第13話 温かいひとときを過ごしたら湯気と光の環の中へ
前書き
かもダン
第13話 温かいひとときを過ごしたら湯気と光の環の中へ
う~ん陽射しが眩しいな・・・あ、もう朝か。何故か布団に全員集合して寝ている。慣れない場所だからすぐに眠れなかったのかな?
想里愛「んにゃぁ・・・」
おお、ソリアが起きたようだ。寝起きも可愛いなぁ。
真樹「おはよ♪よく眠れた~?」
想里愛「はい♪ぐっすり眠れました~♪あたし達も意外と疲れていたのですね」
そうか昨日は移動の多い1日だったからなぁ、疲れているのが自然な理由だろう。
想里愛「ま、真樹さん・・・あたしの側に来て目を閉じてください♪」
真樹「う、うん♪」
おはようのちゅ~を満喫するソリアと僕。濃厚な一時を過ごす。しばらく唇を重ねてから離し・・・しかしいつでもまた重ねられる距離で話をする。
真樹「今日の朝食は旅館の特上コース料理が出るよ♪」
咲桜里「えっ!どんな料理が出るの!?」
おお、サオリが布団から飛び起きてきた。僕はしっかり旅館をリサーチ済みだから料理の内容は把握している。
真樹「サオリもおはよう♪特上霜降り和牛に、本マグロ上トロ・ウニ・イクラなどの寿司や刺身、ホタテの炭火網焼き、四元豚の角煮、山梨から取り寄せたストレート100%の葡萄ジュース、戦前から100年以上継ぎ足した出汁を使った醤油と牛肩肉の脂をベースとしたキムチと白菜と木綿豆腐と白滝とこんにゃくと白ネギと和牛カルビ肉と和牛ミスジ肉の鍋、お米には香米が少量含まれていて味覚以外でも料理を楽しめるよ♪」
翠「そうなんだ♪ボク楽しみだよ♪」
真樹「ミドリもおはよう♪そろそろ朝食が運ばれてくる時間だよ♪」
想里愛「真樹さん、仲居の方が来る前に・・・浴衣を着せて欲しいです♪」
サオリも~!ぼくも!と皆に催促され僕は皆の浴衣を着せる。着付けはよくわからないが服を巻き付けて帯を付ければ問題無い・・・と思う。よし、着付けたぞ。
咲桜里「サオリまだ使ってない部屋で食べたい~!」
真樹「そうだね♪奥の部屋に移動して待とうか。」
想里愛「素敵な部屋ですね♪すごく綺麗・・・」
咲桜里「旅館ってすごい!」
テーブルは某県の川の上流から流れ着いた翡翠の原石をそのまま使用している。ファミレスの6人テーブル並の幅と奥行きがあり全体的に濃い青色だ。壁面にはこの旅館の建物と庭の絵が描かれている。贅沢な絵で額縁や陽の光には純金が使用され、太陽の輝きにはルビー(紅玉)が施され、庭の湖の青色はサファイア(蒼玉)が惜しみなく使われている。
真樹「露天風呂の外壁や休憩用のハンモックには鳳凰竹が使われていたし、この部屋には白檀・・・いや伽羅が使われていて良い匂いがするね♪」
想里愛「香木が使われているのですね♪気分が落ち着きます~♪」
咲桜里「絵がキラキラしてる~♪持ち帰りたいね♪」
翠「複製魔法で家に持ち帰る?♪」
ミドリは便利な魔法を覚えているなぁ、是非教わりたいものだ。
仲居「おはようございます、失礼致します」
仲居さんが来たようだ。ワゴンに置いてある料理が次々に運ばれてくる。鍋料理や焼いた料理の良い匂いがしてくる。
真樹・想里愛・咲桜里・翠「いただきま~す♪」
どの料理も手が込んでいて皆で舌鼓を打つ。肉が口の中で溶けていく。鍋は具材1つ1つが調和し、新しい味を創造しているかの様な美味しさだ。
