エピローグ⑥ アメリアとコレットとジェシナとムネヒト⑤


 ムネヒトの主張は単純だ。

 アメリアとコレットのおっぱいを愛でられて、とても嬉しかった。金銭に換えられるモノでは無いが、それこそ金貨三万枚以上の価値があった。

 自分はこの夜のことを一生忘れない。最高のおっぱいタイムだった。


 でも性行為は駄目だ。

 男女の仲には段階があり、コレがいいからコレも良いとはあながち言えない。

 おっパブというモノもあるし、おっぱいギルドに所属するコレットなら良く分かっている筈。


 おっぱいが許されたからといって、身体の全てが許されるなどと勘違いする脳みそ下半身直結型の男とは俺は違うつもりだ。

 もし二人が俺におっぱいを晒して良かった、更に言うなら気持ち良かったと思ってくれたのなら、俺はこれ以上無いくらいに果報者だ。


 だから無理に股を開かなくて良い。二人の人生は長いのだから、素敵な男と出会う可能性は大いにある。


 だから俺なんかを相手にせずに――。


 そこまで告げたとき、ムネヒトは三人に押し倒されていた。


 ・


 最初と同じように、俺は天井方向を強制的に仰ぐことになっていた。


「あっっっっっったま来た」


「え?」


 コレットは俺を見下ろしながら笑った。影で暗くなる彼女の表情は、確かに笑顔だった。

 しかし眼は全く笑っておらず、爛々と憤怒に輝いている。

 彼女の隣に顔を並べるアメリアは、そもそも笑っていない。


 ――アレ? 何で怒ってんの?


「オリくん、女の子をナめてる?」


「へ? あ、あー、おっぱいは凄い舐めたな――ぐはっ!?」


 横腹をアメリアに蹴られた。ウェットに富んだギャグで場を和まそうと思ったのに、ダメだったらしい。


「私達がどんな気持ちでこの部屋に来たか言ったよね? まさか冗談だと思った? 女の子が自分から裸さらけ出す意味、分かってるの?」


 ヤバイ、コレットさんが超怖い。


「この期に及んで『二人が気持ち良くなってくれたのなら全部オッケー!』とか、オリくん死にたいの?」


 俺死んじゃうの!?


