第5話 イベント発生!
細かく砕けたホーンラビットの角を、更に細かくする為に
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ…
「そろそろ沸騰してきたな。」
ブクブクと泡立ち始めたエクテル草入りの水。火を弱めて水が緑色になるまで煮出す。
「その間に粉にするぞー!」
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ!
粉末になったホーンラビットの角の中に、煮出したエクテル草の汁を布で
「少し水っぽい気がするが……大丈夫か!そしてここで取り出したるは…って…俺本当に独り言多いな。これも社畜の弊害なのだろうか…?」
確か、ストレスで独り言が多くなる人もいる。と聞いた事があったような…
そんな事を考えながらインベントリから取り出したのは…
【スライムの死骸…Dランク指定、ノーマルスライムの死骸。クリーム状の油性成分で出来ている。無味無臭、無害だが、これ自体が何かに役立つ事も無い。】
「役立つ事も無いとは書いてあるけど、これを軟膏の
スライムの死骸と、擂鉢内の混合物をまぜ合わせる。一気に混ぜると良くないので、少しずつ加えては鑑定魔法で確かめる。
【エクテル草の煮出し汁、ホーンラビットの角の粉末、スライムの死骸の混合物。】
という表記だった物が…
「おっ?!きたぞ!出来た!」
【傷薬(軟膏)…傷薬の軟膏タイプ。ホーンラビットの角により薬効が僅かに上昇している。】
「ひゃっほーい!」
小躍りして喜ぶが、後で誰も居なかったことを感謝した。
「出来たこれを、口の広い瓶に詰めて……完成!んー!やれば出来るもんだ!」
ファンデルジュの世界では、完全に新しいアイテムでも、原理的に間違っていなければ、新アイテムとして登録される事があった。
それ故に加工や製作が盛り上がったのだが、そもそもその素材を取りに行く事が難しい為、ゲーム自体が廃れたのだ。それが無ければもっと売れたかもしれないタイトルだったのに…勿体ない…
「ただ…これを持ち込んだりしたら、目立つよなー…よし。インベントリに隠しておこう。」
好奇心も満足し、新アイテムの開発も出来た。大満足。
「どうせならもう少し作っておくか………ん?」
鑑定魔法を使ったままスライムの死骸を見た事で、ある事に気が付く。
「これは…」
【スライムの死骸…Dランク指定、ノーマルスライムの死骸。クリーム状の油性成分で出来ている。無味無臭、無害。軟膏の基材となる。】
「情報が変わった?!」
これ自体は役に立たない。とあったはずが、基材となるという一文に変わっている。
「製作が上手くいくと情報が変わる…?ゲームの時は…そもそも製作には力を入れていなかったし、分からないな…鑑定魔法も皆知らなかったみたいだし…
分かりやすくなるって事だし嬉しい事か。」
それから適当に個数を揃えて全てインベントリに押し込んでおく。ホーンラビットの肉の処理やニーヒスちゃんに渡す予定のクッキーも作る。途中から楽しくなって色々と作り過ぎた感があるけれど…
「よし。そろそろ帰るか。」
一通り満足出来た俺は、工房を出て、宿屋に向かって暗くなり始めた道を歩く。
「ん?あれは…」
暗がりの中に入っていく赤毛の女性。
「エリーさん…?」
女性への耐性が皆無な俺でも、暗がりに入っていく女性を見て見ぬふりは出来ない。既にNPCとしては見ていないし、最初に絡まれた冒険者三人の事を考えると、嫌な事件になる可能性も十分有り得る。
「…………だ…」
「…………でしょ。」
暗がりの奥からエリーさんと誰かの話し声が聞こえてくる。知り合いと話をしているだけ…かな?気にし過ぎだったかな。
「シンヤ君?」
「っ?!」
明るい通り側から声を掛けられてビックリしてしまう。シルビーさんが俺を見付けて声を掛けて来たようだ。
「何してるの?」
「あー…いや。特に何も。こっち側に何があるのか気になってね。」
「そっちには何も無いよ?」
「そうなんだ。」
ガラッ…
振り向いた俺の背後から物音がする。
「…エリー?」
「っ?!」
シルビーさんと俺を見たエリーさんが驚いた顔を見せる。
「そんな所で何を…?」
「…別に。」
「……まさか…また危ない事を」
「関係無いでしょ!」
「…エリー…」
「……」
不機嫌そうに黙ったまま、俺とシルビーの横を通り過ぎていくエリーさん。それを心配そうに見詰めるシルビーさん。
俺には何が何だかさっぱりだが、エリーさんは何か良くない事に手を出している…のかな?