想里愛「真樹さんの料理も美味しいですけど、こちらの料理も鋭気が養われます♪」
咲桜里「お兄ちゃん、元気が出てきたよ♪」
翠「ボクも魔力がみなぎってきたよ♪」
真樹「僕もこんな美味しい料理初めて食べたよ♪」
1日の始まりは美味しい料理から始まる。鍋も焼いたホタテも美味しかった。素材が良質で全て美味しかったな、ままた食べに来たいものだ。暖炉の部屋で皆で寛ぎながら雑談をする。
真樹「さっきお客様用のアンケート用紙に記入したから、4回分くじ引きを引けるよ♪」
翠「真樹、くじ引きは何が当たるの~?」
咲桜里「サオリわかった!昨日見た絵がもらえるんだよね!?」
想里愛「当選したら何を頂けるのですか?真樹さん♪」
当選内容は下記の通りだ。
光玉・・・100株贈呈(辞退した場合現在の時価評価額を銀行口座に振り込まれる、純金の玉も贈呈
一等・・・旅館利用料金永久無料(宿泊した客の人数分
二等・・・客室内備品一品贈呈(宿泊した客の人数分
三等・・・旅館利用時、行き帰り送迎永久無料(旅館と居住地までの距離に依る制限無し、宿泊した客の人数分
参加賞・・・記念写真(額縁付)
さらにアンケートに回答したお礼として浴衣を一着もらえるそうだ。帰る前にもう一度お店で選ぶ事になる。
想里愛「わぁ、あたしは二等を当てたいです~♪広いベランダの伽羅で作られた湯船が欲しいです~♪」
確かにあの湯船は至高の一品だ。さすがソリアだ、目の付け所が違う。ていうか何気に全部大当たりじゃないか?長期間で見れば光玉より黒字になる当たりが多いし・・・。
翠「ボクは一等の永久無料がいいな~♪毎週行きたい!」
確かに毎週美味しい料理と素敵な部屋で寛げるのは大きい。むしろ住みたいぐらいだ。
真樹「僕は三等がいいかな。自分で運転しなくて済むのは楽で良いな♪」
咲桜里「サオリは金の玉欲しい~!お金はお兄ちゃんにあげるから、金の玉だけちょーだい!」
・・・「の」を抜いたらとてもいやらしく聴こえるのは私だけだろうか?(心霊番組のナレーター風
お、サオリからくじを引く様だ。・・・ふぁ!?
従業員「お~~~っとぉ!出ました光玉です!!!」
盛大な曲と共にクラッカーが鳴り響く。サオリは嬉しそうに金の玉を手のひらに乗せている。
翠「サオリちゃんすご~い!あとで金玉複製させてね!」
咲桜里「いいよぉ~!」
想里愛「ミドリちゃん、あたしの分も複製お願いします♪」
ついに言い切った・・・何をとは敢えて言わない。当たりを引いた場合もう1度引けるそうで次は参加賞が出た。好きな場所で撮影が可能と言う事で入口の湖の前に4人共並び写真を撮ってもらう。楽しい想い出の1枚になって良かった。100株は郵送で送られるそうだ。
翠「次はボクが引くよ♪えいっ」
ガラガラと良い音を立てて玉が落ちてくる。お、今度は・・・?
翠「やった!一等が当たったよ♪」
これはすごい。毎週みんなで泊まりに来れるぞ。皆キャッキャと喜んでいる。飛び跳ねる程嬉しい様だ。僕もとても嬉しい。もう1度引いたら参加賞だったので今度は別の場所で写真を撮る事になる。客室に戻り暖炉の前で座って寛いでいる所を撮ってもらった。
想里愛「次はあたしが引きます♪」
ソリアが意気揚々と抽選機を回す。さぁ何が出るのか・・・。お!また当たりだ!
