第25話 装備作りを楽しんだらギルド登録へ向かって

前書き


次からは適当に書きたい

鍛冶のお勉強疲れた



第25話 装備作りを楽しんだらギルド登録へ向かって


真樹「ふわあ…。」


遮光し目を守ったおかげで快眠できた。

目を覚ませば皆が寄り添うように眠っていて、夢の中を冒険している。

安心した表情を見届けてから、想里愛の頬に口付けする。

咲桜里や翠や里乃愛にもする。

よし、軽めの朝食を用意しておこう。

台所へ移動し透明のガラス皿に冷えたヨーグルトと輪切りにしたバナナを乗せていく。

アイスも追加で添えるのも良さそうだ。バニラやチョコや苺や桃味のアイスをそれぞれ添えていく。


真樹「おっ、桃や苺のサンドイッチもこれで完成かな。」


ミキサーで余った果汁をサンドイッチに染みこませた逸品だ。

果実や果汁をしみこませる前に、少しオーブンで生地を温めながらバターも塗ってしみ込ませてある。

果実や果汁だけでもありだが、こちらのほうも試食したら美味しかったので採用した。


真樹「飲み物もストレートの果汁にしたけど、糖尿病にならないか少し心配だな・・・。」


反省してお昼は冷たいお茶にしたほうが良さそうだ。

寝室へ戻れば、朝の陽射しはしっかり遮光されていて皆可愛い寝顔を見せてくれている。

起きるまでゆっくり待とう。


真樹「よいしょ・・・。」


想里愛の隣に横になり彼女を見つめる。

起きたら、頬を染めて照れてくれるのだろうか。

彼女の手を握ると、握り返される。


想里愛「真樹さん・・・♪」


そのまま、僕を抱き寄せてくれる。

朝から想里愛の愛が深くて僕は嬉しい。


真樹「想里愛、おはよ♪」


想里愛「えへへ、お布団が良いから戻ってくるの待ってました♪」


お布団の中で、朝から愛を深めていく。

下着の中に手を入れて乳房を揉めば可愛らしい声を吐息にしながら出してくれる。


想里愛「真樹さんのお口甘い味がする・・・♪」


真樹「ん・・・苺や桃を少し味見してたからねっ。」


いつもより多めにキスしてくれる。

この味が彼女のお気に入りなのかもしれない。

毎回味見してから、想里愛の元へ行くのが最善だと僕は考える。


里乃愛「ふわあ・・・よく寝たぁ~。」


里乃愛を始めとして、みんな目覚め始める。

朝のイチャイチャはここまでかな。


咲桜里「あっごはん用意してある~♪」


翠「いつものごはんも良い匂いだけど、今日のは甘い匂いがするねっ♪」


真樹「ふふ、今日はデザート多めの朝食にしてみたんだっ。」


想里愛「量も食べやすそうで、完璧ですねっ♪」


皆がサンドイッチを頬張るのを見ながら、一息ついて桃のジュースを口に含む。

僕も1つサンドイッチをもらいつつ、彼女達と食事を満喫する。

たまにはスウィーティーな食事も悪くないな。


全員「ご馳走様~!」


真樹「皆悪いんだけど、もう1回採寸しておこうと思うんだ。」


咲桜里「すぐ終わるしいいよぉ♪」


翠「まったく、真樹はどすけべなんだからっ!」


それに頷く想里愛と里乃愛。

防具のサイズを正確に測るのは建前なのは間違いない。

弁解のしようが無い。


想里愛「真樹さんが、真剣に取り組んでるんだもの。喜んで協力しますよ♪」


里乃愛「うんうん、里乃愛も応援してるねっ♪」


真樹「皆・・・ありがとう!」


協力的な彼女達に感謝の念しかない。

お風呂じゃないのに、皆しっかり裸になってくれる。

前回と誤差が生じないのを祈りながら、一人ずつ採寸を進めていく。

広げたメモ帳に今回の数値を書き綴る。

朝食前だからか、数ミリだけ全体的に小さくなっている。

これなら誤差の範囲内だろう・・・採寸が完了する。


想里愛「真樹さんのデザート、美味しいです♪」


翠「胃に優しくて食べやすいね、これは良いよ♪」


真樹「美味しかった・・・皆はゆっくり朝食を食べててよ。僕はまた作業をしないといけないから。」


