第4話 プカさんの依頼

「おー!うまそー!」


「焼き立てパンだから最高に美味しいよ!」


「いただきまーす!」


香ばしいパンにかぶりつく。表面に塗られたバターの香りがパンの匂いを引き立てて口の中に広がる。


「うまっ?!」


「でしょ?!えへへー。ゆっくり食べてね!」


テトテトと小走りして違う客の所へと向かうニーヒスちゃん。


「あ、ごめん!話の途中だったね。」


「いえいえ!大丈夫です!」


「それで?頼みたいクエストって?」


「はい……」


バンッ!!

「「っ?!」」


突然横の窓に何かがぶつかる音がして俺とプカさんが二人してビクッと体を強ばらせる。反射的に見た窓の外には、ガラスに張り付くシルビーさんの姿。


「シ、シルビー?!」


窓から離れたシルビーは扉から入ってくる。


「いらっしゃいませー!あ!シルビーさん!」


「おはよう。ニーヒスちゃん。」


「おはようございます!」


「私朝食セットをお願いするわ。」


「はーい!」


も、の部分に棘を感じるが…気のせいでは無さそうだ。

ドスドスと足音を立ててこちらに向かってきたシルビーさんは、プカさんの横に無理矢理お尻を捩じ込んで座る。

シルビーさんの私服は、想像通りと言えばいいのか、肩や足の出た露出度高めの服。


「おはよう!シンヤ君!それとプカ!」


「お、おはよう……すごーく機嫌悪そうだけど…?」


「え?そんな事ないよー。ね?!プカ?」


何故か見てはいけない、聞いてはいけない状況な気がする。


「そうかしら?機嫌悪そうよ?シンヤ様が怖がるから落ち着いてからもう一度一人で来たらどうかしら?」


二人の間に火花が散って見えるのも……気のせいでは無さそうだ。


「あー…食べ終わったし俺はそろそろ……」


「シンヤ君!」


「はいぃ!」


「お姉さんとお話……しようよ。」


「はいぃ!」


そんな眼力使われたら、はいとしか言えませんよね。

ピリピリした空気の中、冷や汗にまみれながら会話を続行する事になってしまった。胃に悪い一日になりそうだ…


「ニーヒスちゃん。ご馳走様。」


「うん!また来てねー!」


「さ!行こうかシンヤ君!」


「行きましょう!シンヤ様!」


「あのー…えーと……はい……」


こういう時の男には拒否権は無い。黙って付いていくが吉。ただ、腕を両側から掴むのはやめて欲しい。とても歩きにくい…その上、周りの目が…

両手に花というこの状況は、とても男冥利おとこみょうりに尽きるが、どこかの暗がりで後ろから刺されそうだ。そんな目付きを街中からビシバシ送り付けられている。


「着替えてきますね!」


「待ってるんだよ!シンヤ君!」


ギルド前で解放され、二人は裏口、俺は正面からギルドに入る。

朝早いからか、ギルド内に冒険者は居ない。受付には知らない二人の女性が立っているが、話し掛ける勇気はありません。


待っていろと言われたし、掲示板でも見ながら待っていよう。


「こんな小さな街でも結構色々なクエストがあるんだな…」


張り出されている依頼書をざっと見てみると、普通クエストと、常時クエストがほとんどを占めていてる。

普通クエストは幅広く、採取、討伐が多く、その他が少ない。常時クエストは、採取と討伐のみ。討伐は主に食用になるモンスターの納品だ。


「やっぱり数の多いゴブリンなんかは依頼が多いな。でも、Cランクの依頼だし、俺は……ホーンラビットか。」


常時クエストの一つ、ホーンラビットの討伐及び納品。


ホーンラビットとは、この世界で最も弱いとされるモンスター。サイズは元の世界で見た兎とほとんど変わらず、額に角が一本生えているモンスターだ。

突進攻撃のみのモンスターで、肉は食用として重宝ちょうほうされる。毛皮も、上手く剥ぎ取ればそれなりの値段で売れる。角は用途が無く基本的には捨てられてしまう。


「初心者としてこの辺りから攻めるべきかなぁ…」


「ちょっと。邪魔なんだけど。」


「え?!あっ!ごめん!」


後ろから声を掛けられて横に移動する。


赤毛の女性。エリーさんだ。


