エピローグ② アメリアとコレットとジェシナとムネヒト①
超一流ホテルのベッドともなると、三人分の体重がかかってもギシリとも音を鳴らさないらしい。
例によってゴッデスサイズの特注ベッドは、俺の居た現代社会には無い材質を使っているのか、内蔵されたスプリングで俺達の身体を完璧に支えている。極上の寝心地と安眠を約束してくれるだろう。
もっとも、俺の精神状態は安眠からほど遠い位置にあったが。
俺はベッドに仰向け、コレットはその横に女の子座り。ジェシナさんはベッドの横に立っているだ。
アメリアは、上半身をブラ一枚に守らせ床ドンの体勢のまま動こうとしない。
極めてゆっくりとした深呼吸をしているかに見えたが、息のたびに全身が震えている。
「……ジェシナ」
彼女は視線を俺から逸らすことなく秘書を呼んだ。ジェシナさんは、アメリアと俺の近くまで音もなく歩み寄った。
「脱がせて――」
真下にいた俺にようやく聞こえる程度のボリュームだったのだが、秘書にはしっかり聞こえたらしい。
恭しく会釈すると、長身の麗人は主人に手を伸ばし、裸の背に唯一残った下着の弦を指でパチンと弾いた。
一瞬でホックが外され、
ジェシナさんは役目を終えたバックベルトを左右に広げ、ストラップを右肩から下ろし、半ばほど行ったところで左も同様に下ろした。おっぱいの形に張り付いていたカップが、重力に引かれて3センチ程の空間を作った。
乳房からブラを浮かせたまま、ジェシナさんはアメリアに一度意味深な視線を向ける。
アメリアは顔を赤くしたまま小さく頷いた。
するりと、ブラジャーが完全に落下する。
肩紐から腕を抜いていないため、彼女の身に着けていた下着は俺の身体の上に落ちた。
重量などほとんど無い筈なのに、確かな重さと少女の温かさを感じた。
そして、アメリアのおっぱいです。
ほっそりした肉体にある、女性の膨らみ。アメリアだけに与えられた神秘(いやまあ俺が隠したワケじゃないんだけど)の果実。
Cカップの乳肉は重力のため僅かに下垂し、ゆるやかな三角錐になっている。アメリアの体躯が華奢であるため、おっぱいも俺の手の平にすっぽり収まるサイズだ。
頂点にあるピンク色の乳首は、逆にこちらが恥ずかしくなるほど淡く鮮やかな色彩をしていた。
乳輪の直径2.9センチは、
まだ誰の指も舌も許していないのだろう、純潔を護り続けた乳頭には控えめな溝があった。
その初々しい窪みも徐々に浅くなっていく。自身の興奮で乳突起を充血させ硬度を増しているらしい。
また、乳暈と乳首の色に明確な差が出始めており、此処から、とアピールするアメリアの先端は、回りに比べて一段か二段ほど赤くそまっていた。
起立率は既に50%を越えていた。
「目を逸らさないで」
おっぱいの全容を完全に晒したアメリアだが、身体を隠すつもりもないらしい。
片腕ずつ腕を上げて残っていたブラを抜き取り、半身を前にせりだす。俺の顔の正面に自分の乳房を持ってきたのだ。ぷるぷると、バストが小刻みに震えた。
「貴方が救って、護ってくれた私の身体よ。あ、貴方が見ないで、どうするの」
たどたどしく落ち掛かる髪を震える指で掻き上げ、上体を反らせながら胸を寄せた。
「ちゃんと見てムネヒト。私は貴方に――いいえ、貴方にしか見せる気は無いわ。私の全部を、貴方に受け取って欲しいの。ねぇ、は、早く、さ、さわ、触っ――って、ジェシナ!」
そこまで言ったアメリアは、顔をこれ以上は赤くならないだろうというほど紅潮させ、秘書の名を叫んだ。
「こ、これ本当に言わなきゃダメなの!? 凄く恥ずかしいのだけれど!?」
「ご安心下さい。その恥ずかしさは、やがて快楽に変わるのです」
「本当なんでしょうね!?」
「体験者は語るのです」
後に聞いた話だが、ジェシナさんは週に二回の頻度でノーパンで過ごすらしい。何者だ。