小屋に入り、露店で購入した魔導具の魔刻香を購入した。

この匂いを嗅ぐと、自分の動きは通常通りのまま、自身の周囲の空間のみ時の流れが緩やかになると言う魔導具だ。

若干加齢が進んでしまうが、溜まった作業を消化するには持って来いだ。

部屋の中心に置き、香りが充満していくのを確認してから作業を始める。


真樹「地下構造を作るとしよう。」


床釣とこつりとしての炉や地下構造を囲む為に、土の土台のすぐ内側を石造りで囲っていく。

真上と真下以外を一つ一つ運び積み上げていく。

これだけでもなかなかの重作業だ。


真樹「中心の底に排水溝を作るか。」


排水溝の空洞部分を設ける。

小さな正方形の空洞として、空洞の周りを少し薄く切った石造りで囲む。

空洞があれば空気の通りは良くなり、排水や断熱に湿気の除去など様々な効果が期待できるので、上の炉で焼いていけば上質な素材ができるはずだ。


真樹「一番下に荒砂を敷くとしよう。」


両端以外にある程度厚みが出るまで砂を敷いていく。

異世界産の砂だが、なるべく荒砂に近い物を厳選した。

うまくいくか心配だが、やるしかない。


真樹「両端に密林で伐採した丸太を重ねていくか。」


僕の世界での栗の丸太に近い木材を選んだ。

燃えにくい性質を持ち、万が一火事になった時の対策になる。

想里愛達の世界の樹々は木の根が地層から魔力を吸収するので、とても軽いにも関わらず金属に劣らない丈夫さと硬すぎず欠けにくいと言う、刀剣向きの素材にもなる。

しかし魔力が徐々に漏れ出ている為、何か工夫をしないと長く使えないのが現状だそうだ。

今回は排水を促す為に採用し、両端に丸太を積み重ねていく。


想里愛「はい真樹さん、稲わらっ♪」


真樹「ありがとう想里愛。この上に莚と稲の米粒を抜いた稲わらを重ねていく。稲わら以外の茅などの植物を使うのもありだ。・・・って想里愛!?」


僕は想里愛にマスクを着けさせる。魔刻香で更けるのは僕だけで良い。


真樹「さて、大きさの異なる石や砂を敷いて粘り気の強い粘土を踏み固めながら、地盤を作っていくか。」


坊主石の先端を下に向けて敷き詰めて、隙間に砕石なので細かい石を隙間なく敷き詰める。

その上に砂利をかぶせて、真砂土もかぶせる。

想里愛も一緒に踏み固めてくれて早く作業が進む。


真樹「この砂や石が地下からの湿気や湧き水を排水溝まで流してくれるのか。大したもんだ。」


想里愛「そうなんですね、一つ一つが役割を果たしているんですね♪」


真樹「そうだね、さらに隙間なく詰める事で上にかぶせる土が零れ落ちなくなるのか。勉強になるな。」


充分な量をかけたら、粘り気の強い粘土をかぶせていき、想里愛と共に叩いたり踏み固めて地盤を固めていく。


真樹「だいぶ時間をかけた気がするが、小屋の外は全然進んでないんだろうな。」


地下構造の壁や小舟こぶねの側面に大きさの違う石を重ねて湿気を遮断する。

小舟は炉の左右に配置する。


真樹「次に乾燥させないと。」


想里愛「物作りは暑さとの戦いでもあるんですね。」


真樹「そうだね、まだ準備段階だけど、この下ごしらえが大事なんだ。」


小舟や壁の上に塩を混ぜた真砂土を厚さが出るまで敷き詰め、炭や薪を並べて焼いて乾燥させる。

小舟の空洞部分に薪を積み上げ、上部が丸い形になるまで積み上げる。


真樹「その薪の上にこれをかけるのか。」


むしろと呼ばれる竹やイグサなどで作られた敷物をかける。

その上に土をかけて叩き締めていくと、小舟の上部が完成する。


真樹「うん、よく叩きしめたから空洞部分になる、積み重ねた薪を抜いても上部は崩れていないな。」


想里愛「手際よく出来上がっていきますね、さすが真樹さん♪」


真樹「ふふ、褒めてくれて嬉しいな。」


想里愛の頭を撫でて少し休む。

少し休んでからまた作業に戻る。

