第24話 赤い内に打てば君は紅く染まって(後編)



前書き


タイトルは回収できず、イチャつけたからいいや(開き直り顔




第24話 赤い内に打てば君は紅く染まって(後編)


ドワーフの国へ向かうには岩場の多い荒野をしばらく歩かなければならない。


咲桜里「あっ見て見て!」


声に釣られて皆がその方向を向けば、横の岩場の上に何かが日光浴をしている。


真樹「初めて来たから当然だけど、初めて見る生き物だね。」


里乃愛「目が大きくて可愛い♪」


翠「ふふ、家にお持ち帰りしたいねっ。」


想里愛「ふふ、背中にかごを乗せて採集物を運んでもらいたいです♪」


遠くから見ても体躯たいくはなかなかのもので、もし飼えたら軽い木の実や植物など容易に運んでくれるだろう。

愛理守ちゃんのように動物を使役するというのも良さそうだな。

よく見れば日光浴する彼の頭上には小鳥が留まりさえずっている。

ワニと小鳥のような情景を感じて心が和む。


咲桜里「あっ、ドワーフの国が見えてきたね♪」


想里愛「わあ、外壁がすごくおっきい♪」


真樹「さすがドワーフだ、立派で厚い外壁造りだ。」


翠「ここまで立派な外壁が必要な程の外敵がいるってことなのかな・・・?」


里乃愛「街に入ればだいたいの情勢がわかるかもねっ!」


門に近づくと門兵が当然いる。そういえばこの国は誰でも入れるものなのだろうか。

心配になりつつも門を通り過ぎるまで何も言われない。

門兵に声をかけてみれば、王国の宮殿以外は多民族も普通に行き来して良いそうだ。


咲桜里「お兄ちゃん、お腹空いたよ~!」


真樹「そうだね、お昼にしようかっ。」


街並みは多民族を受け入れている為か、店ごとにターゲットにしている客層が明確に違っている。

お洒落な雰囲気の店もあれば、量がガッツリな肉体労働者向けの店もあり、そしてどちらの店も賑わいを見せている。


里乃愛「どの店に行くか迷うね♪」


翠「たまにはみんなが行きたい店に行ってから、あそこの像の前に集合するのはどうかな?」


想里愛「うんうん!これだけお店があるなら皆の好みの店を選ばないとねっ♪」


という事に話が進み、それぞれのお腹に合うお店を求めて、それぞれが新たなる冒険へ旅立った!

皆が散り散りになって遠くの軒並みへ姿が見えなくなっていく。

さて、僕もお店を選ぶとしようか!

時間はあるだろうし、はしごすることにしようかな。


真樹「このステーキをください。」


店員「あい、ありがとさん!」


一軒目はガッツリ系の店で、野牛のサーロインステーキを注文した。

セルフで王国で育てた野菜や独自のタレがかけ放題となっており、満腹になること間違いないだろう。

今回はねぎ塩に近いものを選択した。

一気に食が進みそうだ。

剣の国から仕入れていると言うお米もしっかり山盛りにした。

これは二軒目にはしごする必要は無いのかもしれない。


店員「美味しいかい?なんせ今年の取れたてのお米だからね!がははっ」


真樹「あっ!すごく美味しいですぅ~。」


店員「おや、可愛い警護のお付きもいるのかい?大した御方だったんだね!」


真樹「えっ?」


店員さんは忙しそうに厨房へ戻っていく。なんだったんだろう?

