エピローグ④ アメリアとコレットとジェシナとムネヒト③

※例によって、ねちっこいくらいおっぱいです。苦手な方はご注意下さいませ


 ボタンを一つずつ外す度に羞恥心で顔から火が出そうだった。

 今更男に肌を晒す程度で――などと自分を偽ってみても、どうにもならない。それほどまでに、彼の瞳は期待に満ちていた。


(何度か見てるクセに……)


 彼の様子が可笑しくて、コレットは知らず知らずに微笑んでいた。

 ムネヒトとアメリアと行動を共にした数日間、バレバレな偶然を装って何度か肌を晒した。生おっぱいを全部見せたのだって、一度や二度じゃないだろう。

 不規則になりそうな呼吸を制御し、シャツの袷を完全に解く。腕を袖から抜いてベッドの脇へ捨てた。


 露になったのは、お気に入りのブラジャーに守られただけの上半身。薄く浮いていた汗に、空気がひんやりと感じる。

 組んだ腕で下からバストを強調するように持ち上げると、ムネヒトは狙り通り以上の反応を見せる。深度を増した谷間に、青年の意識が吸い込まれていくのを感じた。


 ゾクゾクとコレットの腰骨が震え、ブラの下で乳芽が疼いた。こんな目で見られるのは生まれて初めてだった。


「見てるだけで良いの?」


 たまならくなったコレットは、ムネヒトの手の甲に自分の掌を重ねゆっくりと擦り上げた。

 所在無くウロウロしていたムネヒトの両手はビクンと震え、空間に癒着する。

 初々しい反応を好ましく思いつつ、コレットは温かい彼の手を握り、自分のバストの下側へ持ってきた。


「そのままよ、オリくん。まだダメ」


 しかしまだ、おっぱいには触らせて上げない。こんなに楽しみにされてしまえば、ちょっとイタズラしたくなってしまう。

 あと一センチという空間でお預けさせると、コレットは手を離して両手を背中に回す。

 パチンとホックを外したコレットは、浮いたブラをバストに押し付けたまま肩紐を抜いた。見せないように、しかし男の性欲を煽るような脱ぎ方は得意とするところだ。

 手を退けてしまえば下着はあっという間に重力に引かれ落ちてしまう。

 喉を鳴らすムネヒトに釣られて自分も喉を鳴らし、コレットは腕を下ろした。

 するりと、黒いブラが役目を終えて乳丘から零れ落ちた。


「――わ、わ!」


「ァんっ」


 浮声を溢したのはムネヒトの方もだった。

 何を思ったのか、下乳の空間で待機していた彼の指が、突然コレットのバストを持ち上げたのだ。いや、持ち上げたというよりは支えているに近い。

 露になる筈だったバストは急な中断を浮け、再び下着と肌とが擦れてしまう。


「もう、そのままって言ったのに……急にどうしたの?」


 ムネヒトの指をくすぐったく思いつつ、コレットは恨めしそうな顔を装って彼を責めた。

 黒髪の青年は顔を真っ赤にしてバツの悪そうに俯いた。


「ごめん、その、こ、零れそうだったから」


「なぁにソレ、私のが垂れてるって言いたいの?」


「いや違っ、だって、コレ重……柔らかすぎだろ。えぇ? マジで、ど、どうなってんだコレ」


 言いながら、ムネヒトの指がコレットのおっぱいを撫でた。肌の産毛だけを撫でるような優しい指使いに、コレットは肩を震わせて微笑んだ。


「柔らかいでしょ? よくスライムおっぱいって、皆にからわかれたなぁ……」


 彼女ほどの軟乳の持ち主は『クレセント・アルテミス』でもディミトラーシャ以外に居ないだろう。

 油断すれば崩れてしまうバストの形状を美しく維持するために、自分達がどれほどの努力を己に課しているか。理由は分からないが、ムネヒトには教えて上げたい心地だった。


「そ、そうなのか……」


「うん。だからオリくんがしっかり掬ってくれないと溢れちゃう」


 クスクスと笑って、彼の指が這いやすいように胸を張った。ムネヒトの中指と薬指辺りが脇の下にまで差し掛かり、くすぐったさでまた震えた。

 見ればまだ下着が残っている。彼のに引っ掛かり、辛うじておっぱいに乗っていた。

 しかし下着の縁から、白では無い色が覗いている。コレットがコンプレックスにしている大きめの乳輪は、ブラが少しズレるだけで露になってしまうのだ。

 それに彼は気づいているだろうか? ――既にガン見だった。


「ね、いい加減ブラも取って。おっぱい、見たくないの?」


 当然、コレットがムネヒトの視線に気づかないわけがない。

 ワザと彼の性欲を煽り、最後の一枚を彼の手で剥ぎ取らせようとした。

 思惑は完全に上手く行った。

 彼はおっぱいを支えていた手を動かし、ブラの縁に指を掛ける。そのまま剥ぎ取るように引っ張ったのは、もうムネヒトも我慢出来なかったからに違いない。


「あぁん……♡」


 自分でもどうしてそんな声が出たか分からないほど、熱い吐息が肺から漏れた。

 完全に晒された乳房。Hカップという『クレセント・アルテミス』でも上位に入るサイズ。

 ティアドロップ型とかベル型とかと呼ばれる形状は、放漫さよりも豊満さを感じさせ、母性と魔性を両立させている。

 濃い目のサーモンピンクで大きなパフィーニップルは、既にテップリと膨らんでいる。

 中心にある尖塔は、回りに反比例して小さい。乳首のサイズだけらなら、それこそアメリアよりも小さいだろう。


 アンバランスで淫靡なバストトップは、赤ん坊に与えるには醜すぎると揶揄されたこともある。

 コレットが子供を産めない身体と知りつつの罵声は、何より彼女の心をえぐった。

 だが今は。ちゃぷんと揺れる自分のバストが、今日は何処と無く誇らしそうだった。


(見られてる……♡ 私の、下品スケベな、おっぱい……♡ 全部、オリくんに、見られちゃってるぅ♡)


 恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだった。また泣きたくなるくらい嬉しかった。

 色々な感情でごちゃ混ぜになり思わず胸を隠したい衝動に駆られたが、乳首に突き刺さるムネヒトの視線がそれを許さない。

 火の魔術でも使ってるんじゃないかというくらいに視線が熱い。見られているだけで、チリチリとバストの先端がくすぐったかった。


(そんなにじっくり見ないで……ううん、もっと見て? 私のおっぱいを、オリくんにとって忘れられないモノにして……)