火力の源となる二つの小舟の薪の焚口は、左右で逆側に作る。

これで重心が釣りあい均衡する。

しっかりとした地下構造ができあがる。

乾燥を捗らせる為に炉の側の地面に大舟を設けるのも良いが、今回は長めに小舟内で薪を燃やして乾燥させることにする。


真樹「さて、一度外に出るか。」


二人で小屋の外に出る。小舟から生じる煙を逃がす煙突を設けたので、小舟内の薪を一週間燃やし続けて乾燥させていく。

僕は魔刻香を多めに部屋の中央に置き、建物の外に出る。

外の世界で少し時間が経つ間に一週間の時が過ぎていく。

部屋の換気も最低限怠っていないので、問題無い。

追加の薪をたまにくべる時だけ中に入らなければいけないがそこまで頻度は高くない。

安全点検にもなるし逆にこれで良いのかもしれない。


真樹「そろそろ頃合いかな。」


想里愛「あっという間ですね♪」


7回程薪を補充したら、中で一週間分の時が過ぎたようだ。


真樹「よし、炉を作っていくとしようか。」


小舟と同じ要領で、本床ほんどこと呼ばれる炉の基礎となる部分の空洞に薪を積み上げ上部が丸くなるまで積み上げる。

そこにむしろや稲わらを重ねてから土をかけて、叩きしめていく。


想里愛「えいっ、えいっ。」


想里愛の土を叩きしめる動作につい目が釘付けになってしまう。

いやいや、鍛冶に邪な気持ちなど許されない。


真樹「充分に叩きしめたから、薪を燃やして土台の灰層を作るとしよう。」


灰層を作る前に松や栗に近い異世界の生木で作った木炭も多めに叩きしめて木炭の地層を作る。

魔刻香をできるだけ本床ほんどこの近くに置いて、薪の燃焼を加速させる。

木炭と灰層で湿気を遮断し、これまでの地下構造が事故で溶けた鉄が流れても地下に染み込まないようになっている。


真樹「やっと炉の床ができた。」


想里愛「わぁ、囲炉裏みたいな雰囲気で良いですね♪」


この上に上質な粘土の炉を築いてゆく。

元釜と呼ばれる粘土の塊を炉床を囲むようにして積んでいく。


真樹「空気を逃がすように、長方形にした粘土の塊を叩きながら積まないと。」


積み終わったらヘラを使い綺麗に平らにする。

元釜を積み終われば、同様に上に積み重ねる形で中釜の部分を築いていく。

前後左右の均衡が崩れれば元に戻す事は至難なので、慎重に築かなければならない。

この辺は想里愛のほうが僕より器用に上手に積んでくれる。

とても有難い。


真樹「高さを調整して平らにしたら送風口になる、ほど穴をういざしと呼ばれる木製の棒で開けておく。」


縦と横にほど穴をあけたら、炉を乾燥させる為に薪を内側と外側を両方から焼く。

少し休憩を入れてから作業を再開する。


想里愛「だいぶ形ができて来ましたね♪」


真樹「そうだね、想里愛のおかげだよ♪あとは上釜を築いて、乾燥して亀裂が入った箇所は修理する。」


水分がたっぷり含まれた粘土を塗って仕上げが完成する。


鉄木呂と呼ばれる道具が通るように、木呂さしと言う道具でほど穴を広げる。

鉄木呂をほど穴に入れて、送風管になる木呂さしを鉄木呂に取り付ければ準備完了だ。


真樹「あとは風力源になる天秤ふいごを木呂さしと繋げて・・・。」


やってみたかった装備作りの準備が完成する。

かなりの過労を強いられたが、小屋の外ではまだ1時間分程しか経過していないようだ。


咲桜里「お兄ちゃん!咲桜里も手伝いに来たよ!」


翠や里乃愛も来たようだ。だいぶ時間が経ってしまったようだ。


翠「お皿は皆で洗っておいたから、真樹は作業に専念してねっ。」


里乃愛「真樹くんは物作りはどこまで進んだのかな?♪」


真樹「これから2か所の炉の中に魔砂金と木炭、魔砂鉄と木炭をそれぞれ投入していくんだ。魔法銀は魔力を増幅させる装置として、装飾的に装備に焼き付けていくよ。炉の中で3日間時を進めさせれば、武具や防具の元になる良質な金属が取り出せるよ。」