どうやらこちらの世界では、お米はもう収穫の時期になっているのか。

田園風景も見に行きたいものだ・・・お替わりする程にお米もお肉も美味しい。

店員さんは豪快に炊き立てのお米の入った窯を新しく交換している。


真樹「お肉の焼き加減を自分で調整できるのも高評価だな・・・。」


専用の焼き石もお米の横にアツアツで常備されている。

なんて完成度の高いお店なんだ・・・ねぎ塩を山盛りにしてお肉と共にお米に乗せて食して、あっという間に完食する。

意外と早く完食してしまい、僕は象の前に腰掛け休む。


???「あっ!お兄ちゃんだっ♪」


ん、咲桜里かな?しかしいつもと声が違うような・・・顔を見上げれば朝の弓術道場の少女の姿が目に映る。


陽満梨ひまり「やっぱりお兄ちゃんだ!お兄ちゃんも食材買いに来たのかな?」


真樹「僕は鍛冶炉を見たくて来たんだ。ここは食べ物でも有名なのかい?」


陽満梨「そうだよ!お肉も野菜もお魚もとても美味しいんだよ♪」


彼女が荷物から新鮮な食材を見せてくれる。どれもとても美味しそうだ。

上等そうなお酒まで買い揃えているようだ。

瓶の中には果実が付けてある・・・俗に言う果実酒というお酒だろうか。

木陰に座っているとは言え、夏の陽射しは熱い・・・ちょうど近くに果実をハンドミキサーの要領で手で仕掛けを回してスムージーにして販売している店舗がある。


真樹「良かったら一緒に飲まない?」


陽満梨「美味しそう!お兄ちゃんのおすすめのはどれかな?♪」


真樹「僕は高山の清水で育った山桃が良いと思うな。」


陽満梨「陽満梨も同じのにする~♪」


目の前で店員が直搾りしてくれたものを土に還せる優しい紙容器で受け取る。

桃の飲み物のお礼に、陽満梨ちゃんのギルドの飲食店の無料食事券を5人分ももらってしまった。

十分に儲かっているので遠慮なく使いに来て欲しいと言われ、僕は喜んで頷いた。


しばらく木陰で爽やかな風を受け、二人で話していると食べ終わった皆がちらほら戻ってくる。

僕が陽満梨ちゃんを皆に紹介すると、里乃愛が陽満梨ちゃんの精霊街の店舗に、購入品を転移してくれた。


想里愛「真樹さん、冒険の為に日々研鑽けんさんされているのですね・・・尊敬しちゃいます♪」


真樹「そ、そうかなぁ~。」


僕はにやついた顔で返事をする。


翠「さすが真樹、人脈の広げ方も主人公補正のそれを上回っているね。」


咲桜里「もう、お兄ちゃんったら、咲桜里達以外にも可愛い女の子と知り合っちゃうなんて、抜け目ないなぁ~。」


里乃愛「今度、皆で陽満梨ちゃんのギルドの食堂にお邪魔しに行こうね♪」


皆で手を振り陽満梨ちゃんを見送ると、いよいよ目的としていた鍛冶屋の工房へ向かい街を練り歩く。

だんだんと飲食店は減り、鍛冶独特の金属を打つ音や、装備やその素材となる鉱物を販売する店が多くなってくる。


真樹「おっ、ここがそうかな?」


想里愛「刀剣も販売してるようだし・・・ここの工房だと思います♪」


一般人のオーダーメイドも受注しているらしく、工房も自由に見て回れるようだ。

これは有難い。


咲桜里「わっ!すごい熱気!」


見れば観光客用の椅子が工房の側に置いてあり、だいぶ空きがある。

これ幸いに皆で横一列の形で座っていく。

板を挟んだ向こう側では鍛冶炉に炭や砂鉄を足しており、その内側を背伸びして覗けば、炉の中は赤い塊となって熱を帯びている。


観光案内嬢「お、お兄さん熱心に見てるね~。」


真樹「あ、こんにちは!勉強させて頂いてます。」


観光案内嬢「はは!そんなにかしこまらなくて良いよ。あたしはただの見習いさ。この工房で案内を兼ねて勉強させてもらってるのさ。あの炉の中では3日間寝ずに、あの塊を育てているのさ。そうすると、剣に使われる材料があの塊の中に生まれるんだ。」


真樹「なるほど、勉強になります。」


咲桜里「あんな暑い所に3日間もいるなんて、すごいねっ!」


想里愛「鍛冶屋さん達の努力の結晶があの炉の中に生まれるんですね♪」


翠「皆厚いだろうから、近くに売っていた飲み物を買ってきたよ~!」


里乃愛「わぁ、翠ちゃんありがとう♪」


皆でお礼を言い、飲み物を受け取る。

街の近くの伏流水を煮沸して、柑橘系の果物を程良く付けた飲み物のようだ。


真樹「さっぱりとした味わいが美味しいね♪」


想里愛「そうですね、優しい果物の味わいが体に染み渡ります♪」


しばらく鍛冶炉の構造を細かく見たり、炉に風を送る鍛冶屋さんの様子を見て、勉強させて頂く。

皆も暑い中、興味を持って見てくれているようだ。

案内の紙を頂き、刀ができるまでの過程や刀鍛冶の歴史などの紹介を見る。

刀の鍛錬法や鍛冶炉の細かい構造の説明まで丁寧に書いてあり、大変勉強になる。


翠「ふむ・・・もっと小型の炉なのかと思っていたけど・・・。」


里乃愛「国の発展と共に刀の需要も増えて、供給を増す必要が出てきたんだね。」


真樹「なるほど、勉強になるなあ・・・。」


パンフレットの図と実際の鍛冶炉を見比べる。

細部ごとの役割も丁寧に書いてある。

先人の編み出した知恵が脈々と受け継がれ、さらに改良されている。


咲桜里「飲み干しちゃったから、そろそろ出よう~?」


想里愛「あたし飲み物空っぽなっちゃいました~。」


真樹「そうだね、せっかくだし刀や鎧とか見に行ってみようかっ?」


工房を出て細い路地に入る。

道に沿って横から店内を覗けば、ところ狭しと武具防具が陳列されている。

練り歩き様々な店舗に入り見て行くと、実用的な装備の販売をする店舗と、骨董品を販売する店舗に分かれているようだ。


想里愛「あっ、楽器だぁ♪」


咲桜里「樹の網目がきれい♪」


真樹「おお・・・この笛は剣の国で、とある姫が豊作の祭で鳴らした笛とされているのか。」


説明書きを読んで改めて見ると、格式の高い笛に見えてくる。

添えてある絵を見れば神輿みこしに奉納された稲穂を囲み踊る人達が映る。

姫がこの龍笛りゅうてきを吹いており、近くには篠笛しのぶえを吹く農民もいる。

雅楽との融合なのだろうか・・・良い絵だ。

・・・よく見ると山の方の上空に何かが飛んでいる。・・・龍?


