上がる。その笑顔は、俺の記憶に深く刻み込まれた。何故か、そう感じた。


「俺は奴隷の常識が分からないって言ったろ。それより、着てみてくれよ。」


「はい!」


「…うん。ピッタリだな。それなら街中でも目立たないはずだ。明日ニルの靴と服を買いに行くぞ。」


「私の…ですか?」


「戦闘にも、生活にも、そのボロ雑巾みたいな服じゃ頼りないからな。」


「普通はそんな服を買って頂けたりはしないのですよ。」


「俺が嫌なだけだから気にするな。その後、少し寄るところがあるから、早めに起きて行くぞ。」


「分かりました。」


コクンと頷くニル。


「テントは一人分しか無いから、ニルが使え。」


「ご主人様はどうなさるのですか?」


「俺は徹夜くらい楽勝だからな。」


社畜にとって徹夜など余裕なのだ。


「それはダメです。ご主人様がお使い下さい。」


「いや、俺は…」


言い切る前に、ニルが俺の腕を引いてテントへと連れて行かれる。ニルの方から俺に触れてきたのは、これが初めての事だった。少し震えている事に気が付いて、抵抗出来なかった。


「本当に徹夜くらい平気だぞ?」


「お体に良くありませんし、ご主人様が徹夜なさるのであれば、私も当然徹夜します。ここは私も引けません。」


結局はテントの中に押し込まれてしまう。


「これが普通なのか…?慣れないとな…」


テントの中に入れられた俺は、仕方なく横になる。


「そ、そ、それでは……しし失礼致します……」


「へ?」


入口を見ると、服を脱ごうとしているニル。


「待て待て待て待て待て待て!!ニル?!何してるの?!」


「そ、その……」


顔を真っ赤にしているニル。


いや、そうだよな。男性が女性の奴隷を買うという事は、そういう意図が普通だ。特に、ニルの様に訳アリで容姿端麗よつしたんれいの奴隷ともなれば、よりその意図は強くなる。

これは気の回らなかった俺が悪い。


「すまんな。気が回らなくて…

俺はニルにそんな事を求めて買ったわけじゃないんだ。だからそんな事はしなくて良いんだ。」


「……」


ポロリポロリと涙を流すニル。


「申し訳…ございません……私の体に掛けられた魔法のせいで…今までこういう事は経験が無くて……皆魔法で……」


ニルを害する者への反撃。奴隷の務めとはいえ、こんなに小さな女の子が……

俺のように害する気がなく、ニルに触れられた人は今までいなかったのだろう。触れられるとなれば、彼女は奴隷としての任を果たすしかない。どれだけ怖くても…


「怖かったな。大丈夫。安心しろ。」


そっと抱き締めてやると、声を出さずに泣き続けるニル。

俺は、銀色の頭を優しく撫で続けた。


ーー・ーー・ーー・ーー・ーー・ーー・ーー



「……ふぁー……」


テントに差し込む光に目を覚ます。


「あれ…俺は昨日……っ?!」


眠気が一気に吹き飛んだ。


俺の右腕を両手でしっかりと握り締め、顔を押し当てて眠るニルが真横に寝ている。


「あのまま寝ちゃったんだったな…」


泣き疲れたニルをテントに残して出ようとしたが、どうやっても俺の腕から手を離さないニルに、仕方なく一緒に寝たんだった。


「大人っぽい所があったり、子供っぽい所があったり…不思議な子だな。」


「ん……」


ニルの頭を撫でると、くすぐったそうに顔を動かし、ゆっくりと瞼が開いていく。


「おはよう。」


「…おはよう…ございます……」


「…………」


「………………っ?!!!!!!」


自分の腕が俺を捕まえて離さない事や、その他諸々を確認したニルが、一瞬で飛び起きて顔を真っ赤にしたまま外に飛び出していく。


「朝からあの動きが出来るのは若さかなぁ……

いや。俺だって今はまだまだ若いのか。」


俺もテントから這い出すと、直ぐにニルが近寄ってくる。


「申し訳ございません!」


「気にするな。それより、朝飯は一つ寄った後、街の出店で食べるから、用意出来たら直ぐに行くぞ。」


「はい!」


片付けはインベントリに突っ込むだけなので、そんなに時間は必要ない。数分でサクッと片付けて、街へと向かう。

ニルは昨日渡したローブのフードを深く被り、枷を上手に隠している。


「まずは商業ギルドに向かうぞ。」


「はい!」


商業ギルドにニルを連れて入るべきか否かを迷っていると、ヒュリナさんが偶然扉から出てきた。


「あれ?シンヤさん?」


「おはよう。」


「おはようございます。今日はどのようなご用件でしたか?…と、お聞きする前に…裏口からどうぞ。」


俺の顔とニルを見て、気を利かせてくれる。


俺は言われた通り裏口からギルド内に入り、別室に通される。


「助かったよ。あのまま入ろうか迷っててさ。」


「いえ。それより…」


「この子はニルだ。話すと長くなるんだが…結論を言えば、連れて行く事にした。」


「…そうですか。シンヤさんの事ですから、色々と理由がお有りなのでしょう。」


「察してくれて助かるよ。」


「いえ。」


「……今日の昼までには街を出る事にした。」


「…そうですか。寂しくなりますね。」


本当に寂しそうな顔をして下を向くヒュリナさん。随分と表情が豊かになった気がする。

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