やれやれあと一息でしたのに、と呟きながらジェシナさんはアメリアの近くに歩み寄ってきた。
「惜しかった――と言いたいところですが、旦那様はアメリア様の魅力にメロメロみたいですね。まず成功と言っても良いでしょう」
「成功って、何処が――!? な、なんで泣いているのムネヒト!?」
言われて、俺は自分が涙を流している事に気づいた。
慌てて目を擦るが、涙は次から次へと溢れて止まらない。
「ごめんなさいムネヒト! こんなに傷つくなんて思わなくて……嬉しくて、私だけ舞い上がっちゃって……こうしたら、男の人は喜んでくれるって……え?」
ハンカチを取ろうとするアメリアの手を遮り、俺は首を横に振った。当然、怒りも悲しみもカケラも無い。
ただただ、アメリアのおっぱいに感動しているのだ。
神が造形した(もちろん俺が作ったワケじゃない)芸術的なバスト。
それを前にして、俺の魂は感動に震えてしまったのだ。
「綺麗だ、アメリア」
ほとんど無意識に言っていた。
「お前が綺麗すぎて、ちょっと泣いちまっただけだ。本当に綺麗だ。怪我とかも無くて良かった」
偽らざる本心だった。女体の形をした宝石? 否、人の身体は宝石に勝る価値がある。
「――大袈裟よ……いくら、き、綺麗だからって、なにも泣くことないじゃない」
「大袈裟なものか。綺麗だ」
「ッ! ま、また、綺麗って――!」
「自信持ってアメリアちゃん、ホントに綺麗よ?」
「れ、レティまで……! ちょっと、貴女! 顔近いわよ!?」
コレットはクスクス微笑みながらアメリアのバストに視線を注いだ。脇の下から顔を入れんばかりの至近で、ジっと彼女のツンと尖った突起を見つめていた。
「張りもあって、肌のキメが細かくて、毛穴も全然無くて……チクビも綺麗な色……大きさのバランスも完璧。食べちゃいたいくらい羨ましいわ――ふーっ」
「ひぃん!?」
コレットが笑いながら細く早い吐息をぶつけただけで、アメリアは甲高い悲鳴を上げてしまった。
「み、みんなして、私をからかってるんでしょ!? いい加減にして頂戴!」
「綺麗な人に綺麗って言って何が悪いんだ。綺麗だ、アメリア。本当だ。王様にでも神様にでも誓って良い」
「もう良いわよ……! 何度も言わなくても、ちゃんと伝わっているから……」
顔を赤くして身を捩るアメリアと、それに合わせて小さく震えるおっぱいが愛らしくて、ついつい連呼してしまう。
「綺麗だ。肌も白くてすべすべ。柔らかそう。抱き締めて頬擦りしたい」
「分かったから……ッ、もう言わないで――」
いかん、なんか楽しくなってきた。
「綺麗だ。綺麗綺麗揉みたい綺麗綺麗きれいキレイ綺麗乳首めっちゃピンク綺麗きれい綺麗キレイキレイしゃぶりつきたいピンクやばいおっぱい凄い綺麗綺麗――」
「やめッ……ァ、あッ――!」
「きれっ――!?」
ビクンと、アメリアは大きく身体を震わせた。
余韻が抜けきらないのか、つっぱった腕をピクピクさせ浅い呼吸を繰り返す。
髪と同様、純金色の睫にはうっすら涙が浮かんでいた。
「お、おい……アメリア?」
「な、なに――いまの……頭の中で何かがぱちん、って……ふわふわって、なって……」
じんわりと額にも、また肉体にも汗を滲ませ、息も絶え絶えに呟いていた。俺の鼻腔をくすぐってた石鹸の香りの中に、甘酸っぱい別の匂いが混ざりだす。
「アメリア様、まさか……」
ジェシナさんは、ぼうっと虚ろになったアメリアの顔を覗き込み、確認すると言うよりは、揶揄するような口調で話しかけた。
「旦那様に綺麗と言われただけで、○ってしまわれたのですか?」
黄金の髪が風を起こした。
「い! 行ってないわ! はぁ!? 私が何処に行ったというの!? ずっと此処に居たじゃない! ワケの分からない事を言わないで貰いたいのだけれど!」