翠「お風呂で笛の音色聞きたいなあ~。」


里乃愛「いいねぇ、風情がありそう♪」


笛なんて、学校のリコーダーしか吹いたことないぞ・・・うまく吹けるだろうか。

歌口うたぐちの調整と7つの指孔しこう、ゆびあなの練習に励むしかない。

だいぶ肺活量を要求されそうだ。


真樹「夜のお風呂か食卓で吹けるか試してみようかな。」


想里愛「良いですね、優雅なひとときになりそうです♪」


咲桜里「お兄ちゃんの演奏楽しみだよ♪」


むむ・・・骨董品なのに、まさか使用することになるとは・・・、こうなったら夕食の前にでも練習するしかない。笛は魔法の国の魔法道具で想里愛の家を座標に設定して転移してくれるそうだ。


真樹「皆お昼は美味しく食べれたのかな?」


咲桜里「うん!岩トカゲのステーキ美味しかったよ!」


翠「ボクは大きな貝殻で煮込んだお魚と、大きな林檎の中身をくり抜いて、果実の果汁に浸けたお米を蒸して炊き上げた鳥肉のごはんを食べたよ♪すごく甘かった!」


里乃愛「里乃愛は咲桜里ちゃんと同じお店で、氷の容器の冷やし麦麺を美味しく食べたよ!さっき通った湖のお魚で出汁を作ってるって聞いたよ♪」


想里愛「はい♪あたしも真樹さんと同じガッツリ量のあるお店で、野牛のミスジステーキを美味しく頂きましたよ♪」


真樹「そうなんだ、みんな有意義なお昼を過ごせてよかったよ♪」


ん・・・なんで想里愛は僕がガッツリ系のお店に居る事を知ってるんだろう?

たぶんお店から出る時にでも、偶然見かけたのかな。


里乃愛「帰りに同じ道を通るのも飽きがあるだろうし、想里愛ちゃん家まで転移しよっか?」


翠「そうだね。夕暮れの清樹湖せいじゅこも悪くないけど、夜は危ないかもしれないから、疲れが出ないように転移したほうが良いね。」


咲桜里「そうだね!皆集まった?」


想里愛「荷物もしっかりまとめました♪それじゃあ、里乃愛ちゃんお願いします♪」


淡く優しく皆を包み・・・転移に成功する。


真樹「よし、僕はやる事があるから、皆は部屋でくつろいでいてよ。」


想里愛「わかりました、真樹さんの目キラキラしてる♪」


咲桜里「何か楽しみができたんだね!お兄ちゃん楽しんできてね♪」


皆が室内から見送る中、僕は庭を抜けたすぐ先に新しく設けた屋内の建物へ入る。

そろそろ来る頃かな・・・僕は屋内の収納スペースに目を向ける。


真樹「おお!正確な位置に転移してきた!」


ドワーフの街で購入した刀の鍛冶炉に必要な材料が、規則正しく次々と転移してくる。

これだけ重いものを気軽に輸送できるのは現実世界では難しいだろう。

魔法の国の魔導技術には感謝してもしきれない。


真樹「さっそく、炉を作る作業に励むとするか。」


やることは多いがまずは炉の土台になる、たたらの床釣とこつりと呼ばれる地下構造を作らなければならない。

小さい炉でも問題は無いのだが、本格的に自作するならば製刀の試行回数は多いほうが良い。

そうなると大量に素材を生成する必要が出てくるので、この地下構造だ。

地下構造の役割は風を円滑に送り最下層では排水も行い、湿気を遮断し炉を適度に断熱や保温する効果が期待できる。

最適な刀の材料を作る為の環境を編み出した知恵者の智慧ちえには頭が上がらない。


真樹「と言っても、まずは床釣用の穴を掘るだけだけどね。」


何もかもを皆に頼るのは申し訳ない。頼れば時短にはなるのかもしれないが、何かを一人で成し遂げると言うのも自身を肯定させる自信作りに良いと考え今に至っている。


真樹「ここらへんの地面は石や砂利が少なくて助かるな。」


順調に掘り進めていく。この心地良い疲労感も滴る汗も決して無駄にはならないだろう。

何時間が経ったのだろうか・・・。自分の身長の三倍程を長方形状に掘り進めた。

これだけの深さと幅があれば十分だろう。


真樹「良い具合にお腹も空いてきたな・・・夕食作りに戻らなきゃ。」


部屋に戻ると皆、おしゃれなネグリジェに着替えており僕を迎えてくれる。


翠「真樹おかえり!ごはんもお風呂もまだだけど、早めに着替えちゃった♪」


里乃愛「真樹くん、すごく頑張ってきたのかな?お風呂の時に想里愛ちゃんと一緒にお背中流してあげるね♪」


真樹「ただいまー!ありがとう、背中は洗いにくいからとても助かるよ♪」


僕は冷蔵庫を開けて、台所に丁寧に転移収納された箇所へ目を向ける。

ドワーフの国の旬の食材を片っ端から買っておいたのだ。

さっそく調理開始だ・・・!