ピコンッ!
「おぉぅ?!」
突然の音にビックリして声を出してしまう。
「えっ?!なにっ?!どうしたの?!」
「あ、いや。なんでもない。」
「急に変な声出して驚かさないでよ。」
「すまんすまん。」
シルビーさんとはその場で別れて宿屋に向かって歩き出す。
「いきなり出てくるなんてビックリするだろ…」
俺の目の前にはウィンドウが現れている。
ファンデルジュの世界でゲームっぽいところ。その一つが、このイベント発生を知らせる音とウィンドウだ。
【イベント発生!…エリース-ニルヘムを取り巻く状況を解決しろ。
制限時間…二週間
達成条件…エリース-ニルヘムが生存した状態での解決
報酬…鋼鉄の剣
受諾しますか?
はい。 いいえ。】
「なんでここはゲームちっくなんだ…?」
ゲームちっくな事に加えて、イベントというシステムが生きていること。明らかに今の状況からは浮いている。これらは、俺をこちらに送った何者かが、何かをさせたいという意味なのだろうか?
しかし、受諾しないという選択がある。何かをさせたいならば、有無を言わさずイベントに参加させるはずだ。
「一体何が目的なんだ?」
考えつつも、ウィンドウに人差し指を伸ばす。
ピコンッ!
【イベントを受諾しました。】
その文字が出て数秒でウィンドウが全て消える。
「今はやるしかないよな……それにしても、エリース-ニルヘムって、エリーさんの事だよな…?取り巻く状況を解決しろって、随分と
宿屋に進みながら思考を巡らせる。
「シンヤさん!」
「あのエリーさんと話してた誰かさんの事か…?」
「シンヤさん?」
「それともまた別の…」
「シンヤさーん!!」
「うわぁっ?!ニーヒスちゃん?!」
「何度も呼んだのに酷いよー!」
プクーっと頬を膨らませるニーヒスちゃん。癒されるぜ…
「ご、ごめんごめん。ちょっと考え事しててね。どうしたの?」
「考え事しながら歩いてたら危ないよ?」
ニーヒスちゃんが指差した先には立て看板。あのままだったら間違いなくぶつかっていただろう。
「あ、ありがとう!助かったよ。」
「うん!」
「そんな良い子にはまたこれをあげよう。」
「クッキー?!」
「食べるのは晩御飯が終わってからだぞ?」
「うん!ありがとうシンヤさん!」
俺の手を掴んで引っ張るニーヒスちゃん。小さな妹が出来たみたいで嬉しい。
「それより、エリーさんの名前を呼んでたけど、何かあったの?」
「え?ニーヒスちゃん、エリーさんのこと知ってるの?」
「うん……お母さんと仲が良かったから知ってるよ。」
「…?」
ニーヒスちゃんは笑顔ではなく、暗い顔をする。
九歳の子供が知り合いの話をする時の顔ではない。悲壮感と言えばいいのか…痛みを我慢しているような顔だ。
「ニーヒス。」
「お父さん?」
「ニーヒス。中に入っていなさい。」
「う、うん。」
テトテトと小走りに中へと入るニーヒスちゃん。
「…………母親の話は……ニーヒスにはしないでくれ。」
「え…?」
ダンビさんの言葉に、思わず聞き返してしまった。
「あいつの母親……テリスは………死んだんだ。」
ニーヒスちゃんと同じ、暗い顔をするダンビさん。そんな過去があったとは…
「そうだったの…ですね。辛いことを思い出させてしまいました…」
「………普通の死に方じゃなかった。だからニーヒスには思い出させたくない。」
「普通の…分かりました。気を付けます。」
ここは聞き返す場面では無いだろう。素直に頷いておこう。
「助かる。」
背を向けて中に入っていくダンビさん。
「何があったのか分からないけど…」
一つ分かったことがある。
