34 アラフォーの曲がり角

ワスプ4人は、これからバトルだ。


「早く・・弥子を探さなきゃ」


銀座弥子。コハルちゃんの親友。警察の捜査でも見つからずに、失踪って事にされてる。実際は渦の中にいるらしい。レベルを上げて見つけるのが目的。


―――これからまた、ダンジョンでレベル上げ。


嫌だ。


「・・蓮賀さん、お話があるんです」

俺の決意。


「少し歩きながら話そう」

蓮賀さんが言う。散歩しながら、


「実は、決めたことがあって・・。俺、バトル辞めます」

こんなこと言ったら、怒られるだろう。でもそれでも良い。死にかけたり焼かれるよりはマシだ。


「そうか、わかった」

え?あっさりすぎない?


「ところで、今までバトルで、何されたっけ?」


「ドラゴンフライに・・燃やされました」


「フ・・そうだったな」


「何がおかしいんですか?」


「いや、悪気はないんだけど、羨ましいと思ってな?」


「どういうことですか!?」


「無理もない。堀田ちゃんは、人間だしな。しかも今までバトルは勿論、ケンカもしたことない、平和主義者だもんな?」


「・・何が言いたいんですか?」


「それ位で済んで良かったな。まあ、気にするな。今までありがとな」


俺の肩をポンと叩くと、戻ってく。な・・何?このあっさりした感じは?まるで俺が要らないかの様な・・?それに、さっき蓮賀さんが言ってた(羨ましい)ってどういうことだ?意味が解らない。


何かが引っかかってる。思うにそれはコハルちゃんの事だろう。それだけが俺の心残り。


(そういえば腕時計、返さなきゃ)


その画面を見た時思い出した。蓮賀さん何度もダメージを喰らってた事。合計すれば、俺のHPにすれば20回以上、HP0になっている。だから、羨ましい。なんて言ったのか・・。そういえばコハルちゃんも。最初に、俺を守ってダメージを喰らったんだ。JKに守られたおっさん。


・・今逃げたら、間違いなく嫌われキャラだ。モンスタ―に殺されかけ、JKに助けられたくせに。最後は嫌で、勝手に逃げた最低な奴。


「・・蓮賀さん、やっぱりバトル行きます!」


宇都宮コハルちゃん。彼女と出会えた機会を無駄にするわけにいかない。上手くいけば、結ばれる可能性だってあるかもしれない!


俺は再び、歩き始めた。

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