 降ってくる迫力に思わず視線を逸らすしてしまう。逸らした先にはコレットのおっぱいがあった。こんな時でもおっぱいですよ僕ァ。


 四つん這いになって重力に引かれたコレットの軟乳が、たゆたゆ揺れている。乳首は未だ赤く尖り、てらてらと濡れている。

 俺の唾液だ。俺の唾液が彼女のソコを占拠していると考えると、どうにもドキドキする。ちょっと申し訳ないから、綺麗な布で拭き取ってあげたい。


 アメリアも同様だ。

 流石にコレットに比べれば下垂する乳房も控えめだが、ツンと実に美しい形状をベッドに垂らしている。

 初々しい先端を小刻みに揺らし、俺の目を誘う。可愛らしい頂点を指でヨシヨシってしたい。


 このように、もっかい二人のおっぱい触りたいと思うのもやむ無し。なんせ自分おっぱい王国民ですから。


「っ♡ そ、そんな目で見てくれたって誤魔化されないよ♡ なんなのオリくん♡ 私達が欲しいの!? 欲しくないの!?」


「抱くつもり無いクセに、そんな目で見るなんて卑怯だと思うのだけれどっ♡」


 いかん火に油だ。そりゃあ説教中におっぱいガン見してたら誰でもキレるわ。


「取り敢えずホラ、皆で服を着ましょう? そんな危険なモノ(おっぱい)を何時までも晒しておくなんて――っっっ!?」


 痛みではない。猫撫で声で二人を説得しようとした俺を襲ったのは、未だ身に経験の無い衝撃。

 初めて第三者から触れられる、股間からの衝撃だ。


「これ、コレット……!? あ、くっ!」


「ココどうする気? このままなんて可哀想よ」


 コレットの白い指が、服の上から俺のムスコを撫でていた。

 フィギュアスケートのように二本の指がツツツ……と、竿を上下に滑った。

 ズボンの下で良いチンポジ収まっていたため、コレットの指はムスコの腹、裏側を撫でることになる。


「皆から聞いたんだけどさ、マスターにも同じような事して不興を買ったらしいじゃない。そこから学んだコトはないの?」


 怒張に怒張を重ねた我が分身は、それだけでピクピクと震えた。

 ソコのみでなく、付属した睾丸や足の付け根にまでコレットから受けた刺激が広がっていく。


「ちょ、ちょっと、何処を、触って――!」


 コレットは聞かない。


「女の子だって、男の子と気持ち良くしてあげたいって思うんだよ? 私達のおっぱいで、こんなにしてくれたんでしょ? だったら、恩返ししないと」


「恩返っ――ぅぁっ!」


 三本の指で先端部分を搾り上げられ、表面を転がされる。

 いきなりの○頭責めに腰が浮き、膝の裏にまで電流を感じた。

 くすくす妖艶な笑みを浮かべて、コレットは愚息の子守りをする。


「そっ、こは良いよ! 自分でなんとかするから!」


「呆れた。こーんな美女達に囲まれてるのに、オ○ニーでもしてスッキリしようってのかな?」


 誤解だ! 確かに、皆のおっぱいを思い出しながら久々にフヒヒ――とちょっと思ったのは事実だが、俺には無敵の『奪司分乳』がある!

 自分の乳首を触って溜まりに溜まった性欲を、経験値に還元すれば一瞬でスッキリ――。


(そうだ乳首だ! セルフ乳首で賢者にジョブチェンジを――!)


「だから、させないよオリくん」


 身を乗り出したコレットとアメリアは、あろうことか俺の腕に跨がってしまった。

 むっちりとしたコレットの太ももと、華奢で柔らかいアメリアの太ももに踏まれ、腕の自由を奪われた。

 辛うじて前腕部分が動かるけど、ここからで出来ることと言えば、二人のヒップを撫でることくらいだ。


「気づいてないと思った? オリくんが左の胸に手を当てて冷静になる『ルーティン』には、私も気づいてたんだよ? あらかじめアメリアちゃん達と打合せしてて良かったぁ」


 コレットにもバレてた! そして二人にすら!?

 今更ながら『クレセント・アルテミス』でも同じように封印された事を思い出した。

 マジで学習能力ないのか俺は!


「そんなに胸に触りたいなら私達が代わりにシテあげるから さ、脱いで脱いで」


「!?」


 言うが早いか、コレットは俺のシャツに手をやり、ボタンをは外していく。抵抗しようにも両腕は踏まれ、彼女の指を止めることは出来ない。

 そういえばリリミカ、レスティア、ノーラにも剥かれたなぁと現実逃避している内に俺の上半身は裸にされてしまった。


「わ♡」


 コレットの歓声。


「へ、へー……」


 アメリアのオズオズとした視線と曖昧なリアクション。


「ほう……」


 ジェシナの嘆息。

 三者三様の視線を向けられ、妙な気恥ずかしさが昇ってくる。変な性癖に目覚めたらどうすんだ。


「どうアメリアちゃん、初めての男の人の身体は?」


「わ、私!? そ……そうね、思った以上に細いというか……でも私達とは全然違って引き締まってて筋肉があって――正直いうと、ドキドキするわ」


「ふふふっ、気になる男の子の身体ってだけで、何かクるものがあるでしょ? でも、オリくんがこんなイイ身体してたなんて嬉しい誤算……」


「こういうのをイイ身体っていうの……でも、何となく分かる気がするわ……これが男性の――ムネヒトの身体……」


「アメリア様。せっかくの機会ですし、触ってみてはいかがでしょうか?」


「え? い、いいの?」


「無論でございます」


 いや俺の許可ぁ!


 恐る恐る伸びてきたアメリアの手は、俺の腹筋付近を触れるか触れないかのフェザータッチで上へ昇っていく。

 腹直筋、肋骨と来て左胸、肩、三角筋、上腕二頭筋、戻って鎖骨、首筋。


「見た目以上に柔らかいのね……」


 アメリアの切なそうな吐息が聞こえてくる。その初々しい反応を見てか、コレットは優しく彼女に微笑んだ。


「いい筋肉ってのはね? 普段は女の子の身体並みに柔らかいものなの。脱力時と緊張時とでの振れ幅が大切なのよ」


 ノーラに続いて何故にコレットも筋肉に詳しいんだ!