この世界が、俺のやっていたゲーム、ファンデルジュの中だとして…少なくとも九年以上は未来の世界だ。
その考えに至った理由は簡単だ。
ファンデルジュを始めてから最も長く滞在したのはこのポポルの街。死に戻りした後は必ずこの街に来るし、色々と慣れるまではこの街で延々と過ごしていた。
その時、使った宿屋の一つに、この香ばし亭があった。ゲーム内では店の名前が違ったと思うが、多分ここだ。
その時、この店は若い夫婦が店を切り盛りしていたはず。NPCの情報なんてほとんどは覚えていないし、
しかし、奥さんの名前を聞いて思い出した。
テリス。この名前には覚えがある。ファンデルジュを始めて一番最初に発生したイベント。テリスのおつかい。
確か街を歩いていて、唐突に声を掛けてきたNPCの女性が居た。それがテリス。緑髪の緩いウェーブの掛かった長髪で、フワッとした印象の優しそうな顔付きだったはず。
イベントの内容までは覚えていないが、おつかいがイベント扱いかよ!と一人でツッコミを入れた覚えはある。
もし仮にその女性がテリスだとして、ニーヒスちゃんはいなかったし、テリスが妊婦という事もなかった。
NPCの容姿が変わることは無かったし、街を出た後も、NPCらしくずっと同じ行動を繰り返していたはずだ。これは憶測でしかないが…
少なくとも俺がプレイしていた二年の間はニーヒスちゃんは誕生していないはず。
となれば、ニーヒスちゃんが九歳だから、少なくとも九年以上は経っているという事になる。妊婦の期間を考えたら十年近くは未来の世界だ。
「あくまでもファンデルジュの延長線上にこの世界があると仮定した場合だけど…
それに、ダンビさんの話では普通の死に方ではなかった。この世界で普通の死に方…よくある死に方って言うと、病死、事故死、後はモンスターに襲われて…くらいか。
逆に普通では無いとなると、他殺?日本みたいに治安が良いわけでもないし、そんなに珍しい気もしないが……」
コンコン…
ベッドで横になって考えていると、扉をノックされる。
「はい!」
「ニーヒスだよー!」
「ニーヒスちゃん?」
扉を開くと笑顔満点のニーヒスちゃんが立っている。
「どうした?クッキーか?」
「そんなに食いしん坊じゃないもん!」
「はは。ごめんごめん。」
「その…ちょっとシンヤさんとお話したくて…」
「良いけど…下に行くか?」
「ダメ!下には行かない!」
「??」
扉を開けていた腕の下をスルッと抜けて部屋の中に入ってくるニーヒスちゃん。
「あ。」
「えへへー。」
「まったく…少しだけだぞ。」
「うん!ありがとう!」
「それで?何か俺に聞いて欲しい事があるのか?」
「…うん。」
突然、また暗い顔をするニーヒスちゃん。
「…ゆっくりで良いから話してごらん。」
「うん……私のお母さんの話…」
たった今ダンビさんと約束したばかりなのだが…
「お父さんにその話はするなって言われたんでしょ?」
「え?」
「お父さんはあまり喋らないけど、あの顔をする時はお母さんの話をする時だから…」
「……」
「私が四歳だった時の話だって聞いた。よく覚えてないけど…お母さんは優しかったって事は覚えてる。」
「そうか…」
「お母さんはね……殺されたの…」
ギュッと自分のスカートの裾を握り締めるニーヒスちゃん。
「殺された…?」
「私も良く知らないけど…エリーさんからそう聞いた…」
「エリーさん?なんでその名前が…」
「……エリーさんのお姉さん。サリーさんも…同じ時に殺されたから…」
「……」
「もしエリーさんが困ってるなら、助けて欲しい。」