 見つめられているだけで、肩で呼吸をするようになっていた。

 羞恥に堪えかねたコレットが、目を閉じても顔を背けても、ムネヒトの視線を乳房に強く感じる。


「ひゃっ」


 甘い刺激が乳房の表面を走る。頂点に近い位置、乳輪の縁をムネヒトの親指がなぞったのだ。

 特に左側の黒子には思い入れでもあったのか、執拗に指の腹で擦られた。泣き黒子と称されるコレットのチャームポイントは、今はムネヒトだけのモノだった。


「あ、ぁん! ん、もう、ソコ気にしてるのに……オリくんのいじわる♡」


「気にするコトなんて無いって……少なくとも、俺にとってはお宝だ。コレットのココ、凄く気持ちいい……ふわふわだ」


 言いながら、彼の指はコレットの乳暈を周回する。慎重に、乳首にだけは触らないように時計回りと反時計回りを繰り返している。

 どれほどの欲望を抑えているのか、彼の息は荒く指先が微細に震えている。その振動がコレットにはむず痒く、またもどかしい。

 何がそんなに面白いのか、白との境を指でなぞり、ピンク色の領域を突いたりして溜め息を漏らしていた。


「わぷっ!?」


 我慢できなくなったコレットは、ムネヒトの頭に胸を押し付けていた。左右の乳房で彼の頭を頬から挟み上げ、自分でバストを外側から押し付けた。

 半ば勃ち上がった乳首がムネヒトの耳の凸凹に擦れて腰がヒクつく。


「もう……オリくんがあまり焦らすから、零れちゃったじゃない」


「!?」


 ぎょっとして、彼はコレットのバストを見つめる。キョロキョロと黒い瞳が左右を何度も往復した。


「おっぱいじゃないわよ。ううん、やっぱりおっぱいかも」


 胸の内側から何かが溢れて零れそうだった。まだ母乳ではない。切なくてどうしようも無いものがバストの中に溜まって、はち切れそうだ。

 押し付けていた胸を浮かし、先端を今度はムネヒトの唇付近に押し当てた。

 彼の口から漏れた小さな歓呼か悲鳴かがコレットの肉蕾を震わせ、彼女の欲求を更に昂らせる。


「オリくんのせいで零れちゃったんだから、オリくんが舐め取らないと……」


 おっぱいをムネヒトの顔で潰したまま、コレットは腕を青年の頭に巻き付けた。いっそ一緒に窒息してしまえと思ってしまうほど、ムネヒトを離したくなかった。

 風呂上がりで火照り、更に先ほどので汗を掻いたのだろう、ボディソープと若い男の匂いがした。


 ムネヒトの匂い。世界で唯一、愛しい雄の匂いだ。

 そこに混ざる桃のような甘い薫りはアメリアのモノだろう。分かっていてもチクリと刺す嫉妬になる。

 上書きするように、自分の肌をムネヒトの肌に擦り付けた。火照った身体が摩擦の力も借りて、更に熱を孕む。


 ムネヒトの腕もコレットの背中に回された。

 肋骨や肩甲骨の辺りを撫でながら、彼の腕はやがてコレットの腰を抱く。思った以上に細い腕には、想像を絶する逞しさが秘められている事を知っている。

 理不尽を砕く怪力は、今は私だけのモノだ。

 抱擁されたままのコレットは、身体を離してもう一度バストの何もかもを彼に見せつけた。


「オリくんも零れそうじゃない。口の中、どろどろよ?」


「んプッ!?」


 言ってコレットは、人差し指をムネヒトの口に差し入れた。驚いた青年を余所に、コレットの長い指がムネヒトの口内を掻き回す。舌を捲り、歯茎をなぞり上げる。

 ムネヒトの口を犯しているような錯覚は、コレットに背徳的な陶酔を与えた。

 指はあっという間に涎だらけになる。

 コレットはヌルリとした指を引き抜いて、そのまま自分の右の乳首に擦り付ける。


「ん、ん……ぁ、コレ、気持ちいい……♡」


