自己全否定

@ZS31415

自己全否定

 授業終わり。僕は屋上への階段を上った。誰にも気にしてくれないから、屋上までたどり着くのは容易だった。コンコンと僕の靴音だけが聞こえる。……もうこの音を聞くことはないだろう。

 僕は本当にダメな人間だ。今日は授業で当てられ、間違えた。そのあとの僕は見世物だ。「なんでそんなことも出来ないんだよ。」とか、「お前は分かりませんだけ言っていれば良いんだよ。」だとか。本当に自分の頭の悪さが嫌いだ。

 いつの間にか、僕には暗いというイメージがある。家族にまでそう言われた。その言葉が僕をもっと暗くする。誰にも気付いてもらえない。僕と話してくれる人なんて、誰一人いない。

 自分でも嫌になる。もう僕に生きる価値はない。一体、僕はなんのために生まれてきたの……?地獄を生きるくらいなら死んで地獄に落ちた方がましだ。

 僕には何一つ誇れることなんて無い。運動神経も悪い。成績も悪い。何もかもメガティブに捉えてしまう。僕のクラスを、僕の学校を暗くしたのは全て僕のせいさ。もう、言い残すことなんて無い。こんな命、捨ててやる。

 僕は屋上の端に立った。この高さなら確実だ。「痛い」なんて感じずに命を絶てる。「……これが残された道なんだ。これが僕の辿るべき道。ここを飛び降りれば……」覚悟が決まった。

 右足を捧げた。その次に左足を。僕の体が地に吸い込まれるのが分かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自己全否定 @ZS31415

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る