20 災い  

俺は雁部の事がショックだった。それまで、仲は良いとは、言えなかったけど、一緒に戦ったわけだから。


精神的ダメージを考えて、チームの3人はそれぞれ別れる、コハルちゃんは、家族と居るのが一番良いという判断で、近くまで送ってあげる。俺と蓮賀さんは、ビジネスホテルへ。


蓮賀さんは、外を眺めてる。そして、メモを俺に渡した。そこには何処かの、住所が書いてある。


「次の基地だ」


静かに言う。そしてタバコを出して火をつける、吸ってるの初めて見た。複雑な表情。


「・・犠牲者は、雁部だけじゃない。もう何人も選ばれて、消された」


「え?」


「奴は、目的を邪魔する者を、次々と消していく」


「・・奴?」


「~渦~ の開発者だ」


―――

――――――――


―――何処かの部屋。閉め切られて、中は暗く、奥のデスクに点く、灯りのみが、そこに座っている者を照らしている。


「あっさりバグ消しちゃったな」


グロテスクな部屋の装飾から小物まで、部屋を埋め尽くす。一言で言えば趣味が悪い、そこに座るのは一見、普通の青年のような外見。肉と触手のキーボードの前に座っている。本人だけは、辺りとは逆に、普通。細い身体に、フォーマルな外見。特に異常さは感じられない。普通と狂気が同居してる。


目の前には数台のパソコンがある。そこの1台に映るのは、雁部。


「このバグは、記念すべき10個目。消せて、スッキリした」


パソコンの画面には、~渦~の文字。下には開発者(アマサカ)とある。


操作すると、町を上空から見下ろす形になっている。マウスでカーソルを動かすと、全体がサーモグラフィのように、青くなる。


「他のバグはどこだ?」

雁部がやられた十字路ダンジョンが画面中央へ来る。そこは赤色になっている。


「さっき、もう少し赤があったんだけどな」


~渦~のダンジョンに、長く留まると、検索をかけられ、位置がバレる。その形跡が、赤く表示される。そして、そこを、リセットモードにする。今回、それで雁部はやられた。


「他のバグは逃げた?まあいいけど。それじゃ、次の候補(漫画喫茶)を検索してみよう」


―――――


ワスプから、雁部は抜けた。それによって、精神的なショックが大きい。俺にとっては、渦は序盤なのに、早速味方を、1人失った。


蓮賀さんは一旦、俺とコハルちゃんのために、ワスプの活動を、しばらく休止する事にした。

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