第9話 薬草採取へ行って見た

 サンチェスさんと言う商業ギルドのマスターに、俺が現代日本の家具屋で買って来た鏡を売りに来たら千五百万ゴールドと言う信じられない価格で買って貰える事になった。

 翌日の借金取りへの返済の時も付き合ってくれる事になり、一安心をしながら商業ギルドを出た。


「良かったなマリア。今日はこの後どうする?俺としては魔石を集めたいから狩りに行きたいんだが、マリアと二人で良ければレベルアップにも協力できると思うぞ? 俺は魔物の事とか知識が足りないから、出来れば一緒に来て色々教えて欲しい」

「うん! 勿論賛成だよ。教会のママの病気を治して上げる為にも頑張ってレベル上げをしたいし、折角だから冒険者ギルドで依頼を受けてから行った方が、お金になるから、それでいいかな?」


「構わないよ」


 俺はマリアに抱かれて冒険者ギルドへと入って行った。

 中へ入ると、マリアに声を掛けて来る女性が居た。


「マリア聞いたよ昨日の事。あの後ギルドの警備隊が街道に行ってジョニー達のパーティを捕まえたらしいよ。あいつら他にもかなりの数の女性を行方不明にさせた余罪が追及されて、犯罪奴隷として売られるみたいだよ。それと森を根城にしてる山賊達もギルドが本格的に討伐に行くらしいよ、今日から討伐隊の人員募集が始まったからね」


 そう声を掛けて来たのは、犬耳をはやしたつぶらな瞳の可愛い女の子だった。

 見た目に似合わず片手剣と少し大きめのラウンドシールドを持っていた。

 こっそり鑑定をしてみる。


 サーラ 


 種族 獣人族(犬種) 

 レベル28

 冒険者ランクC


 攻撃力 330

 防御力 200 

 敏捷性 250 


 魔法攻撃力50     

 魔法防御力50  

 知能   50    

 運    50    

 SP  980


スキル 盾術2 剣術


称号 


 結構強い人だったな。

 獣人の女の子も予想通りって言うか凄い可愛いぜ。


「サーラさん気にかけて貰ってありがとうございます。この子のお陰で危うく山賊に奴隷にされるとこを助けて貰いました」


 そう言って俺をサーラに紹介してくれた。


「あらこの子猫がそんなに強いの? プレートを付けてるって事は、従魔にしちゃったの?」

「プレートは一緒に居たいから付けて貰ってるけど、従魔でなく大事な友達ですよ」


「そうなんだね、名前は?」

「テネブルって言います」


「テネブル君、マリアを守ってくれてありがとうね」


 そう言って俺の頭をなでてくれた。


「どういたしまして」と返事をしたが、当然「ニャァニャ」としか聞こえないぜ!


「マリア、私は護衛以来で王都まで行って来るけど、野良パーティに入る時は気を付けなよ」

「はい、今回の事件で思い知らされました。当分はテネブルと二人で頑張りたいと思います」


 サーラがギルドから出て行くと、この近辺で出来る依頼をマリアが選んで俺達も街の外へと向かった。


 歩きながら、マリアがサーラの事を教えてくれた。


「サーラさんはね、私が冒険者登録をした時に色々教えてくれた人なんだ。普段は固定パーティで活動してるけど、時々狩りに連れて行ってくれたりするんだよ」

「そうなんだ。サーラのパーティは獣人の人ばかりなの?」


「そうだよ。でもねB級に上がろうと思うと魔法が使えないと中々厳しいから、そろそろパーティは解散するって言ってたよ」

「それは? 獣人は魔法が苦手って事なのかい?」


「うん、全く使えないわけじゃ無いけど、エルフや人間の様には使えないかな」

「そっか、もう一つ聞いて良いかな?」


「構わないよ」

「マリアって今は回復魔法だけ使えるんだろ? それって今後攻撃魔法を覚える可能性はあるのかい?」


「それも絶対じゃないけど二系統の魔法が使える人は魔法を使える人の中で十人に一人だね。三系統だと百人に一人だよ。レベルアップをしたタイミングで覚える可能性があるんだって」