 潤滑油を得た指が上半身最高の性感帯を濡らしていく。自慰のような没頭感は、ムネヒトの肌の温かさで興奮の色を追加される。


「こっちは、オリくんがして?」


 タプンと左胸を持ち上げ、ココをよく狙ってと尖った先端を彼の口の前まで運んだ。半開きの唇から、情欲と唾液に塗れた舌端が覗いた。

 コレットのおっぱいを犯す、欲望の尖兵だ。

 ただし、舌より早くムネヒトの吐息が左の乳首を濡らす。それだけでコレットの成熟した肉体は切なく疼いた。


(まだ、ぜんぜん触られてないのに……)


 こんなに敏感だっただろうかと、身体が自分のモノで無いような錯覚に陥る。

 興奮と緊張と期待とで涙が滲み、彼の顔がよく見えない。見えないが、彼の口が既に開ききっているのが見えた。


 ――じゅる!


「ぁ――!」


 噛みつくような勢いで、ムネヒトの唇がコレットのおっぱいに覆い被さった。

 まさに覆い被さられたと言うべきで、限界まで開かれた彼の口は、彼女のコンプレックスをほとんど飲み込んでしまっていた。


 ――じゅ、じゅるる、るるうぅぅぅうぅ!


「あ、やぁぁ! そ、そんな、いきなりぃ♡ ハぁぁッん♡」


 人一倍広い乳暈に吸い付かれ、僅かな隙間から湿った淫音が奏でられた。

 そのデシベルはアメリアの時とは比較にもならない。コレットが見たのは獣のように乳房を貪る青年の姿だ。

 淫猥な狂想曲は、コレットとムネヒト以外の耳にも届いたに違いない。


(うそ、こんなのウソよ♡ 私のおっぱいなんかを、こんなに嬉しそうに……オリくん、凄く必死になってくれてる、ああ、嬉しい、気持ちいい……は、激しい――)


 しつこく燻っていた己への否定感が、ムネヒトに消されていく。

 彼女の眼下で、若い男が自分のバストに夢中になっている光景はコレットに女の自尊心を思い出させた。

 嬉しくなって、彼の大好きな乳房を不必要なほど押し付けると、彼は耳まで真っ赤にして舌に熱を込めた。

 アメリアとは違う種類の責め方。比類ない技の冴えやフェザーキスはそのままに、荒々しく彼女の母性の象徴を蹂躙する。

 ただし、乳肉の頂点は唇の外に放り出されていた。


「あ、あれ――?」


 予想以上の快感は、しかし一手足らない。乳首が無視されているからだ。

 器用に尖塔のみを避け、ムネヒトの舌や唇はその周辺のみを責め立てる。すぐに愛でてくれるものと期待に膨らんでいたコレットの一部は、切なく背を伸ばすだけに終わる。

 反対側も乳房を大きな動きで揉みしだかれているだけで、決して最敏感部には到達しなかった。


「ャん、ちがうよオリくん♡ ソコだけじゃないの……ちゃんとちくびも触ってよぉ」


 一番欲しかった悦楽が得られず、コレットは恨めしく鳴いた。

 しかし、おねだりすれば彼はすぐに自分のお願いを叶えてくれると思っていたのに、ムネヒトは乳輪責めを止めようとしない。

 生肉を貪る痩せ狼のように頭蓋を激しく振りながら乳房をなぶっているクセに、一番美味しい所は味わってくれないまま。


 寂しくなって、コレットは自分で身体を揺すり何とか乳首を彼の口に放り込もうとするが、ムネヒトは巧みにそれを回避する。執拗に、しかも左胸の九合目だけにキスを繰り返す。

 核心へと届かない余りのもどかしさに、コレットの目には涙すら浮いた。


「やぁ、いじわるしないで、ちゃんと吸って、舐めて、ソコだけじゃ、ソコだけじゃ私、気持ちよくなれ――ンッ!?」


 無意識にコレットの肉体が跳ねていた。

 満足には到底足りない筈の性感は、鋭さを以てコレットの最奥へ至る。それは、絶頂に届きうる電圧を持っていた。


(うそ、まさか私……乳輪そこだけで……?)