 アメリアの熱い手は、形状を一つ一つ確認する鑑定士のように繊細なものだった。

 コレットが未だに俺のムスコを撫で撫でしているのもあり、俺の肉体は恥ずかしいほどに痙攣してしまう。


「――オリくんにとって女の子ってさ、男にエッチな事される可哀想な存在でしか無いの? 私達って何処までいってもただの受け皿なの?」


 ふとコレットが身を乗り出し、俺へ顔を寄せてきた。


「そんなワケ、無いだろ……っ!」


「じゃあまさか『俺なんかに抱かれちゃうなんて何て哀れなんだ。せめて犯さない程度に気持ち良くしてあげよう』とか思ってる?」


「――!? 違う! 俺は別にそんな――」


「うん。わかってる。オリくんは、本当に女の子やおっぱいを大事にしてくれてるんだよね?」


 じゃなきゃ、あんなに気持ちいいワケないもの。と、彼女に恥ずかしそうにはにかんだ。

 自らを抱いた腕から、おっぱいが溢れそうだった。


「でも、ある意味残酷じゃない?」


 残酷、だって?


「大事にしてくれるのは嬉しいよ? けど『お前らは俺が気持ち良くしてやる。だが、俺には触るな。お前らなんかに気持ち良くして貰う必要なんて無い』なんてさ、オリくんにとって私達が要らないみたいじゃない」


「――――!」


 ルーカスが浴びせてきた竜のブレスよりも衝撃を受けた。


 そんなつもりじゃなかったなんて、言い訳を俺は飲み込んだ。

 俺にだって言い分はある。

 コレットもアメリアも、男の性欲の捌け口などでは無い。捌け口以外に価値が無いなんて言う奴がいたら、絶対に許さない。

 俺はそんな連中とは違う。

 コレットとアメリアに対して、下衆な意味での『』という役割を押し付けたくなかった。

 常に誇りと愛情を以て女の子に接したいし、おっぱいに触りたい。


 俺は、皆のおっぱいに関われているだけで幸福だった。


「……ホント残酷だよ。女を強いられるのは屈辱だけど、女として見て欲しい人だって居るのに」


 だが知らず知らずの内に、彼女達がおっぱいを捧げてくれた覚悟まで踏みにじってしまった。

 身体を晒すという行為の裏に隠された意味を、俺は汲み取ろうとしなかった。


 心の何処かで、彼女達は俺のおっぱいスキルをアテにしているだけであり、本当はおっぱいを見せる事が嫌で嫌で仕方ないのだろう。

 いや、嫌で嫌で仕方ないだと決めつけていた。


 悪い言い方をすれば、女というものは自分達の健康や美貌のために俺に媚びる哀れな存在だと、見下している事になるのでは無いか。


 女性達にそんな事はさせまいと思っていた筈なのに、いつの間にか俺は上の立場のつもりでいた。

 なんという傲慢。なんという恥知らず。ディミトラーシャが怒るのも無理ない。


「ねえ、私達ってそんなに魅力無いかな? おっぱいしか、良いところないの?」


 不安そうに涙を滲ませるコレットへ、俺は首を横に振った。


「……まさか。数日間でコレットとアメリアの良いところは幾らでも伝わってきた。二人が魅力的な女性であることは、もう分かってる」


「分かってない。オリくんはまだ、分かってないよ。女の子を大事にしてくれる人を振り向かせられないのが、どれだけ悔しいかってこと」


 昼間のアメリアもそうだったが、コレットからも直線的な感情を向けられるとは思わなかった。

 切ないまでの慕情が痛いほど伝わってくる。

 ふと、アメリアも不安そうな顔で俺を見ている事に気づいた。

 二人は覚悟してこの部屋に来た。

 自分の想いをぶつける覚悟も、傷つく覚悟もしてきたに違いない。

 対して自分はどうだ?


「――オチ○チ○に、分からせてあげるから」


「はぇ?」


 悶々とした思考を遮るコレットの宣告。え、なに、おち、お乳?