恐ろしいほどの早口でアメリアはジェシナを非難した。しかし捲し立てられた方は、むしろウットリと目を輝かせている。
「……敏感なんですね」
「ジェ、ジェシ……――きゃっ!?」
ジェシナは彼女の髪を掻き上げ、露になったうなじにキスをした。上唇結節だけを触れさせるような浅い口づけ。
空いた方の手は、アメリアの腰やヘソの辺りを撫で回している。そちらもまた、触れるか触れないかの手付きだった。
「愛らしゅう御座います。アメリア様――ん、ん……」
「あ、あ、やぁっ、じぇ、じぇしなぁ……」
突然始まった百合シチュに困惑を隠せない。
君子、睦まじき百合に近寄らずを心がけている俺としては、美女達の絡みを観ている事しか出来ない。
というか、ずっと観てたい。押し倒されたままユリユリを目撃とか、中々出来ることじゃないもんね。
「――何をボケっとしているのですか旦那様」
「!?」
「旦那様も早くアメリア様に触れてあげてください。貴方は観客ではなく、主演なのですよ」
特等席で魅入っていた俺へ、ジェシナさんは非難めいた目を向けてくる。
「ジェシナさん、い、いや――しかし……」
既にアメリアのおっぱいを生で観ちゃったし、ここ数日の間で触ってもいる。これ以上は、とうに瀕死だった『非乳三原則』に死体蹴りを浴びせるようなものだ。
「貴方はいずれ私の主人にもなる身ですから、私の事はジェシナとお呼びください。それはともかく、さあお早く。アメリア様に恥を掻かせるつもりですか?」
急かされて、俺はもう一度アメリアを観た。
「それとも、アメリア様は貴方にとって不足ですか?」
「――! そんなワケ――……!」
類い稀な美貌の乙女は、既に全身で呼吸をしていた。深い知性を感じさせる翡翠色の瞳には、湯のような涙が溜まっている。
その双眸に込められた意味に、俺は一つ喉を鳴らした。
「……俺が触ったら、たぶん他の男がお前に触ることはもう出来なくなるぞ……?」
俺には、ふざけたおっぱいスキル『
このスキルは、かつてミルシェを襲おうとしたパルゴアの腕を焼いたり、街中でリリミカに飛びかかった『後悔の巨人』の中の人を弾いたりした。
おっぱいを傷つけようとする相手に対し、自動反撃を行うスキルだ。
加護と言えば聞こえは良いが、その実は俺のおっぱいへの強烈な独占欲が現れた呪いのようなスキルだ。
等級によってどんな差異があるかは不明だが、俺がアメリアのおっぱいに触ることで、彼女の選択肢を狭めてしまう事は間違いない。
俺は既に何人もの女性のおっぱいを歪めている。また此処で、アメリアと言う女性を俺が欲望のまま独占して良い筈がない。
「なんだ、願ったり叶ったりじゃない」
アメリアはすっかり上気した頬に笑みを作った。
「何度も言わせないで頂戴。私は、貴方以外に肌を見せるつもりも、触れさせるつもりも無いの。そんな私を貴方が放っておくなんて、かなり酷じゃない?」
囁き、つっぱっていた腕を曲げて肘をベッドに下ろす。
必然、俺を彼女の距離は前腕部分だけ近くなり、ほとんど鼻とアメリアのおっぱいが触れる距離になる。
珠のような肌に丸い汗の玉が浮かび、なだらかな乳丘を飾っている。
「別の男と恋愛する未来があるかどうかは知らないけれど、今の私には全く考えられないの。万が一、そんな未来があるというのなら――その時はその時に考えましょう」
カーテンのように下りてきた純金色の髪が俺の頭付近にも掛かり、俺と彼女だけを外界から閉じ込めてしまう。
「――ねえ、お願いよ。私を、貴方のモノにして。どんな規則が貴方にあるか分からないけれど、我慢できないの。だから――」
「――」
「我慢できない私のために、我慢しないで頂戴」
『非乳三原則』の断末魔が聞こえました。
・
・
・
