第10話 休憩
私とクラスメイトのクラスとスキルが発表し終え、エルバード宰相に、
「今日は状況が飲めずと思いますので、今日は部屋を準備しておりますのでそちらでお休みください」
と言われてしまい、私とクラスメイト達は、各自の部屋に案内されている時だった。まぁ、その言葉には私の事を重点に置かれていると思うが、深く考えすぎてしまうと相手に勘づかれる可能性もある。
そのようなことを考える中、ゾロゾロと人溜まりの状態で狭い通路を歩いている私たちは一人ずつ各部屋に案内され、部屋の中へと入っていった。
「おい、本当に大丈夫かよ」
「うん、さすがにもう大丈夫だよ」
そんな私は健太に先程から心配するような顔で見られていた。
だが、そう長く見られてしまうと、考え事なんてすぐさま頭の中から消えてしまい、健太の方へと意識が向いてしまう。
さすがに先程の、スナイパーライフルについて、が原因なのだろう。
きちんと彼にスナイパーライフルに説明してもらったが、大雑把でよく分からない説明だったが、そこからでも十分な情報量を引き出せたし、ましてやそれが原因で私の好奇心が更に沸かせたのは言うまでもない。
それが原因で、私は先ほどから健太から変な目で見られるようになってしまった。
真に墓穴を掘るとは、このことだろうか。
「青木様、青木 健太様」
すると、怪しげな視線を向けていた健太は大きな声で、使用人に呼び出される。
「あ、呼ばれた。………矢代! ほんの少しでも体調とか悪くなったらメイドさんたち言えよ!」
「うん、分かった」
去り際に健太はそう言いながら人混みをかき分けながら、呼んでいた使用人の方へと向かっていった。
ふむ、この時代では使用人のことをメイド、と言うのか、確かに私のいた時代では女性の使用人をメイドと呼び、男性の使用人を執事、と呼んでいたものだが、歳をとるたびにそのようなことを考えるのが無駄と思ってしまったのか、どちらとも使用人という一括りにまとめてしまった。
いや、歳をとる度にメイドさん、や執事さん、と言えるだろうか?
それなら使用人さん、かその人の名前を言った方が早い。というか、使用人の名前は全て覚えていたため、その必要は無かった。
「さて、私の順番になるまではまだ時間があるようだな」
名前の順番に呼ばれるのなら、苗字で「あ」から行われるためまだ、私の名前には遠い。先ほど、青木。ならまだ、序の序、私の番が来るには遠いというものだ。
「それにしてもスナイパーライフルか……」
和名にすると狙撃銃となるが、やはり、狙撃の特化した銃か。
先ほどの健太の大雑把の説明から、銃身が長く、望遠鏡があるということだが………そうなると、本体重量が重くなるような気がするが………いや、まず狙撃には素早い移動は必要ないか。そうなると、今現在私が保有この『すきる』? とやらには、これが一番、合うのかもしれない。
だが暗殺となると、隠密性に機動性が重要になるかもしれない。
そうなると私の時代の知識では、足りないものがある。こうなると、不足情報は独自でどうにかするしかない。
「となると、この世界の文明進行がどれくらいか調べなければな」
そのためにまずしなければいけないことはこの世界の時代がどれくらい進んでいるかだ。もし、中世ヨーロッパ時代、となってしまうと火薬はあるだろうが十分な銃開発は難しい。
銃とは、積み重ねた歴史の上に立っている。剣術や武術と同じく、人の知識がその歴史に詰まっているのだ。だからこそ、この世界の時代がどれほど進んでいるのか、知る必要がある。
「矢代様。矢代 倫一様!」
「む、はい!」
すると、私の考えこんでいる間に既に私の番が来ており、使用人が叫び呼んでいる。
私はそれに返事をすると、使用人の方へと向かう。
さすがに私は『ヤシロ=リンイチロウ』だが、この体の名前は『矢代 倫一』だ。無視なんて行為は宜しくはないだろう。
「私が矢代 倫一です」
「はい、では貴方様の部屋はこちらとなっています」
眼鏡をかけた使用人がそう言うと、扉を開き、私を部屋の中へと案内していく。
「………………」
部屋に入ってまず最初に映りこんだのは、大きな窓辺だ。
窓辺から差し込む日の光が、部屋全体へと差し込み、その光は部屋全体の装飾の輝かせた。
これは私が今まで泊ってきたホテルの中でも無かった形式だと思う。
かの有名な帝国ホテルに泊まった時は、このようにじっくりと観光気分を残せるものではなかったし、何かと忙しかった日々故に今、こうしてのは本当にただ泊るだけで良いのかと心から思ってしまう。
「手入れされていますね」
「えぇ、私たちメイド共は例え人が使用していなくても、細かいところまで丁寧に掃除するのが仕事ですから」
「えぇ、本当に素晴らしいものですよ。一つ一つの作業に心が篭っています。さぞ、ここまでするのに苦労を成されたでしょう」
「え、えぇ……」
「それなのに、私共のようなものがこのような部屋を使用してしまって、ましてや、私たちの世話のせいで仕事を増やしてしまったと思うと、疲れるところがあるでしょう」
「い、いえ、お客様に、気分の良い滞在を成してくれることに対して奉仕することが私どもの役目ですから」
私がそう言っていくと、部屋に案内してくれた使用人は手を握りながらへたり込んだ。
「だ、大丈夫ですか!?」
「い、いえ、これほど褒められるとは思わなかったので………」
「そうですか………、では、それほど貴方たちは頑張ったんですね」
「えっ?」
「お疲れになっているのであれば私の事なんて関係なく、十分に休むといいです。それも使用人としての十分な勤めですから」
「………………」
私はへたり込んだ使用人の手を取ると、使用人は何も言わず私の手を取り、私は立ち上がらせる。
さすがに使用人の制服が汚れていないとは、制服の乱れは宜しくはないと思い腕の襟や首元のリボンを整える。
「はい、これで大丈夫でしょうが、私ができるのはこれぐらいです。この仕事が終わったら十分に休んでください」
「は、はい」
私がそう声をかける、使用人は短く返事をしてすぐさま部屋から出て行った。
部屋の中に残された私は、小さながらもこう言った。
「なぜ、あの使用人さんは顔を赤らめていたのでしょう?」
私は、生前と同じように使用人や部下の身だしなみを整えただけなのに………。
もしかして、胸や臀部などプライベートな所に触れていたのだろうか? 触らない様に気を付けていたのだが、こうなってしまうと、後で謝りに言った方がいいだろうか?
まぁ、これでも違うとなると、………風邪だろうか? 熱が出ているのだろうか………、そうなると十分に休んでもらいたい。
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