15 禁断

気が気でない毎日。今コハルちゃんの学校で、買い物中。


➡ 素材Aをアイテム化しますか?料金 700L


持ち金 723Lしかないのに、これをするように、との蓮賀さんの支持。



「もういいー?」


「い・いやまだだよ」


買い物に悩んでるふりしてる。こんなことする理由は、外にマッチョ雁部が居るから。

コハルちゃんの事をずっと狙っている。


「あたし先に帰るよー」


「ま・待って!一緒に行くよ」

慌てて付いていくと、やっぱり外で雁部が待っている。


「一緒に帰ろう。お前、先に帰っていいぞ」

とコハルちゃんを誘う雁部。俺は帰らずに、見張る、何も手を出させないように。


「なんか食べていくか?」

とレストランへ誘う雁部。この流れはもう5日目。連続で誘っている。


「ごめん、忙しくて」

今まではコハルちゃんこうやって断ってきた、勉強に弓道に友人探しに、忙しかった。しかし、


「いい加減、1回くらい行ってくれよー!」

としつこく誘う。ダメです。でも、


「・・うん、いいよ。少しだけなら」

なんだってー!?


―――――


俺は2人の真横の席を取って、コーヒーだけを注文した。


「お前邪魔だぞ、帰れよ」

雁部が言う。


「・・・」

無視。


「コハルは彼氏いるのか?」

なんで呼び捨てなんだよ?


「ずっとそれ聞くよね?」


「そりゃあ、気になるだろー、可愛いから周りがほっとかないだろー?」


「そんなことないけど、色々忙しかったから」


「気になる人も居ないのか?」


「そういう事、考える暇もなかったかな」


「じゃあ俺が、考えさせて・・」

(ガッシャ―ン!)

俺はスプーンセットを落とす。


「なにやってんだ!バカ!」

雁部が言う。店員さんが、慌ててる。全く、油断も隙も無い・・危うく、コハルちゃんに手を付けられるところだった。食事が運ばれてくる。


「もっと頼めよ?コハルちゃん、おごってやるぞ?」


「ううん、足りるから、ありがとう」


俺は水とコーヒーのみ、お腹がタプタプだ。


「コハル、君ならもっと強くなれるぞ?」

雁部が言う。なんだ、どういう意味だ?


「俺と一緒に鍛えないか?教えてやるよ?」

バトル?ジム?に誘ってるのか!くそ、そうはさせない。俺は話に入る。


「蓮賀リーダーからの報告です!」


「うるせえ!!」

怒鳴られるけど、構わずに続ける。メンタルが、モンスターと、闘って、鍛えられたのかもしれない。


「あの、住宅街の十字路ダンジョンが、立入禁止になりました!」


虫やワームのモンスターとレベル上げで、戦った場所。蓮賀さんの指示でタイムリミットを1度超えたため、危険と判断され出入り禁止された。


「なに!?なんで?」

雁部が言う。俺は理由も説明する。


「まったくビビってるな。ダメな奴だな蓮賀は!」


「この前、時間超えなきゃ、また行けたという事ですね」


「役に立たないやつはいいな。おめえは雑用係か」

なんだと?コハルちゃんの前で恥をかかせる気か?


「コハル、ヘタレは放っておいて、俺と来い。親友を助けてやるよ」


「弥子を?」

親友、の言葉にコハルちゃんは反応してしまう。まずい!


「こいつらは、もう構わずに、十字路のダンジョンに行って、レベル上げしよう」


「でも蓮賀さんが立入禁止だって・・」


「他にレベル上げダンジョンなんてないぞ?ビビってたら、そのままだぞ!」


「・・・」


――かくして、無謀にも止められている、十字路のダンジョンへ向かう。まずすぎる。俺は蓮賀さんから、次のレベル上げ用の、ダンジョンを探すまでは、十字路のダンジョンには入らないように、指示されてる、それは雁部も散々聞いている。蓮賀さんは、予定外の、雁部のタイムリミットをオーバーした行動に、ようやく見つけた、十字路ダンジョンと、満喫の、基地を手放して、次の基地を早急に探すことになった。今奔走中。そんな中、ここでトラブル発生させるわけにいかない!


「だめだ!十字路のダンジョンに入ったら!」


俺の静止を無視して、入り口へ向かって行く雁部。


「コハルちゃん!」

手を掴む。こんな動機で、初めて手を繋ぐなんて。もう少し良いシチュエーションで繋きたかった。俺の必死さが伝わったのか、入り口の少し前で


「やっぱり、まずいよ・・」

と止まる。


「あ?何言ってるんだ!今更?」

手を引っ張る雁部。そして強引にコハルちゃんを連れていく。


「痛い、やめて!」


「おい!雁部。離せよ!」


「うるせえぞ!てめえが居なきゃいいんだ!」


(ドン!)と俺を突き飛ばす。そして、十字路のダンジョンの入り口に、コハルちゃんを、強引に連れて、中に入った!

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