 気のせいではない。もどかしいと感じていた彼の輪舐めは、いつの間にか彼女の肉体全てを震わせている。徐々に蓄えられていく快感は、解放の時を待っていた。

 疑いようもなく、自分は乳輪だけでイきそうになっていた。


「ぃ、ぃやぁっ♡」


 羞恥のあまりコレットは悲鳴を上げ、今はに舌を這わせていたムネヒトの頭を遠ざけようとする。

 だが逃れなれない。

 反抗を予期していたのか、彼は唇をすぼめホクロを中心に吸い付いた。無視されている乳首が、砂浜に立てられた棒倒しの棒のように斜めになるほど、ムネヒトは強くコレットの乳輪を吸った。

 彼の腕はコレットの腰を抱きしめたままで、上半身の逃亡もを許さない。


「はぁぁッ、ぁぁっぁぁあああああん♡」


 持ち主の意思とは関係なく、喉が快感に打ち震えた。腰も震え、ショーツの湿度が増す。

 自分の乳房はこんなに敏感じゃ無かった筈だ。

 今まで自分を抱いてきた男達の中にも、いわゆるおっぱい王国民は多くいて、己のテクニックを披露するためと彼女を俗にいう乳イキさせようとした者も少なくない。

 経験は皆無ではないが、ソレを達成した例はごく僅か。ほとんどは絶頂を迎えたで勘違い連中の自尊心を満たしてやったモノだ。


 今日も実はそのつもりだった。

 ムネヒトがおっぱい好きで童貞であることは『クレセント・アルテミス』の常識だ。

 故にベッドでリードするのは自分達の側だろうと、そう思うのは冒険嬢達にとっては自然だった。

 性行為の得手不得手で男の価値は決まらないことを彼女も熟知していたし、もしムネヒトがでも盛大に喘いで彼を悦ばせようとコレットも心を決めていた。

 男に気分良く腰を振らせる術を、自分達は知り尽くしているのだ。

 痛くても気持ち良くなくても、ムネヒトとベッドを共に出来ると思うだけで、コレットは幸福感に包まれた。楽しみだったのだ。


 それでなくても初恋の相手との初肌合わせだ。

 あざといくらいに鳴き喚いて、エッチなコトも沢山言って、彼に自分という女を美味しく食べて貰おうと思っていたのだ。

 願わくば、また抱きたいと思われる女にならなきゃ! と気合いも充分だった。


 ――だからコレは演技。演技なの。


「だめ、だめだめだめぇ! こ、こんなの、はずかしいっ! イヤァ、いやなの! ソコだけで、気持ち良くなりたくないの せめて、チクビも触ってよぉぉぉ」


 ムネヒトに此処まで乱されるのは、演技なのだ。

 激しく感じている風を装って、男の性感を昂らせているだけなんだから。

 乳首を責めてと懇願するのも全て演技。本当はオリくんだって私のおっぱいの全部を味わいたいくせに、変に我慢するから私が誘っている風をだしているだけなんだ。


(演技だから、ぜんぶ、オリくんに悦んで貰いたいだけなんだからっ♡ 感じてないっ♡ 気持ち良くなんて、なってない♡ 私だけ♡ 私だけ気持ち良くなっちゃダメなのにィ♡)


 誰に対してのウソか、もうコレットにも分からない。

 劣等感の象徴である巨乳輪を此処まで愛されるなんて思っていなかった。そして、ここまで感じてしまう事も。

 絶え間なく与えられる性電流は、ムネヒトに貪られている左胸からが8、ぐにゅぐにゅと揉まれている右胸からが2と言ったところ。

 その愛撫の全てが、コレットに気持ち良くなって欲しいと訴えている。


(あ――……♡)


 コレットはもう一度視線を眼下に向ける。そして理解した。自分の目的なら既に叶っているということを。

 何故ならムネヒトは、コレットのおっぱいと戯れているだけで幸福だったからだ。

 自分の女の部分は、ムネヒトという男を幸せにする力を充分に持っていた。

 頭の中で何かが切れる。


(ダメぇ! やっぱり、気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい――にゅうりん、気持ちいいっ♡)


 認めてしまった瞬間に堕ちてしまった。

 我慢なんて、もう出来なかった。はしたなく雌声を上げ、ムネヒトに乳房を捧げるしか出来ないし、したくない。


「い、○ク――○ク、○っちゃう、ホントに、○っちゃう ごめんなさい、スケベなにゅうりんで、ごめんなさい♡ ○ク――○くぅぅっぅぅうううううう――ッッ!?」


 絶頂――その正に0.81秒前に、コレットの乳首は遂にムネヒトに蹂躙された。

 唇が限界寸前まで固くなっていた尖塔が飲み込まれ、熱い涎まみれの舌が絡み付く。


 ――じゅ、じゅぅぅぅうううううううううううううううううううううううううううううううう!