従業員「出ました!二等です!」
一生の運をここに全て使い込んでいる様な当たりっぷりだ。ソリアは客室の伽羅の湯船をもらう事にした。鳳尾竹の仕切り付きだ。ソリアの家の近くにある源泉を湯船まで運んで毎日の入浴を楽しみたい所だ。その話をソリアにしていた所、旅館の方が源泉を湯船まで繋げてくれると申し出てくれた。サオリは宝石で作られた絵をもらった。額縁付きで豪華だ。僕はあの客室の暖炉をもらう事にした。僕の家の庭の一部を利用して畳の和室付きで作ってもらえる事になった。ミドリは翡翠のテーブルをもらう事にした。庭に置いて寛ぐ時にみんなで使うそうだ。
真樹「さて、僕も引こうかな~」
ガラガラと回して・・・三等が当たる。
想里愛「これで運転の心配をしないで夜も一緒に過ごせますね♪」
真樹「そうだね、一等にも負けない大当たりだよ~♪」
ソリアと僕が嬉しそうに話す。
従業員「それではこちらもお受け取りください。」
浴衣4着分の無料券を頂いた。浴衣の価格に関係なく無料で使える様だ。直営店のみでなくテナントの店舗でも使えるからすごい。
真樹「選びに行こっか♪」
想里愛「そうですね、行きましょう♪」
当たりをたくさん引き、気分良くみんなでお店を歩いて回る。
翠「ボクはこの浴衣に決めた♪」
その中でミドリは白い生地で満開の桜の樹と花びらが施された浴衣を選んだ。今は真冬だがこれから来る春にまたこの浴衣姿を見たいと思った。
咲桜里「サオリはこの浴衣が良いな♪」
赤い生地に白いうさぎさんがが描いてある浴衣だ。可愛いし季節に関係無く着れて良いと思う。
想里愛「あたしは・・・この浴衣にします♪」
サオリと同様に白を基調としている。赤く瑞々しい苺が描かれておりとても似合っている。
真樹「僕もこの苺の浴衣にしようかな♪」
僕はソリアと同じ浴衣をもらう事にした。ソリアと僕には浴衣専用のセットで、苺の形で作られた紅玉の首飾りを頂いた。
貴石バイヤー「バード・ブラッドと呼ばれる色合いの中から品質の良い紅玉となっております。名前の由来は厨房の見える鶏料理の店で捌いている所を宝石屋が見てから使われるようになりました。こちらの紅玉には石言葉がありまして・・・それは純愛です。お二人の絆や想いが強ければ強いほど互いを守る為にその力を発揮すると言われています。」
想里愛「そうなんですね・・・あたし、この首飾りを真樹さんだと想って大切にします♪」
真樹「僕も大切にするよ・・・ソリアだと想って♪」
これは良い記念の品を手に入れる事ができた。
貴石バイヤー「はい・・・こちらも、もうお二人に・・・。」
在庫として余ってしまっていると言う理由でサオリとミドリにも何かくれるそうだ。
貴石バイヤー「こちらはファンタジスタ・アクアマリンと呼ばれる藍玉です。一般的なアクアマリンより色が濃く、濃いのに透明感があります。青い海に反射された様に輝く美しさで、先程の紅玉と同様に現在は枯渇しており希少な一品です。石言葉は勇気です。人生では決断を迫られる時が何度も訪れます。それが正しい結果になるかならないか判らなくても・・・勇気を持って後悔の無い決断をすれば、この藍玉はいつでも味方をしてくれるでしょう。」
宝石の説明をしてくれた従業員さんは宝石のバイザーをしているそうで日々詳しく勉強しているそうだ。石言葉は僕も興味があるので、時間のある時にそれぞれの持つ意味を知りたい。ちょっとした雑談にも使えるかもしれない。サオリとミドリには、この藍玉の首飾りがプレゼントされた。
真樹「みんな浴衣も首飾りも似合っているね♪」
想里愛「はい♪毎日肌身離さず付けていますね♪」
翠「ボクも♪」
咲桜里「サオリも~♪」
僕はふと思い出した事があり、1階までみんなで降りてとあるお店の前に入っていく。
想里愛「このお店は品物が高く積まれていて、たくさんありますね♪」
翠「見た事の無い部品もあるね。」
咲桜里「お兄ちゃん、これな~に?」
真樹「それはカードゲームの絵だね。僕もそのカードゲームは遊んだ事ないなぁ。」
話をしながら僕達は目的の商品のあるコーナーまで移動する。
そのコーナーの様々なマネキンのコーディネートされた衣装が目に入る。
