第80話 潜入作戦
「はぁ!? 危険すぎるだろ! 」
京さんが反対した。まぁ、1番手っ取り早いといえば、そうなんだが。
「まーまー、俺の話を聞いてよ。確かに、この方法はかなり危険だよ。でも、下手に嗅ぎ回るより良いでしょ。それに、こういう単純な方法が上手くいくことがあるんだよ」
確かに、そうかもしれないな。全員納得はしたようだ。
「でも、誰が行くんすか? 」
俺が気になっていることを訊いてくれた。誰が行けば上手くいくんだろうか。
「まず、先天性の6人は駄目でしょ。顔と能力が知られている可能性が高いからね。で、次に俺、京、拓哉は駄目。見た目が大人だから、不審がられる。相手は全員子供なんだからさ。ということで、残ったのは……」
全員の視線が圭さんに向く。視線を浴びた圭さんは、ぎょっとする。
「え、僕ですか!? 」
「うん。圭ならギリギリ子供に見えるし、顔と能力も知られてない」
圭さんは、京さんや拓哉さんと比べて、目がくりくりとしているし、子供に見えなくもない。可愛い系イケメンと呼ばれる部類に入る顔立ちだ。
「コンプレックスを弄らないでよ、兄ちゃん……でも、僕で上手くいくかな」
「大丈夫、ヤバそうになったら逃げればいい。お得意の目くらましでさ」
待って、さっき圭さん何て言った? 兄ちゃん? 兄弟だったのか。全く似てないな。それよりも、圭さんの作戦を考えないとだ。
「それで、どうやってアジトに行くかだけど、こそこそするより堂々と入って良いと思うんだ。この組織に入れてくださいって言ってさ。手ぶらで行って、無能力者のフリをしてれば大丈夫かと」
「手ぶらって、連絡はどうやって取るんですか? 」
敬語に戻った圭さんが訊く。物を使わないで、連絡を取るってまさか……。俺の予想はピタリと当たった。
「奏くんのテレパシーを使うんだよ。それで、グループにいる5人の能力者の能力を聞き出すんだ。聞き出さなくても、使っているのを見れば大体分かるでしょ」
危険だし、難しいけど、このまま戦いになるよりは良い。圭さんにどうにか頑張ってもらわないと。俺も全力でサポートしよう。
「じゃあ、圭は潜入するとして、他の人たちはどうするかだな」
京さんが仕切りなおす。
「令、奏くん、一静くんは情報集めと圭のサポートをしてくれ。残りで、俺らの能力の分析をして、作戦を考えるぞ」
今回は今までとは違って、かなり危険で大変だろう。だから、作戦も念入りに立てて戦わないといけない。
また誰かが怪我をするかもしれないけど、怪我を恐れている場合ではないんだ。むしろ、何もしなかったら更に酷いことになる。
「取り敢えず、今日はもう寝て、明日からやるぞ」
京さんの力強い声に、気持ちが引き締まるのを感じた。やるしかないんだ。
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