35 flower bed

お花畑。

真ん中に、花で出来たベット。まるでおとぎ話。そこで眠ってる女の子。

銀座 弥子。


ワスプが、救い出すべき目的。


「おきて?」


「ん・・」


弥子が目を覚ますと、話すのは猫。


「ご飯だよ」

ケーキが、お盆に乗って、ふわふわ飛んできた。


「ありがとう」


「良いんだよ。今日の調子はどうだい?」


「うん。いいよ」


「そうか。ねえ弥子?」


「なに?」


「ここから出たい、とは、思わないの?」


「また聞いたね?それ。どうしてなの?」


「だって、しばらくここにいるよ?」


「こんな綺麗な場所だもん。出たくないよ」


「そうか・・」


―――


「ご馳走さま。おいしかった」


「また眠るの?」


「うん」


「そう、おやすみ」


「おやすみなさい」


猫は、見届けると、花で出来た扉の前に立って、手を当てる。すると、


(ウィーン)

機械音と共に開いた。


―――


「相変わらず変わりない・・」


と言ったのは、白衣を着た若い青年、腕には猫を抱いている。先ほどの、お花畑は無くなった。あるのは、無機質な、白い研究室のベットの中に、眠り横たわる、銀座弥子。


――僕(古郷コゴウ 駿シュン)が、銀座弥子、の担当になって数ヶ月。部屋に、猫を連れて入室すると、部屋がお花畑になる。そして話せる。彼女は猫好き。突然お花畑になるなんてこと、当時はとても信じられなかった。


―――――


「弥子?君はどうしてここに居るの?」


「・・・」


「寂しくないの?」


「・・寂しいよ」


「家族やお友達はいるの?」


「家族は・・。でも、お友達は居るよ」


「名前はなんていうの?」


「コハル・・だよ」


僕は詳しく調べた。すると、現在、宇都宮コハルは、学校に通いながら、たまに何処かに出かけてるらしい。一体どこへ?僕は弥子ちゃんに会わせたかった。後を追う、そして・・


ワスプ、蓮賀という人物に辿り着いた。

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