想里愛「こちらの衣装、可愛らしいですね♪」
真樹「そうだね、ソリアにも着て欲しいな♪」
想里愛「良いですよ・・・♪真樹さんが見たい時やあたしが甘えたい時に着ますね?♪」
僕は嬉しそうに返事をしつつ心の中でガッツポーズする。また新しいソリアを見る事ができて感謝だ。ちなみに衣装は猫耳メイドである。猫耳・肉球・尻尾があり、メイド服は紐を肩に通して着るタイプになっている。夏向けなのか胸元は開放的だ。背中も紐でリボン結びにしてあり、フリルの着いた膝上15cm程のメイド服となっている。
真樹「試着してみる?♪」
想里愛「着てみますね♪」
ソリアが試着室に入り僕は待つ。サオリやミドリも服選びに勤しんでいる。二人共何着か持って試着室に入って行った。
想里愛「真樹さん、後ろのリボンを結ぶのを手伝ってくれませんか・・・?」
真樹「うん、いいよ!」
僕は光の早さでソリアの居る試着室へ入る。メイド服は着る事ができたようだが、猫装備はまだのようだ。とはいえ僕も付け方はわからない。簡単な仕様だと良いのだが・・・。
真樹「よし、リボンは結んだよ♪」
想里愛「ありがとうございます♪」
メイド服だけでも十分可愛いな。ぜひ写真に収めたい姿だ。さて、猫グッズはどうしようかな。
想里愛「真樹さん、猫さんの・・・付けてください♪」
真樹「うん、任せてっ!」
特に難しい事は無く猫耳と肉球を付ける事ができた。尻尾はどう付けるのかな・・・。服の間に挟む必要があるらしい。僕はソリアの綺麗なおしりのラインを堪能しつつ尻尾も付けた。
想里愛「・・・似合いますか?」
心配そうに見上げるソリア。もちろん似合ってるに決まっている。
真樹「すごく似合っていて可愛いよ♪」
想里愛「にゃ、にゃぁん・・・♪」
甘えてくれるソリアを撫でながら僕はそう言う。ぜひメイドとして奉仕されたいものだ。
真樹「着替え終わったし、みんなにも見せに行く?♪」
ソリアは首を振り、ゆっくり僕を抱きしめる。
想里愛「もう少し・・・真樹さんと二人きりが良いです・・・。」
夜の二人きりの時間を満足に過ごせていない気がする・・・僕もそう思っていた。
真樹「僕もソリアと二人きりになりたかったんだ・・・。」
場所や周りの状況など関係ない。大切なのはソリアの想いに応える事である。僕は愛しい将来のお嫁さんを抱きしめて温もりを感じる。
想里愛「真樹さん温かくて良い匂いします・・・♪」
真樹「よかった♪今すごく嬉しいよ・・・♪」
見上げるソリアを撫でて唇を少し重ねる。そしてまた抱きしめる。
真樹「かわいい猫さんだね、ず~~っと離さないよ♪」
想里愛「にゃぁ~~♪にゃにゃぁぁ~~♪」
今日の夜もしっかり二人きりの時間を過ごせるかわからない。限りある時間を大切に使いソリアを愛し続ける。さっき見た浴衣も良いがこちらのメイド服のソリアも可愛くて愛しい。日替わりでいろいろなソリアを見たいものだ。
真樹「だいぶ時間が経ったね・・・浴衣に着替え直す?」
想里愛「そうですね♪有意義で濃厚な時間を過ごせました♪」
猫耳メイド服を1つ1つ外して服も脱がす。ソリアは前を向いて目を閉じている。僕はしっかり目の保養をして少しの間唇を重ねてから浴衣を着せていく。苺の浴衣も似合っている。カーテンを開けるとサオリとミドリが楽しそうに話している。
咲桜里「あ、お兄ちゃんみてみて~♪サオリかわい~い?♪」
翠「真樹真樹、ボクも可愛いかな?♪」
サオリは入学したての中学生のような制服を来ている。頭にはピンクのリボンを付けていて似合っている。
なんか一緒に登校したくなってきたぞ。
真樹「似合っているね♪サオリもかわいいよ~♪」
咲桜里「やった♪」
ミドリはサンタさんになったようだ。ふかふかの帽子や白のマフラーや柔らかそうな生地で作られた赤の上着とスカートがセットになっている。
真樹「ミドリのサンタさんも似合ってるね♪」
翠「ありがとう真樹♪」
みんなの着替えをしっかり見納めたので購入する事にした。とても目の保養になる。
その後帰る前に客室に戻りもう一度みんなで湯船に浸かる事にした。相変わらず湯気がすごい。
真樹「僕は少し荷物をまとめるから、みんな先に湯船に入ってて~」