食卓で楽しそうに話す彼女達の笛にも劣らない可愛らしい声色を聞きつつ、調理を一品ずつ完成させていく。


真樹「皆お待たせ!出来上がったよ~♪」


食卓に向かえば、皆の笑顔とよだれを垂らした咲桜里が印象に残る。

だいぶ長く作業してお腹を空かせてしまったみたいだ。


想里愛「真樹さん、このお肉美味しそうですね♪」


真樹「ふふ、想里愛がお昼に食べた野牛のミスジステーキだよ♪」


咲桜里「ねぎ塩を多めに降ってあるんだね、美味しそう♪」


皆がフォークで肉を抑えつつナイフで切っていく。

ミディアムレアとウェルダンの境目の絶妙な焼き加減にした肉からは、見るだけで涎の垂れそうな脂がのった肉汁が溢れだしている。


翠「んー♪」


里乃愛「美味しいー♪」


翠は足をバタバタさせて美味しさを表現している。

見ていて目が癒される可愛らしい仕草だ。


真樹「旬の食材で野菜炒めも作ってみたよ~。」


咲桜里「野菜が美味しそうな色してるね♪」


想里愛「わっ!野菜が柔らかくて甘い♪」


翠「味付けがご飯に合っているね♪」


里乃愛「真樹くん、お替わりするねっ♪」


具だくさんの野菜炒めも好評のようで一安心だ。

僕のお気に入りはキクラゲや甘く柔らかいキャベツだ。

僕は台所へ行きミキサーに桃の切り身と少量の煮沸消毒した湧き水と少し溶けかかった小さめの氷を混ぜて攪拌こうはん、かくはんする。

数分混ぜてから冷えたガラスの容器にドロリとした栄養満点の桃のスムージーを皆の元へ運ぶ。


真樹「少し飲みにくいけど栄養満点の桃のスムージーだよ♪」


あらかじめ作り置きしておいた苺のスムージーも食卓へ運ぶ。

今回は全員桃を選んだので、苺のスムージーは食後かお風呂の頃に飲む事になるだろう。


想里愛「真樹さん、作業はどのくらい進んだのですか?♪」


真樹「そうだね、準備段階が済んで、これからって感じかな。」


咲桜里「いつものジュースより濃厚で香りもすごく良いね♪」


里乃愛「こんな美味しい飲み物が作れるなんて、真樹くんはすごいねっ♪」


翠「そうだね、いつもボクの予想の斜め上をいく♪」


真樹「魔法はないけど、便利な道具があったりするから、僕の世界も捨てたものじゃないねっ。」


全ての料理が美味しく胃の中へ収まっていく。

夏なので冷製の麺類などもありかもしれない。

早ければ明日にでも調理してみよう。

皆が美味しく桃のスムージーを飲む中、話を始める。


真樹「今日はお風呂の時に皆の体のサイズを採寸しても良いかな?」


想里愛「真樹さん・・・(ハート)。あたしはいつでも構いませんよ♪」


咲桜里「もう、お兄ちゃんはえっちなんだから♪」


皆ノリノリの返事をしてくれる。

断られなくて一安心する。

採寸用に計りの道具も購入しておいた。

準備に抜かりは無い。


翠「ぷはー、美味しかった♪」


里乃愛「真樹くん、ご馳走様♪」


真樹「ふふ、お口に合ったようで何よりだよっ。」


食器を洗い終え食卓に戻りしばらく雑談に花を咲かせる。


咲桜里「いろいろお買い物も楽しみたいから、咲桜里冒険して稼ぎたいなっ!」


想里愛「咲桜里だけだとまだまだだから、真樹さんと一緒に弓術道場に通わないとねっ。」


真樹「おお、一緒に早起きしないとね。」


里乃愛「お金を稼ぐなら、リーフ王国に冒険者と登録すれば、だいたいの魔物は倒せるからお金になると思うよ♪」


真樹「おお、新しい収入源が増えるのは良い事だねっ。」


話は進み、今度の冒険はリーフ王国を目指す事となった。