下から伸びた手の平が、アメリアの胸の形を優しく撫でた。
「ぅ、んッ――」
ゴツゴツとまでは行かなくとも、ジェシナやコレットより逞しい男の手だ。
それが、アメリアの女性の膨らみに触れた。肌を走るむず痒いような感覚に、王国が誇る才女は身を捩った。
まだ気持ちいいともくすぐったいとも形容できず、皮膚が得た感覚をそのまま吐息に乗せるだけで精一杯だった。
四つん這いの姿勢が苦しくなったのだろう、アメリアは上体を起こして騎乗位の姿勢になった。
腰を下ろす位置に迷っていたが、遠慮なく座って良いとムネヒトに言われたので、アメリアは恐る恐る彼の腹筋辺りへ跨がる。
「……軽いな」
「……ばか」
このような体勢で人に座るのは初めてなので、アメリアは緊張と興奮に身を固くする。そんなアメリアを知ってか知らずか、ムネヒトは下から両腕を伸ばし、手の平で彼女の乳房を優しく包んだ。
(わ、私……本当に裸なんだ……)
今更の事実。好きな男に肌を晒している。
上から自分の肉体が触れられているという事実を見て、羞恥に顔を染める。
「本当に、凄く綺麗だ……」
ムネヒトは囁き、親指の腹で両先端のすぐ近くを撫でる。桃色と白色の境付近を指紋の凸凹で擽ると、アメリアの若い肉体は、ピクンピクンと敏感に反応した。
「触り方が、イヤらしいわよ……ッん!」
「おや、アメリア様は旦那様の触り方がイヤらしいものだと区別がつく程の経験をお持ちで?」
「知ってるクセに……からかわないで頂戴……さっきから貴女、調子に乗ってないかしら……?」
「申し訳ありません。アメリア様のこのような姿を見るのが私の宿願で御座いましたので、少々緊張しております」
「変な……宿願ね……ん、ぁ、ぁやっ……!」
最も敏感な箇所を外したにも関わらず、切なそうな吐息を漏らすアメリアに、ムネヒトは(何故かジェシナも)何度目かの生唾を嚥下した。
彼は凄まじい自制心を働かせ、愛撫をバストのマッサージのみに絞る。親指はあくまでも優しく乳房を凹ませ、薬指や小指を使って肋骨へ至るおっぱいの麓を触る。
――乳首に触れるのは、まだ早い。もう少し待て。
本当は今すぐにでも捏ね回し、またはつねり、貪り付きたい欲求を腹の下に隠し、十本の指を巧みに使って処女雪の肌を愛で続けた。
「ふぅ、ぅぅ……ふーっ……ふーっ――!」
泣き出したい位に恥ずかしいのに、何故か目が離せない。彼女は自分の指を噛み、意図なく漏れる甘い吐息を何とか我慢していた。
「綺麗だ、アメリア」
「――ま、また……! ぁん!?」
言葉と同時に、遂に両の乳首が親指に犯された。
根元辺りから先端に向かって擦り上げられ、先端付近をクニクニと回される。人差し指と挟み撃ちにされ、シュリシュリと擦られる。
今までとは比べ物にならない電流が双子の突起から走り、全身で弾けた。
アメリアは生まれてから一度も自慰をしたことが無い。
肉体を蝕んでいた魔王の毒はあらゆる五感を鈍くし、彼女から様々な欲求を奪い去っていた。
いやそもそも、乳房の形というものすらがアメリアには無かった。
辛うじて乳首らしい部位は有ったのだが、かつての彼女の肉体に、女性らしい肉感は皆無だったのだ。
ヘドロがこびりついたような肢体が生まれ変わり、ブラジャーが必要になったのもつい最近だ。
目覚めたばかりの性感が、誰より早くムネヒトの手によって育てられていく。
今もまた人差し指に固くなった突起をピンッピンッと弾かれ、アメリアの
「凄く綺麗だ。綺麗すぎて、感動する」
「あ、やぁ、ャァっ……いわ、言わないで――ぁ、はぁっ……!」
俄にムネヒトも身体を起こし、アメリアの胸の間に顔を埋めた。
谷間、と呼べる程の急角度な渓谷では無いが、それでも確かな弾力と柔らかさを持っている。
(わ、私……だ、抱き締められて――ぁぁっ!?)