「童貞はオリくんの一番好きなにあげなよ。悔しいけど、私達はその後で良いから」


「――後? は? あのコレット?」


「惜しいけど仕方がないわ。でもムネヒト、さっきも言ったでしょう? もう遅いって」


「いやあの、アメリア?」


 オレン色と金色の髪が揺れ、俺の肌をくすぐった。


「ふふっ、なぁんて。ココが可哀想だなんて、私も傲慢よね。上から目線のヤな女。でもさ――」


「っう――!」


 男根を撫で上げるコレットの指に熱がこもる。先端に血液が集まり、パツンと膨らむのが自分でも分かった。


「貴方が大好きなの、オリくん。こんな気持ちは生まれて初めてなの。だからお願いよ――」


 ……おい誰だ、コレットを安パイ(安全なおっぱい)だって言ったヤツ。


「――私達に、貴方を気持ち良くさせて下さい」


 色々な意味で特大ダイナマイトの持ち主じゃんか。


 ・

 ・


 先ほどムネヒトがそうしたように、コレットは青年に覆い被さり彼の肌に舌を這わせた。

 陰茎の上で妖しく右手と連動させるように、舌を踊らせる。


「ぅ、くっ……!」


 チロチロと柔らかい女の舌端に胸板を舐められ、ムネヒトは噛み締めるような吐息を漏らした。

 コレットは筋肉の溝や肋骨のデコボコにキスを繰り返し、やがて青年の胸先に吸い付く。ムネヒト曰く、右の御神体にだ。


「ぁがっ!? こ、コレット――ぅ、ぁっ!」


「えぇ!? れ、レティ、貴女なにを――」


 誰かに身体を舐められる経験などないし、増して乳首を咥えられる経験など皆無だ。

 今まで自分が女性達にしてきた事を脳裏に思い出しながら、ムネヒトは苦悶の声を上げた。

 アメリアも、友人の淫靡な行動に意表を突かれたらしく、顔を困惑に赤くした。


「どう? 男の子も、ちくび気持ち良いでしょ? ん、ちゅ、ちゅる……」


「あっ、くぅぁっ! こ、コレット、ちょ、ちょっとまって! たんま、タンマ!」


「ダぁメ♡ んんぅ、ちゅむ。ちゅるぅ」


「さ、さっきのことなら謝るから! だからちょっとマジで――!」


「ううん、ぜんぜん怒ってないよ? オリくんに、おっぱいいっぱい可愛がってもらって凄く嬉しかった。でもね?」


 すすり上げる音とムネヒトの悦声が重なる。


「昔から言うでしょ? 『おっぱいを吸って良いのは、吸われる覚悟がある者だけ』たって」


「言うわけねーだろ!」


「ホントよ? ねえ?」


「確かに……聞いたことだけはある、ような……」


「私も存じております。たしか、初代クノリ家当主の言葉かと」


「カルチャーショックすぎる! ええ加減にせぇよクノリ!」


 後日よくよく考えてみると、彼女は日本人だったらしいので、カルチャーショックでなく同郷人の妄言だと気づくことになる。

 国の者が申し訳ありませんと彼は頭を抱えた。


 コレットの唇が淫猥に動く度、ムネヒトは身体をくねらせて彼女の責めから逃れようとした。

 ムネヒトの乳首感度は何故か誰よりも高かった。

 本気のミルシェや、牛のハナを除けば未だに自分が感度のトップに居ることをムネヒトは知っていた。


(こ、こんな……マジかよ――! 身体の、自由が効かない、抵抗、できねえ……!)


