第8話 朝から愛を育んだら永遠の幸せの中へ


前書き


ソリアの日記7

あたしは今真樹さんと桜並木の木漏れ日の中にいる。

いつもよりも多く花びらは風に舞い散り昼の陽射しに反射する為かあたしが見つめる彼は輝いて見える。

あたしははしゃいで樹々の中を駆け巡る。

彼は優しく微笑んであたしを見守る。

あたしは彼に抱き着こうと駆け寄る。

そして良い所で目が覚めるとあたしは真樹さんの上に重なっていた。

夢の続きはすぐに現実で叶える事ができた。幸せだ。

唇を重ねて甘くてほろ苦い時間が二人を包む。心が溶けてしまいそうだ。

二人で布団の中で温め合い満たされていく。

可愛がってもらいながら今日どう過ごすか話し合う。

十分に愛を確かめあった後真樹さんに買ってもらった服を着る。

着る前にもう一度真樹さんを抱きしめる。

純白のワンピースを着せてもらった。

美味しいごはんを食べあいっこして朝食を味わう。

あっという間に食べ終わり昼食の調理が始まる。

少し気が早いが夫婦の日常を満喫している気分だ。

彼はフライパンで上質な柔らかい部位のお肉を焼いている。

あたしも美味しいごはんを炊く。

デザートもあるので豪華な昼食を味わえそうで楽しみだ。

食後なので出掛ける準備を済ませてから少し休む。

真樹さんはいつも運転や料理などで疲れているので、あたしの膝枕で休んでもらった。

照れながらも素直に身を委ねてくれる彼が愛しい。自然と笑みがこぼれる。

幸せな時間を過ごし大切なひと時が過ぎてゆく。お出掛けする前にもう少しこの幸せを二人で味わった。




第8話 朝から愛を育んだら永遠の幸せの中へ


チュンチュン・・・おや、もう朝か。僕の全身がすごく温かくて柔らかい感触に包まれている。中でも顔に圧倒的な柔らかさを感じる。目を開くと2つの天然マシュマロに挟まれている。いつのまにかソリアの寝てる向きは180度変わっている。


真樹「モフモフ・・・どうひゃられてむあいふぁにどちらふぁがうほぉいちゃったみとぅいだにゃ。(どうやら寝てる間にどちらかが動いちゃったみたいだな。)」


雄大な山脈の前ではうまくしゃべる事もできない。僕は大自然の洗礼を受ける。恵みだけを享受するのは都合が良いと言うものだろう。


真樹「まだソリアは起きてないな・・・モゴッ」


ソリアが以前言っていた服が脱げてしまう癖くせだろうか・・・大山脈は僕のおなかのほうへ移動していく。そしてキュっと細くて柔らかいおへそに顔が当たる。これはしゅごい。


真樹「あ、このままだとソリアの秘境が・・・」


一瞬悩んだが、僕は覚悟を決める。起こしたら悪いのでこのままにしよう。決して秘境を見たいわけではない。位置がズレてしまい、僕の顔にふとももが通過していった。とても柔らかくて良い匂いです。その後ソリアが目を覚ます。僕と山桜デートをしている夢を見ていたそうだ。


想里愛「ごめんなさい、朝からご迷惑おかけして・・・」


真樹「大丈夫だよ、僕もよくあるし。」


想里愛「まだ寒いですね・・・もう少し布団で温まります?♪」


真樹「そうだね、一緒に温まろう♪」


布団で寝起きソリアをギューする。昨日の夜のままの恰好かっこうだけど、とても温かい。ソリアにジッと見つめらる・・・、すぐに僕も気付く。楽しみにしている甘い時間だ。二人共目を閉じて唇を重ねる。昨日食べた桃のアイスよりも甘い味がした気がした。


想里愛「えへへ・・・♪」


真樹「ふふふ・・・♪」


僕はとても幸せだ。1日中布団の中でソリアと過ごしたいと思ってしまう。ソリアを抱きしめて頭を撫でながらそう考えてしまう。


真樹「昨日の残りだけど・・・朝食もう食べる?」


想里愛「もう少し真樹まさきさんと温まってからが良いです・・・♪」


とても愛しい。壊してしまいたいぐらい愛しい。ギューとナデナデを継続しつつ話す。予定通り朝食の後はソリアの世界で食材を採集しに行く事になった。ちなみに正面から抱き合っているので僕の僕が元気にならないか心配で仕方がない。