リーフ王国へ行くには春の道を経由して夏の道へ行き、夏の道から密林に入り密林を抜ければリーフ王国へ着く。

ほとんどの場所が初めての冒険で高揚感が鼓動になり胸に伝わり自覚する。


咲桜里「それじゃあ、明日リーフ王国に行こう!」


真樹「そうだね、皆との新しい冒険が楽しみだよ。」


想里愛「また、あたしを守ってくださいね?♪」


真樹「まかせてっ!」


食後の時間を楽しみくつろいでから、お風呂へ移動していく。

皆の着替えに目を癒されつつ、かけ流しの湯船の元へ向かう。


真樹「そうだ、今日は湯船に浸かる前にしなきゃいけない事があるんだ。」


里乃愛「真樹くん、その道具はなぁに?♪」


翠「あれは、まさか・・・!」


そう、メジャーである。

防具が体に合うよう採寸する必要があるのだ。

メジャーを伸ばすと皆周りを囲むようにして、誰から測るか決めているようだ。

今回はあいうえお順で順番は落ち着いたようだ。


真樹「それじゃあ、咲桜里からだね!」


咲桜里「そんなにじっくり咲桜里を見ちゃって・・・お兄ちゃんのえっち♪」


ぐぅの音も出ないとはこの事を言うのだろう。

僕は全面降伏をした上で咲桜里の採寸を始める。

測定内容は首周り、胸囲、腰周り、お尻周り、ふともも周りだ。

若干僕の趣味も入っている事は否定できない。

測れば細いべき所は細く、量のあるべき所はしっかり成長しており、僕は感動で涙が出ている。


咲桜里「お兄ちゃんどうしたの!?はかりの長さが足りなくなっちゃったの?」


腰周りを測る僕が見上げれば心配そうに見つめる咲桜里の表情と、その表情に似合わない乳房が僕を圧倒する。


真樹「あ、いや・・・身体測定は良いなって思ってただけだよ。」


咲桜里「そうだったんだ♪咲桜里の成長を毎年測ってね♪」


真樹「まかせてっ!」


脳内に目に映る情景を刷り込みながら、咲桜里の採寸を進めていく。ふともも周りを測れば程良くむっちりとした柔和な弾力が伝わり、目以外でも癒されていく。


想里愛「次はあたしだけど・・・翠ちゃん達お先に良いよ~。」


翠「じゃあ、僕から先に行くね~。」


真樹「工房の時は飲み物ありがとねっ♪」


翠「真夏の水分補給は冒険者の基本だからねっ♪」


さすが翠と褒めて頭を撫でる。夜とは真逆の蒼穹そうきゅうの様な髪色はやはり幻想的だ。

湯気で湿り始めた髪先から僅かに滴る水も彼女の魅力を引き立てている。

セミロングからロングになりつつある彼女の髪も僕は好みだ。

欲を言えば三つ編みやおさげなど、いろいろお洒落してもらって見てみたい。


翠「だいぶ伸びてきたかな?」


真樹「そうだね、でも綺麗に真っ直ぐ伸びていて良いね♪」


彼女の首周りや胸囲を測りながら、見上げて髪などを見る。

個人的には胸に髪がかかるぐらいまで伸びると良いなと思った。


真樹「こんな小さな体に膨大な魔力が秘められているなんて・・・異世界の神秘だね。」


翠「ふふ、褒めたって何もでないよっ?♪」


上機嫌になってくれた翠の採寸が順調に進み測り終える。

咲桜里の時にコツを掴めたからだろうか。

早めに全ての箇所の計測が完了する。


里乃愛「わ~い、あたしの番だぁ♪」


咲桜里や翠は先にシャワーを浴びに行ったようだ。

湯気で多少温かいとは言え夜風が体に染みるのはよくない。


真樹「ふふ、お待たせっ!」


また首周りから測るが、胸囲に対して首も腰も細くて抜群の体形だ。

まったく、精霊ちゃんは最高だぜ!


