作戦終了 三日目
あれから、医療ベースに戻るとすぐに医師長へ下層街区の状況と後の計画について伝えた。
有難い事にすぐ了解をしてくれて、その場で各機関に伝達してくれた。
その代わりにと、自分が最後まで残る事を条件にされたが元より事態が終息するのを見届けるつもりであったので「当然残ります」と快諾した。
新規の患者が来るまでに少しでも台を空けておこうと、この辺りでの被害者でほぼ完治している者を少し早いが帰還させることになった。
そうは言っても付近の被害者は今回の件で住処を失った者が少なく無かった為、しばらくは仮設の住居へ移ってもらう計画になっていたらしい。
ベースからそう遠くない位置にまとめて造られた簡素な住居群、少し中を覗かせて貰ったが中々に快適で外観の割に中は広く設備はそれなりに充実していた。
「簡単である程度のものならこれ程の短期間で造れるとは・・・流石だなぁ」
つい、独り言が漏れる。
誰が何処に入るかは手元の名簿と簡略地図に書かれているので案内は楽だ、次が来るまでには終わらせよう。
―移動が終わり医療棟に戻ると、既に患者が到着し受け入れが始まっていた。
今来ているだけで軽く数十人と言ったところだ。
怪我の度合いはまちまちだが、全員軽傷と言った感じに見受けられる。
「これくらいならその場で治療して帰らせる事が出来そうネ、・・・なんか慌てて台空けて貰ったの申し訳ないなぁ」
と言っても共同空間から個室に変わったくらいの差なので、恐らくそこまで気にしていない・・・であって欲しい。
―受け入れと治療が始まってから数時間、未だ忙しないが交代で休憩を取れる程にはなった
人数が多い事とその場で帰すつもりで治療を行っている為、そう易易と捌ききることは出来なさそうだったが、唯一の救いはここまで診た患者ほぼ全員比較的軽傷な事だ。
しかし数が多いだけあって備品の消耗が気になって来る
「各消毒薬剤に包帯と滅菌脱脂綿・・・それと縫合用の糸とあと―」
今、手元にある分も少しばかり心許ない。
奥の備品コンテナにはまだ残ってたと思い見に行ってみると余裕が無い訳では無いが、心配しておいた方が良さそうだった
「流石に物資の追加援助くらいあるよな・・・一応國の施設だし。んでも報告はしとくかね」
丁度休憩も終わる頃合で持ち場に戻る途中の連絡路
、偶然にも受付の彼女に会った。
お互いの簡単な状況報告のついでに備蓄物資の事も伝えると彼女曰く、既に補充の通達は来ているそうで翌日以降には到着するらしい。
杞憂だったようだねと言って少し笑ってみた、彼女も軽く笑顔を見せてくれたが疲れが見て取れた。
「お互い、もうしばらく頑張ろう!」と別れ際に声をかけると向こうは何とか気合いを入れた表情で「はい!」と返事をくれた。
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