 だからといって、これほど気持ちいいとは知らなかった。

 丹念に舌をくねらせ唾液でドロドロに責め立てるコレットの技に、ムネヒトは肉竿が反応するのが分かる。

 垂れるオレンジ色の髪が胸板をくすぐるのも、性感を昂らせる要因だった。


「――ぷは……凄い、こんなにピンピン。オリくん、ちくび敏感なんだぁ♡ 女の子みたい♡ もしかして、一人遊びで開発しちゃった?」


 生まれつきだ! と彼は言い訳しようとしたが、それはそれで宜しくない。先天的敏感乳首とか男の沽券に関わりそう。いや、今は股間がピンチなんだけども。


「オリくん、可愛い……ね、もっとイジめて良い?」


「や、あの、できれば止めていただきたく――くはぁっ!?」


「答えは言わなくて良いよ。勝手にするから」


 じゃあ何で訊いたんだ! などとベタなボケにベタなツッコミをする余裕もなく、ムネヒトは再びコレットの舌に溺れた。


「じゅぅぅ……なにしてるの? アメリアちゃんも、オリくんに触ったら?」


「えっ……え、ええ……」


 顔を赤くしたままコレットとムネヒトを傍観していたアメリアだったが、友人に急かされて彼女も顔を下げる。

 青年の傍らに肘を付き、金色の長い髪を耳にかけながら、アメリアは小さくて可愛らしい舌をムネヒトに伸ばした。


「ぅ、っ! あ、アメリア、まで――!」


 ちろ、ちろと、先端がムネヒトの左乳首を掠めた。コレットとは違う遠慮がちの初な愛撫に、ムネヒトは反対側とは違う形で性感を煽られた。


 彼女は恐る恐る舌を動かし、時おりコレットの方を振り返る。そして自分の担当する部位へキスしたり、指で転がすのだが、しばらくすると再びコレットの方を見た。


「ちゅぱっ……どうしたの?」


 視線に気付いたらしいコレットは、ムネヒトを咥えたまま怪訝そうに視線だけをアメリアに向けた。


「分からないの、誰かにこうしたことなんて無かったもの……! どうすればムネヒトが悦んでくれるなんて、私には分からないわ……!」


 友人と自分との間にある技術の歴然とした差を見てか、悔しげに眉を寄せた。

 いや、男の乳首責めの得手不得手とかで悩む必要なくね? たぶん人生の幸福とはまったく関係ないぞ? とムネヒトは首を傾げた。


「簡単ですよアメリア様。貴女が旦那様になれば良いのです」


「え……? あ――!」


 ジェシナの指が、俯いていたアメリアの右胸の先端を掠める。ムネヒトが先ほどまで執心していた彼女の桃色突起は、未だ90%を維持している。

 熱の籠った主人の授乳部位を、秘書はねっとりと指でこね回す。


「あっ、や、やっ、ひぐっ」


「先ほど、どのように旦那様は触られましたか? 指は? 舌は? 歯は? どれほどの力加減で舐め吸って頂いたのですか? アメリア様は、どう責められるがお好きでしたか?」


 言いながら、秘書はアメリアの乳蕾を責める。

 コリコリとこね、またはト、ト、トと突っつき、きゅう、と押し込む。短い喘ぎ声がアメリアの喉から生まれた。


「思い出して自分を旦那様に置き換えるのです。そして旦那様をアメリア様に見立て、自分で自分を責めるように想像してみて下さい。アメリア様がされたように――また、これからシて貰いたいように旦那様へ接するのです」