前と同じ様に横目で俺を見て、その後掲示板に目をやる。良い人とは言われたし、助けられたけれど、気の強そうな人って苦手なんだよなー…でも、成人男性として、お礼はしっかりと言わなければならない。挨拶、お礼、謝罪、これはしっかりと言えなければ社畜は出来ない。特に謝罪!俺の謝罪は一級品だぜ!………悲しくなってきた。


「あの、エリーさん。昨日はありがとう。助かったよ。俺はシンヤ。よろしくな。」


俺の声に反応して目を向けてくれる。顔を向けてくれるわけじゃ無いところが怖いんだよなー…


「………」


沈黙を選ぶところも怖いんだよなー…


「シンヤくーん!」


「わわっ?!シルビーさん!いきなり引っ張ったりしたら危ないから!」


シルビーさんに突然袖を引っ張られて体が傾いてしまう。


「ごめんごめん!…あれ?エリー?あー…邪魔しちゃった?」


「別に…」


乱暴に掲示板から依頼書を剥がし、カウンターに持っていくエリーさん。


「……」


そんなエリーさんを影のある眼差しで見詰めるシルビーさん。似ても似つかないけれど、その眼差しは、プカさんがクエストの話を切り出そうとした時によく似ていると…何故か感じた。


「シンヤ君は今日もクエスト?」


「その予定だけど、その前にプカさんに話を聞こうかと。」


「プカに?」


「お願いしたいクエストがあるとかで。」


「………」


「話も聞いていないし、やるか分かりませんが。」


「どういうつもり…」


「え?」


険しい表情になったシルビーさんがカウンターの奥に向かう。


「プカ!」


「なによ?」


「ちょっと来なさい!」


「え?ちょっと?!」


「良いから来なさい!」


無理矢理連れて行かれるプカさん。


「え?え?!エリー!ちょっと待ってて!」


プカさんは、奥へと引き摺られながらも、対応していたエリーさんに声を掛けている。

エリーさんは…カウンター前で固まっている。


少しすると、カウンターの奥からシルビーの怒った様な声が聞こえてくる。何を言っているかまでは分からないが、言い争っている風でもない。


パシンッ!


高い音が聞こえてくる。とても痛そうな音だ。


その数秒後、シルビーさんが裏から戻って来るが、プカさんの姿は無い。


「エリー。私が引き継ぐわ。この依頼を受けるのね?」


「え…うん。」


「直ぐに処理するわね。」


いつもあっけらかんとしているシルビーさんの顔がとても険しく……いや。どこか辛そうに見える。


「はい。気を付けて行くのよ。」


「……うん。」


シルビーさんの言葉に素直な反応を見せるエリーさん。プカさんもシルビーさんも、エリーさんに対してはラフに接しているし、受付嬢と冒険者として以上の繋がりを感じる。そんな二人を心配してなのか何度か振り返りつつエリーさんはギルドを後にした。


「……ごめんね。シンヤ君。」


「いや。謝られる様な事は何も無いけど…何かあったのか?」


「ううん。気にしないで。こっちの話だから。

プカが言ってたクエストの件も忘れて。」


「良いのか?」


「うん。プカには私から言っておいたから。」


「……そうか。もし俺に出来ることがあれば言ってくれよ。」


「…うん。ありがとう。」


辛そうな顔のまま笑うシルビーさんはどこか歪んだ様な…今にも割れてしまいそうなガラス細工の様に見えた。


「それより!今日はどんなクエストに行くの?!」


気持ちを切り替えました!とでも言いたげに声を明るくするシルビーさん。ここは素直に俺も付き合うべきだろう。


「これを頼みたい。」


依頼書をカウンターに出すと、シルビーさんが内容を覗き込む。


「ホーンラビットの討伐クエストかぁ。確かにDランクでは最も簡単な討伐クエストだけど、もう少し採取クエストをこなしてからの方が良いんじゃない?」


この世界での冒険者は、新しい街や知らない土地で活動を始める時、必ず採取クエストから始める。その理由は周辺地理、生息モンスター、採取出来る植物等、その地についての情報を目で見て覚える為である。