真樹「僕もソリアとずっと温まってたいよ、大好き♪」


想里愛「あたしも大好きです!すごくドキドキしています♪」


真樹「ふふ・・・どのくらいドキドキしてるのかな?♪」


2つの恵みの果実を2つの手のひらで片方ずつ包む、包み切れないけど包めるだけ包む。その母なる大地は僕に内包する負の感情を全て打ち消す。そう、今僕の精神イデアは母なる大地へ還っているのだ。これが・・・地球。(真樹哲学第弐拾伍節、母なる大地への帰還、真樹著)


想里愛「ぁっ・・・ど、どうですか?♪」


真樹「すごく柔らかくて大きくて・・・ドキドキしてるね♪」


想里愛「えへへ・・・ドキドキですぅ~♪」


たっぷり母なる地球を堪能する。これはしゅごい。


想里愛「温かくしなきゃ・・・♪」


ソリアが布団で包み直してくれる。こんな優しい娘に巡り会えて僕は幸せだ。


真樹「スーパーで買った食材がまだあるし、今日のお昼はお弁当用意して山桜の樹の下で食べる?」


想里愛「やったぁ、真樹さんのお弁当すごく楽しみです♪」


うんうん、同じ場所だけど眺めも最高だしお弁当も最高なら良いデートになるだろう。ソリアの世界の街にも行ってみたいけど二人きりのデートも悪くない。


想里愛「にゃぁ・・・♪」


可愛く甘えてくれるソリアを抱きしめて撫でてる間に時間は過ぎていった。長い時間ラブラブで過ごせて大満足だ。さて、朝食にしようかな。


真樹「そろっと朝食にしよっか~。」


想里愛「そうですね、食べましょう♪」


さすがにずっと何も着ていないのはマズいかな・・・。そうだ買った服を着てもらおう。


真樹「今のままのソリアも良いけど・・・お洒落なソリアも見たいな♪」


想里愛「昨日買ってもらった服を着ますね♪ま、また寝る前になったら・・・今のあたしに・・・戻ります・・・。」


小声だがしっかり聞き取れる。照れ隠しなのか、僕は立った状態でソリアに抱きつかれている。


真樹「うん・・・暖房はしっかり効いてるし・・・今のソリアをまた夜に見ちゃうね。」


抱き返しながら頭を撫でる。ソリアは嬉しそうに頷いている。とても良かったです。

そしていつものようにソリアの手を使いうまく隠しながら服を着せていく。着せる過程で素晴らしい感触を堪能するが決して表情には出さないようにした。僕は紳士です。純白のワンピースを着てもらった。


真樹「すごく似合ってるよ、世界一可愛い♪」


想里愛「えへへ、真樹さんと出会えてすごく幸せです・・・♪」


宇宙一可愛い天使が僕の目の前にいる。清純で聡明で誰の色にも染まっていない、そんなイメージだ。少しずつこの天使を僕の色に染めていきたい。僕は昨日の残りを運ぶ。


真樹「ソリアと一緒にごはん食べるのも楽しいよ♪」


想里愛「そうですね、毎日一緒で幸せです♪」


ラブラブでひと口食べ合いっこした後、まったりおしゃべりしながら朝食を味わった。炊き込みご飯も里芋のあんかけも美味しい。この朝食で両方とも食べ終わった。お昼のお弁当を作りにいくかな。


真樹「ちょっとお弁当作ってくるよ、ソリアはゆっくり休んでていいよ~。」


想里愛「あたしもお手伝いします♪ご飯は炊くんですか?」


真樹「炊くよ~、じゃあご飯炊きをソリアにお願いしちゃおうかな。」


想里愛「はい、任せてください♪」


ソリアがご飯を、僕がおかずを作る事になった。さっそく白米を研いでいる、とても綺麗な手だ。


真樹「あ、手が冷えちゃうからお湯で研いだほうが良いよ~。」


想里愛の心の声「真樹さん優しい・・・改めて大好きだって実感するなぁ・・・♪♪」


想里愛「はい、お湯使わせてもらいますね♪」


にっこりと笑顔を向けてくれるソリア、すごく可愛い!天使と調理するの最高です。僕も気分良く調理を開始する。と言っても、今回は簡単だ。美味しいお肉を焼くだけなのだから。


