第15話 オーク討伐!
いつも狩りに出かける門は街道沿いに街の南側にあるんだけど、今日は街の北側にある門から外に出た。
街は円形で直径は四キロメートル程あるから、結構遠いよな。
東と西にもそれぞれ門が有るけど、普段はほとんど使う人は居ないそうだ。
北門を出ると、こちら側には川も流れていて街の広さよりもかなり広大な畑が広がっている。
小麦畑が殆どだが野菜やトウモロコシの畑などもある。
川には、船着き場もあって荷物を運ぶ物流の拠点にもなってる様だ。
「大きな川だね、このファンダリアの街から海まではどれくらい離れてるの?」
「私は海に行った事が無いけど、船だと二日ほどかかるそうだよ。川沿いの道を馬車て移動する場合は五日だったかな」
「結構離れてるんだね。川沿いに他の街はあるの?」
「うん、川沿いに三つの街があるよ。海に面しているマリエラの街からは王都行の船も出ているんだよ。馬車で王都までだと三週間かかるけど、船だと一週間もかからないそうだよ。その分船代が高いんだけどね」
話ながら十分ほど歩いていると何件かの農家の家が見えて来た。
家の周りは高い柵で囲まれている。
「柵がないと魔物に襲われる危険もあるからね」
「町の外で暮らすのは大変なんだな」
「でもこの辺りは出て来る魔物も基本的に強くは無いから、大人の人であれば対処できる程度なんだよね、でも今回みたいな人型の魔物が出ると話が変ってくるんだよ。オークやゴブリンはオスの個体しか生まれて来なくて、種族を問わずメスを襲って繁殖するから、人の居る辺りに現れたらすぐに殲滅しないと大変な事になるんだよ」
「それって、性的な行為をするって事なの?」
「うん……そうだね、襲われた女性はほぼ百パーセント妊娠して、二カ月くらいで魔物の子供が生み出されるわ。普通の出産じゃ無くて、体内を食い破って出てくるの」
「そんなの地獄だな」
「だから、攫って集落へと連れ帰るのが目的で現れるんだよね。もしゴブリンやオークに襲われた女性が居たら、可哀そうだけど出産する前に殺すしか方法が無くなっちゃうから」
「絶対に許せないな……」
倉庫の前に今回の依頼者の人が居た。
「あれ? 今回の依頼はオークとゴブリンの討伐だけどお嬢ちゃんで大丈夫なのかい? 確認されているのは、オークが三匹ゴブリンは十匹だけど、他にもいるかもしれない。気を付けてくれよ?」
「はい、この子が強いから大丈夫です」
「今はオークたちが確認されたから、どの家も妻や娘たちは全員街へ避難させているから、この農村地帯には男だけになってて結構大変なんだ。出来るだけ早く討伐を頼む」
「解りました頑張ります」
広い農村地帯を探しながらウサギやモグラ型の魔物を倒していると、オークの姿が現れた。
きっと女性のマリアを見つけて寄って来たんだろうな。
依頼者の人が言う通りに、オークは三頭がいた。
予想通りの豚の様な顔した人型の魔物だけど、魔物だから衣服は着ていないので股間の汚い物も丸出しだ。
ビジュアル的にヤバいな。
マリアを見て興奮したのか既に股間はそそり立ってる。
「でかいな」
「大きいでしゅ」
「マリアなに噛んでんだ? 視線が下半身を視て無いか? 俺は背の高さの話をしてたんだが?」
マリアは顔を真っ赤にしていた。
緊張感がないぜ。
俺はミスリルエッジを構えると、オークの足元を駆け抜け、足首の腱を切って転倒させた。
動きはそんなに早く無いし、力はありそうだけど頭はよさそうじゃ無いな。
残り二匹のオークが雄たけびを上げると、何処からともなくゴブリンたちが近寄って来た。
五匹か、先にオークを倒してしまった方が良いかな?
