第46話 報酬
バタン!!
大きな扉の音を立てながら私はギルドの扉を開くと、ギルドにいる人たちは驚いたような表情を見せている。
「な、何があったのよぉ!?」
すると目の前の受付からMis.カエロナが走ってくると、私は荒い息を整えるかのようにゆっくりと深呼吸をすると、Mis.カエロナに向かって話しかける。
「な、何でもありません」
「けどぉ、さすがに、その状態は異常よぉ!?」
「大丈夫です」
徐々に息が整うと、私は懐から出した麻袋を取り出す。
「これ」
「え?」
「クエスト報酬です」
「えぇ!! これ、もしかしてぇ、薬草ぅ!?」
「えぇ、クエスト内容の物です」
「け、けどぉ………あなたは大丈夫なのぉ?」
「大丈夫です」
Mis.カエロナに心配されるような事を言われるが、私は冷静を装い、普通だという事を証明する。
「………そうぅ」
Mis.カエロナはどこか慣れたような事を言うと、「じゃあぁ、報酬支払しちゃいますねぇ」と言いながら受付の方へと向かう。
私はその間に壁沿いにある長椅子に座ると、懐に抱えているボロ布の子に、「もう大丈夫」だと安心させるように語る。当然、このギルドとはいえ、いつ敵がいるのかは分からないため、無闇にこの子を出したくはない。
それに敵は一人ではない。組織だ。主義主張だ。この子を出してしまえば、敵はいつこの子を殺すのか分からない。
「ふっ」
あぁ、この感覚。どこか懐かしいな。憲兵隊に後をつけられたような、あのような感覚だ。あの者らは、きちんとした制服を着ながらも、独逸の秘密警察のように制服を着ていない時がある。
だからこそ、こういうこのに関しては警戒度は高く周りを静かに見る力が得られたという事だ。
「待たせたわねぇ、はぁい、これが今回のクエストのほ・う・しゅ・う♪」
「有難うございます。Mis.カエロナ」
「いいのよぉ、別にぃ♪ そ・れ・に♪」
「?」
Mis.カエロナは私に報酬の入った麻袋を渡すと、何かを言おうとする。
すると私の視線は麻袋からMis.カエロナの方へと移り、Mis.カエロナの顔を見ると、Mis.カエロナは何も言っていなかったっがその口は何かをわつぃに伝えるかのように動いていた。
『あなたが一体、何をするのかも黙って、あ・げ・る・♪』
「!!?」
「安心してねぇ♪」
Mis.カエロナは私は読唇術でそのような事を伝えると、さっさと私の目の前から消え、あっという間に受付の方へと向かっていた。
「…………彼女は一体、何者なんだ」
そのような気持ちを抱きながらも私はMis.カエロナの背中を見ながら、その場を立ちあがった。
これでクエストの報奨金を受け取ったんだから、この子に十分なご飯に有り付けることが可能になる。なら一刻でも早く、この子に美味しいご飯を食べさせたいために、私はその場を立ち、この子を抱えながらも飯があり付ける場所に向かった。
ギルドから出て、辺りを見ると、ギルドの周りの店の多くは飲み屋や鍛冶、百貨店などと言う多くの人たちに利用してもらうためのきちんと客を狙った商店街のようだったが、私が一番、欲しかったのはこの子も食べれる、おいしくて静か、かつ人が少ない食堂という我儘な要件に答えられる場所だった。
「ないな」
だが周囲には人が多く行き来する飲食店が多く、私の要望に応えられる店は無かった。
「………むぅ」
けれどもこのままじゃいけないと思い、私は近くにあった路地裏に入ると、脇に抱えているボロ布の子を離し、近くにあった廃材の上に座らせる。
「大丈夫?」
「………」
私はその子に声をかけてみるが、そのボロ布の子からは何一つ返答しない。
もしかして、栄養失調!? と思ってしまった私であったが、耳を澄ませるとただ静かに寝ているだけだったが、この睡眠も栄養失調での気絶してるかもしれないと考えた私は急いでその子を隠すように近くにあったボロ布で包むと、急いで私はその足を走らせた。
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