第1話 大好きな鉄塔
今日も、仕事だと思い目を開け体を起こす。パジャマのままでカーテンを開けると、窓からは朝日が入ってくる。
私は背伸びをして朝ご飯を軽く作りにリビングへ。コーヒーを飲みたいのでお湯を沸かし、実家にいる頃からの母親の口癖、野菜を食べなさいという言葉が頭の中にある。
それを言われ続けられたのかは真意は定かではないが、冷蔵庫の野菜室にはそこそこ、野菜がある。
サラダにピッタリなのは、やはりレタスだろうか。レタスとトマトを取り出し、トマトを水で洗い、包丁でトントンと切っていく。レタスも同様水で洗い、こちらは食べやすい大きさに手でちぎる。小皿にレタスとトマトを乗せ、一品できあがり。
私は買っておいたパンをトースターで焼く。チーズをのせて焼くのが私は一番好きである。先にバターを食パンの四隅と真ん中に置いて焼くのも好きだ。
スープまで作ってると時間がかかるので、インスタントスープ。お湯も沸いており、インスタントスープとコーヒーとで分けてお湯を入れて、朝食の出来上がり。
朝はパン派かごはん派かと言われたら、どちらでも無い。ごはんが食べたいときは前日の夜に米を朝に炊けるようにセットして就寝する。パンの時は何もせずに就寝が多い。
テーブルの近くに置いてあったリモコンをピッとつけテレビをつける。
朝のニュースを見ながら、パンを食べコーヒーを飲む。少し前に、何かTV番組でコーヒーでシミが消えるとか、なにか健康にいいとかって言っていたのを思い出す。
「ポリフェノールは入ってるから、まぁ女性にはいいわよね..。」
そんなことを思いながらコーヒーをすする。TVから本日のお天気ですとアナウンサーの声が耳に入ってきた。
「本日のお天気は、午前中は晴れますが昼からは曇が多くなり夕方ごろから雨がふるでしょう。」
「え、夕方から雨なんだ。今日は洗濯物、いいかな。」
時間を見るとそろそろ片づけて準備しないと遅刻してしまう時間になってしまった。
残っていた朝食を急いで食べて洗い物を済ませて乾燥機にかけ、準備を始める。
私は化粧が苦手で、一般的なナチュラルメイクしかできない。メイクなんてしたくない人間なんで、休みの日とかは基本スッピンだ。出かけるときはさすがに化粧をするが、仕事に行くときと大体同じ化粧になる。
「ガス、消した。電気消した。戸締りオッケー。」
指さし確認で部屋中を確認する。確認が終わると鞄を持って玄関へ行き仕事用のパンプスを履く。
「いってきます。」
誰もいない部屋にいってきますと言って部屋を出た。空は青く、日が強い。
「ほんとに雨なんて降るのかしら。」
鞄の中にある折り畳み傘を見てぼそりとつぶやく。
通勤は電車だ。駅まではさほど遠くないので徒歩。朝の通勤ラッシュの時間に行くのでOLやサラリーマンの方々が歩いている。
イヤホンをつけて音楽聞きながら歩く人もいれば、新聞を抱えて歩いている人もいる。スマホを見ながら歩く人が多いのは、やはり時代なのだろうか。
Suicaをピッとかざしてホームへ急ぐ。ホームにはすでにたくさんの人たちであふれていた。
少し待てば電車がホームに入ってくる。ぎゅうぎゅうになりながらもようやく私も電車の中へと入る。中はいろんな匂いで充満していた。香水や体臭がきつい人が近くにいたらこれはもう最悪。一日の始まりが最悪になる。
大体私が一番最後に乗るので窓から景色が見える。その方がありがたい。何故ならいつも通る景色には、アレがあるからだ。
電車が大きな橋を通る。その時に見えるのだ、山の前に立つ鉄塔を。
下路式のアーチ状の橋の奥に送電鉄塔が立ち、その奥に山がそびえたつ。私はこの景色が大好きなのである。
休みの日には送電鉄塔が1番綺麗に映る場所に出向き、そこで1日いたこともある。
ああ、今日もあの鉄塔は綺麗だ。
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