4 おっさんデビュー

―――泥の様に眠って、口が乾ききって、目が覚める。おっさんの朝。まず風呂入って、シャワー、昨日の事は夢だったと思いたい。想像の遥か上に疲れすぎて、まだ心が疲れてる感じ。一体何が起こったんだろう、この前までは平和だったのに。メモがテーブルに置かれてる。そういえば、あの段ボール小屋にまた行くんだった・・。

気が重いけど、唯一気になるのは、あの宇都宮コハルって、JKの事。あの子が好みだから、それだけの気持ちで向かう。


―――――


「おはようございます」


6時30分。遅刻して、ボスの前に集まった俺。


「おはよう。本当なら昨日、打ち合わせするはずだったけど。2人ともお疲れだったから、今日にした」


コハルが手を上げて


「報告です。矢が無くなりましたー」


「そうか、撃ちまくったもんな。それに、回復液も」


回復液。俺とコハルちゃんが、モンスターと闘った時、3つ使ったらしい。


「それじゃあ、今日は補給だな。コハルは普通に学校に行ってくれ、俺がやっておく」

「はーい」


「堀田ちゃんには、頑張ってもらうぞ?」

堀田ちゃん?


「え?俺ですか?」


「昨日の話の続きだよ」


「・・えーと、今日は用事があって」


「用事って?」


「・・ネットゲームしないと」


「・・あのー、堀田さんって何歳ですか?」

コハルちゃんが聞いてくる。


「え、37だけど」


「そうなんだ、あたしは17才なんだけど、聞きたいことがあって。どうして逃げたんですか?」


「え?」


「昨日モンスターと闘ったけど、そのとき」


「あ、あれは・・」


「・・別に攻める気は無いんだけど、あたしも最初は怖くて、ってか今でも怖いし、でも、あたしは逃げなかったから。家族心配にならなかった?」

なんか怒られてる?俺?


「まあまあ、コハル。学校に遅刻するぞ」


「はい。ちょっと言いたくて」


「・・・」

なんか気まずい感じだな。コハルちゃんは出ていった。


なんで怒られたんだろう?俺はいきなりモンスターに襲われたから逃げただけなのに・・なんとなく納得が出来ないけど、あの子は可愛いし、我慢する。



―――「さて、言った通り、勉強してもらうんだけど、・・その前に何か聞きたい事ありそうだな?」


その通り、あるよ。


「・・あの、ワスプって何ですか?」

って蓮賀さんに聞く。


「ああ、ハチの上位種だよ」


「いや、そういうことじゃなくて・・」


「俺がモンスターと戦うために作った組織、ってとこかな」


あんまり意味が解らない。・・あ、ついでに、これも聞いておこうかな。


「蓮賀さんは、猫好きなんですか?」

野良猫だろうけど、結構周りで見るものだから聞いてみる。


「ああ、猫は自由だし、縛りも少ないからな」

なるほど、そういう理由なんだ。


―――ここは、駅前。多くの人が歩いている。


「これから何するんですか、蓮賀さん?」


何するにしても、こんなに人が多いところで恥ずかしいな。と思っていると、蓮賀さんはベンチに座って、ノートパソコンを出して、起動して操作してエンターキーを押すと。


―――駅前が、色が塗り替えられるように、最初にモンスターと闘った、ダンジョンの広間になる。


「は!?何が起こった?」

歩いてた人も居なくなった。


「な・・なんで駅前が?みんなは?」


何が起こってるのかさっぱり解らない。どういう事なんだ?

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