 ジェシナの指がムネヒトの跡を辿った。

 乳首に刻まれた彼の味を掘り起こし、更に深く刻む。尖りきった可憐な授乳器は、今やアメリア最大の急所であり性の教材でもある。

 どうすればソコが悦ぶか、彼女は自らの肉体で知っていた。


「――ムネヒトっ!」


 艶かしい声で青年の名を呼び、肉体へ吸い付いた。


「く、あぁっ――ッッ!?」


 青年の腰骨が浮いた。

 今までの探すような舌使いとは違う、激しい情欲を載せた愛撫。

 アドバイス通り彼女はムネヒトになりきり、彼がシてくれたように胸先を夢中になって啜る。


 彼女はまた、ジェシナから解放された右乳首を己の指で弄っていた。

 ムネヒトが夢中になってくれた母性と女性の象徴を、自分で責める。乳房に残った彼の情炎を消さないように、薪をくべているのだ。


 愛しい男の舌や指を思い出しながら、セルフ乳首責めインプットムネヒト責めアウトプットを同時に行う。

 驚異的な学習効率により、金髪才女の性行為技術は飛躍的に成長していった。


「ムネヒト、はプ、ちゅ、ちゅる、ムネヒトぉ……!」


 頭がジンと痺れていく。

 自分アメリアが気持ち良かった触り触られ方、興奮した吸い吸われを再現し、興奮に全身が湯だってしまっていた。

 ムネヒトが刻んでくれた女の悦び、乳房に許された性快の極みが完全に自分のモノのなっていく。


 自分で自分を犯すような背徳感。ある意味、自慰に等しい。

 己がムネヒトなのか、ムネヒトがアメリアなのか、責められているのが自分か否か、区別が曖昧になっていく。

 不思議な陶酔感に包まれたアメリアは、肉体も精神もドロドロになっていく心地だった。


 ムネヒトが気持ち良さそうだった。そして、自分自身も気持ち良かった。

 昂りはやがてアメリアの全てを支配し、多くの淫蜜を溢れさせる。ショーツを透過し、シーツに染み落ちるほどにアメリアの雌肉は興奮に猛った。


「あ、ぁぁあっ、ぁああ、ふたっ、二人して、止め――! おい、ちょっとジェシナ! なんっ、なんとかしてくれぇ!」


「おおっふん……なんという苛烈な乳首責め……まるで初めて生おっぱいに出逢って、気持ちが先走ってしまう童貞クンのようです。私もアメリア様にいじめられたい。旦那様が羨ましい……」


「聴けよ!?」


 ムネヒトは堪らず助けを呼ぶが、ジェシナはまったく聞かない。無表情ながら鼻息を荒くし、三人の――特に主人の痴態に魅入っていた。


「あぁん♡ オリくぅん」


 アメリアの責めが加速した次はコレットの番だった。

 経験豊富な彼女は、カリと歯で甘噛し、小さな痛みでムネヒトの意識を右乳首自分の方へ集める。


「さっきね? 私ね? こうやって乳輪全部咥えられて、舌で先っぽクルクルべちょべちょに舐め転がされて、ぼにゅう、飲まれるみたいに吸われるのが♡ 一番気持ちよかったの♡ おっぱい、凄く感じちゃったのっ♡」


 彼女もまた自分をムネヒトに置き換えて、彼の乳首を激しく責め始めた。

 ただし、アメリアの場合はなりきりであり、コレットの場合が踏襲という違いがあった。

 コレットは自分を保ったままムネヒトがくれた最高の一時を思いだし、自分で再現する。

 口を大きく開き、時計回りにムネヒトの乳首を舐めながら、音を立てて強目に吸引する。


 すなわち、彼へ教授だ。

 コレットの弱点、自分で知っていたモノや、今日初めてムネヒトに気持ちの良すぎる愛撫。乳房への愛情の注ぎ方。

 自分のおっぱいの一番美味しい食べ方や取扱説明書すぐにイかせる方法を、ムネヒトに貰って欲しかった。


「オリくんの乳首にも教えてあげるから覚えて♡ だから、もうまた私のスケベなおっぱいイジめてね♡ ぜったいよ、ぜったい、また沢山おっぱい愛して♡ にゅうりんベロベロって犯して、死ぬほどちくびイきさせて♡ 約束だから♡」


 欲情の枷を外したコレットは、激しくムネヒトの肉体を責めたてる。興奮に尖りきった己の乳突をもムネヒトに擦り付けて、上下にグラインドした。

 汗と涎が二人の肌の潤滑剤となり、豊潤な双丘と頂上がイヤらしく滑った。彼の身体が、自分の身体全てを舐めてくれてるようにコレットには感じた。


 一往復するだけで乳首がキュンキュンと鳴き、機能していない筈の子宮が疼く。

 コレットの五体に、また多幸感と乳悦が充填されていく。

 実際コレットは、ムネヒトの身体を味わいながら何度か小さく達していた。既に頬は随喜の涙でビショビショだ。


「私も! 次はもっと激しくしても良いのだけれど!」


 アメリアも負けじとムネヒトをむ。


「コレットにしたように、ケダモノみたいおっ――胸を扱われるの、やぶさかでは無いのよ♡ 私も忘れないで欲しいわ♡ 聴いているのムネヒト、私も貴方の欲望を受け止められるのよ♡ だからまた、いいえ、今度は、貴方から私をベッドに誘って頂戴♡」