じっとりと汗ばんだ谷底をムネヒトにキスされ、また彼の髪や息を感じて、真っ赤な羞恥に打たれた。
「綺麗だ、アメリア――」
「だ、だからッ……それ、はぁ……!」
囁きを右の乳首に浴びせられ、アメリアは背筋にまで甘い痺れを覚えた。
ムネヒトが殊更に綺麗だと繰り返したのには理由がある。
無論、御世辞など言ったつもりなど無いし、彼は死ぬまでおっぱいの前で御世辞を言わなかった。
ムネヒト自身、歯の浮く台詞を連呼するのは羞恥の極みだったが、それがアメリアの為になると(勝手に)信じていたからだ。
植物に「ありがとう」だの「綺麗」だのとポジティブな言葉を浴びせると、そうしなかった植物より良く育つといい話がある。
ムネヒトはその話が好きだった。
科学的か植物学的かは知らないが、人の気持ちは物言わぬ草花にも伝わると、彼は信じていた。
――待てよ? 植物にも伝わるんだったら、おっぱいには余裕なのでは?
そういう考えに至ったのは、ムネヒトにとって自然だった。
今から10年以上前に辿り着いた思案だったが、無論実験などは出来なかった。
アイデアはあれど、行動に至った事はない。
例えばクラスの女子(成長期が望ましい)の左胸だけに「綺麗だよ」とか「元気に育ってね」とか言い続け、右胸との差異を観察するか?
一卵性双生児の女子に協力して貰い、一人にだけ言葉を与えるか?
はたまた、成人した女性のおっぱいなら――?
ともかく、ムネヒトは犯罪者になっていない。それ以前に、おっぱいで実験とか言語道断だ。
しかし今、ムネヒトは機会を得た。
自分がプラスの言葉を与え続ければ、アメリアのおっぱいはより良い方向へ向かうのでは?
与えた未来と与えなかった未来を同時に観測することは出来ないが、与えなかった時間軸など考慮するに足らず。
アメリアとアメリアのおっぱいの為に出来る努力があるのなら、やらない理由が無かった。
ましてや、アメリアはある事情から、自分の容姿に自信を持てないでいたらしい。
ムネヒトは一人頷く。
めちゃくちゃ褒めて彼女の自信を回復させつつ、おっぱいも更に綺麗に出来るなら一石二鳥では? いや、おっぱいは二つだし一石三鳥だなワッハッハ!
「綺麗だ、綺麗だ綺麗だ綺麗だ」
「むねひと……ムネヒトぉ……!」
ほんの数ミリ先で囁かれ、アメリアの両の乳首は呼気により湿り気を帯びてきた。
それを潤滑にして、ムネヒトの指が乙女の肉体を踊る。顔も押し付けられたまま、ぐりぐりと彼の頬が乳肌の柔らかさをも堪能していた。
「――アメリア様」
「きゃ――ッ」
静観していたジェシナが背後から近寄り、アメリアに抱きつく。
前からはムネヒトに、後ろからジェシナに抱かれて、サンドイッチになってしまったアメリアは当然困惑した。
何をしているのと訊くより早く、秘書の細い指がアメリアの乳房を覆う。
人差し指と中指がムネヒトの指を遮り、すっかり硬くなった主人の左右の性感体をつまみ上げる。キュウッと、ムネヒトが与えた刺激より強く指に挟まれ、濃いピンク色の乳首が一瞬細く伸びた。
慮外からの奇襲にアメリアは甲高い嬌声を上げるが、ジェシナは指をクリクリとしたまま離さず、主人の耳元へ自分の唇を持っていった。
「
「……ッ、知らない……知らないわよ……! キャんッ!」
「赤ちゃんが見付けやすいように、また吸いやすいように固くするのです。つまり、大切な人に『吸って欲しい、吸って欲しい』って、アメリア様の乳首はオネダリしているんですよ……?」
「そ、んな……わ、私は、そんな……いや、恥ずかしい……言わないで……」
二人の絡みを見つめながら、ムネヒトは「諸説あります! 諸説ありまぁす!」と心の中で叫んでいた。
「恥ずかしい事ではありません。アメリア様の身体が、正常に働いている証拠なのですから……さぁ、旦那様」
指を離し、あろうことかアメリアを羽交い締めにして彼女の上半身を反らせた。強調され、手の平サイズの乳房がプルんと揺れ、ツンと尖りきった乳首が挑発的にムネヒトに向けられた。