咲桜里・翠「先に入ってくるね!」
サオリとミドリが湯気の中に消えてゆく。
想里愛「真樹さん♪」
生まれたままの姿のソリアが僕の前で微笑んでいる。また二人きりになれたのは嬉しい。
真樹「寒くない?大丈夫?」
頭を撫でながら聞いたところ、荷物をまとめるのを手伝いに来てくれたようだ。とても優しいお嫁さんである。
想里愛「帰った後は精霊さんを助けに行くのですか?♪」
真樹「そうだね♪この前より進めると良いのだけど・・・」
帰ったら助けに行かなきゃな・・・僕はそう考えつつ手伝ってくれたソリアを褒めて愛情を注ぐ。
頭の中でよく歌うラブソングが脳内再生される。歌詞はこういう体験を通して作られているのかなと少し考える。温かくて愛しい表情をしているソリアに何度も唇を重ねる。
想里愛「えへへ・・・♪」
真樹「ふふ・・・♪」
たっぷり愛情を注いだ後、僕達も湯船へと向かう。僕はしてみたかった事があり実践してみる事にする。
真樹「ソリア、ちょっとそこの布団に横になって?」
想里愛「ぇぁぅ、は、はいっ。」
ソリアは顔を赤くしてぎこちない動きで布団に横になる。
想里愛の心の声「真、真樹さん・・・そんな急に・・・こんなお昼からあたしを求めてくれるなんて・・・♪嬉しいけど恥ずかしい・・・」
僕は手を背中とふとももに回してソリアを持ち上げる。とても豊穣なものを持っているが体重はとても軽い。少し驚いていたが嬉しそうに体をこちらに寄せてくれる。僕はもう一度君の見上げる愛しい表情を見ながら唇を重ねる。
想里愛「まるで結婚式の時みたいですね♪」
真樹「そうだね♪早く暮らしを安定させてソリアと結婚したいな♪」
想里愛「真樹さん・・・♪あたしも早く真樹さんと結婚したいです♪」
ソリアと共に湯気と朝の陽射しで輝く光の環の中へ入っていく。これから険しい道があろうときっと乗り越えて見せる。
すぐに到着したのでゆっくりとソリアを降ろす。一緒に入ろ♪と手を繋いでくれてラブラブで入浴タイムに入る。
想里愛「暖かいですね♪」
真樹「そうだね♪またここに一緒に行きたいね♪」
想里愛「真樹さんにいっぱい愛してもらって心も温かいです♪」
力強く抱きしめてくれる。このままずっとこうしていたい。
冒険しているよりこうして安全に過ごしているほうが良いと思う僕がいる。
危険なダンジョンよりもこうして平和な日々を過ごしたほうが良いのではないか・・・。
僕の表情を読み取ったのか心の中を見透かしたようにソリアが話す。
想里愛「真樹さんがしっかりしてくれているから・・・あたしは何も心配していません。だから真樹さんは自信をもってください♪」
真樹「うん・・・!精霊さんの救出も結婚もしっかり成し遂げて見せるよ!」
何度も誓いを立てる二人。だがそれがいい。サオリとミドリが側に来て4人で話をする。昼食を旅館で食べる予定なので翌日に出発すると決めた。夜のダンジョンは危ない気がするし・・・体調は万全にして向かいたい。とりあえずの話がまとまり皆湯船で寛ぐ。
真樹「これからはソリアの家でも温泉を楽しめるね♪」
想里愛「そうですね、でも・・・旅館の方が来るには・・・」
真樹「あ・・・そうだった・・・」
どうしようかと考えたが温泉に入りたいので従業員の方が承諾してくれたらソリアの家に連れて行く事に皆で決めた。そもそも無事転移できるかが心配だが・・・ダメだったら僕が源泉を繋げるしかないだろう。個人的には鳳凰竹かヒノキで繋げてみたい所だが・・・ある程度距離があるので難しいかもしれない。余裕があればヒノキの湯船も作ってみたい。
真樹「この後は旅館の最上階にあるお店でお昼ご飯を食べてから帰ろう♪」
想里愛「わぁ♪良い景色を見ながら皆で食べたいですね♪」
咲桜里「サオリ楽しみ♪」
翠「どんな料理が出るの、真樹?♪」
真樹「和食中心の高級バイキング・・・だそうだよ♪」
パンフレットでは北陸地方から仕入れたズワイガニが一押しだと書いてあった。昼食限定で栗を使った焼き飯も人気だと言う。海鮮や山の幸に加え、海外で名誉のある機関から5つ星の評価を得た料理人による中華料理も絶品だと言う。今の混浴も楽しいが昼食も楽しみで仕方が無い。