里乃愛「せっかくだから、あっちの長椅子の所で測って欲しいな♪」


真樹「おお、それも良いね♪」


椅子の上に里乃愛が横になる。

彼女の瞳には満天の星空が彼女の冒険の活躍を称えるように強く光輝いている。

彼女の頭を少し持ち上げ首の下に計りを入れる。

彼女の瞳を閉じた表情は、現実世界ではお目にかかれないような美少女ぶりだ。


里乃愛「真樹くん。」


真樹「なあに~?」


圧倒的な胸囲やふともも周りを測りながら返事をする。

気付けばじっと見つめられており、ただの雑談ではないと察する。


里乃愛「里乃愛いっぱい冒険頑張ったから、甘やかして欲しいなぁ♪」


真樹「ふふ、いいよお♪」


里乃愛の側へ行き頭を撫でる。

見つめていた彼女は僕に顔を向けたままそっと瞳を閉じる。

夕食のスムージーより甘い時間を堪能する。


里乃愛「えへへ、可愛がってもらっちゃった♪」


真樹「冒険いっぱい頑張ってくれたからね♪いつも頼りにしてるよっ。」


しばらく猫のようににゃんにゃんと甘えてくれる。

お姫様抱っこしたり、少し乳房を揉んだりして時間を過ごす。


里乃愛「もっとイチャイチャしたいけど、もう大丈夫だよっ♪」


真樹「ありがとう、ゆっくり星空を楽しんでねっ♪」


里乃愛に見送られ、想里愛の元へ戻る。


想里愛「あ、真樹さん♪少し測るの長かったですね?」


真樹「あっ・・・あそこは少し明かりが暗くてね・・・新しく照明を買わなきゃね。」


想里愛「確かに暗かったかも・・・そうですね♪」


真樹「想里愛の成長をじっくり確認しちゃうぞっ♪」


想里愛「きゃ~~♪」


楽しそうにはしゃぐ彼女に改めて強い愛情が沸き上がる。

最初は不安だったけど、元の世界から転移してきて良かった。


想里愛「あ・・・あたしいっぱい歩いて疲れちゃったぁ。」


そう言うと胡坐あぐらをかいた僕の上に想里愛の柔らかい感覚と熱が伝わっていく。


真樹「おっこちないようにしっかり抱きしめちゃうね♪」


想里愛「えへへ、あたしを離さないでね?♪」


真樹「うん!ずっと一緒に居ようね。」


想里愛「えへへ・・・はいっ♪」


採寸など二の次にして、想里愛との時間を堪能する。

彼女を包む度に彼女の温もりが高熱で僕に伝わる。


想里愛「真樹さん・・・♪」


積極的に彼女に愛情を注げば、僕を包み込むようにして応えてくれる。

独占欲の強い僕は彼女の全てを僕の物のように、愛着を込めて取り扱う。


想里愛「あっちの背中にお湯の当たる所誰もいないから、一緒に行きたいなっ♪」


真樹「うん、行こうっ!」


皆を確認すれば湯船にくつろいだりサウナに向かってたり、それぞれお風呂を楽しんでいるようだ。


想里愛「真樹さん・・・」


真樹「んっ。」


よそ見をしていたのがいけないようだ。

寂しそうな表情で彼女は僕を抱きよせる。

彼女を心配にさせてはいけない。

濃厚に唇を、舌を絡ませていく。


想里愛「んぅ・・・♪」


真樹「よそ見していてごめんね。」


想里愛「いっぱいあたしを愛してくれたら、いいよっ♪」


真樹「いっぱい愛すね♪」


想里愛「きゃぁっ♪」


すぐに有言実行して、唇を重ねたまま彼女の乳房を揉みしだく。


想里愛「ぁっ・・・もっと揉んで?」


真樹「まかせてっ!」


仮にやめてと言われても、やめる事は難しいだろう。

時間をかけて何度も揉みながら、彼女の頬を染めた表情を見つめて、またキスをする。

彼女は腕も足も広げて僕を優しく包み込んでくれる。

とろけた表情に興奮が隠せず、何度も甘い接吻を交わす。


想里愛「えへへ・・・真樹さんに愛されてる♪」


真樹「いくらでも、愛しちゃうね♪」


しばらく愛を深める。

背中を伝う源泉のおかげで夜でも体が冷えることもない。

湯気で虫は飛んでこれないし、柔らかい素材の床で横になっているので体が痛む事も無い。


想里愛「いっぱい吸って?」


真樹「想里愛の、美味しそうだねっ。」


キスも好きだけど、当然こちらへのキスも好きだ。

僕は甘く口で包み込み、美味しく吸い上げる。

愛しくて甘い声を聴いて抱きしめられながら、何度も美味しく飲む勢いで強く吸う。

体感で10分程が経つと、体が火照りが早い環境のせいか、お互いの息はだいぶあがっている。