「アメリア様のお願い、叶えて上げてください」
「……――」
目を閉じ、唇を近付けさせてきたムネヒトを見て、アメリアは弱々しく首を振った。
「あ、あ、待って……本当に? お、お願い、まだ、ダメなの……心の準備がぁ……!」
はしたなくシコりたった胸の先を愛されてしまう。言葉だけで、また指だけであれほどだったのに、これ以上されたら、自分はどうなってしまうのか。
ゾクゾクと、腰の裏を恐怖と期待が滑走する。
そう、期待だ。自分はムネヒトに乳房を吸われたがっていた。
もう1センチもない。彼の温かさが伝わってくる。唇が上下に割れ、陰になった口内が覗く。
息を呑み目を逸らす間も無く、アメリアの乳首はムネヒトに咥えられた。
・
・
・
「ぁ、ぁあ――む、ムネ――ッッんん!」
ムネヒトがアメリアの胸に吸い付いた光景を見て、コレットとジェシナは戦慄に身を凍らせた。ただ、おっぱいを吸う。それだけの動きに。
言うなれば剣術のような物だ。
初めて剣を握った少年と、剣の何者かを追い求めてきた剣聖とでは、基礎的な斬撃にも天地のごとき差が生じるのは当然。身命を賭して一道を極めんとする者の技には、必然、美が備わるのだ。
ムネヒトの動作もそれだった。
アメリアの細い身体を抱きよせ、左胸を優しく掬い上げ、先端を
特にコレットには――多くの男に、その豊かな乳房を味あわせてきたコレットには、ムネヒトの動きが尋常で無いのがすぐに分かった。
世の中に、アレほど愛しそうに乳房を愛してくれる男が居たなんてと、コレットは過去の経験と照らし合わせて愕然とする。
信じ難い技量。恐るべき技の冴えだ。
おっぱいが好きというだけでは辿り着けない境地に、ムネヒトは至っている。しかもまだ、成長しようとしている。
情熱と技量と慈しみの完全なる一致。あんなの、気持ちよくないワケがない。
「あっ、やぁ、やぁあ――むねひと……ムネヒト――あ、ぁぁあ、んん、んんッ――!」
戦慄と同時に、焦げるような嫉妬の炎がコレットの乳房をくすぐった。
(アメリアちゃん……凄く気持ちよさそう……)
悶え鳴き、甲高い嬌声を上げている年下の友人に、コレットは恨みがましい視線を投げた。
ブラの下で、胸の先が切なく疼く。
今すぐ彼女のように自分もムネヒトに愛されたかった。この無駄に膨らんだバストを、黒髪の青年にメチャクチャしして欲しかった。
(ずるい、ずるいよ……私だって、オリくんにシテもらいたいのに……私のおっぱいだって、オリくんに、気持ち良くしてもらいたいのに……!)
遂には組み伏され、彼に肉体を貪られている己を幻視する。
押し倒され、胸に顔を押し付けられているアメリアがコレットだった。優しく、右の乳首を啜られているアメリアがコレットだった。男の口の中、舌で淫らに雌肉を転がされているアメリアがコレットだった。
「っ、くぅ――ンッ!」
強い寂寥感と弱い快感の波がコレットの肉体を打つ。しかし、それらは全て幻であり、甘い飛沫は寂寥感だけの残して一瞬で去った。
言いようの無い切なさから身を護るように、コレットは自分の肉体を抱いた。
(……やっぱり、無理よね)
アメリアに発破をかけ、あわよくばと思っていた自分が浅ましい。
最も新しい友人の為なんてお為ごかしを言って、初恋の相手に
自分はアメリアのように、ムネヒトに触れられる資格が無い。
シャツのボタンを留めなおし、寂しく火照った肉体を彼から隠す。いや、本当は隠す必要も無いだろう。ムネヒトは今、アメリアに夢中なのだ。
自分のように汚い女の肉体なんて、眼中に無いに違いない。
ベッドの上で睦まじく絡み合う美しい友人達の姿を、コレットは優しく、しかし寂しそうに見つめていた。
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