第14話 感想に返信するのって結構大変だけど楽しいよね

 香織との食事を終えると帰りはタクシーで戻った。

 若干のアルコールが入った為に、バイクは香織の家の倉庫に停めたままにさせてもらった。


 途中で香織を降ろして自宅へと向かってもらう。


「綺麗な女性とご一緒で羨ましいです」


 老齢なタクシーの運転手は、余計な会話をしてくる。


「彼女とかなら良いけど、従妹なんですよ。高い食事を奢らされました」

「そうなんですか」


「小倉の街に二十五年ぶりくらいに戻って来たんですけど、男やもめが遊びに行って楽しい所とか在りますか?」

「おや、それは勿体ないですね。随分もてそうな感じなのに。小倉は男が楽しむ場所は沢山ありますよ。抜きなら駅周辺。飲みなら京町あたりを歩けばいくらでもありますけど、呼び込みに付いて行く事だけはお勧めできません。行くなら今時はほらスマホとかである程度お店のホームページとか持ってるような、経営がしっかりしてる感じの所を選べばいいですよ」


「参考にさせてもらいます。今日はもうこのまま帰りますけどね」


 下冨野にある自宅までタクシーで戻り千六百円の料金を支払う。

 千円札を二枚渡し「お釣りは結構です」と伝えると「今時お客さんみたいなスマートな遊び方をする人は減ったんですよ。昔はタクシーでお釣りを貰うのがカッコ悪いみたいな文化が有ったから結構楽でしたけど昔が懐かしいです」


 と、笑顔で走り去って行った。


 家に戻ると早速パソコンの前に座り小説の続きの執筆を始めようとサイトを開いた。

 アクセス数の確認をしてみると、更に伸びていてブクマの数は三百を超えてた。

 感想の書き込みもある。


 中々好意的な感想も多い。

 執筆を始める前に、感想にはすべて返信をしておいた。


 ◇◆◇◆ 

 

『とても面白かったです。まるで行って来たような描写に引き込まれました。続きを楽しみにしています』  Ken

『感想ありがとうございます。自分が主人公になり切ったつもりで執筆中です!』  テネブル



『巨乳は正義ですよね!触り心地の描写などkwsk』  アラタ

『感想ありがとうございます。エロ小説にならない程度に表現したいと思います!』  テネブル



『ご先祖様の設定が安直ですが、異世界転移系が好きなので、楽しみにしてます』  joe

『転移の仕方ってどう表現してもリアリティ追及は難しいですよね! この嘘臭さも味があると思って頂ければ……』  テネブル



『妄想乙              だがそれがいい』  ヒデ

『感想ありがとうございます。必死で妄想と股間を膨らませております』  テネブル


 ・

 ・

 ・



 ◇◆◇◆ 



 そんな感じで感想は返信してるぜ。

 この地道な作業が、実を結べばいいなと思いつつ……


 二十四時間のページビューは一万を超えていて、予約投稿文込みで五話しか公開されていない状況なら、十分なアクセス数だなとちょっと顔がにやけたぜ。


 それから朝方までを掛けて、更に四ページ分の執筆をして予約投稿をしておいた。

 昨日は十三時過ぎに戻って来たから、午前中はゆっくり寝て過ごそうかな。


 目が覚めて取り敢えずシャワーを浴びると時刻は十二時半だった。

 少し爺ちゃんに聞いておきたい事もあるから早めに行こうかな。


 地下室へと降りて行き中央に辿り着くと、部屋に灯りがともり総司爺ちゃんも姿を現した。


「おお戻って来たか。まだ昨日の冒険までは話が進んでおらんじゃったの。早く続きを読みたいぞ」

「ああ、昨日の冒険の部分は八話目からだな。明日にはアップされるぞ」


「そうか、楽しみにしておるでの」

「爺ちゃん、ちょっと聞いておきたい事があるんだがいいか?」


「なんじゃ?」

「古代魔法って、知ってるか?」


「おお知ってるぞ、もうそんな情報を耳にしたのか。中々の物知りと知り合えあたんじゃな」

「ああ。ちょっと色々あったからなまぁ誰に会ったとかはネタバレになるからアップされるのを楽しみにしててくれ」


「爺ちゃんは古代魔法使えたりするのかい?」

「当然じゃ、なにせわしは賢者じゃからの」


「すげぇな憧れるぜ。あの世界で手に入れる方法が有るのか?」

「条件は厳しいがあるな」


「そうか楽しみにしておくぜ、本当はもっと色々聞きたいんだけど、俺はゲームする時も攻略本は見ない派だから、行き詰まった時に聞きに来るな」

「そうか、それも又良しじゃ」


「あ、そうそう忘れる所だった。赤と黄色の扉って消えちゃったのか?」

「それはじゃな、今の世界で目的を果たせば他の世界への扉が復活するんじゃ」


「目的なんてあるのか?」

「そうじゃな、その目的を見つけるのも冒険の内じゃからの」


「そうか、まぁ気長に頑張るぜ」


 ◇◆◇◆ 


 俺は、青い扉をくぐり三度目の冒険へと旅立った。

 街へ出るとすぐにマリアから連絡が入った。


『テネブル、戻って来てるの?』

『マリアか。今戻って来た所だ』


『私今冒険者ギルドに来てるから、そっちに来て貰えるかな?』

『判った五分も掛からないよ』


 冒険者ギルドへ行くと、マリアが依頼表とにらめっこをしていた。

「マリア何難しい顔してるんだ?」

「あ、テネブルお帰りなさい。折角Dランクに上がれたから討伐依頼受けたいけど依頼にある様な魔物は私じゃとても倒せないようなのばかりだから、どうしようか迷ってたの」


「そんなの俺に任せろよ、折角パーティなんだし、レベルアップしてるうちに攻撃魔法を覚える可能性だってあるんだからレベル上げ優先で頑張ろうぜ」

「うん、解った。でもテネブルも無理しちゃだめだよ?」


 Dランクに上がったマリアはCランクの依頼まで受ける事が出来るそうだけど、次のCランクに上がる為には最低二十まではレベルを上げなければならないらしくて、ランクアップの為にもレベル上げは必須だよな。


 それと明日の朝は孤児院の隅っこの土地を貸して貰って、薬草と毒消し草の栽培にも挑戦してみたいと思う。

 魔物の内臓を刻んで土に混ぜ込んでやれば、かなりの確率で成功すると思ってるが、それはやってみないと解らないな。


「なぁマリア、門の側の解体所で出た内臓や血はどうしてるんだ?」

「匂いで魔物が寄って来たら困るから、火属性の魔法使いが毎日焼却処分をしてるよ」


「そうなんだな、ありがとう」


 そうかぁそんな心配もあるのか。

 それだと孤児院の敷地に薬草の栽培をするのは止めておいた方が良いな。


「マリア、薬草栽培をしてみたいと思うんだけど街の外の土地って、借りたりできるのかな?」

「どうなんだろうね? 小麦や米を育てる畑は、街の外にあるから、商業ギルドに聞いて見ると良いかもね?」


 結局、マリアは丁度今話に出た、街の外の畑を荒らすゴブリンとオークの討伐依頼を受けていたので、それに向かう事にした。


 人型モンスターは初めてだな。

 既に人も斬ってるから、今更ビビることは無いだろうし、大丈夫だよな?

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