これはゲーム時でも変わらなかった生き残る為の知恵だ。普通のゲームと違い、死んだらサクッと初期化されるので、慎重にクエストを受ける必要がある。その点、モンスターから逃げても依頼が失敗にならない採取クエスト。それを受けて稼ぎつつ歩き回る事が非常に大切になるのだ。

シルビーさんが俺に対して言っているのは、もっと歩き回って色々と確認してからじゃないと、逃げるにも、戦うにも危険だと言いたいのだ。

しかし、昨日採取クエストに行って記憶にあるポポルの街付近の状況と遜色ない事を確認している。


「このクエストは期限も一週間と長いし、討伐数も三体と少ない。ゆっくりやるから大丈夫。」


「うーん…私達に止める権利は無いけど…気を付けてね?」


「分かってる。」


「はい。処理は出来たよ。」


「ありがとう。」


「気をつけてねー!」


明るく手を振るシルビーさん。さっきの事が気にはなるが…忘れてと言われているのに、踏み込む必要は無いだろう。


俺はギルドを後にして深緑の森へと向かう。


「ホーンラビットは外層…お、居た居た。」


ぴょこぴょこと歩き、鼻を上に向けて匂いを嗅いでいる。ホーンラビットは最弱とはいえモンスター。あまり冒険者から逃げたりせず、寧ろ向かってくる事が多い。


「ギュギュー!」


俺を見付けたホーンラビットが、真っ赤な目をこちらに向けて突進してくる。


「よっと!」


剣の刃がホーンラビットの首元に突き立てられる。


ザクッ!


首と胴体が切り離されたホーンラビットから血がドバドバと溢れ出る。


「おっと。血抜き血抜き。って…生臭っ!!」


ホーンラビットの足に縄を巻き付けて木の枝に吊り下げ、腹を割く。他のRPGの様に、倒した途端にポンと切り出された肉になる。なんて事は有り得ない。しっかり血抜きする必要がある。


「ぐぅ…やっぱり映像で見るのと実際にやるのでは全く違うな……生で見る生首は迫力が凄いし…」


若干気持ち悪くなってきてしまった。


「そう言えば…エクテル草の鑑定で新しく分かったこともあるし……ホーンラビットも鑑定してみるか。」


魔法陣を描いてホーンラビットを鑑定する。


【ホーンラビットの死骸しがい…Dランク指定、ホーンラビットの死骸。肉は食用として重宝される。角には薬効を僅かに高める成分が有り、粉末にして使用する事が可能。】


「えっ?!角にはそんな効能があるのか?!知らなかった……」


鑑定魔法は非常に便利な魔法だが、会得するのは結構大変。俺もゲームを初めて一年経ってからやっと、しかも偶然手に入れた魔法なのだ。プレイヤー含め、ファンデルジュで使える者は俺以外には多分居ない。

会得していなければ、同じ様に魔法陣を描いても発動しない魔法だが、鑑定魔法が使えると知られれば非常に面倒な事になるのは目に見えている。だからずっとひた隠しにしてきたのだ。ソロプレイヤーだから隠すのは簡単だった。


「って事は角も取っておいた方が良さそうだな。」


ナイフを角の根元に突き立てる。


ゴリ…ゴリゴリ……


「…手に伝わってくる振動が凄ーく嫌だな…」


剥ぎ取った角はインベントリに入れておく。


「よし、血抜きしている間に何匹か仕留めるか。」


結局その日に討伐出来たのは五匹。一日目で目標達成という事になる。だが、俺は学習しているのだ。毛皮を丁寧に剥ぎ取り、四匹分はインベントリに。一匹だけを納品する。これで完璧!