「……ニーヒスちゃんは優しいね。」
頭を撫でてあげると、キョトンとした顔で俺の顔を見上げるニーヒスちゃん。
たった九歳で、自分の辛さとエリーさんの辛さが同じ物であると理解し、その上で、自分ではなくエリーさんを助けてくれと頼める子はなかなかいない。いや、大人にもなかなか居ないだろう。
「でも、なんで俺に?俺なんてランクDの駆け出し冒険者だぞ?」
「んー…分かんない!でも、シンヤさんならなんとかしてくれる気がしたから!」
「根拠がまるで無いけど…」
九歳の女の子にそれを求めても欲しい答えは返ってこないだろう。
「出来る限り頑張ってみるよ。それで良いかな?」
「うん!ありがとう!」
「いえいえ。」
「もう一つ…」
「何かあるのか?」
「あの…お兄ちゃんって呼んでも…良い?」
今のセリフは俺の中でエコーが掛かった。キュンとするというが、キューーーーン!だったね、今のは。親心というのはこんな感じなのだろう。
「良いぞ。」
「やったー!ありがとう!シンヤお兄ちゃん!」
「ぶふぉっ?!破壊力抜群!!」
「??」
「いや、こっちの話だ。それより、そろそろお父さんが心配してる。戻った方が良いよ。」
「うん!じゃあまた明日ね!」
「おやすみ。」
「おやすみなさーい!」
部屋を出ていくニーヒスちゃん。うーむ。あのダンビさんからあんなにも可愛い娘が…母親の血だな。間違いない。
「それにしても、テリスさんの話から、エリーさんの名前が出てくるとはな……それに殺されたサリーさん…しかも同じ時に…
明日、少し調べてみるか。」
ーー・ーー・ーー・ーー・ーー・ーー・ーー
「調べるって言っても、調べる方法が無いよなー…」
翌日が始まって早々に手詰まりとなっていた。
エリーさんに話を聞いてみたいが、何処にいるかなんて分からないし、ここに来たばかりの俺は部外者。気軽に情報を聞き出せる相手なんてそんなにいない。
またシルビーさんに怒られるかもしれないが、ニーヒスちゃんからの頼みを優先したい。
「せめて時間を潰してから行かないとな…」
「………だ!」
「………だろ。」
「何か聞こえた様な…?」
深緑の森の奥から人の話し声が聞こえた気がする。
音を立てないように木々の間を進んでいくと、人影が見える。
「今更止めるなんて許せるわけないでしょ!」
「そ、そんな事言ってもよ…」
森の中で話し合っているのはエリーさん。それと、冒険者ギルドで俺に絡んできた男だ。
「俺達だけじゃ流石に無理がある…せめてもう何人か…」
「もう良い!私一人でやる!」
「おい!エリー!」
「うるさい!腰抜けに用は無い!」
「お、おい!待てよ!」
怒った顔で森の外に向かうエリーさんと、それを追い掛けていく男。何やら揉めていた様子だが、見た限り俺が絡まれていた様な関係性では無さそうだ。
「何かしようとしているみたいだが…」
森の外は見晴らしもよく後を付けるわけにもいかない。ここは知っていそうな人達に聞いてみるとしよう。
「えーっと……シンヤ君。昨日の話。聞いてたかな?」
「……はい…」
「それでなんで二匹持ってくるの?!」
考え事をしながら歩いていたら、時間の事を忘れて納品しに来てしまっていた。
シルビーさんが何故?!と怒っている。という状況だ。
「うっ……ごめん…」
「……はぁ……そんな顔されたら何も言えなくなるでしょ……分かった。私がなんとかしておくから。」
「え?!」
「目立つのは嫌なんでしょ?幸い今は私達以外誰も居ないし、なんとかしておくから。」
「シルビーさん…」
「貸し!だからね?」
「ありがとう!」
良い人!シルビーさんマジ良い人!