咲桜里「真樹おにーちゃん、カニの殻を取るの手伝ってくれる~?」
真樹「いいよ、任せて!」
想里愛「真樹さん優しい♪」
翠「ボクにも手伝ってね!」
真樹「うん、いいよ~♪」
想里愛「あたしも真樹さんのお手伝いをします♪」
真樹「おお・・・ありがとうソリア♪」
なんて優しいんだ・・・二度とこんな可愛くて優しい天使と出会う事は無いに違いない。確実に僕のお嫁さんにしなければならない・・・僕はそう誓った。お昼も愛の共同作業ができると考えたら嬉しい気分になってきた。自然と顔もにやついてしまう。
充分温まったのかサオリとミドリが湯船を出て外の景色を見下ろしている。僕とソリアも朝の景色を見に行く。
咲桜里「夜みたいに幻想的ではないけれど・・・湖や大木が立派だね♪」
確かにサオリの言う通り旅館の周辺は和の完成度が高い。
翠「ボクには全てが新鮮に見えるよ♪真樹の家に来てからずっと・・・」
感慨深い表情のミドリ。いつから呪いをかけられたのか聞いていないので知らないが、長い間苦労を重ねてきたのだろう。呪いをかけた相手は許せないが・・・無事解けて良かった。
想里愛「あたしも新鮮です、いろいろな場所に連れて行ってもらっていろいろな初めての経験をさせてもらえて・・・毎日が楽しくて仕方ないです♪」
真樹「僕も毎日が楽しいよ♪皆のおかげだよ!」
ソリアと2人きりの頃も良かったが、今は誰か欠けると寂しくなってしまう・・・。誰も欠かす事はできない。それだけ3人の存在は僕にとってすごく大きくなっている。
真樹「十分温まったし、お昼ご飯食べに行く?♪」
皆のОKが出たので最後に少し皆で湯船に浸かった後、客室に戻り着替え始める。朝から目の保養もできて感謝の一言だ。先程の試着服を見たいがあまりに目立つので浴衣になるのかなと思っていたが・・・試着していた服に皆は着替えていく。しかも服を交換し合っている様だ。僕はミドリの服のリボンを結びつつみんなを眺める。ソリアの髪のリボンを付けに行き、その後は手伝いの必要は無く皆着替え終わる。サオリはサンタさん、ミドリは猫耳メイド、ソリアは女子中学生になった。是非写真に収めたいものだ。試しに聞いてみようかな。
想里愛「良いですね♪記念に皆で撮りたいです♪」
咲桜里「いいよ♪」
翠「願い事ができたらボクに聞いてごらん♪」
真樹「よーし、じゃあタイマー機能を使って皆で撮ろう♪」
翡翠のテーブルのある部屋で写真を撮る。写真はすぐに確認する事が出来るのでさっそく皆で見る。ソリアの天使のような微笑みも、サオリのはちきれんばかりの明るい笑顔も、ミドリのあたしがプレゼントだよと言わんばかりの魅惑的なポーズとウインクもとても可愛い。4人で楽しそうにピースしている。
咲桜里「よく撮れてるね♪」
想里愛「ミドリちゃんのポーズ可愛い~♪」
翠「そうかな~?ルンルン♪」
真樹「これも良い記念写真になったね♪」
大満足で撮り終えたので、さっそく最上階へ向かう。周りの視線が気になるが・・・気にしたら負けの精神で行くしかない。ペナントのお店にある商品なので着ても問題無いはずだ。エレベーターに乗り最上階へ向かう。
咲桜里「わぁ、きれい♪」
想里愛「素敵な空間になっていますね♪」
翠「お洒落な造りになっているね♪」
部屋の中央に厨房があり、厨房の外側に並べている食材の奥では料理人が調理している様子を見る事ができる。
床はガラス張りになっており、ハートの形や若葉の形で外枠に水を循環させ内枠を地上が見えるように透かしている。外枠の水に光を当てる事で青、赤、ピンクと次々と幻想的な色を表現している。
真樹「あっちの畳の和室の座席に行く?」
想里愛「そうですね♪落ち着いて過ごせそうです♪」
咲桜里「サオリが一番乗り!」
翠「ボクは2番~♪」
元気良く2人が座席に座る。2人共隣同士で座った。ソリアは奥に座り僕は手前に座った。
店員の説明を聞き終わりさっそく料理を皆で取りに行く。
店員「只今からマグロの解体ショーを始めます!今朝仕入れた新鮮なマグロを皆様に提供致しますので是非御覧くださいませ。」
咲桜里「お兄ちゃん、一緒に見よ♪」
ギュッと腕を柔らかいマシュマロに押し当てられる。ベリーグッド!