「えっ? あ? ぁア――! アア"あ"っあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ♡♡」


 乳首を吸われたという認識より早く実感が。実感より早く、ようやく触ってくれたという多幸感が。多幸感より絶頂がコレットを飲み込む。

 それは、あと一滴でも注がれれば表面張力の限界を越えてしまうグラスに、滝水を浴びせるかのような暴挙。


「だぁ♡ ダメぇ♡ ちくびだめぇえええええええええええェェエェェェエェ――――♡♡」


 この期に及んでの過剰な快楽は、コレットの女体を完全に狂わせた。

 待ち望んだ筈の愛撫なのに、彼に乳首の味を知られてしまうことが死ぬほど恥ずかしかった。

 膨らんだパフィーニップル全てが彼に支配され、口の中でメチャクチャになぶられた。

 弓なりに反らせた上半身を追って、ムネヒトが覆い被さってくる。

 ベッドに押し倒され、雄の頭部で乳房が潰された。顔の形に変わった乳肉の中で、コリコリに尖った乳芽が激しく責められる。

 膨らんだパフィーニップルに逆らうように、舌先でほじられる。乳首の根元を唇で擦られる。

 彼に飲み込まれたままの乳首が融解しそうだ。ほんの少し彼が動くだけで、経験にないほどの快感が胸の先端で創造される。

 反対の乳首も指に挟撃され、くりくりと硬度を確かめられていた。

 今まで無視していた遅れを取り戻すかのような、二点集中の愛撫。

 背中に枕が入るほどの空間が出来るまでに身体を反らせてしまい、むしろムネヒトにおっぱいを吸われやすい姿勢になってしまっていた。

 青年の腕がその空間を通り、彼女の肉体を抱擁する。いや、抱擁というよりは拘束だった。


「お、下ろして、もう、おろしてぇえええええええええ♡」


 肋骨の形がハッキリと分かるほど、コレットは背骨を反りくねらせた。

 絶とは良く言ったもので、昇りきった気持ち良いのが下りてこない。バストと一緒に吸い上げられたままだった。

 脳が白色に感電する。

 ○ーガズムが高次元で維持されたまま、性感に関わる筋肉が弛緩できなかった。

 コレットに備わった女の最奥が記憶に無いほど収縮を繰り返し、ガクガクと雌肉を痙攣させる。ショーツはおろか、シーツも洗濯が必要になっていた。

 高い酒も、『ポーションマスター』の安心安全(個人の感想です)な媚薬でも、到底及び得ない強烈な快感。暴力的なまでの大絶頂。


「あっ、オ"ッ♡ ぉっ、はァん、は、ぁああっ、ぉォオっ、ホッ、くぁっン♡ ぁああっ、ぁあああハぁッ――♡」


 獣のような淫声を上げ、コレットは悶えた。

 長い脚と一緒に下腹部が持ち上がり、覆い被さっているムネヒトの肉体へ下から何度もぶつかった。

 それはコレットに備わった雌の本体が、無意識の内に愛しい雄へ少しでも近づこうとしているかのようだった。もちろん、今のコレットにそれを客観視する余裕はない。

 彼女はムネヒトの頭を両手で抱え胸から引き離そうとしたが、まったく筋力が足らない。くしゃくしゃと髪を撫でるだけどころか、その振動すらがかえってバストに伝わってしまう。


「ねぇ、いったん止めよ? おっぱい、許そ? あとで幾らでもシていいから、またたくさん、おっぱい吸っていいからっ♡ いっかい、いじめるの、止、クぁッ、はぁぁああああん♡」


 己の小さな乳首で快感の全てを受け止められる自信がなかった。何をどうされたって気持ち良すぎる。

 じゅるじゅると淫らな音を立てながら、ムネヒトは拗ねたような瞳を向けてきた。


 ――さっきまでは触ってって言ってたじゃないか。


 そう黒い瞳が言っているのが、コレットにも分かった。

 ウソをついてしまった彼女を責めるように、しゃぶられながら前歯でコリコリと甘噛みされる。脳と下腹部へ突き抜けるような乳悦が走る。


「あひぃ、か、噛んじゃダメぇ、それぇ、感じすぎるのっ♡ コリコリってしないでぇ♡ 言わないから、もう、おねだりしないからぁ 少しだけでいいの、おねがい♡ ちくびぃ♡ 休ませてぇぇええ」


 快感と多幸感を受け止めきれず、脳が断続的に意識を飛ばしてしまう。

 飛んでは覚醒し、再び意識を手放す。神経の全てが快感のみを伝えるためだけに乳房に集まっているように感じた。


 ムネヒトは許さない。

 彼も我慢に我慢を重ねて、ようやくありついたメインディッシュなのだ。本当は数日以上も前から、コレットの乳首を存分に味わいたかった。何日も我慢していたのだ。


 耐えた後のおっぱいは格別だった。

 本来は赤ん坊のみが許される聖域を自分が征服していると思うと、強烈な独占欲が涌いてくる。極上の美味を五感で味わい、コレットだけの甘さを目一杯魂に刻んだ。

 あの十時間はおっぱいをしゃぶっていられそうだった。

 皇帝だろうが王様だろうが、コレットのおっぱいは渡さない心地だった。


(ああっ♡ 長いィ♡ 長すぎるよぉ♡ まだ吸ってる、吸われてるぅ♡ い、いつまで続くの♡ このままじゃ、わたしぃ♡)


