作戦終了>>
―作戦後から四日目―
昨日よりか搬入は減少傾向にあり、幾らか余裕は出てきた。
緊張感のあった施設内も随分と落ち着いた方だ。
そのせいもあってか静かながらに賑わいも出始め、初めの頃は少し位の緩さがあっても良いだろうとの事で見逃されていたが、そのうち一部騒がしい程になってしまう者が出てきたので、気を付けるよう声を掛けて回るようになってしまった。
外の様子は鎮圧以降静かなもので、再襲撃の気配すら微塵も無く随分と諦めの良い連中だったらしい。
万が一に備えて数人の傭兵が哨戒しているが、彼らも随分と退屈している様だ。
・・・砂漠の彼らについて気になるのが、少なくとも彼ら側にも負傷し帰還した者がいるはず。
純粋に向こう側の設備と技術が気になる・・・まぁ、ただの医師としての興味であるが。
―作戦後から六日目―
少々時間が掛かってしまったが補充の医療物資がこの日に到着した。
正直に言えば、一部既に底が尽きてしまって自前の物を使ってしまったが、これは國への貸しという事にしておく事にしておいた・・・つもりだ。
この日にリージョン側から連絡が有り、収容していた患者の半数程を経過良好の為帰還させたとの事。
なのでこちら側で収容している重傷者優先で受けて貰える事となり、搬送も向こうが手配してくれた。
ただ、多数手続きがあるので翌日午前以降に搬送隊が到着するだろうと言われたが、こちらも少なからず手続きがあるので寧ろ助かった位だ。
―作戦後から六日目―
昨日の連絡通り、正午前程に搬送隊が到着した。
こちらも準備は済んでいたので、搬送車に運び込み送り出すまでそう手間取ることも無かった。
勿論、向こうもプロでありこちらも慣れた作業であるからこその手際であるだろう。
その甲斐もあり、辺りの景色が少し暗くなる頃には最後の一台を送り出し、ベース内も更にまた少し落ち着きを取り戻した雰囲気となった。
―作戦後から九日目―
何時ぞやは終わりが見えない程の列と人集りであったここも、随分と閑散として来た。
ちらほらと全く関係の無い所で怪我をしたとか体調が優れない等で訪ねてくる者のが出て来るようになり、ここでもまた一つの終息を感じた。
更に、ベース内の医師と看護師を三割程度帰還してもらう事となった。
此処を解体するまでは、そう長くは無いだろう。
―作戦後から十二日目―
この日、職員全員が召集され遂に此処[ 臨時医療ベース]解体の話が上がった。
色々細かい事を言っていたが、要約すると「緊急性が無くなった為」との事 。
隣接している仮居住区は当分残るが、そちらの管理等は我々の管轄外である為、他に任せるそうだ。
解体は五日後、次の厄介事が来る前に離れておきたいと医師長がボヤいていた。
―作戦後から十五日目―
五日後に一斉解散という訳では無く、各自準備が終わった者から帰還して良いとの事で、持参の少ない医師や看護師は召集後早々と帰る事が出来た様だ。
あれから既に三日は経過している為、かなり閑散としてきている。
今残ってくれているのが、自分も含めて最後と思っても良いのかもしれない。
―作戦後から十七日目―
最前線であった此処も、この日で役目を終えた。
結局、最後の五日間も特筆すべき程のことは起きず、正午辺りから少しづつ、人の姿が消えて行った。
自分はすっかり日の落ちた頃、最後に施設を離れる事となった。内部の最終点検を済まし外に出ると、ふと振り返り
「短い間ですが、お世話になりました。」
と、建屋に一礼をすると静かにそこを後にした。
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