想里愛「すごい、炉に送る風はあたし達に任せてくださいね!」


天秤ふいごに二人ずつに分かれて乗って送風の準備はいつでも良いようだ。

可愛らしいゴスロリの服やミニスカートなど、彼女達の素敵な着こなしに目が癒されていく。

さっそく熱くなった炉内に魔法銀と異世界の魔力の籠った木炭を装入していく。

本来は砂鉄などの原料を投入しけらと呼ばれる塊の中から玉鋼が生成される。

なので直接魔法銀を入れるのはかなりの例外となる。


咲桜里「わあ、これ楽しい~♪」


天秤ふいごは従来の物より力を使わずに炉内に送風できる便利な仕組みだ。

重しとなる人を機械化できればさらに効率は上がるのだが、僕としては皆に手伝ってもらったほうが楽しいし、スカートの中が見えそうで見えない感じがたまらなくて、とても良い。


里乃愛「少し高くて怖いけど、慣れれば大丈夫だね♪」


里乃愛もが天秤ふいごに乗って、送風を手伝ってくれる。


翠「わっ!」


送風する際に勢いが良すぎたのか、送風管の木呂の細かい隙間から風が一部漏れているようで、スカートがめくれあがり翠と咲桜里のスカートがめくれあがる。

僕は彼女達の輝かしい姿に目が釘付けで、鼻血を抑えるので必死になり、炉内の状態をなおざりにしてしまう。

鍛冶職人としての自覚がまだ足りないようだ。

二つの炉内にそれぞれ、魔砂鉄と魔砂金を装入量を増やしていく。

木炭も足していく。


想里愛「もう咲桜里は元気が良すぎるんだから・・・きゃっ!」


今日は何故か風が強い。

小屋の扉の僅かな隙間から突風が吹きつけ想里愛と里乃愛の短いスカートがめくれあがる。

僕は豊かな自然の気候が織り成す業に感謝した。


真樹「炉内であっという間に3日間が経過したみたいだね、良い色のけらが火を帯びて輝いているよ。」


咲桜里「わぁ、綺麗~!」


翠「こっちの鉧が金色に輝いてるね!」


綺麗な金属の塊ができあがる。

こんなにうまくいくとは思わなかった。

皆の送風のおかげで無事に2か所とも、綺麗な色鉧が焼きあがった。

錬成に成功したようだ。

砂鉄と木炭の鉧からは魔力を帯びた上質な玉鋼が錬成できる。

鉧は水で急冷する場合もあるが、今回は風通しの良い箇所に空冷する。


真樹「成長期だから採寸よりも少し余裕を持たせて作るね。」


想里愛「金属ってこんなに薄く延びるんですね♪」


咲桜里「これから何を作るの~?」


翠「鉄に金と銀・・・なんでも作れそうだね。」


里乃愛「鉄は玉鋼になって・・・金銀も鉱石の硬度ごとに使い分けるだろうから・・・。」


真樹「察しがいいね。刀や弓の刃には硬い鉄を当てるよ。皮鉄かわがねと言うんだ。

柔らかい部分は刀の刀身として使うよ。心鉄しんがねと言うんだ。防具を形成する鎧の形成には内側には衝撃を吸収しやすい柔らかい心鉄を多めに使い、外側の一部に硬い皮鉄を使うよ。これは武器にも防具にも共通しているんだ。」


想里愛「そうなんですね、只見るだけと知識を付けてから見るのとでは全然違いますね♪」


翠「わっすごい湯気!」


少し赤くなる程度に熱した薄く延ばした玉鋼を水へ付けて急冷する。

温度が高すぎる状態で玉鋼を叩くと必要となる皮刃となる硬い玉鋼が砕け散ってしまう。

温度を下げてから叩く事で玉状に固まっている玉鋼が割れて飛び散るのを防ぐ事ができる。

硬すぎる炭素量の多い鉄のみを砕く事ができる。

硬すぎる鉄は包丁鉄や型に流して固めて装備を作り使ったりする。


咲桜里「お兄ちゃん、今度は細かく切っているけど、これはどんな意味があるの?」


真樹「これは小割りといって小槌と叩いて割るんだけど、割れれば硬い皮鉄として使い割れなければ柔らかい心鉄として使うんだ。長方形状に12個程に分けた皮鉄を皮鉄として使えるように、余分な成分を取り除いて純度を上げていく。」


