第一章 鉄の馬と魔なる獣 《リュシュテン編》
第7話 転生
目が覚めると、そこは豪華絢爛の天井や壁などが装飾が見られる建物の中にいた。
「ん、………ここは?」
私は堅い床で寝ていたせいか、痛んだ体を起こすと、目の間には驚いた光景が広がっていた。
まるで中世の大きな宮殿の中にいる様に多くの豪華そうな服を着た人たちと、柱や壁天井には高級そうな装飾、そして豪華な装飾をされいる椅子の横にある輝く金や銀の器。床は自分の顔さえも映りだされるほどの綺麗な床。
「ん?」
私は映し出される顔に違和感を覚える。
えっと、何だこれは?
「んっ、なんだ、ここ?」
「いてて、なんだよ、急に~」
「うわぁぁぁ!! って、ここは?」
私の驚いた顔なんておかましなしに私以外にもここの床で寝ていたクラスメイトたちが次々と起き上がり辺りの様子を見る。
そんな中、私はただ一人だけ膝を床に突け、自分の顔を見つめる。
「………………どういう、ことだっ?」
私の目に映っていたのは、若いころの私のそっくりの私の顔だった。
服装も先ほどと違う。見た事もない形をした服。生前、私が着ていたスーツとはどこか違う、軍服のような、官僚の着ているスーツと言えばいいのだろうか?
けれども、どこか違う服装だった。
「なんだこれは?」
「目が覚めか! 勇者たちよ!」
この状況に戸惑っている私に対して、構わず大きな声がこの部屋全体に響く。
その声を聞き、クラスメイトやこの場にいる者たちを一斉に声のした方へと向く。
ただ私を除いて。
なんだ、これは、どういう状況なのだ? と戸惑いながら私は床に映った自身の顔を何度も見る。
だが、何度見直しても、私の顔は若い頃のあの顔だ。
「そういう事なんだ?」
私は、私が用いる知識を全てを使い、この状況を理解しようとする。
だが、何度も考える内に徐々に頭の中がこんがらかる。
「おい、何しているんだよ。矢代」
「えっ、何!?」
私の名前を呼ばれ、顔を思いっきり上げると、そこには日露戦争で亡くなったはずの幼馴染 青井 勝次がいた。
「かっちゃん?」
「あ? 何言っているんだ? おめぇ」
「!!」
その言葉に私は自分は今の状況を理解する。
死んだはずの青井 勝次がこのような場所に居るはずがないし、いても自分のことを覚えていないなんてありえない。
となると、全くの別人だろうか?
にしても似すぎている。顔の形、雰囲気、目の色や髪の色は若干、違うが、それ以外ならあまりにも似すぎている。
「どうしたんだよ。矢代。いつものお前らしくねぇじゃん。ま、いつもおかしいけどな!」
膝を床に突いている私に対し、勝次に似た青年は大きく高笑いをする。
本当に、似ているな。
「あ? どうした?」
「い、いや、なんでも」
こう私が知っている人たちが、いるとは思っていもいなかったし、私の顔がこれ程若い頃に似ているとは、どこか不思議な感覚でありながら何とも煮え切らない気分でもあった。
「な、なぁ」
「あ? 何だよ。矢代? また、腹壊したのか?」
「い、いや、違うが、私の名前を知っているか?」
「は?」
私は立ち上がり、勝次に似ている青年の方を見ると、青年は、何言っているんだこいつ、みたいな声音で返事をし、私の事を見てくる。
「お前、本当にどうした? 頭でも打ったか?」
「あ、あぁ、」
「ふぅん。ま、おかしいのは昔っからだからな。なら言ってやるよ。お前の名前は矢代 倫一。そして、俺の名前は青井 健太だ」
「……………………」
ヤシロに、青井?
私はその答えに驚いた。昔の、いや、生前と同じく苗字が一緒で、ましてや名前さえも類似する、なんて………。こんなことがあるだろうか?
「おいおい、本当にどうしたんだよ。いつも以上におかしいぞ?」
「い、いや、気にしないでくれ」
「ふぅん」
私は額から溢れ出す脂汗を拭くと、息を整えるためにゆっくりと深呼吸をする。
このようなことがあるのか?
私は頭の中でそう言い聞かせながら、思考を回す。
生前と同じ苗字、顔立ちや雰囲気も一緒、なのに重要な名前は少しだけ変化がみられる。なぜだ、なぜだ? とそう考えながら思考を回す。
「何がおかしい? それともどこもおかしくないのか?」
「………………」
「いや、そもそも、おかしくないなんて………」
「おいおい! 本当にどうしたんだよ。まるでに人が入れ替わったような感じじゃんか!」
「!!?」
私がぶつぶつとそう呟いていると、さすがにおかしいと思ったのだろう。勝次に似ている青年、確か健太、と言ったのだろうか? 健太は不思議そうな顔で私の方を見てくる。
「な、何も無いよ」
「そうか?」
「そうだよ」
それに彼、健太が言ったあの言葉、人が入れ替わった、とは………もしかしたらその通りなのかもしれない。
けれどもそのような内容だった、この体の持ち主はどうなっているのだろうか?
不思議にもこの体は馴染むが、持ち主がいないとなるのは馴染めたものもどこか馴染めるものではない。
「………………」
私は健太の不思議そうな視線を受けながら、私はやっと前に向かって何か会話をしている彼らの方を見始めた。
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