実はインベントリの中には、ホーンラビットの毛皮や肉以外にも、多くのモンスターの肉や素材が大量に詰まっている。インベントリ内に保存すると腐ったり痛んだりしない。その為とんでもない量が詰まっているが、どこで誰が見ているかも分からないし、討伐して納品する。この手順を省くのはやめておく。本当は初心者じゃないなんて知れたら色々と面倒なクエストとか頼まれるし。


「よーし。今日はこの辺で終わりだな。ホーンラビット五匹と、スライム三匹。上々かな。角も手に入ったし午後は工房だな。さて!帰るぞー!」


やっぱりこういうのは楽しい。ゲームとしてやっていて楽しかったのだ。実際にその世界に入って体験出来るのは俺にとって夢の様な時間だ。


「……シンヤ君。」


「はい?」


ギルドに入って早々、シルビーさんが真面目な顔で俺を呼ぶ。


「まさか納品に帰ってきたなんて言わないよね?」


「納品というより、分納だよ!一匹だけ!」


この時の俺は間違いなくドヤ顔をしていただろう。一気に納品するバカをしなかったのだから。


「目立ちたくない…って言ってなかった?」


「……また何かやらかした…?」


「まだお昼前だよ!?どこの世界に二時間で仕留めてくる初心者が居るの?!しかも一人で!」


「おーぅ……」


言われてみれば……ファンデルジュではソロプレイヤーはほとんど居なかった。数人でパーティを組むか、クランを作り複数人で討伐する。これが当たり前の形だ。普通のRPGでも、基本的にソロプレイヤーではやれる事が限られてくるし限界もある。例え最弱モンスター一匹だとしても、初心者が狩る為には何日も掛けて罠を仕掛けて回ったり、万全を期して誘い出したりと時間を掛けなければならない。