真樹「不純物は鉱滓こうさいと言って、この部分の含まれる玉鋼は改めて焼いて温度をあげる時に外側に置いて火花として飛び散りやすくするんだ。」


里乃愛「すごいね、まったく無駄が無い!こういう鍛冶の努力の歴史の積み重ねが良質な刀を作り上げていくんだね。」


皆興味を持って見てくれていてやる気が俄然出る。

テコ棒と呼ばれるヘラ状の金属の上に皮鉄を均等に、少し感覚を開けて内部に含まれる空気や鉄滓などの不純物も出やすくなるようにして積み重ねる。


真樹「柔らかい心鉄にも不純物は含まれているから同様に積み重ねて熱を入れていくんだ。」


積み沸かしと呼ばれる作業に入る。鋼が沸くという表現が由来している。

硬い物と柔らかい物に分けて積み重ねる。

和紙で包み藁灰をつけ粘土汁をかけ火床に入れる。


想里愛「だいぶ熱そうですね、何度ぐらいあるのですか?」


翠「測定したところ、1500度程度あるね。」


咲桜里「咲桜里も手伝う!」


真樹「じゃあ、長方形の台になるように、小槌で積み重ねてる部分を叩いてくっつけてごらん。」


里乃愛「わぁ、咲桜里ちゃん上手!」


真樹「作った台の上に、玉鋼を加熱して薄く伸ばして焼き入れしたへし金と言う鉄片を積み重ねていくよ。」


さっきの作業のように打ち固めていく。


真樹「次に200mmになるように打ち延ばしていくんだ。」


翠「だいぶ完成に近づいてきたのかな。」


真樹「折り返して来たかな。」


新しい藁灰をまぶして沸す作業を繰り返し鉱滓を取り除いていく。

材料の裏からたがねで切り込みを入れる。

折り返した部分を沸かして打ち延ばし折り返す鍛錬を繰り返す。


真樹「僕が横座を担当するね。」


横座とはテコ棒と小槌を持ち、大槌を振るって鋼を打つ「先手」にどの場所をどのぐらいの強さで叩いて欲しいかを指示する役目。


想里愛「あたしは先手をやりますね♪」


先手とは大槌を振るって鋼を打つ役目。


3回毎に役目を交代して鍛錬を続ける。


真樹「火傷しないように気を付けてね。」


里乃愛「皆に冷水や氷の膜を張っておいたから安心だよ♪」


翠「おお、ひんやりする~♪」


咲桜里「安心して打ち込めるね♪」


今は下鍛えという段階で、柔らかい所を10回、硬い所を15回程鍛えれば下鍛えが終わり

「玉鋼」「銑鉄」「包丁鉄」ができるので、へし金や鉄片に小割する。

今回は同一方向に折り続ける一文字鍛えをしながら鍛錬していく。


真樹「だいぶ出来上がってきたね。次はこの3種類の鉄片をそれぞれにふさわしい配合比で混合して合金にしていくよ。」


真樹「日本刀は、4つの部分(心金、棟金、刃金、側近)の組み合わせで作られてるんだ。」


積み沸かして折り返し鍛錬すれば心金棟金刃金ができていく。

硬い物は多目に鍛錬し柔らかい物は少な目に鍛錬する。

心金7回棟金9回刃金15回の鍛錬を繰り返すことで、約32,768枚の層状ができあがる。


真樹「最後に側金の上鍛えをするよ。側近は日本刀の表面になるよ。鍛錬した心金、棟金、刃金を組み合わせ、打ち延ばし、「芯金」という刃の芯を作るんだ。」


側金用の鋼、心金、棟金、刃金を鉄片として重ねて積沸かす。

12回ほど折り返し鍛錬をする事で完成する。


真樹「残して置いた皮鉄は刀の刃に、心鉄は刀の刀身にする予定だよ。」


皮鉄も心鉄も鍛錬済みだ。

心鉄を内側に、芯金と刃鉄を焼き付けてから、その上に皮鉄を重ねて刀としての形を形成させる。


想里愛「次はどうするんですか?」


真樹「素延すのべという、刀を4角に延ばす作業をするよ。」