一応鑑定をしてみる。
オークがレベル十五ゴブリンでもレベル十ある。
結構強いんだな。
油断をしない様に一匹づつ確実に仕留めて行った。
オーク三匹、ゴブリン五匹を倒した所で悲鳴が聞こえた。
「キャァア、テネブル助けてぇ」
俺が振り返ると、マリアが三匹のゴブリンに抱え上げられていた。
「何やってんだマリア」
そう言いながら三匹のゴブリンの首筋を斬り付けると「ドサッ」と言う音と共にマリアは地面に落とされた。
ゴブリンの首筋から噴き出した血で、マリアまで真っ赤になった。
「やだぁ汚い。テネブルがあんまり鮮やかに倒すもんだから見とれてたら、後ろからいきなり抱えられちゃった……」
「もっと周りに注意を払わないと駄目だぞ」
「ゴメンなさい」
「討伐証明部位ってどこなんだ?」
「人型のモンスターは、全部左耳だよ」
「そうか」と言いながら倒したオーク三匹、ゴブリン八匹の左耳を切り取って残りの身体は全部インベントリに放り込んだ。
まだ油断は出来ないな。
周りに注意を払って気配を探るとゴブリンを三匹発見した。
どうやら他のオークやゴブリンを倒されたのを見て逃げ出そうとしてるみたいだった。
こいつらは本能だけじゃ無くて、逃げるとかいう考え方も出来るんだな。
俺はゴブリンの前に回り込んで、三匹の首筋を切り裂いて倒した。
気配を探ってみても、もういない様だ。
三匹の左耳も切り取り、インベントリに放り込んで農家に戻った。
依頼人にマリアが討伐部位を見せると、「もう終わったのかい? 可愛いお嬢ちゃんなのに腕利きなんだねぇ」と言われて照れていた。
「私は全然ダメなんですけど、この子が頑張ってくれたから」と俺の事を紹介してくれて依頼書に完了のサインを貰った。
「お嬢ちゃんはテイマーさんなのかい? でも普通の子猫にしか見えないのに強いんだね」
「テイムのスキルがある訳じゃ無くて元々強かったんですよこの子。私の大事な友達なんです!」
そう言われると何となく嬉しかったぜ。
「楽勝でした!」と言ってみたけど当然「ニャニャア」としか聞こえなかったぜ!
冒険者ギルドに戻ると、依頼完了の書類を見せて報酬を受け取った。
「テネブルありがとう。お陰で初めての討伐依頼達成できたよ」
「良かったな。討伐した魔物の納品しようぜ」
「うん」
そう言って今度は買取カウンターに並んだ。
「今日も少し多いんですけど?」
と伝えると、また個室に案内された。
オーク三匹、ゴブリン十一匹、キラーラビット八匹、ワイルドマウス五匹の部位を納品した。
オークの肉が高額だったのにちょっと驚いたぜ。
買取の総額は五十万ゴールドだった。
依頼の完了の報酬も五万ゴールド有ったので、今日一日で五十五万ゴールドも稼げた事になる。
レベルは俺が28マリアは12まで上がった。
俺のスキルはつくずくチートだよね。
「マリア、まだ他の魔法は覚えれないのかい?」
「うん、才能が無いのかな?」
「そんな事ないと思うぜ? ちょっと聞きたいんだけど回復魔法使える人って結構多いのかい?」
「えーとね、人数的には基本四属性のどれかの魔法覚える人が多くて火、水、風、地の属性がそれぞれ二割くらいだよ。回復魔法を覚える人は一割くらいで、残りの一割が希少属性と呼ばれる魔法を覚えるんだけど、希少属性を覚えた人はパーティでも引っ張りだこだし、平民から騎士になれるような人は殆どが希少属性の持ち主だよ」
「そうなんだね。あのさ、マリアはあんまり魔法を使っていないじゃん? それも上位魔法を中々覚えれない理由だったりしないかな?」
「どうなんだろうね?」
「毎日寝る前にMPが無くなるくらいまで魔法を使ってみるのが良いと思うよ?」
「そうなの?」
何となく自分の世界で読んでたラノベでは、そう言う設定も多いような気がして助言してみた。
魔力やMPの絶対量も増えるような気がするし損は無いよね?
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