想里愛「今日はどんな料理なんですか♪」


真樹「和牛霜降りのミスジステーキだよ、柔らかくて美味しいお肉なんだ。」


想里愛「すごく美味しそうです!子供の頃にお金持ちのお友達の誕生会の食事で出た肉とそっくりです♪」


あ・・・うんうん、14歳ならもう立派な大人だよね。ミスジとは牛の腕の内側にある肉だ。普段牛が使わない部分の肉なので、とても柔らかい食感で脂が多すぎず絶妙な味わいだ。牛1頭から2~3kgしか取れない希少な肉だ。今回は2種類の味付けにする。鍋にみりん・醤油・砂糖を入れる。そして胡麻・林檎・玉ねぎの3種類をすりおろして鍋に入れる。鍋の中が温まってきたら肉を入れて煮込んでいく。沸騰するまで煮れば、あとは余熱で肉の中まで火が通る。この鍋の中身をそのまま弁当箱に入れる。ご飯はセパレートにして分けたほうが良いだろう。もう1種類は単純に焼肉に塩コショウを使って焼くだけだ。単純だが肉本来の旨味が味わえる。牛なので完全に焼かなくても良い。少しだけ赤身を残しても美味しく味わえる。今回はミディアム(肉の色は焼けてるが肉汁は生に近い状態)にした。2種類目の塩焼きも弁当箱に入れる。


真樹「作り終わったよ~♪」


想里愛「あたしも研ぎ終わって、炊けるのを待つだけです♪」


二人の共同作業で作る料理、完成が楽しみだ。炊けるまで時間が少しあったので、デザートに苺と桃の切り身も用意した。食後に食べると美味しいだろう。


想里愛「あ、ご飯炊けました!弁当箱に入れておきますね♪」


真樹「ありがとう、ソリアの炊いたご飯食べるのすごく楽しみだよ♪」


想里愛「えへへ、真樹さんに喜んでもらえると良いなぁ♪」


二人で微笑み合う。山桜でのお昼ご飯がとても楽しみだ。弁当箱をリュックにしまい、出かける用意を済ませる。食後はおなかが落ち着くまで少し休む。その後に移動開始だ。


真樹「少しゆっくりしたら、食材採りに行こう~。」


想里愛「はい♪育ててる桃はもぎたてでも食べれるので、着いたら1つ食べたいです♪」


真樹「いいね♪楽しみだよー。」


天然の果実は体に良い。ソリアの果実もすごく良いけどね。ソリアは苺のクッションに顔をモフモフしてリラックスしている。とても微笑ましい光景で僕の心も和んだ。ん、どうしたんだろう?ソリアに呼ばれる。僕はソリアの言われるまま横になる。あっ・・・。


想里愛「真樹さんにもリラックスして欲しかったんです♪」


女の子座りで待機するソリアがふとももに僕の頭を乗せてくれた。膝枕である。その圧倒的な包容力は大地の恵みに匹敵すると言って良い。これが噂の安眠枕か。その枕は反発することなく、マリンスノウが深海に沈むように僕の頭は沈んでゆく。


真樹「すごくリラックスするよ、ソリアありがとう♪」


想里愛「えへへ♪毎日大切にしてもらってるんで少しはお返ししないと・・・」


なんと頭ナデナデのサービスも追加で発動した。満面の笑顔と顔並の大きさの果実が僕の目に映る。幼児退行が止まらない。おねーちゃん、もっとナデナデして~・・・ハッ!幼児になってしまった。


真樹「すごく癒されるよ、1日中こうされていたいぐらい幸せだよ♪」


想里愛「あたしも毎日真樹さんとこうしていたいです~♪」


毎日膝枕してもらえるのか。超ラッキーだ。ここは本当に天国のようだ。顔を横にしてふとももの匂いを嗅ぐ。とても良い匂いだ。ほっぺでモフモフする。とても柔らかい。こうして僕は、ソリアとラブラブの食後を過ごした。