咲桜里「わぁ、これで刀のだいたいの形が決まるんだね♪」


翠「鉄は熱い内に打てというように、加熱しながら打つんだね。」


里乃愛「材料の重さから幅厚み長さを割り出し、念入りに整えていくんだね。里乃愛も勉強になるなあ♪」


真樹「無事に良い形まで延ばせたよ。次は火造りをするよ。本格的に刀の形を造っていくよ。」


素延べを熱し赤くなった状態のまま、刃の先端(峰側)を斜めに切断し、刀身の棟が三角になるよう、手づちで薄く伸ばし整える。刃の方は薄くなるよう叩く。

熱との戦いなのでこまめに水分を皆で補給する。


里乃愛「赤くなった状態のまま、刃の先端(峰側)を斜めに切断してるね。」


翠「刀身の棟が三角になるよう、手づちで薄く伸ばし整えて、刃の方は薄くなるよう叩くのがコツなんだね。」


真樹「後は切れ味を増すために、ヤスリで形を整えていくんだ。」


咲桜里「お兄ちゃん、いつになったら完成するの!あっ・・・ギギギ。」


想里愛「もう・・・咲桜里は落ち着きがないわねっ。」


首を完全にアームロックで固められ、タップしている。

確かに早く完成させなければならない。


真樹「これは土置きといって、焼き入れて刀身に反りを持たせる準備なんだ。」


まず藁灰あくで油分を取り、水洗いする。

土置きのための刃土を用意します。

土刃砥石の粉、炭の粉、粘土などを水で溶いて混ぜて作る。

刀の刃側に薄く、棟側に厚く塗る。


真樹「さてと・・・」


ブラインドを閉めて光を完全に遮断する。

本来は夜にやる必要があるのだが、そうも言っていられない。

刀身全体を火炉の中で800度程度まで上げて、船という水槽の中に入れ急冷し、焼き入れ硬化させる。一気に水の中に入れるのがコツだ。

温度は色で見分けるので、夜作業するのが有効だ。温度が高すぎると刃切れ(亀裂が入ること)が起こり、低すぎると焼きが入らないので、非常に難しい作業だ。


翠「わぁ、赤く輝いて綺麗。」


里乃愛「うんうん、宝石みたい♪」


真樹「土置きで刃土を厚く塗った棟側はゆっくりと冷えていくので焼きが入らず、硬くならない。

時間をかけて冷やされ縮むので、ここで反りが生じる。

一方、薄く塗った刃側は、急激に冷えるので、焼きが入り硬くなる。

柔軟性と鋭い切れ味を持った良質の刀の完成さ。」


また、硬度の差が生じることにより、研いだ際に刃紋が浮き上がる。

独自の美しい模様をつけることができるのだ。


真樹「あとは刀に必要なさやつかつば、はばきの部分を作り銘を入れて刀の完成だ。」


咲桜里「さすがお兄ちゃん♪」


想里愛「防具も基本的に同じ要領で作れるんですね♪」


魔鉄製や純金製や純銀製の兜や鎧や具足に盾など防具も次々と完成させていく。

それぞれで製作の過程は異なるが錬金する点では共通している事が多い。


翠「そういえば、あそこに置いてある腕時計は?」


真樹「みんなへのプレゼントだよ。日常でも冒険でも時間の確認は大切だからね。」


ただの時計では無く魔術効果が付与されている。

使用者の衣服や持ち物などの重量を軽減してくれる。

重い荷物や防具や武具を持つ時、邪魔な倒木や岩をどかすぐらいならできる優れものだ。


真樹「さっそくだけど、お昼にはまだ早いしギルド登録しに行こうか。」


咲桜里「うん!みんなで登録だー!」


意気揚々と旅路に出る。準備は万端。道中も安心。



後書き


ツリーハウスしてみたい

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