18 リセット・モード

ダンジョンを出れない。出入り口に立ったら、現実に戻るはずなのに。


「なんだー?まただめなのかー!ダメな奴だなー!」


マッチョマン雁部は、俺の腕時計を奪ってMAPを見る。


「ここじゃないんじゃないのか?別な所に、出入口あるんじゃないのかー?」

コハルちゃんの手を引いて、ここを去ろうとする雁部。でも、


「ここで間違いないよ」

コハルちゃん。


「いや、こっちだって、俺に着いて来い、コハル」

無理矢理、引っ張る。


その時、モンスターと遭遇。え?ダンジョン出入口で?確か、~渦~は、1度倒した場所では、モンスターが出現しないはず。ゾンビだ。


「またか!飽きたぞ!」

もう何匹目かな。


―――でも、このバトルは特殊だった。


1ターン目。ゾンビのHPから考えると、味方の全員攻撃で、倒せるのは、間違いないのに、まだ動いてる?


モンスターのターン。


ゾンビはなにもしない。


こんな行動パターン初めてだ。


味方2ターン目。


強化型なのかな?全員攻撃でも、まだ動いてる。


どうして?そうだ(アナライザー)で調べてみよう。


ゾンビ・アナザー レベル 40 HP 499 


え?強すぎる!アナザーって?何?

普通のゾンビは レベル9のはずなのに。


モンスターのターン。


ゾンビは(仲間を呼んだ)


――~渦~は難しくて、理不尽なダンジョンRPG、俺もゲーム没前に、少しだけプレイしたけど十分思い知った。あまりのムズさと、グロさで、販売禁止されたけど、ゲームバランスとしては、激ムズでも、ギリギリ、成立してた感じはある。でも今回は。


今、目の前に居るモンスターは、ゾンビに呼ばれて出てきた。一言で言えば人間。170㎝程、筋肉質でもなく、グロくもなく、何も変わったところのない、青年。これがモンスターなのか?一応バトルになっているから、そうらしい。特に武器も持っていなくて。外見では、弱そうに見える。


「見たことねえ奴だな?こいつ、外に出れる方法、知ってるんじゃないか?」

雁部は斧で攻撃する。29ダメージ。え?普通に当たるのか、意外だった。しかも怯んで効いているようだ。

俺は、モンスターが人間っぽく見えるから、攻撃を、ためらってしまう。けど仕方ない、じゃないと出れないんだから。


俺の攻撃。剣で斬ると14ダメージ。何かを斬った感触はする、けど・・


「だめ・・!」

コハルちゃんが、自分のターン何もせずにいる。え?今まで彼女の弱音、を聞いたことが無いのに。どうして?女の勘?


モンスターのターン。


雁部に攻撃、特に何の変哲もない、普通に人間が走って向かってきて、弱々しく殴る?攻撃。雁部は筋肉質で、体格差も、圧倒的。肩で受ける。ダメージは・・?腕時計を見ると、0、とある。ノーダメージか。まあ、見た目通りだけど。正直、このモンスター、実は、とてつもなく強いと、思ってたけど、見た目通り弱いの?俺の勘違いだったかもしれない。


2ターン目


俺の番。・・あれ?順番的には、雁部のはずなのに?素早さとかで順番が変わることは、なかったけど、なんで俺?不思議がって見ると、雁部は、さっき、モンスターに攻撃を、肩で受けた態勢のまま止まっている。


「なんだ?」


様子がおかしい。違和感。近付く。さっきからずっとおかしかったのは、出入口を見失ってた事。そして、ずっとアラームが鳴ってた、という事。つまり蓮賀さんに警告されてた、リセットモード、というものの存在を、放置したままの状態で、ずっと居たという事。


雁部はHP 0/110になっていた。

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