 ムネヒトの肺活量は人類を遥かに越え、今や伝説級の竜種にすら匹敵する。

 牛達からの貰っている身体能力に加え、本日ハナの直搾りミルクで強化された彼の肉体は、三日間は呼吸無しで過ごせるほどの肺容量を手に入れていた。

 強力な息吹ブレスを撃ち出すドラゴンと同等なのだから、小さい人体ではそれも当然だった。


 無意識の習慣から彼は普通に呼吸しているが、いざとなれば無呼吸での行動も可能だ。そして、そのいざが今だ。

 ドラゴンはいざという時にブレスを吐くが、ムネヒトの用途は全くの逆。

 酸素を吸う間も惜しいくらい、コレットのおっぱいを吸いたかった。

 彼の超人的身体能力は、全ておっぱいに使用される為にあったのだ。


「ダメだ! 毎日毎日あのこので誘惑してきやがって! 俺がどんだけ我慢したと思ってるんだ!? ぁぁん!?」


「ひぃぃいいいん!?」


 授乳部位を咥えながら飛び出した言葉は、彼としては正当な主張だった。

 首を縦に動かし、コレットの柔乳を天井方向へ吸い伸ばした。また、餅を突くように脛椎を上下に振り、彼女の乳房を楕円形と三角錘とで往復させた。


「だって、オリくん、ぜんぜん私を見てくれないしっ♡ おっぱい見せても、直ぐに顔そらすから♡ 誘惑しても、全然効果ないって♡ 思ってぇ」


「ちゅぞぞぞっ! ソレは気のせいだ! ばっちり効いてたわ! なーにが『おっぱいポーカーしましょ? 右と左とで乳首絵柄を合わせて役を競うの』だ! そんなんお前、お互い基本的にワンペアしかあり得ないだろ! 永久に引き分けじゃねえか! ポーカーやったことあんのか! ぢゅる、じゅるっぅうううう!」


「あぁん♡ またちくびぃぃぃ♡♡ ご、ごめんね? 実はね? 『あ、私のコッチ、ホクロがあるからワンペアも出来ないね? 勝者は敗者に命令するの。ねぇ、私にシテ欲しいこと、ナニか無い?』ってしたかったのぉぉ」


「なにぃ!? 負けた後のコトまで考えてやがったのか! 策士か! それなら(?)俺は搾士だ! お望み通り、搾り尽くしてやるぅぅぅっぅう!」


「いやぁぁぁああああん♡ 望んでないよぉ♡ それに、まだ出ないからぁぁぁあああああ♡ ゆるして、休憩させてぇぇ♡ ○ってるの、もう○ってるのォぉ――♡」


 実はムネヒトも決めていたコトがある。

 彼も、コレットが自分の肉体にコンプレックスを持っていることは知っていた。

 大きいバスト。下品なほど大きな乳輪に、赤ん坊が咥えにくそうな小さな乳首。

 世にはデカ乳輪が嫌いという男もいる。ムネヒトも彼らの個人的趣向を否定したりはしない。

 男の数だけおっぱいへの思慕があるもの。好き嫌いは有るもんさと、彼は割り切っていた。


 しかし、自分の趣味嗜好に合致しないからと言って、女の子やおっぱいを罵倒するのは許せなかった。

 彼女達に責任はなく、無論おっぱいのせいである筈がない。

 全ては巡り合わせとタイミングだ。男とおっぱいの出逢いは運命的なものであるが、その全部が理想的である訳もないのだ。

 たまたま好みが一致しないからといって、女の子を責めるのは間違っているとムネヒトは信じていた。

 例え思ったとしても、せめて口には出さないデリカシーを持って欲しいと、彼はいつも同胞達へ願っていた。


 コレットも自分勝手な男達のせいで自尊心を傷つけられてしまったのだと、ギルドの冒険嬢達から聞き及んでいる。

 またコレットだけではない。金で股を開くと、下衆な先入観で見られる彼女達にはそういう経験が多くあった。


 だから万が一、自分がコレットもおっぱいを愛でる時は逆に精一杯下品にシテやろうと心を決めていた。

 お前のおっぱいは下品じゃない。乳輪だって最高にエッチだ。むしろ、お前のおっぱいを前にした野郎共が下品に成ってしまうほど魅力に溢れているんだ。


 事実、たびたび目撃した生おっぱいに何度襲い掛かりたいと思ったか。【和乳条約】も【非乳三原則】も知ったことかと、何度思ったか知れない。

 彼女のおっぱいも、ムネヒトにとっては二つとない(おっぱいは双つで一つだが)財宝だった。


 今日実物を目の前にしたムネヒトは直ぐに誓いを思い出し、必要以上に彼女のおっぱいを責め抜いてやろうと決めていた。淫靡に荒々しく。いや、いっそ醜く。コレパイを蹂躙するをしよう。