想里愛「真樹さん、あたしも一緒に見ます♪」
もう片方の腕も同じ状態になって僕は幸せを感じる。
翠「ボクも見る~♪」
ミドリが僕の前に回り背中を預けてくれる。皆に囲まれてすごく嬉しいな。お、解体が始まったようだ。
料理人が巨大なマグロを手際よく捌いていく。よく身が締まっていて美味しそうだ。解体後に全ての客席に店員が持ってきてくれるそうだ。
想里愛「あんなに大きな魚初めて見ました♪」
真樹「僕もだよ、すごいね~」
サオリは血に驚いたのか腕にしがみつく力が強くなる。大丈夫だよと声をかけるが・・・刺激が強すぎたかな?心配だ。
翠「サオリちゃん大丈夫?」
ミドリも心配そうにしている。
咲桜里「ちょっとびっくりしただけ!大丈夫だよ!」
いつものサオリだ、きっと大丈夫だろう。ショーを見終わったので皆で料理を取っていく。僕はまず4人分のズワイガニを皿に盛る。おすすめの逸品は外せない。一度テーブルの中央に置きまた料理を取りに行く。栗の焼き飯と甘エビとサーロインステーキと葡萄のストレートジュースを取り座席に戻る。
想里愛「ズワイガニの殻は最初から外してあるのですね♪」
真樹「そうだね、時間が省けて助かるよ♪」
翠「真樹、ボクにズワイガニ食べさせて?」
あたしもあたしもと3人におねだりされる。温かいひとときである。美味しそうに食べる3人の笑顔が見れて僕も嬉しい。
店員「お待たせ致しました。」
新鮮なマグロが運ばれてきた。少し醤油を付けて食べたらとても美味しい。
翠「真樹のジュース味見させて♪」
ミドリが味見したあとサオリも続けて葡萄ジュースを味見する。
咲桜里「美味しい~!お兄ちゃん、ブドウジュース取ってくるね♪」
サオリとミドリがブドウジュースを取りに席を立つ。
想里愛「真樹さん真樹さん♪」
真樹「なーに?♪」
想里愛「美味しいご馳走ありがとうございます…♪」
ソリアが頬に柔らかい唇を重ねてくれる。ゆっくり唇を離してから明るく微笑むソリアに唇と唇を重ねる。またゆっくり唇を離し頭を撫でる。
真樹「ソリアの笑顔が見れて僕も嬉しいよ♪」
咲桜里「お兄ちゃんもお姉ちゃんも何かいいことあったの?」
二人とも表情に出ているのかサオリに尋ねられる。
想里愛「ふふ、良いことあったよ~?ね、真樹さん♪」
真樹「うん!すごく良いことあったよ♪」
咲桜里「そうなんだ!料理も景色もいいし、楽しいところだよね♪」
サオリはガラス張りの床も気に入ったようだ。葡萄ジュースを取って戻る時にミドリと二人で地面が透けてる部分に立ってキャッキャとはしゃいでいた。
真樹・想里愛・咲桜里・翠「ご馳走さまでした♪」
食べ終えて客室に戻り少し皆で休む。チェックアウトは午後4時まであるので時間になるまで暖炉の部屋で寛いだ。
咲桜里「お兄ちゃん、誰が一番かわいい?♪」
想里愛「あたしですよね…?♪」
翠「ボクだよね?♪」
テンションがあがっているのか、あたしよあたしよと3人とも胸元を開いたりパンツが見えそうな魅惑的なポーズを取り、僕はずっと目が釘付けになり続けた。
こうして楽しい時間はあっという間に過ぎて、旅館を出てからスーパーで夕食を買いに寄ってから家に帰った。
後書き
やっと13話書き終えた・・・(´・ω・`)
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