 友人であるコレットへの対抗心からか、より淫らに音を立て雄へ奉仕する。

 コレットもまた、飛躍的なレベルアップを重ねるアメリアを見て不敵に笑った。

 ムネヒトにとってリリミカとジェシナがライバルであるように、彼女達もまたライバル同士だった。

 同じ男を好きになってしまった女と女。

 独りではないというある種の心強さと、彼女には譲れないという対抗心がコレットに満ちる。


「じゃあ、こんなのはどう?」


 彼女は淫舌を止め、身体を上へ持ち上げる。この場合の上というのは、ベッドの枕方面だ。

 ちょうどムネヒトの顔の真横付近に顔を寄せると、コレットの豊潤な乳房がムネヒトの胸板で潰れた。


「はぁ、はぁ、あ……? コレット?」


 クスクス笑いながら自分のバストを動かして、コレットは探す。

 見つけたのは、今まで自分が吸い付いていたムネヒトの右御神体。

 赤く尖りコレットの唾液でどろどろになった非授乳器官へ、彼女は自分の授乳器官を押し付けた。


「――――ァん!」


「ッぐ、ぅっぅ!?」


 コレットとムネヒトの双方の先端を、お互いが刺激する。

 軟らかすぎる乳房はムネヒトの引き締まった胸板の上を占領し、たゆたゆと楽しそうに揺れる。


「あんっ、気持ちいい……乳首で乳首にキスするの、感じちゃう♡ 私のおっぱい、どんどん敏感になっちゃってる……♡」


 彼女の先端はムネヒトの先端と擦れ合い、コリコリと互いの味を確かめあう。

 コレットにとっても諸刃の剣だった。

 ムネヒトの腰が震えていることから彼も興奮しているのは間違いないが、自分の乳首を襲う快楽も並でない。

 淫らに鳴きながら、コレットは自分の左乳首でムネヒトの右乳首を淫らに犯した。


「それぐらい、私にだって出来るわよ!」


 アメリアも同様に身を乗り出し、担当していたムネヒトの左乳首へ、己の右乳首を擦り付けた。

 手のひらサイズの美乳がムネヒトの上でクニュンと潰れ、乙女の瑞々しい肌で男の肌に浮いた汗を奪う。


「ん、くぅ……! なんで、なんでこんなに――ふ、ふぅぅん、んんっ♡ ただ、擦りあわせているだけ、なのにぃ」


 アメリアも刺激に悶え、頤を跳ねさせた。胸と胸を合わせただけなのに、背骨が震えてしまう。


 二人が覚えた快感は当然だったといえる。


(夢でも、見てるのか……? 巨乳お姉さんと、美乳美女が、おっぱい丸出しで、しかも、先っぽを俺のに擦り付けてきて……ダメだ、なにも考えられない……気持ちよすぎる……っ)