 しかし、いざ彼女の生おっぱいに触れた瞬間、大義は建前に堕落した。


 コレットの為とかいいながら、言い訳以上のモノを自分の誓いに見出だせなくなってしまった。

 それを自覚しつつ、ムネヒトはコレットの乳房を犯し続けた。

 無論ムネヒトは『乳治癒』などを全開にし、コレットのおっぱいには1ミクロンのダメージも許していないが、それはそれ。神の加護と獣の愛撫は両立できるのです。


 ――コレは仕方ない事だ。自分は仕方なくおっぱいを派手に貪っているだけだ。コレットが自分のコトを少しでも好きになれるように、汚れ役を買って出ているだけだ。つーか、コレットのおっぱいがめちゃんこ素敵なのが良くない。

 挙げ句に、最後はコレットのせいにまでしてしまっていた。


(だからこうやって、乳輪を舐め回すのも)


「ひぃんっ、それッ、ベロベロッてぇ、されるの、気持ちいい♡」


(噛み噛みって苛めてみるのも)


「クはぁっ♡ やだぁ、たべないでぇ♡ 頭、変になる♡」


(搾乳するみたいに吸うのも、全部コレットの為なんだ!)


「アァん! 出るっ、これぜったい、ぼにゅう出ちゃううううううう!」


 執拗という言葉ですら、ムネヒトの前では役に立たないだろう。異常なまでの乳房への思慕。常軌を超越したおっぱい愛に、研ぎ澄まされた乳愛撫。

 コレットの生涯のうち、二度と逢えないであろう真のおっぱい王国民がムネヒトだった。


(覚えちゃう♡ 私のおっぱい♡ オリくんの味、覚えちゃう♡ 今までの男、忘れちゃうよ♡ 乳首も、乳輪も、ぜんぶ、ぜんぶオリくんのモノにされちゃって♡ このままじゃ私、もう他の人となんかセックス出来なくなっちゃう♡)


 最悪、一夜限りの関係でも良かった。彼の性欲の捌け口でも構わなかった。

 でももう無理だ。もう完全に遅い。自分はもう、ムネヒトとじゃなきゃ満足できないおっぱいにされてしまった。


 コレットがそう思うのも無理はない。

 ムネヒトは、傲慢とも呼べる方法で彼女を征服し始めていたからだ。

 彼女が純潔を奪われ、今までどれだけの数の男に身体を晒してきたかはムネヒトは知らない。不憫だと思っても、過去を起きた出来事を変えることは不可能だ。


 しかし、取り戻すことは出来る。

 もし今までコレットを抱いてきた男達が、ムネヒトと同じレベルでおっぱいを大事にしていたらどうなっていた?

 細心の労りと慕情を以て、コレットを愛していたらどうなっていただろうか。


 悪漢に奪われたコレットの魅力を全て取り戻しにいく。


 ムネヒトの全身全霊の『潜在乳力解放』に、コレットのおっぱいが生まれ変わり始めた。本来、彼女が得るべきだったバストへ回帰し始めたのだ。


 ニップルが鮮やかさと瑞々しさを取り戻す。乳房の張りが甦る。肌艶が赤ん坊にも匹敵する。

 しかしその劇的な変化にコレットが気づくのは、後日になってからだ。いまの彼女には、肉体を視る余裕がない。


 彼女の肉体と魂に刻まれた汚濁まみれの快楽トラウマも変わり始めた。

 コレットを金や権力で支配してきた男達が、全てかき消された。暴力でコレットを奪った男が皆死んでいく。

 彼女を傷つけた者達をことごとく蹴散らし、コレットの聖域を我が物顔で征服する王者がムネヒトだ。


(どうしよう、気持ちいいよぉ……♡)


 これほどまでに感じたことは今までの経験でも皆無だった。快楽と共に小さな恐怖がコレットを襲った。

 自分の身体が生まれ変わっていく恐怖。また彼専用の女体に進化していく興奮は、彼女の性神経を更に敏感なものに変えていく。そしてコレットは、それを待ち望んですら居た。


 いや、もはや気持ち良いとか嬉しいとかという次元すら越えていた。


(ああ、そうだったんだ 私、ぜんぶわかっちゃった)


 むしろ今までが不自然な状態だった。

 見られるのも、揉まれるのも、吸われるのも、全て自然な事なのだ。

 自分のバストがここまで膨らんだのは彼の為だった。品の無い形状になったのも、彼に無二の個性を見せつけるためだった。


は、オリくんに愛される為にコレットになったんだ……♡)


 彼に裸を見られていることが当然。彼の手が乳房に触れている状態こそが自然。乳首が彼の口の中にある状態こそが正解。

 此処が自分の本当の居場所なんだ。


「オリくぅん!!」


 もごっ!?


 当然の反撃。跳ね起きて抱きついたコレットに、ムネヒトは

 激しく動揺したらしい。


「おかえりって言ってぇ!」


 もごごっ!?


「『もごご』じゃなくてぇ、おかえりってしてよぉ♡ 私、やっとオリくんのところに帰ってこれたの! だからお願い、おかえりって、私のおっぱいに、おかえりってしてあげて」


 もご、も、もがえみ?