真樹「もっと想里愛を可愛がりたいけど、水分も取らないといけないし、想里愛が横になって休んでいる間に採寸しとこうかな。」


想里愛「はあはあ・・・また可愛がってね?♪」


真樹「うん!♪」


想里愛の息遣いを近くで感じつつ胸から測り始める。

改めて見る色白の美肌は、キャンプに行った時の雪にも、冬の道で見た雪にも勝っている。

測るのは初めてだけど、以前よりも少しずつ成長している気がする。

まだまだ成長期なのだ。

防具関係無しに定期的に身体測定したいものだ。

目と感触で彼女に癒されつつ、すべての測定を終える。


真樹「皆の所まで戻ろっか。」


想里愛「はい!そうしましょうっ♪」


手を繋ぎ彼女と湯船を戻る。

ちょうど皆入浴していたようで、隣に混ぜっていく。


咲桜里「あ、お姉ちゃん達も来た♪」


翠「はい、真樹っ!」


手渡されたのは龍笛。

そうだ、吹くのを忘れていた。

持ってみた感じ保管状況は良い。

程良く水分を持ち、乾燥で痛んでいる様子は無い。

青葉の笛竹だろうか・・・せっかく転移できるのだから、実際に笛竹ふえたけを見に行くのもありだ。

歌口に唇を添えて指孔の当て方を変えて音を確かめる。

どうやら吹けそうだ・・・何世紀ぶりの音色になるのだろうか。


里乃愛「あっ、始まった!」


想里愛「何の歌だろう、素敵な音色・・・♪」


咲桜里「耳でも極楽を味わわせてくれるなんて、さすがお兄ちゃんっ♪」


学生の時に吹奏楽をかじっていたのが功を奏したようだ。

湯煙の中の美少女達に見つめられつつ、演奏に励み龍笛を鳴らす。


翠「・・・ん?」


一曲鳴らし終えた所で、翠が何かに気付いたのか上空を見据えている。

広がるのは群青の空と星や月達だけで、他には何か居る気配は無い。


翠「気のせいかな。」


想里愛「もっと、真樹さんの奏でる音色が聴きたいです♪」


真樹「どんどん鳴らしちゃうぞっ。」


僕の吹ける曲を丁寧に鳴らしていく。

竹の程良い湿り気が最大限に音質を生かして心地良い笛色が響く。


里乃愛「あれ・・・?」


里乃愛が上空を見上げ、じっと見据えている。

僕は三曲目を吹いてる最中で気付かない。


里乃愛「うーん・・・。」


翠「やっぱり何か居る?」


里乃愛「そんな気がするけど、上空よりももっと遥かな先から見られている気がする。」


咲桜里「さっきから雨が強くなってきたね。」


想里愛「さっきまで晴れていたのに・・・きゃっ!」


稲妻が鳴り響き雷鳴が轟く。

僕も里乃愛や翠に釣られて上空を仰ぎ見る。

・・・雲の隙間を何かが泳いでいる?


真樹「あっ!あの雲の影に!」


咲桜里「えっ!どこどこ?」


咲桜里がすぐ近くへ駆け寄るのに気づかず、雨に濡れないように屈んで笛を箱に仕舞う僕。

偶然、咲桜里の豊かな乳房が僕の頬をはじき僕は湯船のほうへ飛ばされてしまう。


想里愛「きゃー!真樹さん大丈夫ですか!?」


真樹「あっ・・・ああ。ちょうど体が冷えてたから逆に助かったよ。」


泳いでいたものが遠く小さすぎたのか、皆には目視できなかったようだ。

皆も寒さを凌ぐ為に再び湯船に集合していく。


真樹「皆採寸の協力ありがとねっ。」


想里愛「真樹さん、お怪我大丈夫ですか?あたしで癒されてくださいねっ♪」


肩に想里愛が寄り添ってくれる。

優しく頭を撫でると可愛らしく僕を見つめて微笑んでくれる。

さっきの胸ビンタも逆にご褒美であるとも言える。

むしろ自分に良い事しかないと言えるだろう。

湯気はあるが少し肩が少し冷えるので、お互いにお湯をかけあって雨水の冷たさを凌ぐ。


里乃愛「だんだん熱くなってきたよ~。」


里乃愛が石段に座り、想里愛にも劣らない成長した姿が僕の眼前に映る。

湯煙が少し見えにくくなっているのが妖艶さを色濃く演出している。

髪に滴る水滴がふとももへぽたぽたと垂れている。

僕はこういう和の雰囲気が好きなのだ。


翠「真樹ー、ボクも熱くなってきちゃった。」


僕の空いている方の肩へ体を寄せて休む翠。

僅かに聞こえる吐息が近くにいる事を僕の肌で認識する。

想里愛や翠の、のぼせの回復し次第、苺のスムージーを取って来なければならないな。


咲桜里「あ、お姉ちゃん達ずるい!咲桜里も~♪」


前からぎゅうと抱きしめられる。

まったく、人の温もりは最高だぜ!

