17 前兆

時計が(ピーピー)と、けたたましく鳴る中、ゾンビとのバトル。


1ターンで倒す。レベルが上がったからだ。もういいでしょ?しかし雁部は、奥の宝箱を手に入れる。そして更に奥へ、すると2匹ゾンビが現れ、倒す。そして、宝箱を2つ取る雁部。荒稼ぎだ。


―――でも不思議なのは、アラームが鳴り始めて、もう30分経過してるのに特に何も変化がない事。リセットモードって何なんだろう?そして、雁部は粗方ダンジョンを探索し尽くす。


「よーし、帰るぞ!コハルちゃん、あげるよ」

雁部は500Lを渡すと、俺を無視して、やっと、道なりに帰る。


「堀田は、相変わらず役に立たないな!」


慣れたものだ。もう何とも思わない。来た道を戻っていく。そこが二手に分かれてる。えーと、ここは右だったかな?慌てすぎてて覚えてない。次も分かれ道、えーとここは確か・・


「・・こんな道あった?」

コハルちゃんが言う。言われてみれば・・


「おい、堀田!きっちり道ぐらい覚えとけよなー!」


俺は無視して思い出そうとする。アラームが鳴って、すぐに戻らなくちゃいけないのに、まずい。この道は、俺のスキル(アナライザー)でMAPした道を調べる。すると、


「・・あれ?来た道と少し変わってない?」


「どっちなんだ?役立たず!?」


雁部は無視してMAPを見ながら、出入り口があるであろう方向へ歩いて行く。

散々色々ゲームやってきたから、大体コツは知ってるつもり。これって、来た時と道が変わってるじゃん?これは、そう言う仕様なのかな?でも、モンスターは出ないし、今のところ、出口に近付いてる感じがする。


「大丈夫か?コハルちゃん?」

肩を抱く雁部。やめろ!


「あった!出口だ!」

俺はコハルちゃんを雁部から逃がして、急ぐ。十字路で、住宅街。間違いなくここだ。

良かった。しかし、一時はどうなることかと思ったよ。結局、もしかして俺一人が騒いでた?みたいな?リセットモードには運よく?ならなかったみたいだ。


「だから、言ってるだろう!心配するだけ無駄だって!」

雁部は相変わらず、強く俺に言う。


「少しは、変わらないとダメだぞ!お前!」

すると手を俺に出す。え?100Lだ。


「稼ぎだ。次からは頑張れよー?」

なんだって?何言ってるんだ?もしかして俺にくれるの?恐る恐る受け取った。

あれ、なんでだろう。いや待て、騙されるな。今まで手に入れたお金は、3等分しなきゃいけないだろう?やっぱり、おかしい。


―――でも本当におかしいのは、この後だった。


ダンジョンを出たけど、そこは再び、ダンジョンだった。

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