真樹「名残惜しいけど、お腹も落ち着いてきたし食材採りに行く?」


想里愛「そうですね、一緒にお散歩しながら採りに行きましょう♪」


僕はサッと精霊の人形をとってくる。そしてまた膝枕の位置に戻ってから二人で祈る。・・・無事ソリアの世界に転移てんいできた。


真樹「こっちは暖かいね♪」


想里愛「そうですね、毎日外に出掛けやすくて良いですよね♪」


肩下げの竹刀や弁当箱など必要なモノはリュックにしまってあるので後は出掛けるだけだ。そんなことを考えながら、僕はもう少しこの幸せをソリアの逆ナデナデと膝枕の中で味わった。



後書き


精霊魔術会 (霧雨流星)リレインスターの報告書5

少しの間気を失っていた。剣の音が響き顔をあげるとリリアがあの魔物と対峙していた。

私は起き上がり隣に伏している救護隊に治癒魔法をかける。彼女に瀕死の仲間達を助けるよう伝えリリアの元に向かう。

リリアと共に魔物の攻撃を凌ぐ。魔物の手数の多さから植物の枝や幹に依る攻撃だとわかる。この階層の変異種なのだろうか・・・。

リリアのおかげで回りを見る余裕ができる。まともに動けるのは私達と立ち上がったリリカ、魔物を警戒し遠回りでこちらに向かっているリスドールの4人だけのようだ。こんな形だが彼女と再会できて良かった。後はこの魔物を退治するだけだ!


精霊騎士隊 (凛梨花)リリカ観測隊の記録5

リレインスターの救護隊に治癒されて目覚める。今生きているのが不思議だ。信頼できる仲間達が魔物と激戦を繰り広げている。すぐに立ち上がり力を込めて向かってくる触手を断ち切る。足が重いのは私だけではないようだ。魔物に重力魔法をかけられているのか周囲一帯の地面が歪に凹んでいく。

リレインスターでも防ぎきれない膨大な魔力。犠牲者を出さずに凌げるのだろうか・・・。

リリアが剣に囁き横なぎに空を切ると途端に足の重みが溶けた。魔法を断ち切った!?

リスドールも後ろから加勢に来てくれて攻勢に出る。魔物を徐々に後退させていく。

人型に姿を変えた魔物が斜め後方に飛び腕を上げたかと思うと黒く輝く球状の塊が膨張し私達に放たれた。


(霊澄人形)リスドールの手記7

ようやく孤独から解放され、後方支援しようと後ろから合流する。

彼女達が優勢で魔物は防戦一方だ。きっとこのまま勝てる。

気が付くと周囲が急に暗くなり上を見ると闇の塊が容赦なく私達に向かっている。

あの塊を凌がなければならない。

私は前に出て簡易結界の壁を張る。黒弾が熱を帯びて肉薄し私をこそぎ取っていく。

苦痛に顔を歪めるが引いたら全滅する。私は全力で踏ん張る。

しかし皆の援護と掛け声を聴きつつ私の意識は遠くなっていった。


(凛里愛)リリア精霊騎士隊の系譜3

この魔物を甘く見ていた。物理型ではなく魔法に秀でており追撃を躊躇ったのが仇となった。

リスドールが倒れ、私は刀で黒球を縦から切る。リスドールが弱らせてくれていたおかげで魔力ごと断ち切る事ができた。

間合いを取らせず肉弾戦に持ち込む。リレインスターとリリカがリスドールを後方に寝かせ魔物の左右からの攻撃で共闘する。

詠唱を要する大技は私が断ち切る為魔物に攻め手は無い。

片手を失い逃げる構えを見せた所で地の底から声が聞こえる。

アリキーノ「もういい、用済みだ。」

地響きが響き轟く。円形の穴が空き閃光が黒い魔物を包み悲痛な叫びと共に絶命した。

先程とは比べ物にならない重力が私達を地の底へ引きずり込み飲み込もうとする。

リレインスターが力を振り絞り戦闘不能の仲間達に結界を張り守るのが精一杯だった。

退路は地割れにより失い、敵を放置して復旧するのは自殺行為だ。

リリカとリレインスターと共に未知の先へ飛び込んだ。

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