里乃愛が無言でこちらへ歩き出し、後ろから抱き着かれる。


里乃愛「えへへ、後ろ残ってたぁ♪」


真樹「ふふ、みんなのおかげであったまってきたよ♪」


温まる方法は湯船だけではない。

人肌も十分に有効だと、にやけた表情で改めて認識するのだった。


真樹「苺のスムージーとっ…」


瞬時に目の前には、冷蔵庫にあった苺のスムージーが、湯船用の樹造りのお盆の上に人数分用意されて浮いている。


里乃愛「えへへ、こっち向いて撫でて?」


気遣いの効く里乃愛の方を向き、よしよしと頭を撫でる。

水分補給は湯船では欠かせない。


真樹「里乃愛ありがとう♪皆で飲もう。」


咲桜里「ぷはー、生き返る!」


翠「湯船に浸かりながら飲む贅沢は最高だね!」


想里愛「すっごく美味しいです♪」


にこにこと微笑む里乃愛を褒めながら皆で美味しく飲む。

今日の昼食の美味しさが話題に出る。

ドワーフの街も良い所だと改めて感じる。


真樹「また、皆で食べに行こうね。」


十分に湯船を満喫し少しだけ皆でサウナへ入る。

湯船もいいがこちらも体が芯から温まる気がする。


里乃愛「わぁ、サウナの中少し良い匂いするね♪」


真樹「今回は桂皮を使ってるよ。のぼせ対策や血行促進に繋がるんだよ。」


想里愛「くんくん、沈香じんこうの中でも最上級の伽羅きゃらの匂いもしますねっ。」


翠「五感で皆を癒してくれるとは、さすが真樹だねっ。」


僕は冷静な表情で話に加わりつつ、眼光を見開き汗にまみれた彼女達の姿を脳内に刻む。

サウナの中は少し暗めだから、ガン見してもそうそうバレる事はないはずだ。


想里愛「・・・(あぁ、真樹さんの熱い視線を感じます・・・♪)」


想里愛「真樹さんのえっち・・・」


真樹「ふぁっ!?」


しまった、想里愛には気付かれていた。

異世界を強く生き抜く彼女を甘く見ていたようだ。

隣に彼女が寄り添い僕をじっと見つめる。


想里愛「言ってくれれば、いくらでも堂々と見せてあげるのに・・・♪」


そう言う彼女は立ち上がり僕の前に立つ。

腕を広げて惜しみなく見える乳房の先から、薄い桜色の乳首に汗が伝い静かに僕に滴る。

湯船以外でも、予期せず絶景が目の前に出現する。


想里愛「ほ・・・ほらほら~。見てるだけで良いのかな?」


まるで咲桜里のように、頬を染めながら僕を甘く誘惑する。

恥ずかしがりながら、行動してくれているのがわかる。

無下にするわけにはいかないよ。


真樹「ふふ、捕まえた~。」


彼女をお姫様だっこの要領で抱きかかえ、そのまま僕の膝に乗せる。

周りの視線など気にしたら負けである。

彼女の誠意に性意で応えるのが筋と言うものだ。

唇を重ねて抱きしめて、想里愛を可愛がる。


想里愛「真樹さん、大胆・・・♪」


真樹「積極的になってくれている想里愛を、見逃すわけにはいかないよ♪」


ふとももを開いてまたがらせて、想里愛の緻密な所も密着させる。

ほんのりと温かくて、柔らかい感触が僕に伝わる。


想里愛「んぅ・・・♪」


真樹「毎日こうしたいなっ♪」


想里愛「ん・・・いいですよ♪」


まったく焦らす事なく、迷わずに手は乳房へ伸びて、たまにするマッサージよりも多く揉み続ける。

彼女が落ちないように抱き寄せて口付けしながら、何度も揉む。


想里愛「ぁっ・・・あっ♪」


おしりやふとももの方も、遠慮なく細かく触っていく。

笛色にも負けない甘い音色を奏でてくれる想里愛。

僕は時間をかけて彼女を愛し続ける。


真樹「そういえば、皆静かだな・・・。」


想里愛「あっ。倒れてる!?」


横を向けば、皆ぐったりとしている。

しまった、咲桜里達の所のほうが熱源が強いのか。

想里愛が扉を開けて、僕が三人を扉の外へ運ぶ。


想里愛「早めに気付いて良かったですね。」


真樹「そうだね、脱水症状は侮れないからね。」


体を拭き、風除けの屏風を近くに置き椅子に寝かせていく。


咲桜里「うーん・・・。」


想里愛「あっ!咲桜里大丈夫?」


咲桜里「なんか頭がボーっとしちゃって・・・」


真樹「お水置いとくね。サウナの火力が強すぎたのかな。」


翠「うーん、のぼせちゃった。」


里乃愛「熱源に近づきすぎちゃったのかもね。」


良かった、翠や里乃愛も目を覚ました。

二人にも冷えた水を飲んでもらい、落ち着くのを待つ。

しばらくきれいな星空を見ながら明日の予定などを話す。

無事に体調は回復したようだ。


想里愛「体を冷やさないように、お布団行きましょう。」


真樹「そうだね、戻ろうか。」


枕の上にパジャマを置いておいたが冒険やサウナの疲れもあるのか、誰もパジャマも下着も着ないまま布団へ潜っていく。

あれ、全員僕の布団に潜っているような・・・?


咲桜里「あ、あれだよ!その、うーんと!」


翠「ボク達は病み上がりだから、真樹がすぐ側で見守らないといけないんだよっ。」


里乃愛「そうそう、真樹くんに守ってもらいに来たんだあ♪」


想里愛「あ!あたしも、皆が病み上がりだから心配で来ただけ・・・だけでもないです・・・。」


真樹「皆・・・。想里愛も・・・僕が病み上がりならないように、見守るねっ!」


甘えんぼな三人にも、正直に気持ちを伝えてくれる想里愛にも心をときめかせつつ、僕も布団へ入る。

皆の表情を見るに、病み上がりから無事立ち直ったようだ。

薪を少し減らして暖房を弱める。

夏とは言え、冷え性の僕には涼しい夜の山での温度の調整は欠かせない。

不意に温かい感触が左右から伝わる。

横を向けば左右に二人ずつ上下に分かれて器用に僕に抱き着いて甘えてくれている。

彼女達のおかげで僕も心地良いまま眠る事ができるものだ。

甘い匂いに包まれながら僕と彼女達は、冬の陽だまりに包まる猫のように、一つの布団の中で眠りについた。




後書き


冒険の後は癒されたいのです。

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