「報酬はまた今度渡すから。それまでは大人しくしてるんだよ!」
「本当にありがとう!」
呆れ顔のシルビーさんに手を振ってギルドを後にする。
「よし。それじゃあ聞き込みに行きますかね!」
聞き込みと言っても聞ける人は限られている。工房に寄ってから、街中を走り抜けていく。
「おーい!ルーカス!バッカル!」
「ん?シンヤか?」
俺が会いに訪れたのは、この街の門番を務めている二人。ルーカスは返事すらしてくれないが…バッカルは気楽に返事をしてくれる。
「門番お疲れ様!」
「おう!今日はどうしたんだ?」
「ちょっと聞きたい事があるんだが…その前に!」
「お?!それはホーンラビットの肉か?!」
「さっき工房で焼いて味付けしておいた。大味だけど、門番で疲れた体にはその方が良いかと思ってな。」
工房に寄って作った後、袋に詰めて持ってきたのだ。
「くれるのか?!」
「対価も無しに話を聞き出そうなんて考えてないさ。」
「おっほー!」
俺が渡した袋を受け取ると、早速開けて中身を摘むバッカル。
「バッカル!職務中に摘み食いなど!」
ルーカスがやっと喋ったと思ったらバッカルへのお叱り。相変わらずの真面目らしい。
「うめぇー!なんだこりゃ?!」
「シンヤ特製の味付けだ。って言っても、塩と少々の香り付けをしただけだがな。袋ごとやるよ。」
「マジでか?!これ一匹分はあるけど、良いのか?!」
「二人で分けろよ。」
「だってよ!」
「職務中に…ゴクッ……摘み食いなど…ゴクッ…」
ヨダレが止まらないか。ルーカスよ。
「そんな事言ってると、俺が全部食っちまうぞ?腹の減る良い香りだ!」
「ま、待て!半分は俺の物だろ!」
「うめぇー!焼きたてって最高だなぁ!肉汁がドバッと出てくるぜ!」
「くっ…」
「これ、冷めたら味が落ちるんだろうなぁ…ルーカスはこの美味さを体験出来ないなんて可哀想に。」
「…き、休憩!今から休憩だ!」
「さっき休憩取ったばかりだろ?」
「うるさい!寄越せ!」
よし。ルーカス完落ちだな。
「分かった分かった!焦るなって!」
二人が満足してくれた所で話を切り出す。
「それで、聞きたい事なんだがな。」
「おう!なんでも聞いてくれ!」
「さっき深緑の森で、エリーさんと冒険者の男が話しててな。初日に俺に絡んできた奴なんだが。」
「ドジルだな。あの二人が言い争ってるなんてそれ程珍しくも無いぞ。昔から仲悪いからな。」
「仲が悪い?」
「ドジルがエリースをライバル視しててな。何かにつけて絡むからいつもエリースと言い争ってるんだ。」
「……」
「どうした?」
「いや、森の中で見た時はそんな感じがしなくてな。何か二人で企んでいる様な…」
「あの二人が…?」
「……もしかしたらあの事が関係してるのかもな。」
「あー……」
「あの事?」
「俺達が門番をしていたり、街を取り囲んでいる柵を作る理由になった事件だ。」
「何かあったのか?」
「……あれは酷かったよ。実際に現場を見た奴も居るが、忘れられないだろうな。ルーカスはその場に居たんだろ?」
「あぁ。今思い出しても
相当嫌な思い出なのか、ギュッと拳を固く握るルーカス。
「…何があったんだ?」
「……あれは今からちょうど五年くらい前の話だ。」
俺の質問に、ルーカスがポツポツと語り出した。
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