それを二時間でサクッと解体までして持ってきた。となればこの反応になる。


「時間か…しまったなー…森でもっと遊んどけば…」


「今…って言った?」


ジト目のシルビーさん。やらかしてばかりだな…俺。


「そ、そんな事ないよ!」


「…はぁ…シンヤ君が凄いのは分かってたけど、目立ちたくないなら次から気を付けなよ?」


「面目ない…」


「それで?分納で良いんだよね?」


「そうそう。これをお願いするよ。」


毛皮と肉を渡す。


「……」


「どうした?」


「シンヤ君って本当に初心者?」


「な、なんでだ?」


「凄く綺麗な解体してあるから。血抜きも、毛皮の剥ぎ方も完璧。解体屋に持ち込んでもここまで綺麗に解体出来る人は少ないよ。

それに、これって渡人が最初に持っている簡素なナイフで剥いだんだよね?それでこれだけ出来るって…

それに、腐る前に分納出来ることなんて教えたかな…?」


「あー…昔から解体に関する事をしてたから、よく知ってるんだよ。」


二年もの間毎日やっていれば上手くもなる。嘘でもない…はず。


「……」


「あははー…」


再度ジト目。こうなると笑って誤魔化すしか方法を知らない。


「はいはい。詮索はしないよ。

完納出来た時にまとめて報酬を渡すね。」


「うん。ありがとう。あ、そうだ。ちょっと作りたい物があるんだけど、安く使える工房って無いかな?」


「工房…?あるにはあるけど、何作るの?」


「傷薬と食べ物を少しね。作れるなら買う必要も無いかなってさ。」


「ふーん…」


「本当に傷薬だよ!怪しむような目で見ないで!」


「シンヤ君って何するか分からないからなー…まあ傷薬くらいなら大丈夫かな。ギルドが貸し出せる工房があるよ。人もほとんど来ないし安いからおすすめ。

ギルドの裏手に回れば直ぐに分かると思うよ。」


「ありがとう!」


お礼を伝えてギルドを出る。


「このまま工房に…」


グーー……


「の前に腹ごしらえだな。確か向こうに飯屋があったはず…」


店を探して歩いていると、ふと目に入った食事処にプカさんの姿が見える。後ろ姿だけど、制服を着て落ち込んでいる様子。


「やっぱり何かあったのか…?」


経験値ゼロの俺に何か出来るとは思えないが、放っておくのも忍びない。結局気になってその店に入る。


カラン…


「いらっしゃいませー!」


元気な声とオシャレな店内。男一人ではなかなか入りにくい女性向けの店だったらしい。


「し、知り合いが居るので。」


店員さんに声を掛けてプカさんの前に座る。


「あ……」


目の前に座った俺に気が付いたプカさんが、小さく声を漏らす。


「外から見えたので。座ってから聞くのもおかしいですが、御一緒しても?」


「もちろんです。」


「良かった…ダメと言われたらこんな場所で恥ずかしく男一人飯になる所だったから…」


「ふふ。それはそれで見てみたい気もしますね。」


「好奇心が怖い!」


「ふふふ。」


笑ってくれているが、やっぱり元気が無さそうだ…


「ここのおすすめは?」


「鳥肉の煮込み料理がおすすめです。」


「へぇー。美味しそうだな。それにしよーっと。」


「………何も聞かないのですか?」


下を向いて聞いてくるプカさん。俺が何故来たのか、それとなく分かっているのだろう。


「んー…シルビーさんの様子を見た感じ、簡単に聞いて良いような話でも無いかなーって。」


「……」


「それより、食べないと冷めちゃうよ?」


「……本当にシンヤ様は不思議な方ですね。」


眉尻を下げて笑うプカさん。何か意味を含んだ笑いだ。


「え?俺また変な事しちゃった?」


「ふふふ。そうではありませんよ。シンヤ様も食べましょう。」


「……そうだね。いただきまーす!……うまっ!」


「私のおすすめですからね!」


「やっぱりプカさんのおすすめは最高だね!」


「ふふふ。」


バンッ!


「「っ?!」」


外にシルビーさん。デジャヴュ?!


カラン…


「私鳥肉の煮込み料理をお願い。あの席に座るから。」


「は、はい。」


店員さんのいらっしゃいませを寄せ付けない速度での注文。


「落ち込んでたから先に休憩取らせたのに、こんな所でシンヤ君となーにしてるのかなー?」


「シルビーには関係無いでしょ。」


「ふーん。へぇー。」


胃が痛くなってきた。さっさと食べて工房に…


「シンヤ君!」


「な、何かな?」


「お姉さんとお話……しようよ。」


「…はい。」


朝食に続き昼食までこんな時間になるとは…


「じゃあまたね!シンヤ君!」


「あ、うん。」


「ほら行くわよシルビー!」


ここに来てから女性の恐ろしさの一端をまざまざと見せ付けられている気がする…


「気を取り直して工房に行くか!」


シルビーさんに聞いたギルドが貸し出している工房へ向かう。

工房はそんなに大きくなく、人があまり利用しないからか綺麗とは言えない。ただ、多少の作業くらいなら気にならない程度だし大丈夫だろう。それに、管理人以外の人が誰も居ないのはありがたい。

利用料である500ダイスを払って中に入る。大掛かりな物は何も無いけれど、簡単な物は全て揃っているみたいだ。


「さてと…早速始めるかな。ファンデルジュの楽しみ方の一つ。アイテム作製の開始だ!」


まずは使う物をインベントリ内から取り出す。

今回作るのは傷薬。

ただ、一般に出回っている物とは違い、軟膏を作りたい。


エクテル草の薬効は軟膏として使った方が高いし、軟膏にする為の材料は既に入手済み。


「まずはエクテル草を煮出すところからだな。」


陶器で出来たおわんの様な入れ物に、水とエクテル草を入れて火にかける。


「煮出す間にこいつを粉末にしよう。」


ホーンラビットの角を取り出し、布に包んだ後、ハンマーである程度細かく割っていく。


ゴンッ!ゴンッ!


「なんか楽しくなってきた…」

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