「うん! ただいま♡ ただいまだよオリくん!」


 何もかもが消えていく。

 アメリアに対する罪悪感はあれど、ムネヒトと自分以外の全てが漂白されていった。

 彼に愛されっぱなしのおっぱい。私の、大事なおっぱい。この日のために、私は――。


「あっ、くる また、おっぱいだけで、くるぅぅう――ッ♡」


 何もかも理解したコレットに、今宵最大の怒涛が迫っていた。過去の男達を、文字通り全て過去のモノにしてしまう強烈な絶頂が、乳房から全身へ押し寄せてくる。

 ○ーガズムから更にもう一段上の○ーガズムへ、コレットの肉体は昇華していく。

 浴びてしまえば、二度と他の男と肌を重ねられなくなってしまうろう。

 望み通りだった。ムネヒトを自分の最後の男にしようと、コレットはいま誓った。


「○、○くッ♡♡ ○く、○くイッッ、○ぐっ、くぅぅうぅぅうぅうううううううううううううううううううううう!」


 弾けた。

 全身が地上から消え去ってしまったのような浮遊感に、飴のようなまどろみ。

 命に付随するコレットの全機能が弛緩し、海よりも深い多幸感に身体が包まれた。


「――♡♡ ……――ッ♡ ♡♡」


 ドロドロでふわふわになったコレットは、ようやくベッドに戻ってこれた。浮いていた背とベッドの距離は十数センチ程度だっただろうが、彼女には天空から大地へ堕ちたような心地だった。

 そう、堕ちてしまった。自分は完全にムネヒトのモノにされてしまった。


 ――ちゅぽん。


「ぁぁ――♡」


 ようやく左胸が赦され、ムネヒトの口から解放される。

 吸い伸ばされていた乳房が、ようやくコレットの肉体に帰った。何とも言えない寂寥感が彼女を包む。


(終わっちゃった……)


 たゆんたゆんと円を描くように乳肉が震え、ムネヒトとコレット双方の名残惜しさを表すように、唾液が銀の細橋を伸ばした。

 解放された乳房が揺れるたびに、乳首に溜まっていたムネヒトの唾液がコレットの上半身にポタポタと落ちていく。


 それをキスで舐めとるのがムネヒトだった。

 肋骨、お腹、脇腹、下乳、上乳、乳輪、最後は念入りに乳首。自ら汚してしまった後始末を自らするように、コレットの肉体へキスを降らせていく。


 口づけされる度にコレットの全身は甘く震え、乳首の唾液を舐め取られたときはまた軽くイッてしまった。


「はーっ、はーっ、はーっ」


 最高の一時だった。

 もう呼吸するだけで気持ちよかった。血潮が乳房を通過するだけで、コレットは感じてしまう。

 全身からは汗。瞳からは涙が、上の口からも涎が止まらない。


(スゴかった……誰よ、オリくんはヘタクソなんて言ったの……死んじゃうところだったじゃない……♡)


 余韻でまったく動けない。頭がぼーっとなって、幸福感しか無かった。ずっとこのまま、溶けるような快感に浸されて彼の腕の中で過ごしていたい。


 ――ちゅる。


「ひぃあん!?」


 突然、右胸に温かくて気持ちいい感触が降りてきた。見ればムネヒトが、右の乳首を幸せそうにしゃぶっている。


「え、え? まさか、右も? そっちのおっぱいも、スるの……?」


 当たり前だった。ムネヒトに言わせれば、左胸だけ楽しんで右胸を無視するなんて切腹ものの大罪だ。

 助走は充分。次は初手から乳首を楽しもうと、彼の舌は大きな動きで、コレットの乳首を乳暈ごと舐め上げる。


「あ、ぁぁん♡ オリくんのケダモノ♡ もう、おっぱいはムリだよぉ♡」


 そうは言いながらも、コレットの腕は既にムネヒトの頭を抱き締め、右胸に押し付けていた。帰宅した右胸の先端をムネヒトに楽しませつつ、コレットもムネヒトの舌の柔らかさを楽しんだ。


 ――オリくん可愛い、好き。好きだよ。


 夢中になって甘えてくるムネヒトが愛しくて堪らない。ほどけきった彼の顔は、まるで赤子のようだ。そんなムネヒトの表情に、自分の欠陥を思い出す。


 ――この人の赤ちゃん、産みたかったな……。


 叶わないと知りつつ抱いた願いは、一筋の涙となって溢れた。命を宿せない自分。とうに諦めた筈なのに、今更になって強い無念に襲われる。


 でも、それで良い。

 彼の子供なら、きっと自分以外の誰かが産んでくれる。ムネヒトの子を孕みたいなど、思い上がりも甚だしい。

 二番目とか三番目とか、そんな贅沢も言わない。

 時々思い出して、哀れみとか捌け口とかで抱き締めてくれるだけで良い。

 せめて今は。今だけは。

 私の全部を貴方にあげるから、貴方を私でいっぱいにさせて。


 コレットとムネヒトの焦げるようなおっぱい三昧は、まだ始まったばかりだった。

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