 二人の心地良い重さや柔らかさを感じながら、彼はおっぱいに微睡んだ。


 ハイヤ・ムネヒトは乳首の神であり、あまねく乳首を掌握できる。哺乳類に対しては完全上位の存在だ。

 彼にその気はないが、もし本腰を入れ手段を選ばなければ、三日もせず王都を落とすことが出来るだろう。


 乳首で民を堕として国を落とす。最悪である。


 ともかく、その神の乳首が普通である筈がない。

 文化財や国宝と比べるわけにもいかないが、ムネヒトの乳首は彼自身も称したように御神体だ。


 実在する神の御神体――つまり純然たる神秘の結晶であり、神力の精髄だ。


 そんな御神体に自分の乳首(しかもそれは、ムネヒトおっぱい王国民の大好物だ)を擦り付け、無事で済む筈もない。


 二人は乳房を彼に擦り付けるだけで、浅い絶頂を断続的に繰り返してしまう。

 一回迎える毎に脳がスパークし、自分の女をというものを強く自覚した。


 必然、全身から力が抜けていく。

 オーガズムに必要な筋肉のみが収縮し、それ以外は飴のように溶けてしまった。

 ムネヒトに斜めに覆い被さっていた二人は体勢を崩し、隣の女とぶつかってしまう。

 痛みは皆無。しかし――。


「ぁっ!? アメリアちゃんっ!? もっと、そっちに寄ってぇ!」


「そ、れはぁ、私の台詞なのだけれどっ!? 離れてよレティ、貴女のち、ちく――胸の先が、私のにぃっ♡」


 タイミングよく、空いていたコレットの右乳首とアメリアの左乳首が接吻してしまった。

 張りに於いては勝るアメリアのバストがコレットのそれに突き刺さり、サイズに於いて勝る乳肉がアメリアのを飲み込む。

 潰れた広い乳輪の中、互いのピンク色の突起がディープキスをした。蕩けてしまいそうな快感が二人を襲い、更に乳蕾を淫靡に勃起させる。

 硬くなったソレは相手の乳首を更に責めてしまい、お返しとして同様に責められた。


「あっ、あんっ、ああぅぅ! あ、アメリアちゃんの、乳首、硬すぎぃ♡ 初めてだからって、興奮しすぎよぉ」


「貴女に、ひぃんっ♡ 貴女にだけは言われたくないわ! レティのだって、ビンビンじゃない! こんなに尖らせて、恥ずかしくないの!?」


「だって、オリくんに、たくさん吸って貰ったから♡ 私のチクビ、まだ、気持ちいいのが残ってるの!」


「私だってそうよっ♡ 感度が元に戻らなかったら、どんな服を着れば良いか分からないじゃないっ♡ ねぇムネヒト、どう責任をとってくれるの♡」


「お、俺ですかぁ!?」


 ムネヒトの右はコレットの左に、コレットの右はアメリアの左に、アメリアの右はムネヒトの左にと、不格好な、しかし完全なトライアングルが生まれれてしまった。


 神力と乳悦が三角形に循環し、三人の男女を快楽の深海へ沈めていく。

 離れようとすればするほど絡み合い、上半身の備わった性感帯が随喜に咽び泣いた。

 コレットとアメリアは小さな絶頂を繰り返し、ムネヒトは――。


 ・


 ――『アンブレイカブル・ホワイト』停止。使用可能まで、あと81秒――。

 ――『アンブレイカブル・ホワイト』停止。使用可能まで、あと81秒――。

 ――『アンブレイカブル・ホワイト』停止。使用可能まで、あと81秒――。――『アンブレイカブル・ホワイト』停止。使用可能まで――『アンブレイカブル・ホワイト』停――『アンブレイカブル・ホ――『アンブ――『アンブアン――。


 ・


(あーーーー! アンブレイカブル・ホワイトがバグったーーーー!)


 スキルをバグらせていた。無敵の防御力とは一体なんだったのか。


「ううむ、まさに理想の関係かと」


 絡み合う美女達と青年の姿に、ジェシナは一人ふんふんと興奮気味に頷いていた。


「自分以外の乳房にゅうぼうを気持ち良くしながら、相手にも気持ち良くして貰う。思いやりと相互協力。奉仕と恩返し。つまりこれが『持チチ持たれチチ』の関係なのですね」


「変な王国語作ってんじゃねー!」


 いやソレもまさかクノリ語録か!? とムネヒトは思ったが、二人のおっぱいが幸せすぎて考えが頭から飛んでしまう。


 全身が気持ちいい。頭がボーッとして、血が熱い。もう何が何だか分からない。全ての雑念や思考は、おっぱいの下位領域でしかない。


 ふと、今までおっぱいを擦り付けてたコレットが目の前にいない事に気付いた。

 アメリアは依然として自分の身体を押し付けているが、オレンジ色の髪をした巨乳のお姉さん枠が消えていた。


「――オリくんのココ、凄く苦しそう」


「!?」


 声は下半身方面からだ。

 今や血潮の中心と化したムネヒトの男砲に、彼女は顔を近づけてウットリと見つめていた。

 いつの間にかコレットはポジションを移し、ムネヒトの脚の間に身体を置いていたのだ。


 寝巻きを押し上げる怒張を指でツンツンつつかれ、彼は半ば忘れていた自身の存在を思い出す。

 思い出した瞬間、灼熱の情欲が雄自身から発せられた。猛りきった肉の竿が、自分の番を今や遅しと叫んでいる。


「いま、助けてあげるから」


「お、待――」


 止める間も無く、コレットの両手が彼の寝巻きを下着ごと勢い良く下ろした。

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