「そうなんだ。それ以外には覚える方法は無いのかい?」


「極稀に、ダンジョンって呼ばれる迷宮の中の、宝箱からスクロールって言う宝物が出て、それを使って覚えることも出来るみたいだよ。オークションに時々出品されるけど、安くても五千万ゴールドくらいするんだって」

「そうなんだ。俺も魔法使えるようになりたいから、商売でも頑張ってスクロール買おうかな?」


「でもテネブルって猫の姿だと商売も出来ないんじゃない?」

「それは、マリアに手伝ってっ貰うしか無いかな。今日の孤児院の子供達にも、ちゃんとお給料を払えば、協力してくれるんじゃない?」


「それって、みんな絶対喜ぶよ。私も協力するから頑張ろうね」

「そうだな。今日の狩りが終ったらどんな物が売れるのかを知りたいから、色々教えてくれ」


「うん、解ったよ」


 街から出る時に、マリアが小型の荷車を借りに行こうとしたが俺が声を掛けた。

「マリア、二人の時は荷物は俺が持つから、荷車は必要ないぜ」

「えー? いいのそんなこと頼んでも」


「だって荷車なんか使ってたら遅くなるだけじゃん。それより何の依頼を受けたんだ?」

「うん、薬草の採取と毒消し草の採取だよ。一人だといつも採取しか受けていなかったから」


「そうなんだ。俺が居るんだから魔物の討伐系の依頼とか受ければよかったのに」

「私はFランクだから、討伐系の依頼は受けれるのが無いんだよ。でも討伐部位を納品すれば、常時魔物討伐は認めてくれるから、大丈夫だよ。納品量次第でランクが上がるから、少しずつランクが上がれば受けれる依頼も出てくるから」


「解った、じゃぁ魔物は手当たり次第に倒せばいいんだな。俺は魔石だけは欲しいけど、他の物は全部マリアに譲るよ」

「そんなの悪いよ」


「イヤイヤ、俺って猫だしこの世界のお金貰っても使い道無いからな。さっき言ってたスクロールなんかを買う為には、狩り程度じゃ中々たまらないだろうし、商売で貯めたほうが早いと思うからね」

「そうなんだ。じゃぁお願いね」


 マリアと一緒に薬草の群生地を目指し、途中で出会った魔物は片っ端から倒していった。

 今日はスタート時間が遅かったから、暗くなり始めるまで頑張ったけどそれでも二時間ほどしか狩りが出来なかったぜ。


 それでも五十匹ほどの魔物を狩る事が出来た。

 俺のレベルは22まで上がり、マリアのレベルも8になった。


「テネブル、本当に凄いね一日で三つもレベルが上がるなんて初めてだよ。薬草と毒消し草は採集するとどんどん鮮度が落ちちゃうから、出来るだけ早く持って行かないと価値が低くなっちゃうんだよ。急いで戻ろうね」

「そうなんだ、ねぇマリア薬草とかって畑作って栽培とか出来ないの?」


「それね……魔法植物は魔素を吸って成長するから、魔物が倒される場所でしか育たないんだよ。きっと魔物の血が重要なんでしょうね。街の側では魔物は居ないから、育てられないんだよね」

「そうなんだぁ中々楽しては儲からないんだね」


 そう言った後に俺は気づいたぜ! 俺なら魔物事運んできて要らない内臓とかを土に混ぜれば栽培できるんじゃないか? インベントリが勝手に分けてくれるし、それに鮮度だって、インベントリってきっと時間経過しないような気がするし。

 まぁ試してみればいいな。

 孤児院は結構土地は広いしあそこで子供達に世話をさせれば、十分にやっていけるかもしれないぜ。

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